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Published by johntss124, 2021-06-25 19:33:46

日语综合教程6

日语综合教程6

普通高等教育“十一五”国家级规划教材 总主编 谭晶华
新世纪高等学校日语专业本科生系列教材

日语综合教程

---------- 第六册-----------

陈小芬编著

上海外语教育出版社

外教社SHANGHAI l=Oft0GN LANGUAGE €DUCRfnON PR€SS

图书在版编目(CIP)数据
日语综合教程.第6册/陈小芬编著・
一上海:上海外语教育出版社,2018 (2021重印)
新世纪高等学校日语专业本科生系列教材
ISBN 978-7-5446-4966-7
I •①日…II.①陈…III•①日语一高等学校一教材!V•①H369.39
中国版本图书馆CIP数据核字(2017)第145419号

出版发行^ 上海•タト语牧育出林辛t
(上海外国语大学内)邮编:200083

电 话:021-65425300 (总机)
电子邮箱:[email protected]
网 址:http://www.sflep.com
责任编辑:江龙娣
印 刷:上海信老印刷厂
开 本:787 X1092 1/16 印张26 字数576千字
版 次:2018年2月第1版 2021年1月第4次印刷
书 号:ISBN 978-7-5446-4966-7 / H - 2194
定 价:59.00元

本版图书如有印装质量问题,可向本社调换
质量服务热线:4008-213-263 电子邮箱:[email protected]

新世纪高等学校日语专业本科生系列教材编委会

总主编:

谭晶华

编委:(以姓氏笔画为序)

王勇 浙江工商大学

王健宜 南开大学

叶琳 南京大学

皮细庚 上海外国语大学

许慈惠 上海外国语大学

纪太平 厦门大学

杨说人 广东外语外贸大学

严安生 北京外国语大学

吴侃 同济大学

吴大纲 上海外国语大学

陈岩 大连外国语学院

张威 清华大学

陆留弟 华东师范大学

庞志春 复旦大学

胡振平 解放军外国语学院

修刚 天津外国语学院

洪栖川 东北师范大学

高宁 华东师范大学

高文汉 山东大学

宿久高 吉林大学

谭晶华 上海外国语大学

21世纪是ー个国际化的高科技时代,也是ー个由工业社会进ー步向信息社
会转化的时代。科学技术的高速发展、新兴交叉学科的涌现、人文文化与科学
技术间的相互渗透和融合、社会的信息化以及知识、信息传播技术的日新月异
加强了世界各国文化的交流、碰撞与合作。要想在激烈的世界竞争中立于不败
之地,就要占领人才培养的制高点,培养出世界一流的高素质、高水平人才。

由于社会对外语人才的需求已呈多元化趋势,以往那种单ー外语专业的基础
技能型人才受到挑战。今后我们仍然需要培养《源氏物语》的专门研究家,但
是高校外语专业的教学必须从过去的“经院式”人才培养模式向宽口径、应用
性、复合型人才培养模式转化。社会要的不光是懂外语的毕业生,还需要思维
敏捷、心理健康、知识广博、综合能力强的精通外语的专门人才。

我国的外语教学界已充分认识到,对国家建设发展急需的外语专业人才加大
培养カ度,提高其能力和素质是ー项迫在眉睫的任务 。随着我国日语专业教学
点设置的不断增加和招生规模的逐年扩大,日语专业本科生的教学改革、学科
建设及教材出版亦取得很大的成绩,各地先后出版了一批在全国有影响的优秀
教材。正因为社会对日语人才的培养提出了更高的标准,同时对日语学科的建
设也提出了新的要求,因.此,日语本科生教材的编写和出版也应该顺应潮流,开
拓创新。

我国外语教材和图书出版的基地 、领头羊之一的上海外语教育出版社 (外教
社)以高度的责任感和高瞻远瞩的视野,在充分调研的基础上,抓住机遇,于2003
年8月邀请了全国主要外语院校和教育部重点综合大学日语专业的近 20位专家
在上海召开了 “全国高等学校日语专业本科生系列教材编写委员会会议”。代表
们完全认同编写“新世纪高等学校日语专业本科生系列教材”的必要性、可行
性及紧迫性,并对编写立意、教材构建、编写审校程序提出了许多积极、中肯
的建议和要求。之后,外教社又多次召开全国及上海地区专家学者会议,分头
撰写编写大纲,确定教材类别、项目,讨论审核样稿。经过两年多的努力,终
于迎来了第一批书稿的付梓。

本套教材共分语言知识、语言技能、语言学与文学、语言学与文化、语言学
与翻译(中日对译)、人文科学、经济贸易、测试与教学法等若干板块,可以说几
乎涵盖了当前我国日语专业所开设的全部课程。编写内容根据因材施教的原贝寸,

总序 1

深入浅出,反映各个学科领域的最新研究成果;编写体例采用国家最新有关标
准,カ求科学、严谨;编写思想贯彻了在帮助学生打下扎实的语言基本功的基础
上,培养学生分析和解决问题能力的原则,全面提高学生的人文、科学素养,养
成健康向上的人生观,成为合格的外语专门人才 。

本套教材编写委员会云集了我国日语界学者专家,其中不少是高等学校外语
专业指导委员会的委员。每ー种教材均由编写委员会的专家们仔细审阅后确定,
有的是从数种候选教材中遴选,总体上代表了中国日语教材学发展的方向和水
平。我们相信,外教社这套“新世纪高等学校日语专业本科生系列教材 ”的编写
和出版,一定会促进我国日语专业本科生教学质量的稳步提高,其前瞻性 、先进
性和创新性也将为日语教材的编写拓展更为广阔的视野。

谭晶华
上海外国语大学常务副校长

2 日语综合教程第六册

<言

日语专业教学大纲中指出:教材是师生在教学活动中的依据,选用或编写合

适的教材是搞好教学的保证。教材的题材要广泛,并且比例适当,要注重实践

性,适当编写包括日本社会、文化、风俗习惯以及科普常识方面的文章。语言

要规范、生动、丰富。文章体裁要多样化,掌握好教材的难度。 ’

日语专业高年级教材在过去20多年间出过少量的几套,由于当时日语专业
高年级教学大纲尚未制定,现在看来,已出的教材与教学大纲的规定尚有一些
距离,也不很符合教学大纲的规定。近年来,随着我国高等教育走向大众化,设
置日语本科专业的学校越来越多,各校都急切地期待着高质量的日语专业高年
级教材更早更多地问世,以备各大学择优使用。

本套日语专业高年级教材作为本科高年级综合日语课的主干教材,カ图贯彻
教学大纲规定的要求,编出符合目前日语专业现状的适用教材,既注重语言知
识的传授、语言技能的训练,又顾及日本社会、文化的介绍和理解。本套教材
的框架设计、布局结构将有助于提高学生的思维创造和分析鉴赏能力。

本套教材经申报,已批准为教育部“十五”重点教材建设项目,谭晶华教授
为总主编,第五册由陆静华教授编写,第六册由陈小芬教授编写,第七册由季
林根教授编写,第八册由皮细庚教授编写,编成后的油印教材均经过两轮以上
的使用,并广泛听取了中、外教师的意见,几经修改而成。

愿本套教材的推出为中国日语专业本科教育更上一层楼贡献绵薄之カ,相信
我国的日语本科专业建设一定会有更蓬勃的发展 。

总主编
2006年6月

備者的话

《日语综合教程》第六册教材的编写工作启动于2002年,先后经过两轮试用
和反复修改,历时4年时间,终于和大家见面了.。编者衷心地希望本教材能得到
广大日语教师和日语学习者的喜爱。

本教材为高等学校日语专业高年级阶段精读课教材,供三年级下学期使用 ,
亦可供具有一定日语基础的自学者使用〇

参照《高等院校日语专业高年级阶段教学大纲》的要求,充分考虑到与基础
阶段教材及第五册教材的衔接,在选材时编者充分注意到了文章的难易程度和
题材的多样化,尽可能地选择ー些可读性强,语言表达规范,遣词造句优美的
文章。文章的内容涉及日本文化、文学、社会、科学、语言学等不同领域,力
求使学生通过本册教材的学习,日语在原有的基础上得到进ー步的提高,并对
日本的社会风土人情有更多的了解。

本教材有小说、诗歌、随笔和论说文等不同体裁的12篇文章组成。每课分
别设有“课文、注释、单词、语句学习、表达学习、练习、文学・语言小知识
和阅读” 8个部分。语句学习栏目主要用来说明该课课文中出现的语言现象,包
括语法、句型、词汇以及某些词组和惯用语。其中大部分内容是在基础阶段尚
未学习过的,也适当地编入了一些在基础阶段虽然有所涉及,但理解和应用还
不够全面或比较难用的个别语法或词汇。通过这些内容的学习,可以使学生的
日语理解和综合运用能力得到进ー步的巩固和提高。

本教材新设了 “表达学习”栏目。主要选择了一些基础的、已经学过的,但
尚未完全掌握,需要进ー步归纳、复习巩固的,特别是需要加强应用意识的内
容,根据表达的意义分成了若干个专题。当然,编者不可能把有关专题的所有
表达方式都归纳到这个栏目中去,只能挑一些基础的、常用的内容。编者还特
意在练习里编写了配套的习题,旨在通过反复练习,达到加深理解,增强语感,
培养应用意识的目的。“表达学习”中的词语构成部分主要编入了一些复合词或
固定搭配词,作为学习的辅助,希望能对学生的日语学习有点启示作用。

各课练习由10个项目组成,大致可以分为两大类。ー类是围绕课文编写的

编者的话1

练习;另ー类是为了提高学生的日语综合运用能力而编写的练习。练习中设有口
头问答题,旨在检查学生对课文内容的理解情况,同时也为学生提供了 口语综合
表达的机会。编者希望教师在教学过程中能够重视ロ语练习,教与学双方如能很
好地配合,相信学生将会在高年级阶段继续获得良好的口语训练 。“文学・语言
小知识”和“阅读”栏目的设立,则是为了拓宽学生的知识面,增加阅读量。这
可以丰富学生的词汇量,提高阅读同类文章的能力 。

本教材选用了森本哲郎、外山滋比古、北村昌美、水上勉、長谷川恒男.、山
崎正和、中根千枝、三好達治、室生犀星、島崎藤村、茨本のり子、村野四郎、
中原中也、吉野弘、小池真理子、池澤夏樹、阿部昭、矢口高雄、芳賀綏、大岡
信、星新一、司馬遼太郎、加藤秀俊、内館牧子、老舍(立間祥介)、馮骥オ(竹
内良雄)、中野孝次、福永武彦等各位先生的作品。

本教材在编写过程中主要参考了原上海外国语大学陈生保教授主编的《日
语》第5、6册和日本初高中国语教科书及砂川有里子教授等编著的《日本语句
型辞典》等。上海外国语大学日籍专家稲森信昭、石津みなと先生仔细审阅了整
部教材,日籍专家永島靖夫先生和本院周平教授等给予了悉心的指导。上海外国
语大学的有关领导和日本文化经济学院的领导对本教材的编写工作也给予了关心
和支持。三年级教学小组的戴宝玉老师、许慈惠老师、陆静华老师和周星老师也
在教材的试用过程中提出了很多中肯的意见和宝贵的建议。

本教材还附有课文的录音,特请吉田清子女士录制 。
在此谨向以上各位给予过帮助的先生及女士,ー并表示由衷的感谢。
本教材编写过程中,编者尽可能地从教学第一线的角度去思考和编写,但是
由于水平有限和时间仓促,教材难免存在错误和缺点,敬请各位批评指正。
最后,向支持本教材编写工作的上海外语教育出版社和责任编辑江龙娣女士
表示衷心的感谢。

编者
2006年12月

2 日语综合教程第六册

目次

第"Z課 「まあまあ」にみる日本人の心............... 1

♦本文
♦注釈
♦新しい言葉
♦言葉の学習

ー、ともなく /ともなしに
二、 〜はともかく (として)
三、 〜ての
四、 しかるべき
五、 ないでは(も)ない
六、 ならぬ
七、 〜にしく (名詞)はない
ハ、〜とはいえ
九、〜っっ
十、〜を前に(して)
争表現の学習
ー、判断を表す表現
二、語や語句の構成

〜あてる
<練習
<文学・語学の豆知識 漢字の音の歴史
♦読み物転石苔を生ぜず

・柬 自然との出会い........................... 35

#本文
<注釈
♦新しい言葉
♦言葉の学習

ー、も
二、〜といい、〜といい
三、〜ずにはいられない
四、 名詞ひとつにしても
五、 〜て(で)ならない

目次 1

六、 今でこそ 67
七、 何を(は)おいても
ハ、〜に至る
九、〜にして
十、まさか
♦表現の学習
一、 根拠を表す表現
二、 語や語句の構成

〜入り•〜が張る
♦練習
争文学・語学の豆知識 同音語と類義語
♦・読み物自然との触れ合い

畐3或 水の東西…......... .

♦本文
<注釈
♦新しい言葉
<言葉の学習

ー、いやがうえにも
二、 ゆとり(がある/ない)
三、 趣向を凝らす
四、 〜ようにみえる
五、 〜となく
六、 間が抜ける
七、 〜とみる(みられる)
ハ、 〜につけて(は/も)
♦表現の学習
ー、傾向を表す表現
二、語や語句の構成

〜つける・〜あげる•〜あがる
♦練習
<文学・語学の豆知識四字の熟語
<読み物外国語の修得と文化の関係

*4* 詩四編................................... 98

< ー、賛のうへ
<二、小景異情(そのニ)
♦三、千曲川旅情の歌
<四、私のカメラ

2 日语综合教程第六册

♦注釈
♦鑑賞
♦練習
<文学・語学の豆知識 詩の味わい方
♦読み物 ー、現代詩をどう読むか

二、詩二編
(一)一つのメルヘン
(一)I was bom

第う課 東京回顧写真展 117

♦本文 153
♦注釈
♦新しい言葉 目次 3
<言葉の学習

ー、なにかというと
二、何も〜ない
三、 ためしがない
四、 (何の)変哲もない
五、〜とも〜ともっかぬ
六、 〜はおろか〜も
七、 〜始末だ
ハ、〜てでも
九、よりに(も)よって
十、〜次第だ
<表現の学習
ー、時間を表す表現
二、語や語句の構成

〜かける・〜ぬく・〜あわせる
♦練習
<文学・語学の豆知識 各時代の文学の歴史
♦読み物スティル・ライフ

E弟6課 いのち

♦本文
♦注釈
#新しい言葉
♦言葉の学習

ー、〜としては
二、だに

三、〜ようものなら
へ四、ものを

五、 動詞に 同一動詞の可能形 ない
六、 〜を禁じ得ない
七、 〜とて
ハ、〜にしては
九、〜ところの
十、〜たる
<表現の学習
ー、気持ちを表す表現
二、語や語句の構成

〜果てる・〜よく・〜並み
♦練習
♦文学・語学の豆知識 国字と熟字訓
<読み物まぼろしの〃タカオトンボ〃

*ん諜・ 文章について............................ 187

♦本文
<注釈
♦新しい言葉
♦言葉の学習

ー、目白押し
二、べく
三、 高が知れている
四、 尾を引く
五、 〜というものだ/〜というものではない
六、 とかく〜(傾向を表す表現)だ
七、 とりとめもない
ハ、つもり
九、それでいて
十、といって
<表現の学習
ー、話題の取り上げ
二、語や語句の構成

再〜・好〜・没〜
<練習
♦文学・語学の豆知識 原稿用紙の使い方
争読み物言葉と人格

4 日语综合教程第六册

3窿 養 企業内の聖人............................ 217

« <本文

: e注釈

:◎新しい言葉
!卷言葉の学習

; ー、なんという

二、 〜のかたまり
三、 それはそれでいい
四、 となると
五、 いくらなんでも
六、 〜ないまでも
七、 なにしろ
ハ、〜しようにも〜ない
九、〜とばかり
十、ごとき/ごとく
:♦表現の学習
: ー、対比を表す表現
二、語や語句の構成

〜きわまる・〜はずれ•〜まわる
:参練習

♦文学・語学の豆知識 描写の方法
:<読み物たそがれ

香住から白兎海岸へ 252

♦本文
♦注釈
♦新しい言葉
#言葉の学習

ー、何が何でも
二、 〜ないことには
三、 動詞には同一動詞が
四、 高をく くる
五、 〜というところだ
六、 〜にかぎる
七、 〜にもまして
ハ、〜ことだ/ことか
九、〜てもはじまらない
十、さして〜ない
<表現の学習

目次 5

ー、勧誘を表す表現
二、語や語句の構成

〜がきく.〜目・〜由
♦練習
:♦文学・語学の豆知識 紀行文の書き方
:♦読み物 草原の記—— モンゴル紀行

仮面の思想............................... 289

:♦本文
:♦注釈
« <新しい言葉
:♦言葉の学習
! ー、〜だけのことだ
: 二、〜を問わず

:三、存在
四、 そもそも〜というものは
五、 どちらかといえば
六、 手をかえ品をかえ(て)
七、 (形容詞)く(も/は)ある
ハ、こそあれ(すれ)
九、〜とでもいうべき

! 十、とすれば
: <表現の学習

! ー、結果を表す表現
: 二、語や語句の構成

〜離れ•〜がつく
!卷練習
:♦文学・語学の豆知識 故事成語•ことわざ•慣用句

:卷読み物絶対値

らくだのシアンツ.... 322

♦本文・
♦注釈
♦新しい言葉
♦言葉の学習

ー、〜ようが〜ようが
二、 〜たら(ば)〜たで
三、 それまで(のこと)だ
四、 形容詞連用形する

6日语综合教程第六册

五、 〜ようにして 354
六、 (た)ところで
七、 これという(いって)〜ない 382
ハ、〜とはいわず
九、瀬戸際 目次 7
♦表現の学習
ー、無視・無関係の表現
二、 自動詞表現にある可能と受身の意味
三、 語や語句の構成

〜を食う(食らう)•〜をかぎりに
<練習
♦文学・語学の豆知識生活のことば
♦読み物あの人は生きている

第72課 河童の血筋..............

♦本文
♦注釈
♦新しい言葉
♦言葉の学習

ー、〜には/と変わり(は)ない
二、動詞でもなく
三、 〜ないと、〜ない
四、 ご多分にもれず
五、 〜に熱を上げる
六、 やみくも
七、 すなお
ハ、〜に等しい
九、ありうる/ありえる/ありえない
十、底抜け
♦表現の学習
ー、強調を表す表現
二、語や語句の構成

〜返る«〜ばむ
♦練習
奪文学・語学の豆知識 歴史的仮名遣い
♦読み物旅情

新しい言葉リスト

笛弟IIS冻B

「まあまあ」にみる日本人の心

本文

■森本哲郞

「そいつは、まあ、なんだな 〇」、「まあ、いいじやないか。」、「まあ、一杯。」、
「まあ、そんなに遠慮せずに。」、「まあ、待ちなさい。」、「まあ、ひどい!」……。

日本語の中で、いちばん便利な言葉は、「まあ」という慣用語であろう。便
利ということは、多義語ということである。つまり、どんな場合にも、いろ
いろな形で使うことができるということだ。「そいつは、まあ、なんだな……OJ
というときの「まあ」は、いわば語句の間に挿入される間投詞とみてよかろ
うが、「まあ、いいじゃないか。」という場合の「まあ」は、相手を促す意味
を持っている。次の「まあ、一杯。」も同様だが、こちらの原義は、「先ず。」
ということであろう。次の「まあ、遠慮せずに。」「まあ、待ちなさい。」とい
うときの「まあ」は逆に相手を制止する用法で、最後の「まあ、ひどい!」の
場合は感嘆詞といってよかろう 。

こんなふうに「まあ」はさまざまな形で使われ、しかも、その間に微妙な
意味の濃淡がある。更にその「まあ」を二つ重ねて「まあまあ」となると、こ
れはとうてい厳密に意味を分析できない日本語独特の表現となる 。「お元気で
すか?」ときかれて、「ええ、まあまあです。」と答えれば、特別に異状のな
いことを表し、「あしたの天気はまあまあでしょう。」と言えば、快晴という
わけではないが、さりとて雨が降るほど悪くもないという意味である。強い
て英語に訳せば、not bad (悪くない)ということになろうか。

「まあ」と同様、「まあまあ」は相手を促したり、制止したりするときにも
盛んに使われる。「まあ、ひどい!」と相手が怒った時、「まあまあ、そう怒
らないで。」となだめる。相手の「まあ」は感嘆詞だが、それを制止する「ま
あまあ」のほうは副詞的用法となる。だが、その「まあまあ」も感嘆詞とし
ても使われるのだからなんともややこしい。例えば、「まあまあ、それはよ
かった!」、あるいは、「まあまあ、そいつはとんだ災難だったねえ。」などと
いうときの「まあまあ」は明らかに感嘆詞といってよかろう。

第1課 「まあまあ」にみる日本人の心 1

更に、「まあまあ」には、だいたい、という意味もある。「試験はどうだっ
た?」ときかれて、「まあまあです」と言えば、だいたいできたということで
ある。では、そのような場合のだいたいとはどの程度なのだろうか。国語辞
典によれば、「かなりの程度」ということだが、それなら、かなりとはどのく
らいなのか、と更に理詰めで追及されればけっして明確には答えられない。
あとは感じに頼るだけである。したがって、日本人の間で暗黙のうちに了解
されているその程度をつかまない限り、このような表現は正確な情報を伝え
得ないということになる。一体、その「程度」とは、どのくらいの程度なの
か。

いつごろ、だれが決めたのか分からないが、我が

国に「日本三景」というのがある。日本の中で最も

美しいと思われる三つの景勝地を選んだもので、周

知のように宮城県の「松島」、京都府の「天ノ橋立」、

そして広島県の「宮島」である。おそらく中国の「瀟

湘八景」とか「西湖十景」などにならって、室町期

か江戸時代にだれがいうともなく人の口にのぼるよ

うになったものに違いない。

それはともかく、この「三景」を思い浮かべてみ 天ノ橋立
ると、そこに共通した性格があることに気づく。第

ーに、いずれもが海辺の景色であるということだ。日本列島にはまるで背骨

のように山脈が南から北まで走り、日本を日本海側と太平洋側の二つに分け

ている。ほとんどが山といってもいいほどなのに、「三景」の中に一つも山の

風景が入っていない。これは誠に奇妙なことではないか。

第二に、その海岸の景色が皆穏やかな内海に臨むこぢんまり.とした浜で、

すぐ目の前に小さな島、あるいは州が見えるといった景観であることだ。逆

巻く波が打ち寄せる雄大な海岸線は全く見捨てられている 。「三景」に限らな

い。日本人が名所や歌枕としてめでる風景は、例えば「須磨・明石」にしろ、
高知県の「桂浜」にしろ、伊勢の「二見ヶ浦」にしろ、秋田県の「象潟」に

しろ、岩手県の「浄土ヶ浜」にしろ、そのすべてが同工異曲の眺めである 。海

といっても男性的な荒海ではなく、女性的な優しい入り江に日本人は心引か

れるのである。

なぜなのであろうか。おそらくは日本民族が体験した太古の記憶が無意

識のうちにこのよ

うな景色をこのう

えなく美しく、懐か

しい思いに誘うに

2日语综合教程第六册

違いない。日本人はその昔、南太平洋の島々、あるいは東南アジア、中国
の江南地方、朝鮮半島などからさまざまなコースを経て日本列島にやって
きた。原始的な小舟を操ってのその航海は、実に恐ろしい体験だったに違
いない。どれほど多くの犠牲者が出たことであろうか。大洋を漂流する彼
らが、ただひたすら求め続けたのは島影だった。そして波を避け島に上陸
することのできる入り江だったはずである。おそらく、そうした太古の記
憶が懐かしいイメージとなってあの「日本三景」に結晶しているのではな
かろうか。

荒海を乗り切ってこの列島にたどり着いた日本人 、そして海に取り巻かれ
ながら生活を重ねてきた日本民族、当然日本人は海洋民族になってしかるべ
きである。ところが、わたしたちは海洋民族にはならなかった 。なぜなら、日
本人は二度と再び恐ろしい海へ乗り出そうとはしなかったからである。むろ
ん、海洋への冒険を試みた日本人がいないではなかった 。しかし、それは極
めてわずかな例に過ぎず、バイキングとして海をのし歩いた北欧人や 、大航
海時代を現出させたスペイン 、ポルトガル、イタリアなどの民や、七つの海
を制覇したイギリス人、更には海洋貿易に活躍したインド人や中国人などと
比べれば日本人は全く海を相手にしなかったといってもいい。そんな訳で山
崎正和氏は日本人を海洋民族ならぬ海岸民族だと評している。まさしくその
とおりだと思う。

では、なぜそうだったのか、日本という島があまりに住み心地よかったか
らではあるまいか。温暖で湿潤な気候、変化に富んだ山河、外敵侵入のおそ
れのない安全な島国、こんな快適な国土に住み着いたのに、どうして今更海
へ出ていくことがあろう。ここで仲よく暮らせばそれで十分ではないか。あ
の恐ろしい航海体験を、なんで改めて試みることがあろうか。海のかなたに
は、もっとすばらしい未知の土地があるかも知れない。しかし、欲を出せば
きりのない話だ。この島で結構。ここで安んじて暮らすにしくはない。こう
して日本人は太古の記憶を甘美な思い出として胸に抱きながら 、それ以上を
望まなかったのである。「日本三景」はこのような日本人の気質をなによりも
正直に語っているのだ。

とはいえ、この小さな島に住み着いた人たちがなんの争いもなく平穏に暮
らせたというわけではけっしてない。この島国の中で、日本人は幾多の戦乱
を経験してきた。だが、いくら争ってみても、周りが海なのであるから逃げ
出す訳にはいかない。最終的にはなんらかの形で敵と妥協し 、共存する道を
探らねばならなかった。必要なことは、「分に安んじる」ことであり、それに
よって「和」を保つことだった。「分に安んじる」とは、必ずしも「身分に安
んじる」ことばかりではない。相手のいい分に安んじることでもあり 、常に
一定の限度を守ることでもある。それがなによりも、「和」に必要なのだ。ー

第1課 「まあまあ」にみる日本人の心 3

定の限度を守るということは、それ以上を望まぬということである。己を抑
制することである。

そんな訳で日本人は、自分をやたらに主張してはいけない、そして、物事
をあからさまにすべきではない、と考えるようになった。自分を主張すれば、
当然相手の主張とぶつかることになるし、物事をはっきりさせれば 、いやお
うなく相手との食い違いが出てくるからである。そうなれば争わざるを得な
くなる。日本人はそれをなによりも恐れたのだ。

そう、日本人は本質的に争いを好まず、自然の運行のようにすべてがうま
くいくのを期待し、確信している極めて楽観的な、そして同時に悲観的な民
族なのである。楽観的であるとともに悲観的、というのは、その楽観が、実
は悲観の上に成り立っているからである。つまり、この世の中はけっして自
分の思っているようにはうまくはいかないものだ、という前提の下に日本人
の判断は構成されているのである。

かってわたしは将棋の大山名人にきいたことがある。将棋の対局で、しば
しば二時間に及ぶほどの「長考」がなされることがある。一体、どういう局
面でそのような「長考」をするんですか。

すると大山名人は言下に、「あまりにもうまくいきすぎているときです。」
と答えた。わたしは意表をつかれ、思わず、「え、それはまた、どういうわけ
です?」と尋ねた。

大山名人の返事はこうであった。
「だいたい、物事はそんなにうまくいくわけがないからですよ 。それなのに
妙にうまくいきすぎるというのは、どこかに落とし穴があるからです。それ
に欺かれないために、うんと考え込むんですね。」
わたしはえらく感心した。さすが一芸にひいでた名人の言葉である。これ
は将棋に限らず人生全般についていえることではないか 。と、そう思いつつ、
わたしはこうした確信こそ、紛れもなく日本的な信条であることに気づいた
のだった。
どんな人間も常に世界にある期待を持って対している。どれほど世界に期
待するか、その期待の大きさで人々の世界観は違ってくる。実際以上の期待
を抱くか、実際に見合った期待を寄せるか、それとも実際以下に期待を抑制
するか、それによって理想主義、現実主義、悲観主義が分かれるのである。だ
が、実際以上に期待すれば、当然その期待は裏切られることが多い。逆に実
際以下に期待をおさえれば、期待を裏切られる苦痛からはまぬがれることが
できよう。日本人は後者を選ぶのである。この意味で日本人は極めて臆病で
あり、小心であるといってもよい。日本人は楽観的であるとともに悲観的で
あり、楽観が悲観の上に成り立っていると私がいったのはこの故である 。期
するところを少なくすれば、苦痛はそれだけ軽減される。すべてに一応満足

4日语综合教程第六册

していられる。これが日本人の基本的な精神の構えである。そして、これを

みごとに言い当てているのが 、ほかならぬ「まあまあ」という日本語のあい

まいな副詞なのだ。

「まあまあ」という言葉は、前記のように実に多様に使われているが 、その

本質は抑制にある。「まあまあ、そう怒らずに。」「まあまあ、いいじやないか。」

「まあまあ、そんなもんだよ。」「まあまあのできだな。」「まあまあありがたい

と思わなくちゃ。」

これらはいずれも、自分が実際以下に設定した期待をそのまま言い表して

いる。期待は常に大きくなりがちである。ともすれば肥大してゆく期待に対

して、日本人は折にふれてはそれを抑制する。そして期待を抑制することに

よって、改めて一応の満足を得るのである。「人生とは、まあまあ、そんなも

んだよ。」と再認識することによって。したがって、「まあまあ」はアメリカ

ふうに言うならば、take it easy !ということになろう。よくいわれる日本人
の「まあまあ主義」とは、実際以上に期待を持てば不満もあろうが、期待を

実際以下に設定し直しなさい。そうすればなんとか満足が得られますよ、と

いう人生哲学だといってもよい。そして、その哲学をイメージで表すならば、

大海の一部を優しく抱いたあのささやかな入り江の景色、「日本三景」になる

のではなかろうか。

日本人に愛好される俳人一茶は、死を前にして、こんな句を残した。

是がまあっひの栖か雪五尺

(『中学国語3』学校図書より)

!注釈

〇森本哲郎(もりもとてつろう)(1925 — )

評論家。日本東京都に生まれた。主な著書に、『文明の旅』『ことばへの旅』などがある。
❷宮城県(みやぎけん)

日本東北地方東部の県。県庁所在地は仙台市。
❸松島(まっしま)

日本宮城県松島湾内外に散在する大小260余りの諸島と湾岸一帯の名勝地。
❹ 天ノ橋立(あまのはしだて)

日本京都府宮津市宮津湾の砂洲。延長約3キロメートルの白砂の松林で、成相山・傘松からの縦
一文字と、大内峠からの横一文字の景色は特に有名。
❺宮島(みやじま)
厳島の別称。日本広島湾南西部の島。面積約30平方キロメ ートル。島全体が原始林で覆われる。
北岸に厳島神社と門前町宮島町がある。
❻瀟湘八景(しょうしょうはっけい)
中国湖南省洞庭湖の南にある瀟水と湘水付近にある八か所の佳景 。

第1課 「まあまあ」にみる日本人の心 5

❷室町期
足利氏が政権を握り京都室町に幕府を開いた時代。1336年一!573年までの237年間をさす。

❽江戸時代
徳川家康が1600年関ヶ原の戦いで勝利を占め、1603年幕府を江戸に開いた頃から、1867年徳川
慶喜の大政奉還に至るまでの約260年間をさす。

❾須磨(すま)
日本神戸市南西部の海岸の地。

❿明石(あかし)
日本兵庫県南部の市。

❿桂浜(かつらはま)
太平洋に面した日本高知市の海岸。

(B伊勢(いせ)

日本三重県の市。伊勢神宮の所在地。
® 二見ヶ浦(ふたみがうら)

日本三重県二見町海岸にある名勝。
❿象潟(きさかた)

日本秋田県南西部の海岸にあった潟湖。1804年の地震で陸地化した。
®浄土ヶ浜(じょうどがはま)

日本宮古市の臼本半島東端にある海岸。

盼 山崎正和(やまざき まさかず)(1934 -)

評論家。日本京都府に生まれた。
®大山名人

大山康晴15世名人。1923 -19920日本岡山県に生まれた。

(D 一茶小林一茶(1763 — 1827)

信濃(現在の日本長野県)に生まれた。江戸後期の俳人。俗語•方言を使いこなし、不幸な経歴
からにじみ出た主観的、個性的な句で著名。句文集『おらが春』などがある。晩年は郷里で逆境
のうちに没。

!新しい言葉 [名] ことばの間や切れ目に入れて使うことば。感嘆詞
と同義で用いられることもある。/用于句间或句
間投詞(かんとうし) 末的词;感叹词。

濃淡(のうたん) [名] (色彩・味などの)濃いことと、薄いこと。/(颜
異状(いじょう) 色、味道)浓或淡。
快晴(かいせい)
[名] 普通とは違った状態。別状。/异常状态,异常现
6日语综合教程第六册 状。

[名] 空が気持ちよく晴れ渡ること。気象学上は雲量が
〇〜1の天気をさす。/晴朗,万里无云。

なだめる(宥める) [他ー] 相手の荒れている気持ちを、あれこれ言って穏や

かにしようとする。/用好话哄劝。

なんとも [副] ①(打消しの語を伴う)具体的に言ったりしたりす

ることができない様子。なにごととも。なにものと

も。/(下接否定)说不出个所以然来。②何と言って

いいかわからないほど程度が甚だしい様子。何分

にも。まことに。いかにも。まったく。/实在,真。

ややこしい [形] 複雑で煩わしい。/复杂的,麻烦的。

とんだ(飛んだ) [連体] ①普通と違った。風変りな。/与众不同的,奇特

的。②思いもよらないことが起こって迷惑する様

子。大変な。とんでもない。/严重的;万没想到

的,意外的,不合情理的。

理詰め(りづめ) [名] どこまでも論理や理屈で考えや議論を推し進める

様子。理屈詰め。/死抠着道理不放。

追及(ついきゅう) [名・他サ] 程度をはっきりさせようとどこまでも人を追い責

めること。/追究。

暗黙(あんもく) [名] 意思を外面に表さないこと。黙って言わないこ

と。/不声不响。

景勝地(けいしょうち), [名] 風景がすぐれている土地。/风景地,风景区。

性格(せいかく) [名] ①各個人に特有の、ある程度持続的な、感情・意

志の面での傾向や性質。ひとがら。/性格,性情。

② その物事を他と区別する、根本的性質。/性质,

特性。

背骨(せぼね) [名] 脊柱。/背脊,脊梁骨。

こぢんまり [副] 小さいなりによく整っているさま。/小巧玲珑。

浜(はま) [名] 海または湖に沿った水際の平地。はまべ。/海滨,

湖滨。

州(す) [名] 土砂がたまって、川・海•湖の水面に現れ出たと

ころ。/沙洲,沙滩。

逆巻く(さかまく) ,[自五] 流れに逆らって波が巻きかえる。水底から波が湧

き上がるように激しく波立つ。/波浪逆流翻卷,波

涛汹涌。

打ち寄せる(うちよせる) [自他一] ①(自)勢いよく寄せてくる。押し寄せる。/涌

了过来。②(他)波が物を岸に運ぶ。/(波浪)冲

至(海岸)〇

第1課’「まあまあ」にみる日本人の心?

見捨てる(みすてる) [他ー] 見ても放っておく。見放す。/不理睬,抛弃,放

弃。

歌枕(うたまくら) [名] 古歌によまれた名所。/古诗中咏唱的名胜。

めでる(愛でる) [他ー] ①かわいがる。いとおしむ。愛する。/爱惜,珍

惜。②ほめる。感嘆する。/欣赏,赞赏,感叹。

同工異曲(どうこういきょく) [熟語] 手法は同じであるが、趣が異なること。また、

見かけは異なっているようだが中身は同じであ

ること。文中では、後の意味。/同工异曲。

荒海(あらうみ) [名] 波が荒い海。/波涛汹涌的大海。

入り江(いりえ) [名] 湖または海が陸地に入り込んだ部分。/峡湾,泻

湖。

太古(たいこ) [名] おおむかし。/太古。

無意識(むいしき) [名・形動] ①意識を失っていること。/失去意识。②ある

ことをしながら、自分のしていることに気づか

ないこと。本人は意識していないが日常の精神

に影響を与えている心の深層。/无意地,不知

不觉地。

この上ない(このうえない) [形] これに勝るものはない。これ以上ない。最高

の。/顶级的,无比的,最好的。

小舟(こぶね) [名] 小さい船。/小船。

操る(あやつる) [他五] ①ことばを上手に使う。/熟练掌握(语言)〇②人・

人形•道具・機械•乗り物などを巧みに動かす。Z
熟练地驾驭(操作)(玩偶等);(转指)幕后操纵,

控制。

乗り切る(のりきる) [自五] ①乗ったままで最後までゆく。/坐到头。②乗

り越える。/越过,渡过。③(転じて)難局を

突破する。/(转指)打开局面。

辿着く(たどりつく) [自五] ①道を尋ね求めて行きつく。/好容易オ摸索着

走到。②苦労してたどった結果 、目的地につ

<〇 /千辛万苦好容易オ到达目的地。

取り巻く(とりまく) [他五] ①取り囲む。囲む。/围,包围。②人に付きま

とって機嫌を取る。/奉承,捧场。

然るべき(しかるべき) [連語] ①そうあるのが当然である。/理所当然。②ふ

さわしい。適切なもの。相当によいもの。/合

适的,相配的。

バイキング(Viking) [名] 9〜10世紀にかけヨーロッパ各地で広範囲に
わたって活躍したノルマン人。航海術に優れ、

各地を襲って略奪を働き、また商業活動をも

行った。Z海盗。

8 日语综合教程第六册

のし歩く(のしあるく) [自五] 威張った態度で歩く。/大摇大摆地走,大模大
北欧人(ほくおうじん)
样地走。
民(たみ)
[名] 一般にアイスランド・デンマーク・ノルウェー・
制覇(せいは)
ならぬ スウェーデン・フィンランドの五カ国の人をさ
住み心地よい(すみごこち
す。/北欧人。
よい)
湿潤(しつじゅん) [名] 君主・帝王に統治される人々。臣民。また、現
快適(かいてき)
今更(いまさら) 代では、国家社会を構成する人々。国民。/臣
かなた(彼方)
甘美(かんび) 民;国民,平民,百姓。
気質(きしつ)
幾多(いくた) [名・他サ] 競争者を負かして権力を握ること。/称霸。
最終的に(さいしゅうてき
[連語] 指定の助動詞「なり」の未然形+打消しの助動
に)
妥協(だきょう) 詞「ず」の連体形。でない。/不是,非。

探る(さぐる) [形] 住んで気持ちいい。/住得舒服。

分(ぶ/ぶん) [名・形動] 湿気を帯びて潤っていること。/湿润。
言い分(いいぶん)
[形動] 具合がよくて気持ちのよいこと。/舒适,舒月艮。

[副] ①今となっては。/事到如今,事已至此。②今

はじめて。/现在オ…,现在再…。

[代] 遠く離れた方。あちらのほう。むこう。/那边Q

[形動] 甘くて味のよいこと。文中では懐かしいという

意味で用いられている。/甜美,优美。

[名] 言動に表れる、その人に備わっている、心の持

ち方の性質。/气质,风格。

[名・副] 数多いこと。あまた。/许多,无数。

[副] 一番終わりに。最後に。/最后。

[名•自サ] 対立している双方(または一方)が折れ合って

一致点を見出し、事をまとめること。折り合

い。Z妥协。

[他五] ①(眼前に確かめられないものを)手足の感覚

によって捜し求める。/摸。②未知の物事を観

察したり調査したりする。/观察调查。③様子

や事情をひそかに調べる。探知する。/暗中调

查,・探听,刺探。④美しい景色などをたずね求

める。/探访(景致优美的地方),探胜。

[名] 分け与えられた性質・地位。身の程。/身份;

本分。

[名] 主張したい事柄。また、不満で、言いたい事柄。/

意见,主张;不满,不平,牢骚。

第1課 「まあまあ」にみる日本人の心 9

己を抑制する(おのれをよ [連語] 自分の身の程をわきまえ、相手との「和」を重
くせいする) [形動] んじて、自己規制をすること。/克制自己。
隠さず、ありのまま。あらわ。はっきり。/毫
あからさま 不隐瞒地,公开地,清楚地。
是非を言わせずに。いやでも無理に。「否応な
否応無く(いやおうなく) [副] しに」ともいう。/不管愿意不愿意,不容分辩,
硬着头皮。
食い違い(くいちがい) [名] 一致または一貫すべきものが、合わせてみると
違うこと。/分歧,不一致。
成り立つ(なりたつ) [自五] 出来上がる。成立する。/成立。
将棋(しょうぎ) [名] ふたりで将棋盤を挟んで相対し、盤面に配置し
た駒を交互に動かして戦わせ、相手の王将を虜
しばしば [副] にした(詰めた)ものを勝とする。インドに起
長考(ちょうこう) [名] り、日本には遣唐使や入唐僧などによって中国
言下(げんか) [名] から伝わったという。/象棋。
たびたび。幾度も。/经常,时常。
意表をつく(いひようをつ [連語] 長い時間考えること。/考虑了很久。
く) [名] ことばの終わるか終わらぬかの時。いい終わっ
てすぐ。/说完后马上。
落とし穴(おとしあな) 考えに入れていないこと。思いがけない行動を
取ること。/出人意料。
欺く(あざむく) [他五] ①人や鳥獣をだまして落とすために地面に仕掛
けた穴。/陷井。②人を陥れる謀略。/圈套。
うんと [副] ①相手の判断を狂わせるような行動をして、相
手に真相•実情を知られないようにする。/蒙
えらい [形] 骗,欺骗。②そのものの本来の働きにひけをと
らないくらいに、遜色がない働きをする。/和…
一芸に秀でる(いちげいに .[連語] 能够混淆〇
ひいでる) [名] ①程度・分量の甚だしいさま。非常に。たくさ
ん。/很,非常,很多。②力を込めるさま。/使
全般(ぜんぱん) 劲儿地。
普通あるべき状態より程度が甚だしい。/非常,
厉害。
一つの技芸、芸能等に優れている。/有一技之
长。
ある物事の全体。総体。/总体,整个,全体,全

10 日语综合教程第六册

面。

紛れも無い(まぎれもない) [慣] 紛れるはずもなく明白である。正真正銘。/确

凿的,真正的。

臆病(おくびょう) [名•形動] ちょっとした事柄にも恐れること。また、その

様子。/胆小,胆怯。

構え(かまえ) [名] ①身構え。/姿势,架势。②そなえ。Z精神

上的准备。

みごと(見事) [副・形動] 立派に。ちやんと。/精彩地,出色地。
言い当てる(いいあてる)
[他ー] 推量で言って、事実に的中させる。/说中,说

对。

肥大(ひだい) [自サ] ①物事の規模が大きくなること。/(组织、规模、

权利等)变大。②(大きくなってはいけない)体

の一部が大く大きくなること。/(不该变大的身

体的某一部分)肿大。

ともすれば [副] 放任しておくと、その傾向が助長される様子で

ある。/往往,动辄。

折に触れて(おりにふれて) [慣] 機会あるごとに。/ 一有机会就…,时常。

take it easy! のんきに構える。くよくよしない。のんびりや
ろうや。/做事悠着点儿。

俳人(はいじん) [名] 趣味として、また、職業として俳句を作る人。

俳諧師。俳家。/俳句诗人。

つひ(つい«終) [名] 人生の終わり。最期。/人生最后阶段;临死,临

终。

すみか(住処・住家・栖) [名] 住むところ。すまい。/住处,家。

尺(しやく) [名] 寸法の長さの単位。1尺は10寸。/尺。

言葉の学習

そ4ともなく/ともなしに 丨

7.「疑問詞+助詞+ともなく/ともなしに」の形で用いられ、「Aについてははつ
きりしない」の意。この形のものは慣用的なものが多い。(也不知…)

❶ あいさつを忘れたのに気がついて、静香は刺身を取りかけていた箸をおい
て、両手を膝の上に揃え、誰にともなく頭をさげて「いただきます」と言っ
た。(静香发现自己忘了打招呼,于是放下了就要夹着生鱼片的筷子,双手放在
膝盖上,也不知对着何人低头说了声“我吃了”。)

第1課 「まあまあ」にみる日本人の心 11

❷ わたしは誰からともなく、このうわさを聞いたのだが、信じない。(我也不知
是从哪儿听说了这个传闻。不过,我不相信。)

❸ バラの花の匂いがどこからともなく漂ってきた。(不知从哪儿飘来了玫瑰的花
香。)

❹ 文通をしていたが、どちらからともなく交際が途切れてしまった。(一直互相
通信来着。可是也不知是谁开的头后来就没再交往下去 。)

❸ しばらくの間、どこへともなくふらふらと步きまわりながら、田中が自分
のアパートへ帰り着いた時はもう日も暮れかかろうという頃だった。何と
なくけだるい。今日一日は何だったのかと悔やまれてならなかった。(毫无
目的信步溜达了一会儿,田中回到自己的公寓时已是太阳快落山了。总觉得有
些倦怠。他后悔极了,“今天一天算什么啊。り

2「動詞+ともなく/ともなしに」の形で用いられ、「意識してAをするわけでは
ないが、無意識にAをしている」の意。この形の動詞は基本形でなければなら
ない。(无意地,不经意地)

❶ 教室から外を見るともなしに見ていたら、交通事故を目撃してしまった。(我
无意中从教室往外望去,于是目击了一场车祸的发生 。)

❷ 正はだれに言うともなく 「これでいいのだ。」とつぶやいた。(正不经意地小
声自语道:“这就可以了。”)

❸ 思うともなしにさまざまなことを思い出した。(也没去想,可各种事儿都从脑
海里浮现了出来。)

❹ 喫茶店で、隣の席の話を聞くともなく聞いていたら、わたしの会社のこと
だったので驚いた。(在咖啡馆,无意之中听到了邻座的谈话。令我吃惊的是谈
的正是我们公司的事儿。)

❺ 彼はお母さんが日本人なので、日本語は覚えるともなく自然に身についてい
る。(他的母亲是日本人,所以他的日语没有刻意地去记就自然而然地掌握了。)

そふ 〜はともかく(として) 姑且不论,暂且不谈

前件は議論の対象からはずして、という意味を表す。前件より後件のほうが
もっと大事なので、それを優先させたいという気持ちである。「•••はとにかく」
に言い換えられる。

❶ 服のデザインはともかくとして、色の組み合わせはやっぱりその人ならでは
の風格がある。(服装的款式姑且不谈,颜色的搭配有他独特的风格。)

❷ 学識と能力はともかくとして、融通がきかない頑固な性格で、物事に柔軟に
対応することができないところがちょっと心配だ。(学识和能力暂且不谈,我
担心不懂通融、固执的性格使他不会弹性地应对事物。)

12日语综合教程第/、ヾ册

❸ 内容はともかく、新しい単語が多すぎると辞書を引き引きになるのでおもし
ろくない。(内容姑且不谈,新单词太多的话要经常查字典,这样读起来没劲 。)

❹ いきさつの説明はともかく、まずその結果を教えてください。(别说经过了,
先说结果吧。).

❺ 高等学校卒業生以上はともかく、中学を出た人がちゃんとした文章が書ける
かどうか疑問だ。(高中毕业以上的学生姑且不论,中学毕业的人能不能写好文
章我抱有怀疑。)

n.ー〜ての— ....................... .......1

動詞連用形+接続助詞「て」+格助詞「の」+体言、である。一般的には、「の」
のところに連体修飾語になる動詞が省略されているとみられている。

❶ 原始的な小舟を操つ通・その航海は、実に恐ろしい体験だったに違いない。
(=小舟を操って行ったその航海)(驾驶着原始小船的那次航海经历ー定是可
怕极了。)

❷ これはよく調べての結論だ。信じるも信じないも君の勝手だ。(=調べて出
した結論)(这是经过仔细调查得出的结论。信不信由你。)

❸ 田中さんからすれば、これはぜひとも頼まなければならぬ、差し迫つ立問
題だ。(=差し迫って解決すべき問題)(在田中看来,这是个必须求人解决的
迫在眉睫的问题。)

❹ みんなの考えをふまえユ提案だから、ぜひご採用ください。(二ふまえて
出した提案)(这个提案综合了大家的意见,请务必采纳。)

❺ 来年日本へ留学するつもりだ。しかし、それも親爺の会社がうまくいつ立
話だ。(=うまくいってできる)(明年我打算去日本留学。不过这也要看父亲
公司经营得好坏了。)

三政しかるべき应有的;适当的 j

「しかるべし」からくる用法である。「しかるべし」は「然り」(自ラ変)+「ベ
し」(助動詞)で、「そうなるべきだ」とか、「適当である、相応している」とか、
「そうすることができる」などの意味を表す。「しかるべき」はその連体形で、二
つの意味がある。一つは「そうするのが当然である」「そうあるべき」の意で、
もう一つは連体詞的に用いられ、「それにふさわしい」「適当な」などの意味を
表す。また「しかるべく」という副詞的な用法もあり、適切に対処する様子を
表す。

❶ 荒海を乗り切ってこの列島にたどり着いた日本人、そして海に取り巻かれな
がら生活を重ねてきた日本民族、当然日本人は海洋民族になってしかるべき
である。(日本人越过波涛汹涌的大海好不容易来到了这个岛上,日本民族年复

第1課 「まあまあ」にみる日本人の心 13

一年地生活在大海的包围之中,按理说日本人该成为海洋民族オ是 。)
❷ 相手の出方によっては、こちらとしてもしかるべき手段をとるほかない。(根

据对方的所为,有时我们也只能采取相应的手段。)
❸ それは検討してしかるべき問題だCたとえすぐには解決できなくとも。(这是

个应该研究的问题,即便是不能马上解决。)
❹しかるべき人に原稿を書いてもらいたいのですが、知人の中にはいますか。

(想请个合适的人写篇稿子,你朋友中有合适的人吗?)
❺ 目上の人、あるいはしかるべき地位にある人を、その名をもって呼ぶことは

日本語の世界では決してないことである。(在日语中,对长辈或有相当地位的
人决不能直呼名字。)

ないでは(も)ない也不是不…,并非不… I

動詞の否定形や形容詞「ない」を受けて、そのようなことがまったくないわ
けではないという意味を表す。肯定と同じ意味ではないが、肯定に近い状態に
あるという気持ちである。なお、「ないでもない」は「ないこともない」「なく
もない」ともいう。

❶ わたしたちは海洋民族にはならなかった。なぜなら、日本人は恐ろしい海へ
乗り出そうとはしなかったからである。むろん、海洋への冒険を試みた日本
人がいないではなかった。(我们没有成为海洋民族。因为日本人不想再回到可
怕的大海中去。当然,并不是没有日本人试着去大海冒过险。)

❷ この花は野生のためか、都会地の温室咲きの同種の花より強く見える。強く
見えても野生であるだけにいっそう可愛くみえないでもない。(这种花大概是
野生的缘故吧,比都市温室栽培的同种花看来显得坚韧。但是即便看上去坚
韧,正因为是野生的使它显得更为秀丽楚楚动人。)

❸ あまり気乗りしないんだけど、条件次第では考えないこともないよ。(我不太
感兴趣。不过,条件优越的话也不是不能考虑。)

❹ 建前と本音があるから、社会の秩序が保たれていると言えなくもない。人々
が本音だけ言っていたら、喧嘩ばかりしている社会になってしまうのではあ
るまいか。これは疲れる社会だ。(也可以这么说,场面话和真心话的同时存在,
社会秩序オ得以维持。如果人人都只说实话,那不就成了老吵架的社会了吗?
吵架的社会是个累人的社会。)

❺ 彼の気持ちはわからなくはないけれども、ことここに至っては彼ひとりのカ
だけではどうにもならないと思う。(他的心情我并非不理解。但是事情发展到
了这种地步我想光凭他ー个人的力量是不行的了。)

ほかに「ないものではない」「ないわけではない」「ないわけにはいかない」「な
いとも限らない」「ないではすまない」などもよく使われる二重否定の表現であ

14 日语综合教程第六册

る。二重否定は、文法上では断定を避けるための婉曲表現と理解されているが、
意味上では肯定とほぼ同様だが、やや消極的な感じがする。

❶ どうしてもということでしたら、お引き受けしないものでもありません。(如
果一定要我接受的话,那也不是不能考虑。)

❷ 今日は暑くないわけではないけれど、昨日よりはずっと涼しい。(今天不是不
热,不过比昨天要凉快多了。)

❸ あまりやりたくないけど、君に頼まれた以上、やらないわけにはいかない
ね。(我不太想做。不过,既然是你托办的事,就不能不做了呀。)

❹ 雨が降らないとも限らないから、傘を持っていこう。(不一定不下雨,还是带
把伞去吧。)

❺ 中国は人口規模、国土面積からみて紛れもなく大国である。巨大な人口と国
土はそれ自体が国際社会に影響を与えずにはおかない。(中国无论从人口规
模、还是国土面积来看无疑是ー个大国。众多的人口和广阔的国土本身就会对
国际社会带来影响。)

❻ 今までつらい目に会わされた分、仕返ししないではすまない。でも、何もい
ますぐ彼らと争うには及ばない。君子が仇を討とうとすれば、十年苦労して
もその目的を果たすというではないか。(迄今我们所受到的屈辱一定要让他们
偿还。不过,何必现在就和他们拼命?君子报/九十年不晚呢。)

❼ たくさんの子供たちの世話をして暮らしていたためか、気さくで、明るく、
誰でも好きにならずにいられないタイプの人だった。(也许是因为要照看很多
孩子并和他们ー起生活的缘故吧,她的性格爽快开朗,是属于人见人爱那种类
型的人。)

❽ いまさら相談役を呼んだりしても何の意味もありません。本当は、何故鬱病
になったのか、その理由を細かく分析しないといけません。(事已至此请专家
商量等都是无意义的了。本来需要做的就是具体地分析一下得精神忧郁症的原
因。)

上^! ならぬ 非,不是 i

連語である。判断を表す助動詞「なり」の未然形に、否定を表す助動詞「ぬ」
をつけたもので、「•••ではない」の意味。

❶ そんなわけで山崎正和氏は日本人を海洋民族なら也海岸民族だと評してい
る。(因为这个原因山崎正和没有把日本人称为海洋民族,而称之为海岸民族。)

❷ あなたは記憶が間違っているだろう。あの川で釣ったのはふなならぬやまめ
に違いない。(是你记错了吧。在那条河里钓着的肯定不是鲫鱼是真缚鱼。)

❸ これは神ならぬ身の知る由もないことだ。もう真相の究明を止めなさい。(这

第1課 「まあまあ」にみる日本人の心 15

件事只有天才晓得。不要再追究其真相了。)
❹ 長いこと苦楽を共にしたのはきみならぬ和子だ。和子こそ信用できる人だ。

(长期以来和我同甘共苦的不是你是和子。和子オ是我可以信赖的人。)
❺ 僕が大学時代に学習の場所としてよく利用したのは図書館ならぬカフェバー

であった。(大学时代我经常利用的学习场所不是图书馆而是咖啡馆。)

〜にしく"前よない莫 !

「しく」は「如く」「若く」とも書く。距離を隔てたものの後を追って対等に
並ぶ意。類似的な表現には「及ぶ」「肩を並べる」「匹敵する」がある。「〜にし
くはない」は慣用的な言い方で、「〜に及ぶものはない」「〜に匹敵するものは
ない」意。「しく」は打消しを伴って用いられることが多い。

〇 欲を出せばきりのない話だ。この島で結構。ここで安んじて暮らすにしくは
ない。(欲望是无止境的。这个岛不错,没有比安心在这儿生活更好的了 。)

❷ 何度も聞くより、一度実際に自分の目で見る方がまさる。いわゆる「百聞は
一見に如かず」だ。(自己看一遍胜过听千遍。所谓百闻不如一见嘛。)

❸ 子供をひとりしか持っていない親にとっては子にしく宝はないから、何でも満
足させてあげるのもむりはないだろう。(对于只有1个孩子的家长来说没有比孩
子更宝贵的了,所以他们愿意满足孩子们的一切愿望。这种心情可以理解。)

❹ 問題を解決する最もよい方法は軍隊を撤退するにしくはない。(解决问题的最
好办法莫过于撤军。)

❺ 苦しみを軽くするものは酒にしくものはない。あなたはこんなに飲んでいる
んだから何か悩みでもあるのだろう。(消愁,莫过于酒。你这样喝酒莫不是有
什么忧愁吧。)

ん心〜とはいえ虽然…但是… I

体言や文を受ける。結果が、前の事実から予想されることとちょっとくい違
うという意味を表すときに使う表現である。「〜とはいいながら」「〜とはいう
ものの」「〜とは言っても」に言い換えられる。書き言葉的。

❶ 近いとはいえ歩いて30分はたっぷりかかる。(说是彳艮近,可走着去足足要花
30分钟。)

❷ 古新聞とはいえ、使いようによっては、何かの役に立つだろう。(虽说是旧报
纸,可使用得当不是还能起作用嘛。)

❸ 子供が生まれた喜びはたとえようもない。とはいえ、家族を養う責任もいつ
そう強く感じる。(孩子诞生的喜悦是无法形容的。但同时也感到养家糊口的
责任更重了。)

16日语综合教程第六册

❹ こうした若い人たちのマナーは、外国からの影響があるとはいえ、何といつ
ても日本社会の中で作られたものであるだけに、基本的には日本のシステム
との調和が見られるのである。(虽说这些年轻人的礼仪受到外国的影响,但是
不管怎么说这是在日本社会养成的ネし仪,所以基本上还是和日本社会体系相和
谐的。)

❺ 水野さんのご病名はさっき初めて知りました。こんな甘いもの、召し上がれ
ないかもしれないというのに.... 買ってきてしまいました。知らなかったと
はいえ、申し訳ありません。日持ちするお菓子です。お客さんのもてなしに
でもお使いください。((水野先生)您的病我刚知道。我带了甜食来了,您大概
不能吃的。虽说不知不为过,可还是要向您说声对不起。这点心能放些日子,
您可以用它来招待客人。)

カ〉~つつー边---- 边…;虽然,尽管 . . . ^ ......
球神气 ................... .............................. . .... ....... ............ .
•ノ

「つつ」は文語接続助詞で、動詞「ます」の連用形を受け、古文では「繰り返

し〜ては」の意が主である。さらに、「Aという状態においてBをする」、また
は「Aであるけれども、それに相反するBをする。」の意を表す。前者は「Aな
がらB」と置き換え可能であるけど、少し硬い表現になる。後者は「つつも」の
言い方もあり、「も」のない用法より逆接の意味が強くなる。

〇 さすが一芸に秀でた名人のことばである。これは将棋に限らず人生全般につ
いて言えることではないか。と、そう思いっつ、わたしはこうした確信こそ、
紛れもなく日本的な信条であることに気づいたのだった。(真不愧是个有一技
之长的名人说的话。这不仅仅限于象棋,不是也可以用来表示整个人生吗?我
这么思考着,同时也发现这种坚信就是日本人特有的信条。)

❷ オリンピックへの夢を抱き22、彼女は一生懸命に練習をしている。(怀着对
奥林匹克的憧憬,她拼命地练习着。)

0 彼の言い訳を信じコ2五、疑いの気持ちも消えなかった。(我虽然相信了他的
解释,但怀疑也并没有消失。)

❹ 新しい恋人と付き合レ、っつも、まだ前の彼女と未練がましく別れられずにい
た。(他有了新的恋人,却仍然和以前的女朋友藕断丝连难以分手。)

❺ 人類学者の伝えるこの種の報告には、一つ一つわれわれの胸をうつものがあ
る。われわれは、こうした「幸福な」社会に戻り得ないと知り22、憧れを
抱くしかないかのようである。(人类学家的报告中有不少打动我们的地方。我
们似乎只能是明知道不可能再回到这样的“幸福”社会中去,却仍然抱有憧憬。)

〜を前に(して)面对;…临近 I

名詞につく。「ある物事、ある人、ある場所に直面して」という意味に使われ
る。時間的関係を表す場合は「〜を控えて」と言い換えられる。

第1課 「まあまあ」にみる日本人の心 17

❶ 日本人に愛好される俳人一茶は、死を前にして、こんな句を残した。(日本人
喜爱的俳句诗人一茶在生命的最后一刻留下了这样的诗句 。)

❷ 病気の孫を前にして、その老人は代われるものなら代わってやりたいと言っ
た。(面对生病的孙子,那位老人说,如果可以替代的话我愿意代他生病。)

❸ 試験を前にしても、やはりパソコンゲームに夢中になっていて本当に困った
子だ。(考试即将来临,可这孩子仍然沉溺于电脑游戏,真让人头疼。)

❹ 大自然を前にして、我々人間がいかに非力で弱い存在であるか、つくづく感
じさせられた。(面对大自然我们深深感到人类是多么的无能和脆弱。)

❺ 動かぬ事実を前にして、彼はすべてを白状したc (在铁的事实面前他坦白了一
切。)

表現の学習

上こ〉判断を表す表現

日本語の中で文末が重要な役割を果たしている。そしてこれもわれわれ外国
人には使いこなすのがたいへんなところである。ここでは主に判断を表す表現
をまとめ、以下には婉曲的判断か確信かという二つの機能別に例文を並べるこ
とにする。

/.婉曲的判断(非断定)

婉曲的表現とは自分の意見を控えめに主張するのに用いる表現である 。相手
が自分と異なる意見を持っている、相手にとって同意しにくい内容を持ち出す
場合によく使われる表現である。

〇 日本語の中で、一番便利なことばは、「まあ」という慣用語であろう。(日语
中最方便的词要算是“まあ”这个常用词了。)

❷ そうした太古の記憶が懐かしいイメージとなってあの「日本三景」に結晶し
ているのではなかろうか。(也许是那个太古时代的记忆留下了令人怀念的印
象,于是形成了 “日本三景”。)

❸ まさしくそのとおりだと思う。では、なぜそうだったのか。日本という島が
あまりに住み心地よかったからではあるまいか。(我以为确实如此。那么,为
什么会那样的呢?恐怕是由于日本这个海岛实在是令人住得太舒服的缘故吧。)

❹ 僕は、両親が石川県出身ということもあり、子供の頃からよく金沢を訪れて
いたので、ここが第二の故郷のように思っている。(我的父母出身在石川县。
也许这也是原因之一,打孩提时代起我就经常来金泽,这儿就像是我的第二故
乡〇)

❸ 一人暮らしはぼけては困る。以後私はできるだけひとりで問答をすることに

18日语综合教程第六册

した。それだけではなお不十分であるように思われるので、さらに歌を歌う
ようにした。なるべく忘れかけている昔の歌だ。(我想一个人过日子如果脑子
糊涂就麻烦了。以后要尽可能地ー个人自问自答。但又觉得好像光这么做还是
不够,于是我就唱歌,尽可能唱一些已经开始忘却的老歌。)

まとめ

「だろう」は話し手の考えを断定しない(非断定)で述べるときに使う。ただ
し、「だろう」がこの用法で用いられるのは主に書きことばにおいてであり、話
しことばでよく使われる「だろう」は確認の用法である。「向こうに赤い屋根の
家が見えるだろう。あれが美術館だよ。」の「だろう」は確認の用法である。

「だろう」に似た働きをする表現に、「と思う-と思われる"と思える-よう
に思う・ように思われる・ように思える・のではないか・のではないだろうか・
のではなかろうか」などがある。

「と思う」は話しことば•書きことばの両方で使われる。ただし、話し手の個
人的、主観的な考えを明示するための表現なので、客観的な情報を示す必要が
ある場合や論文などには適さない。

「だろう(と思う)•のではないか•のではないだろうか(のではないかと思
う)」の順により控えめな表現になる。いうまでもなく「ように思われる」も「よ
うに思う」より主張を弱めて言っている。

2.確信を表す表現

確信を表す表現とは、強く確信していることを表す表現である。この種の表
現には「に違いない」「はずだ」「に決まっている」「はずがない」「っこない」な
どがあげられる。

❶ おそらく中国の「瀟湘八景」とか「西湖十景」などにならって、室町期か江
戸時代にだれがいうともなく人の口にのぼるようになったものに違いない。
(也许是模仿中国的“潇湘八景” “西湖十景”,在室町时期或江户时代也不知
出于何人之ロ,人们就这么说了起来。)

❷ 大洋を漂流する彼らが、ただひたすら求め続けるのは島影だった。そして波
を避け島に上陸することのできる入り江だったはずである。(他们在大海上漂
泊,苦苦寻找着岛屿的影子。而且寻找的一定是可以避开风浪上岛的峡湾。)

❸「誘拐」というのは、字を見てわかるように、「おいしいものをあげるからお
いで」などと言って騙して、連れて行くことだ。相手はまず子供に決まって
いる〇 (“诱拐”这个词从字面就可以知道是说“给你好吃的,你来吧。”就这样
把人骗走了。所以,对象不用说一定是孩子。)

❹ 普通のサラリーマンがこんな車を持っているはず(わけ)がない。家族を養
うのにも精一杯で、そんな余裕がない。(普通的公司职员不可能有这么好的
车。光养家糊口就已经很费劲了,根本没有这个经济实カ 。)

第1課 「まあまあ」にみる日本人の心 19

❺ 冗談じゃないよ。こんな厚い本、一晩で読めっこない。(不是开玩笑吧。这
么厚的书ー晚上根本就看不完。)

まとめ

「はずだ」と「に違いない」は意味的にはよく似ているが、「はずだ」は論理
や既存知識に基づいた確信を示すのが基本である。「に違いない」は直感的な確
信も表すことができる。そのため「日曜だから先生は休みのはずなのに、研究
室の明かりがついている」のような、思考の結果の確信と現実が食い違ってい
る場合や、「信子さんは法学部出身だから、道理で法律に詳しいはずだ」のよう
な、以前から知っていた事実や背景を踏まえた納得という場合には 「はずだ」し
か使えない。「彼を一目見て親切な人に違いないと思った」のような主観的な思
い込みというニュアンスを帯びる場合には、「に違いない」を使うほうが適切で
ある。また、「はずだ」は話しことばと書きことばの両方で使われるのに対して、
「に違いない」は日常会話では使いにくく、「きっと〜と思います」などの表現
を用いる。

一方、「はずがない」と「わけがない」は、両者は多くの場合言い換え可能で
あるが、「はず」は論理的根拠に基づいているというニュアンスが強いので、特
に根拠なくその事柄の実現を否定するような場合は「わけがない」が自然であ
る。

「わけがない」と大変似た意味を表す表現に「っこない」がある。くだけた話
し言葉でよく使われる。最後に「に相違ない」と「に決まっている」であるが、
両者とも「に違いない」とほぼ同じ意味を表すが、前者はやや古めかしい書き
ことばで、硬い文章で使われるが、後者は話しことば的で、主に日常会話で使
われる。

q語や語句の構成 !

/.〜あてる
「探し当てる•言い当てる•嗅ぎ当てる•推し当てる 」など、探し見つけたり

正しく推測したりする意味を表す。

❶ 書いてもらった地図を頼りに1時間もかけてやっと田中さんの家を探し当て
た。(靠着给我画的地图,花了1个小时オ找到了田中的家。)

❷ 母が買ってくれたお弁当には私が一番好きなうなぎの蒲焼があると嗅ぎ当て
え。(我闻出来了,母亲给我买的盒饭里有我最喜欢的烤鳗鱼 。)

0 五つの質問の答えを全部うまく言い当てたので先生からご褒美をいただい
た。(5道题的答案我都说对了,因此得到了老师的奖励 。)

❹ いろいろ話し合っているうちに彼女の本当の気持ちを探り当てた。(在交谈中
我摸淸了她的真实想法。)

20日语综合教程第六册

❺ また急に停電した。闇の中手さぐりで用意しておいた蠟燭を探り当て、火を
つけた。(又突然停电了。我在黑暗中摸到了早就准备好的蜡烛,点了起来 。)

裸百

ー、次の漢字にふりがなをつけなさい。

桂浜 江戸時代 室町 須磨 景勝地 宮城県 伊勢 象潟
宥める 暗黙 明石 内海
岩手 天ノ橋立 挿入 厳密 入り江 小舟 妥協 島影
北欧人 運行 信条 湿潤
歌枕 •同工異曲 荒海 島々

結晶 二見ヶ浦 列島 温暖

二、 次の文の下線部の片仮名を漢字になおしなさい。

/.超音波検査で胃にイジョウが認められた。

2. 運動会はカイセイに恵まれて順調に行われた。
3. 金めでものを考えてばかりいては、独創的なアイディアは浮かばない。
4. 野党は、地下鉄火事で夥しい死者が出た事件について政府の責任をツイキュウ

した。

5. サカマく波を乗り越えて、やっと島にたどり着いた。
6. ワールドカップをセイハするのが夢だった。

/サンミャクが南から北へ走り、日本を日本海側と太平洋側に分けている。

8. どこかにある落とし穴にアザムかれないように、うんと考えている。
9. 太古の記憶をカンビな思い出として胸に抱く。
W,子供のころは、ひとりで学校に行けないほどオクビョウだった。

三、 次の質問に口頭で答えなさい。

ん「まあまあ」(「まあ」)ということばはどのような時に、どのような場面で使われて
いるか。例に挙げられた「まあまあ」の意味用法について他の語で置き換えてみ

よう。
2「こんなふうに『まあ』はさまざまな形で使われ、しかも、その間に微妙な意味

の濃淡がある」とあるが、「微妙な意味の濃淡」とはどういう意味なのか。

3. 日本三景に共通した特徴をまとめて言おう。
4. 日本人がその景観を好む理由はなんだろう。
5. 「まあまあ」という日本語の裏に隠されている日本人の精神の構えはどんなもの

だと述べられているか、本文によく出てくるキーワードを使ってまとめよう。

6. (P3-26)「この島で結構。••・望まなかったのである。」という言い方は日本人の

ことを美化しているように思われる。これについて話しなさい。

第1課 「まあまあ」にみる日本人の心 21

7.「日本人は本質的に争いを好まず、自然の運行のようにすべてがうまくいくのを
期待し、確信している」とあるが、これについてあなたはどう思うか。あなたの
知っている日本人について話し合おう。

3「まあまあ主義」の人生哲学について話し合おう。

四、 次の文の下線部の意味を説明した上で、全文を中国語に訳しなさい。

/・日本人の間で暗黙のうちに了解されているC

2. いやおうなく相手との食い違いが出てくる。
3. わたしは意表をつかれ、思わず、「え、それはまた、どういうわけです」と尋ね

た。
4. 「日本三景」はこのような日本人の気質をなによりも正直に語っている。
5快晴というわけではないが、さりとて雨が降るほど悪くもない。

6. まあまあ、そいつはとんだ災難だったねえC
7. その飛行物体は、青空の雲の間に、どこからともなく現れた。

五、 文頭にあげた言葉の用法として、次の文の下線部ではどのように使われているか。
意味あるいはその用法を説明しなさい。
1.という

① 妙にうまく行き過ぎるというのは、どこかに落とし穴があるからだ。
② では、なぜそうだったのか。日本という島があまりに住み心地よかったから

ではあるまいか。
③ 期待を実際以下に設定し直しなさい。そうすればなんとか満足が得られます

よ、という人生哲学だといってもよいC
④ 「そいつは、まあ、なんだな... 」という時の「まあ」は、いわば語句の間に

挿入される間投詞とみてよかろうが……
⑤ 健康のために通勤途中でー駅歩くという人は案外多い。
⑥ 不況は優良企業にも及んだ。これまでアメリカで売り上げを伸ばしてきた卜

ヨタ、本田技研、ソニーといった企業も、アメリカの株の下落により成長戦
略の見直しを迫られている。

2思い
① おそらくは日本民族が体験した太古の記憶が無意識のうちにこのような景色
をこのうえなく美しく、懐かしい思ビに誘うに違いない。
② あらゆる存在に対する不信の财に耐えられない自己を持て余していたこと
もある。
③ 汗と埃にまみれて熊本市の焼跡を走りながら私の心は締めつけられる思いで
あった。
④ 恋愛に憧れるのは、いまの時代に始まったことではなく、いつの世でも変わ

22 日语综合教程第六册

らぬ思いであるようだ。

3.ということだ

① やきもちをやくということは、まだあなたは彼を愛しているということよ。
② 私がまず日本人について言いたいことは、日本人は心理・考え方の面でほか

の民族とはあまりに違っていて、しかも、昔からすこしも変わっていないと
いうことだ。
③ この英文の意味は「ここではタバコを吸ってはいけない」ということだ。
④ 日照り続きで、今年もまた水不足になる可能性が高いということだ。
⑤ ヨーロッパはまだキリスト教とかユダヤの考えとかギリシア文明とかいった
ものが根底にあるということで、一つのまとまりがあるけれども、アジアの
場合はほんとうにばらばらで一つにく くることができない。•

六、次の語群から最も適切な言葉を選んで( )に入れなさい。必要な場合は適当
な活用形にすること。

ア否応なく イ誘う ウ見合う ェ肥大する
才妙に 力とうてい キ微妙に クなんとも
ケ性格 コ折に触れて サあからさま シ紛れもなく

I. 今までの経験からして( )彼を信用することはできない。

2中国は人口規模、国土面積からみて( )大国である。しかし、中国が経

済大国であるというのは明らかに過大な評価である。

3. 20年ぶりに再会した先生は70歳を過ぎていた。ゆっくりした足取りで歩いて

こられた姿を見ると、過ぎ去った歳月の長さを( )意識させられた。

4. あんなに( )な態度をとったら、誰だって君が彼を嫌っていることがわ

かる。

5. きちんとした生活をしろと( )注意してはいるんだが、なかなか改めよ

うとしない。

6. 問題を解決する前提として、まず問題の( )をよく見極める必要がある

ということだ。

7. 町は( )静まり返っていて不気味な感じがした。

8. 新しい時代を生きていく子供たちには、それに( )教育制度が必要だ。

9. わたしの意見と彼の意見は似ているが( )違う。

10.彼の、ふだん見せたこともないあわてた様子が、仲間の笑いを( )〇

II. いい年をした男が3人で暮らすという、( )妙なことになった。

12.独りでいる時間が長くなりすぎると、妄想と錯覚が( )やすいので要注

第1課 「まあまあ」にみる日本人の心23

七、文の完成

ん括弧の中の言葉を使って、そして語群から最も適当な二重否定の表現を選んで次
の文を完成させなさい。必要な場合は適当な活用形にして入れなさい。

ないものではない ないではすまない ないわけにはいかない
ないとは限らない ないではいられない ずにはおかない
ないわけではない ないでもない ないことはない
ないといけない

① 実際にはもう彼を支店長に任命することに決まっていたが、形式上は一応取締

役会の承認を。(得る)

② 友達に旅行に誘われて、が、すぐに返事しないで、いろい

ろ考えているうちに時間がたってしまった。(行きたい)

③ 最近、ニコチンやタールの量を極力抑えたタバコが次々に売り出されている。

だが、これだって吸いすぎれば害に だろう。(なる)

④ もうすこし条件をよくしてくれれば、あの会社で。(働く)

⑤ 彼は進学の決意は が、受かるかどうかは問題だ。(ある)

⑥ 野党は今度のスキャンダルを利用して与党を だろう。(攻撃

する)

⑦ 早く病院に連れて ね。医者の診断がなければ、治療の方法

も立てられないから。(行く)

⑧ むろん皇太子の離婚は、制度上は可能であるが、現実的な話ではない。でも事

態の深刻さにより、まったく よ。(ある)

⑨ もうこのように旧家の嫁になっている以上、その家のしきたりに

だろう。我慢するしかないわ。(馴染める)

⑩ この前新居に引つ越したときにいろいろお祝いをもらったんだから、お誕生日

のお祝いとして何かを だろう。(あげる)

2.次の語群から最も適当な言葉を選び、に入れて文を完成させ

なさい。•ただし、一つの言葉を必ず1回使うこと。

かもしれない おそれがある のであろう
にちがいない ように思える のではなかろうか

一①般論を言えば 、生徒の人気と先生の年齢は残念ながら大変相関関係があ

る。若い先生の場合、多少年齢が生徒に近い分だけ身にまとっている同世代感

や、若さの発するパワーやオーラが生徒をひきつける 〇そ

して、大事なことはこのパワーやオーラは、生徒のやる気や学習意欲と深い関

24 日语综合教程第六册

係がある のだ。

② 知ることが余りにも多いため、知ろうとする努力に追いまくられて、深く考え

ないという習慣に陥ってしまう 〇

③ 論理のない世界に遊ぶということは外国人にとっては一つの芸当とみえる——

〇日本人にとっては、それは序列のきびしい生活における神経

の疲れを癒すという重要な精神衛生に貢献しているー—―„〇しかし、こ

の論理のない世界というものを、そうした習慣を共有しない人たちに説明する

ことは実に難しい。日本人、日本の社会、日本の文化というものが、外国人に

理解できにくい性質をもち、国際性がないのは、実は、こうしたところに原因

がある と思われる。

ハ、括弧の中の言葉を使って次の中国語を日本語に訳しなさい。
1.“您的意思是说考上东大的可能性一点儿没有吗?" “那倒也不是完全没有。

只是我想除非非常努力,否则不可能考上。"(二重否定/よほど)

2对抗敌人的办法有很多。但是敌人太过强大的时候最好的办法是避开。所谓三
十六计走为上计说的就是这个意思。(敵に対抗する/にしく)

3. 我躺在床上也没打算睡,却不知什么时候睡着了。醒来时已经是半夜2点多了。

(ともなしに)

4, 日本的金融开始空洞化。国外的金融机构撤离或者缩小了其在日本的基地,本

该在日本做的交易也被转移到了纽约、伦敦、新加坡等地,在日本做的只是那些
在欧美无法做的买卖。(空洞化する/拠点を引き上げる/しかるべき/取弓I)

5. 我现在上班的公司工资就不谈了,工作很累人。我最近常在想,从各方面来

看我是不是不适合做现在的工作呢?(•••はともかく)

6. 在日常生活中,面对困难多亏了亲人和朋友的鼓励我们オ没有胆怯。因为有了

这个武器,尽管人生道路上充满了坎坷,我们仍能欣然渡过 。(を前に/臆病/
〜ずにすむZ峠)

/我不求对我的评价会很高,只要符合实际工作情况就行。当然有时连我自己都
觉得在做无谓的努力,不过就是还不想放弃。(評価する/見合う/ように思
う)

第1課 「まあまあ」にみる日本人の心25

8.虽说两国制度各不相同,但是在友好相处中求得各自的发展这一点上想法是完

全一致的。(を異にする/とはいえ)

9.明知道父亲的病已经没治了,可我还是愿意相信奇迹会发生。(つつ)

"•他大概没有写回信吧。看上去就不是那种会写回信的人。不,当然写了。可是
信在路上给丢了,这种可能性也不是不存在。(行方不明になる/ないではない)

九、言葉の決まり

/.次の①〜⑤の文の( )の中にはどんな言葉を入れたらよいか、それぞれの
ァ〜エのうちから最も適当なものを一つずつ選び、記号で答えなさい。

①この問題も解決の( )がついた。

ア見とおし イ きざし ウあかつき 工いきさっ

②気のあったどうしなので話も( )〇
ウとぶ
アとぎれる イ おどる エはずむ

③ かれに( )仕事はなかなか見当たらない。

アよんどころないイ うってつけの ウとっておきの ェふにおちない

④森林浴は自然に浸り、都会生活で疲れた体と心を自然に( )憩う楽しみ

だ。

ァまかせて イ 入れて ウゆだねて エ預けて

.⑤あの人は時間に( )な人だ。

ア明確 イ 精確 ウ確実 工正確

2左側と右側の語句を比べると意味の似通ったものがある 。〔 〕内にその相当
番号を書き入れなさい。

ア泣き面に蜂 〔〕 ①ないよりましだ

イ身から出たさび 〔〕 ②じゃまなもの

ウ目の上のたんこぶ 〔〕 ③弱り目に祟り目

エ枯れ木も山のにぎわい〔 〕 ④自業自得

ォちょうちんにつり鐘 〔〕 ⑤月とすっぽん

3.次の下線部の語は、後のどの部分を修飾しているか、答えなさい。

① いまだに、昼になったから食事をしなければならぬとか、夜になったから寝な
ければならぬとか、そうした強迫感がまったくない。

② およ王人間としてこの世に生を受けて、富と名声を求めないなどという者はい
ないだろう。

③ 彼らはおそらくこの私以上に子供に新品の自転車を買い与える余裕のない父親
や母親にちがいない。

26 日语综合教程第六册

④ 彼は、背の高い、松の木の上にまで突き出るほどにそそり立った塔の先端を見
やった。

⑤ その屍骸は呉土をこねて造った人形のように口を開いたり手を伸ばしたりし
て、ごろごろ床の上に転がっていた。

十、次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。

ドイツの哲学者ハイデッガーは、人間は日常①「ひと」の立場に立っていると言っ
ています。「ひと」の立場とは、自分自身の本来の立場を見失って、ただ「ひとがす
るから、自分もする」、「ひとがそう考えるから、自分もそう考える」というように、
極めて簡単に②付和雷同的な態度を取る立場です。この場合「ひと」とは決して特定

の人を指すのではありません。それは世間一般であり、ただ一般に世の中の人々の
ことです。つまり「ひと」の立場に立つということは、自分自身の確固たる考えを
持たず、世間一般の考えに訳もなく同調し、世人のするのと同様の行動を行う立場
です。自分自身が平均的な世人一般の立場に埋没してしまう立場です。

このように我々が「ひと」の立場に陥りやすいことは、ハイデッガーも言うよう
に、流行とか好奇心というような現象を見れば 、更にいっそうよく納得③されるで
しょう。④流行とは誠に不思議なものです。流行に従わねばならない理由はもとより

少しも存在しません。しかしそれにもかかわらず、世人は、ただそれが流行である
からという理由で、流行を追います。それは「ひと」がするから自分もする、とい
うことにほかなりません。しかも⑤この流行という現象は現代は特に著しいのではな

いでしょうか。
⑥ 好奇心というのも本質的に流行と同じ現象だと言えましょう。それは、自らは単

なる「ひと」の立場に立って新奇なものを追い求め、それに全く⑦末梢的な興味を抱

くという態度です。自分自身で確固たる考えもなく、ただ世人とともに動き、つま
らないことを知ることに関心を抱くのです。それは⑧やじ馬根性であり、やじ馬とは

自己を見失った「ひと」の立場に立つ群衆であるということができます。
人間は誰でも好奇心を持っています。しかしこの好奇心という現象も、近頃はい

よいよその度を増していると言えましょう。個人のプライバシーに関するようなう
わさ話が週刊誌などで次から次へと取り上げられ⑨いやが上にも人々の好奇心を誘い

ます。人々はそうしたうわさ話などに興味を持って、「考える」ことを忘れた「ひと」
の立場に追いやられてゆきます。

このように現代、流行とか好奇心という現象がいよいよその度を加えているとい
うことも、情報時代ということと無関係ではないと言えるでしょう。マスコミの発
達によって流行はたちまち全世界に広がり、うわさ話も広まってゆきます。そして
これによって我々は(ア)流行に対する関心を駆り立てられ、好奇心を誘われ
て、いよいよ「ひと」の立場に陥りやすくなってゆきます。本来的な自己を見失い、
自ら「考える」ことを忘れてゆきます。

第1課 「まあまあ」にみる日本人の心 27

もとより流行とか好奇心というようなことは、極端な例かもしれません。情報時
代に我々に情報として与えられるのは、流行とかうわさ話のみではありません。そ
こには、先にも述べたとおり、科学的知識とか政治的ニュースというような、もっ
と重大な情報が伝えられます。しかしこの種の情報が(イ)重要なものであっ
ても、⑩その情報の量の増大は我々をその⑪応接にいとまなくさせる傾向を持つので

はないでしょうか。我々は情報に振り回されて、落ち着いて考える余裕を持たなく
なってしまうのではないでしょうか。「知る」ことの量の増大はかえって「考える」
ことの喪失につながる恐れがあると言わねばなりません。

dD 次の漢字の読み方を書きなさい。

世①人 ( ) ②埋没( ) ③陥る( )
) ⑥喪失( )
④末梢的 ( ) ⑤根性(

朝 下線部①「ひと」とはだれを指した言葉ですか。文中から抜き出しなさい。

d❸ 下線部②の意味を具体的に説明したことわざとして最適なものを、次の中か

ら選びなさい。

①朱に交われば赤くなる ②類は友を呼ぶ

③長いものには巻かれろ ④沈黙は金

dD 下線部③「される」の文法上の意味を次の中から選びなさい。

①受身 ②可能 ③自発

個❸ 下線部④「流行とは誠に不思議なものです。」とあるが、その理由を説明し
なさい。

(1D 下線部⑤「この流行という現象は現代は特に著しい」の理由として考えられ

ることを述べなさい。

函 下線部⑥「好奇心というのも本質的に流行と同じ現象だと言えましょう」と

あるが、どのような点において同じなのか、「自分自身で〜点で同じ」の形
で説明しなさい。

自分自身で( )点で同じ。

個❸ 下線部⑦「末梢的な興味」の内容を具体的に述べたところを文中から抜き出
しなさい。

HE)下線部⑧「やじ馬」と⑨「いやが上にも」はどういう意味で使われることば

28 日语综合教程第六册

ですか、簡潔に説明しなさい。




澗1Q ア)と(イ)に適当な副詞を入れなさい。

ア: イ:

問11 下線部⑩「その情報」とは何を指しますか。

(Eゆ 下線部⑪「応接にいとまなくさせる」とは、どのような状態を言うのですか。

また、この部分と同じことを述べた部分を文中から抜き出しなさい。
① どのような状態:
② 同じことを述べた部分:

關13 「流行」「好奇心」の説明として、本文の論旨に合うものを次の中から二つ選

びなさい。
① それらを知ることでより深く考えることができる。
② 情報時代とは無関係なものである。
③ 自分の考えを持たず、世人と一緒に動いているだけである。
④ どちらの現象も現代に特に著しく見られる。
⑤ 誰もが心の中に持っていて必ず一度は流されるものだ。

文学・語学の豆知識
漢字の音の歴史

最初、日本語は文字を持たなかったが、中国に対して、使者を送ることに
よって日本は国際的に認知され、文字も必要になった。「漢書」の記述だが、
それが4世紀末から5世紀初めにかけてであったと推測されている 。漢字の
読み方には、音読みと訓読みがある。音読みは中国で発音されていた漢字の
読み方が日本語化したもので、「呉音」と「漢音」に分かれる。訓読みは漢字
の持つ意味をそのまま日本語の読みにした読み方である 。

〈呉音〉は5、6世紀ごろ中国南方の呉という国から日本に伝わったもので
ある。仏教語に多い。ところが、589年中国の隋が南北を統一し、618年には
唐となった。当時の唐の都は長安で、中国のはるか西北にあり、いわゆる「西

第1課 「まあまあ」にみる日本人の心 29

北方言」の話されていた土地である。それが唐代の都となったので漢人の標
準語という意味で、日本で「漢音」と呼ばれるようになった。630年には遣唐
使が唐の文物を吸収して日本に帰り 「漢音」を採用することを主張した。け
れども、仏教用語は早くも日本の民間に普及し 、日常生活に溶け込んでいる
ものも多く、消せるものではなかった。結果として、仏典はほとんど従来の
呉音読みを保存し、仏典を通じて入った語も 、ほぼ呉音読みのまま日本語に
取り入れられた。一方、平安朝以降日本に入ってきた語はほぼ漢音読みと
なった。その上、漢音・呉音を混ぜて読んでいる語もある 。

たとえば、「行」という字であるが、「ぎょう」とも読めるし、「こう」とも
読める。前者は呉音で、後者は漢音である。また、「清」を見てみよう。「清」
には、「しよう」と「せい」との二通りの読み方がある。「しよう」は呉音で、
「せい」は漢音である。

[読み物

転石苔を生ぜず

•外山滋比古

じっとしていたほうがいいか。活発に動き回るのが望ましいか。時と場
合によって違うから、一概には言えない。ただ、こういうことは言えるので
はあるまいか。だいたい世の中が落ち着いて平和なときには、どっしり構え
ているのがよしとされる。やたらに動かれては、はたが迷惑するからであ
る。現状維持でいこうということになる。昨日のことは今日も続き、今日の
ことは明日もそのとおりになる。

逆に、新しいことをどんどんしていかなくてはならない社会では、みん
ながぼんやりたばこを吹かしたりしていては都合が悪い。精力的に仕事をす
る人を尊重する気風が自然に生まれる。

言葉もそういう世相や感じ方をかなり敏感に反映するものだ。それが
もっと端的に表れるのがことわざである。

転石苔を生ぜず
ということわざがある。これは明らかに英語の、

A rolling stone gathers no moss.

30 日语综合教程第六册

の訳である。英語のほうは大変有名で、一箇所に長く腰を落ち着けていられ
ないで、絶えず商売変えをするような人間に、成功はおぼっかない、もっと
はっきり言えば、そういう人間には金がたまらない、という意味で使われ
る。ときには、これをひとひねりして、相手を次々取り替えているような人
間の恋愛は、いつまでたっても実を結ばない、というように転用されること
もある。

このことわざは、イギリスで生まれたもので、ここのコケ(moss)とは、
金のことなり、と権威ある辞書にも出ているほどだ 。初めは、だから、住ま
いや職業を転々とするような人間に金はたまらない、の意味で使われた。比
喩的には恋愛でも似たことが言える、というところから、先のように応用さ
れるのであろう。

今から二十年くらいも前のことになるが、私は、ふとしたきっかけで、ア
メリカ人がこのことわざを〃誤解〃しているのではないか、ということに気
づいた。

どういうふうにアメリカ人がこれを考えるかというと、まるで、逆にとつ
ているらしいのだ。

つまり、優秀な人間なら引く手あまた。席の暖まるいとまもなく動き回
る。あるいは、じっとしていたくても、そうはさせてくれない。スカウトさ
れてAの会社へ行ったかと思うと、また、すぐ別のB企業へ引き抜かれる。
こういう人はいつもぴかぴか輝いている。コケのような汚いものが付着する
暇もない。あかやさびのようなものはこすり落とされてしまう。アメリカ人
の多くが、それが、〃転がる石はコケをつけない〃の意味だと思っているら
しい、ということがわかったのである。

同じ英語国どうしでありながらこういう〃誤解〃のあることを大変おもし
ろいと思ったので、私は、そのころ編集していた英文学雑誌の編集後記に、
ローリング・ストーンのことわざにはアメリカの新解釈が表れているようだ
と書いた。

それを書いた後、いったいどうして、そういう違った解釈が生まれたの
だろうか、を考えた。たまたま、そのころ読んでいたアメリカ文化論に、祖
父の住んでいた所に住んでいるアメリカ人がごくわずかしかないのに、イギ
リスでは三代同じ土地に住んでいる人間がその何倍もあると書いてあったの
がヒントになるのではないかと考えた 。

つまり、アメリカは流動社会であるのに、イギリスは定着社会である、と
いうことだ。アメリカでは人間の移動は肯定されている。なるべく動いたほ
うがいいと考えられている。他方のイギリスでは石の上にも三年式に、なる
べくなら同じ所にじっとしているのがよいと考えられる。伝統を重んじるか
らである。歴史の浅いアメリカには重んじたくても、伝統がない。

第1課 「まあまあ」にみる日本人の心 31

住まいについても、転居ということを気楽にするか、なかなかしないか
が、アメリカとイギリスでは大きく違う。職業についても同じで、次々に勤
めを変えるのは、何か問題があるからだと考えやすいイギリスの社会に対し
て、どんどん変わるのは優秀さの証拠だと感じるアメリカでは正反対にな
る。

こういう社会の背景があるから、イギリスでは否定的に解されるローリ
ング・ストーンのことわざが、アメリカではすばらしい人間を指すように思
われるのである。これによっても、ことわざの意味が絶対不動のものでない
ことが分かるだろう。それを使う人たちのものの考え方、感じ方によって、
ときとして、大きく違って見える。灰色は周りの黒い所で見れば白と見える
が、周囲が白ければ黒く見える。それと同じように相対的である。

舞台の踊り子がビーズの胴衣を着ている。それに青い光があたると、青
く見えるが、赤い光をあてると、赤く輝く。ことわざの意味もそれに似てい
る。見る人によってさまざまに解される。このごろよく言われる言葉を使う
なら、〃玉虫色〃に見える。ローリング・ストーンと言われる人間は、イギリ
ス人には風来坊に見えるのに、アメリカ人にはちょうどその反対の優秀なオ
能に見える。そして、お互いに自分の解釈を正しいと思っているのだから、
おもしろレ、。

ところで、日本人はこの〃転石 苔を生ぜず〃をどう感じているだろうか。
年輩の人には、イギリス流に、動き回るのはろくでもない人間だとする人が
多いが、年齢が若くなるにつれて、アメリカ流の解釈が増える。かつて私が
学生について調べたところによると、四十パーセントくらいがアメリカ流で
あった。今はこれがもっと多くなっているにちがいない。

戦前の日本は農村型の社会であった。土地に縛りつけられている。家に
縛りつけられていた。家や土地を離れては生きていかれない。定着が尊重さ
れる。

土地を離れることのできた次男坊、三男坊はサラリーマンとなる。これ
なら別に縛るものはないわけだが、ついこの間まで田舎にいたサラリーマン
はなお、縛られたい、じっと同じ所にいたいという気持ちが消えてはいない
のであろうか。終身雇用制を発達させたのである。ごろごろあちらこちらへ
動き回るのは、同じ所にいられなくなった流れ者である。社会はそういう人
間を信用しない。

こうして、日本もイギリスと同じように、定着社会だった間は、〃転石〃を
おもしろくないものと受け取っていたはずである 。

戦後、社会が大きく変化するとともにこれが崩れてきた。農村の人たち
が競って都会へ出ようとした。人口の流動はかってないほど激しくなってい
る。企業に勤めていると当然のことのように転勤がある。それを嫌っていて

32 日语综合教程第六册

はうだっがあがらない。内心はとにかく、外見はいかにも嬉嬉として新しい

任地へ向かう。

そういう生活をしている人に 、転がる石は金がもうからない、などとい

うことわざが歓迎されるはずはない。都合の悪いことは、お互いに忘れよう

とする。どうしても忘れられなければ無視する。

それがどちらもできなければ、都合のいいように解釈するという手がある。

現にアメリカ人がそうして新しい解釈を作り上げた。日本人だって、別にア

メリカ人から教えてもらわなくても、自主独立で、転石は能力あるがゆえに

動き回るのだ、という考え方を発明して、これを活用することができる。

それに、この場合、コケというものに対する語感もばかにならない。湿

度の多い所でないと美しいコケは生えない。我々の国は昔からコケを美しい

と思う感覚を発達させてきた。庭園を造れば苔を植える。苔寺は古来、有名

で、訪れる人が多すぎて困るほどだ。

アメリカのような乾燥した土地ではコケが育ちにくい。美しくもない。む

しろ、不潔な連想を伴うかもしれない。イギリスはコケ=金と考えるくらい

だから、コケ尊重の社会であることが分かる 。コケをおもしろいと見るかど

うかでも、転石の評価も違ってくる。

日本はもともとは、そして、今もいくらかは、コケを大切にする社会で

ある。ところが、このごろは、日本でもアメリカ的感覚が若い人たちの間に

増えてきて、コケを薄汚いものと思うようになった 。コケなどつかない転石

をよいものと感じる人たちが増えるわけだ。

それはさておき、私がアメリカにこのことわざの新しい解釈があるらし

いと気づいたころには、そういうアメリカ式の意味に解している例は文献の

上ではまだ一つも見当たらなかった。その後、注意していたら、同僚からあ

る本に、ローリング・ストーンを望ましいものと解している例があると教え

られた。私の考えが単なる推測ではなかったわけで、愉快tである。
まだ今のところ、外国の辞書にはこの新しい意味を記載したものは見当

たらないようだが、日本の英和辞典で、mossの項にこのことわざを載せて、
「(米)活動する人はいつも清新である、(英)転石コケむさず(商売を変え

てばかりいては金はたまらない。)」としているものがある。そのうちに、

もっと広く公認されるようになるであろうか。

ことわざの解釈は、ひとりひとりの考えや価値観によって決定される。日

ごろは自覚しないものの見方、感じ方をあぶり出して見せてくれる。そう考

えると、玉虫色のことわざは、ときとしてロールシャツハ・テストの代用に

なることがあることが分かる。

(『高等学校国語I』東京書籍より)

第1課 「まあまあ」にみる日本人の心 33

、注釈

❶ 外山滋比古(とやましげひこ)(1923 -)

日本愛知県に生まれた。昭和女子大学教授。英文学者、評論家。主な著書に、『修辞的残像』『近代
読者論』『日本語の論理』などがある。
❷ビーズ(beads)の胴衣 串珠背心
装飾に小さなガラス玉をつけた洋風舞台衣装の一つ。「胴衣」は、上半身につける袖のない服。
❸"玉虫色〃に見える 忽绿忽紫的颜色;暧昧不清的解释,模棱两可的解释
玉虫の羽の色のように光線のぐあいでさまざまの色に違って見える。俗に、文章などで、どうとで
も受け取れるように意識的にぼかした表現の意味で使われる。
❹ ローリング・ス---ン(rolling stone) 滚动的石头;经常变动职业的人
ここでは「転石」によってイメージされる人間のことである。
❺ 風来坊 来去不定的人;反复无常的人;浪荡子
「風来」は、風に吹き寄せられたように、どこからともなく来ること(人)。気まぐれなこと(人)。
役に立たないこと(人)。

❻ ロールシャツ八・テスト(Rorschach test) 罗夏墨迹测验

スイスの精神科医ロールシャツ八(1884 — 1922)の考案した、不定形対称を利用した性格などの
検査法。

34 日语综合教程第六册

® ノ SB

用膩木

I本文 自然との出会い

•北村昌差木上勉:

ブナ林の四季

雪国の春はブナ林の芽吹きから始まる

と言ってよい。もちろん細かく見ればブ

ナの緑に先駆けてマルバマンサクが咲き、

タムシバ(ニオイコブシ)が咲く。しかし

人の心にしみじみと春の喜びを感じさせ

てくれるのは、このブナの芽吹きであろ

う。まだ風も冷たく、根雪が林地に残っ

ブナ若葉 ているうちに、ブナの新緑はうっすらと
稜線を染める。あるかなきかのこの新緑

に、長く厳しい冬に耐えてきた雪国の人は心のときめきをおさえることがで

きない。しかし、まだはっきりと春が訪れたわけではないから、このときめ

きをあからさまにするのはもう少し待とう、そういった心境だと言えばいい

だろうか。この時こそが雪国に暮らす人々にとって最高に幸せな時なのであ

る。

やがて、だれの目にも明らかに新緑は稜線を染めながら登り、全山を緑で

覆っていく。そのころには林内の根雪もほとんど消えて 、つつじ類をはじめ、

低木類が林床を飾るのである。しかし、いつもながらの春の訪れとは言いな

がら、どうしてこうも順序を間違えず、次から次へと植物たちは動き出すの

であろうか。その移り変わりは、あたかも生きものたちの成長の姿そのもの

のようである。幼年期から少年へ、さらに青年へと成長していくように、森

林全体もまた季節とともに変化をとげていく 。天の摂理とは、まさにこのよ

うなことを言うのではなかろうか。

夏から秋にかけては実りと収穫の季節である。もっとも収穫というのは人

間をはじめ動物側のことだから、植物にとって最も生命感にあふれる時期こ

第2課自然との出会い 35


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