2放置する(ほうちする) 放置,置之不理,置之不顾
サ変動詞。承知の上で施すべき処置をしないで、そのままにしておく。また
おきっぱなしにしておくこと。文章語。
❶ 人類の宇宙開発は際限なく拡大してしまって、このまま放置すれば、地球人
類は統制のきかない、野放し状態になってしまう。(人类对宇宙的开发正在无
限制的扩大,如果放任这种现象的话,地球上的人类将失去控制,处于无政府
状态。)
❷どこの駅前にもたくさんの自転車が放置されているC警察がいくら取締って
も、その後からすぐまた放置されるので、いたちごっこの状態である。(无论
哪个车站前都有很多被丢弃的自行车。尽管警察一再管制,可是事后马上又会
出现,如此反复得不到解决。) .
❸ 裁判所で調べて分かった問題だが、この案件は未審査のまま、放置されてい
るようだ。どこで手違いが生じたものか。(在法院作调查时オ发现,这起案件
一直被搁置在ー边未作审查。究竟是什么地方出了差错?)
❹ 会社が倒産して、実験用に飼っていた20匹もの犬や猫が放置されたことが
元社員の告発でわかった。(原公司的职エ告发说,由于公司倒闭,对那20只
用来做实验的狗和猫置之不顾。)
3ほったらかす弃置不顾,丢下不管
動詞。かまわないで、そのままにしておく。ほうっておくこと。また、「ほっ
たらかし」という名詞の用法もあるが、「ほったらかしにする」という形でも使
われる。
❶ 生まれたばかりの乳飲み子をほったらかして、マージャンに熱中する母親が
いるそうだが、ほんとにどういう神経をしているのか分からない。(听说有
的母亲把刚生下来还在吃奶的婴儿扔在ー边,自己却沉迷于打麻将。真不知道
这种人是怎么想的。)
❷ 大事な卒論をほったらかして遊んでばかりいて、君はいったい卒業する気は
あるのか。(把重要的毕业论文扔在ー边,只顾自己玩,你到底还想不想毕
业?)
❸ 森林というものは、ほったらかしにしておけば、自然に大きくなるというも
のではけっしてない。(森林绝不是那种放任不管也能自然长大的东西 。)
❹家族はその人を病院に入れたままほったらかしにしているC医者や看護婦
も、もし放置したら、たぶんその患者は死ぬだろう。(家人把他送到医院后便
丢下不管了,如果连医生和护士也置之不理的话,恐怕这个病人就死了。)
まとめ
そのままにしておくという意味では三語共通しているが、「置き去り」はだれ
か1人、あるいは少数の人をあとに残して置いて、先に行ってしまうという意
286 日语综合教程第五册
味で、人や動物には使うが、事柄には用いない。「放置する」は、物や事態を整
理したり、収拾したりすることをせず、その状態のままでほうっておくという
意味で用いられる。「ほったらかし」は、やらなければならないことや義務づけ
られている事柄を捨てておいて顧みないことを言い、具体的な行為について用
いるのが普通である。
匕三》けたたましい・甲高い・声高だ ー !
/・けたたましい 喧嚣,嘈杂;尖锐,大声
形容詞。突然するどく高い音や声がひびいて、今までの静けさを破り、驚か
される様子を表す。
❶ 夜、家で書き物に没頭していたら、突然けたたましい叫び声に驚かされた。
(晚上,我在家里埋头写东西,突然响起一阵尖叫声,把我吓了一跳。)
❷ 夕食のあと、みんなリビングでテレビを見ていたら、急にけたたましく地震
警報が鳴り出した。(晚饭后,正当大家在客厅里看电视时,突然响起了尖锐的
地震警报声。)
❸ 夜明け前の静けさの中で彼女の悲鳴は、まるで目覚しのようにけたたましく
響き渡った。(她那尖锐的哀叫声,就像闹钟声似的,打破了黎明前的寂静。)
❹ 兄と弟とが闇の中でけたたましく呼び交わしているそのありさまは、まるで
宝の山でも探し当てたかと思うほどだった。(哥弟俩在黑暗中用尖锐的嗓门相
互呼唤着,那样子仿佛是发现了什么宝藏似的。)
2.甲高い(かんだかい) 尖锐,高亢
形容詞。子供や女性などの声の調子が高いことを表す。不快感のある高さの
声を表す。
❶ さすがに女子のクラスは賑やかだ。昼休みともなると彼女らの甲高い声が隣
の部屋にいても響いてくる。(女孩子的班级就是热闹,一到中午休息时,即使
在隔壁的房间里也能听到她们尖锐的嗓门 。)
❷ 啜り泣きのような歌声が次第に女の里宣じ声となり、こちらの山間へと広が
る少数民族の心の交流の方法であるそうだ。(啜泣般的歌声渐渐地变为尖嗓门
的女人的声音,一直传到我们这边的山间 。听说这是少数民族的ー种情感交流
的方法。)
佃 彼女のあの里毫ビ声、私はいつも耳についてイライラしてしまう。これは自
分だけのことかと思っていたが、友人に聞くとその人も彼女の声にはイライ
ラさせられるという。(她的声音彳艮高,我每次听到就会感到烦躁。原以为这是
我1个人的感受,后来问了问其他朋友,他也说听到她的声音会感到烦躁不
安。)
第io課屋根の上のサワン287
❹ 彼は夜中にふと、父と母との言い争う声に目を覚まされた。甲高い母の声
は泣いているようだった。(半夜里他突然被父母的吵架声惊醒。母亲的嗓门很
高,似乎在哭泣。)
3.声高だ(こわだかだ)嗓门大,大声,高声
形容動詞。声が高くて大きいさま。声を大きくはりあげるさま。大きい声と
いう意味。抽象的な声を表す用法もある。
❶ 報告が終わって、大々は三々五々、席を立ち、帰り仕度をしながらも、今聞
いた話に対する興奮をかくせず、声高に語り合って、なかなか帰ろうとしな
かった。(报告结束后,人们三三两两地从座位上站起来准备离去,但又抑制不
住听完报告后的兴奋,还在大声地相互交谈着,不想马上离开。)
❷ 川のほとりで、酔っぱらいの2大が、何か声高に口汚くののしりあい、やが
てつかみあいの喧嘩まで始めた。(河边有两个喝醉的人,嘴里大声地说着脏
话,互相叫骂不停,不一会儿两人就扭到ー块儿打起来了 。)
❸ 平等、博愛を声高に叫び、ヒューマニズムに基づいた行動をいくら要請した
ところで、現状が早急に変わる訳はない。(不管如何高唱平等博爱,如何要求
有人道主义的行为,是不可能马上改变现状的。)
❹ 近年音楽療法が声高に叫ばれている。思うに音楽というものは心に安らぎを
もたらし、明日への活力となると言えるのではないだろうか。(近几年很多人
提倡音乐疗法。想来音乐这东西,可以说既能放松身心,又能为明天提供活
カ。)
まとめ
声や音が高いという意味では三語共通しているが、「甲高い」は大間や動物の
生来の声の調子が高くて鋭いという意味で使われているのに対して、「けたたま
しい」は、声が高いだけでなく、それが非常に切迫して騒々しく、一種の切迫
感が込められて大きい声を言う。切迫した状況において反射的に発される声の
調子で、聞く者が驚かされるという意味合いを持っている。また、声だけでな
く、物の音にも使われる。一方、「声高だ」は大の声に限って用い、激しかった
り、興奮したりして、大声を高く張り上げる場合に用いる。また、抽象的な声
を表す用法もある。
練習
ー、次の漢字にふりがなをつけなさい。
狩猟 沼池 血潮 水草 湿地 密生 羽毛 雨戸
極端 出血 器械 小刀
薄情 足蹴 手荒 胴体
288 日语综合教程第五册
僚友 木戸 散弾 狼狽 負傷 屈託 火鉢 石炭酸
号泣 背丈 垣根 純白 飛翔 野道
二、 次の文の片仮名の部分を漢字になおしなさい。
1. 昨夜のパーティーには胃に以れないものなんかはなかったよ。
2. 疲れたので、帰るとすぐネドコに入った。
3. この頃、旦切けになっても眠れない日が多くなった。
4. クちることのない名声をこの世に残したい。
5. 小鳥が朝からヨス目こ止まってきれいな声で鳴いている。
6. 朝起きると、まずお茶を飲む:tラわしが今も残っている。
/コガラしが激しく吹くと、蟹もおいしくなる。
8. 在れ将軍という映画が上映されているらしい。
9. そのヒきガネに触ってはだめよ。危ないから。
10. その植物は奨!も食べられるのだ。
三、 次の質問に口頭で答えなさい。
1.傷ついたサワンを拾い上げた時、その感触は主人公にどんな気持ちを起こさせ
たか。
2なぜサワンの感触に主人公は「慰め」られたか。
3. 私の親切はどのように誤解されたのか。
4. 「こういう眠り」とはどんな眠りなのか。
5. 雁に対する主人公の愛着が増す証拠となる出来事は何か。
6. 主人公はなぜサワンの翼を短く切ったのか。
z「私は寝間着の〜あぶっていました」から、主人公のどのような生活が伺えるか。
8. サワンの神経を興奮させる事件とは、どんなことなのか。
9. サワンはなぜ「できる限り大きな声で鳴いていた」か。
".「このときのサワンの有様」を示す「老人の哲学者」という比喩は主人公の置か
れた状況と重ね合わせることができる。その状況について説明しなさい。
11. サワンが逃げることを「薄情」とする主人公は、サワンをどのような境遇に置
きたかったのか。
12. 主人公はなぜサワンに「三日かかっても食べ切れないほど多量なえさを与えた」
のか。
13. 主人公はなぜサワンが「号泣」していると受け取ったのか。
14. 主人公はなぜ狼狽したのか。
四、 次の文の下線部を辞書で引いて日本語で説明した上、全文を中国語に訳しなさい。
1. 彼は気に入らないことがあるとすぐに暴冬ので、みんなに遠ざけられている。
2. 彼女は子供のことで屈託した気持ちで日々を過している。
第io課屋根の上のサワン289
3. 彼のひいお祖父さんは医師として朝廷 に仕えていたことがある。
4. 相手チームを打ち負かさないかぎり、里帰りしない。
5. 出世の邪魔者を追い払ったので、彼は気持ちがせいせいした。
五、次の下線部の言葉の意味が、それぞれのはじめの文と最も近い意味で使われている
文を、①、②、③、④から一つ選びなさい。
/,室公、彼はそのことを知らなかった。さもなければまたややこしくなるかもしれ
ない。
① こんな不況の時に、仕事があること自体を室いに思わなきや。
② 忙しくて準備する暇がなかったが、幸い、面接では難しい質問が出なくて助
かった。
③ 雨が幸いして、農作物が生き返った。
④ 見張りの男たちがそろって居眠りしているのを幸い、私たちは監禁されてい
た山小屋から脱出した。
2彼は鴨川踊りを踊る彼女の姿をじっと見ている。
① このごろ、娘は秋刀魚の姿焼きを好んで食べるようになった。
② 彼女の花嫁姿は実にきれいだった。
③ 彼はすさんだ世の姿を嘆き悲しんだ。
④ いよいよ結論を出そうという大事な時に、彼は姿を消してしまった。
3昨夜、僕は昼間の出来事にひっかかって、よく眠れなかった。
① パイプに固いゴミがひっかかって、水がスムーズに流れない。
② 彼の発言にひっかかるものがある。
③ お姉さんはこんな人間にひっかかってしまって、実に気の毒だ。
④ 上司の質問にひっかかって約束の時間に遅れてしまった。
六、次の語群から適切な言葉を選んで、必要な場合は形を変えて()に書き入れな
さい〇
遠慮 ほじくる 極端に いびっ あぶる
足蹴 気まぐれ そよく、、 だれしも 空しい
1.手袋を炭火で( )が、不注意で火事を起してしまった。
2どんな鳥でも種を( )習慣がある。
3. この世に生まれた以上、( )幸せになる権利がある。
4. 風に( )ススキの草を見るたびに、昔の田舎生活が思い出される。
5. 室内のタバコはご( )願います。
290日语综合教程第五册
6. あの子は( )な性格が一番の問題だよ。
7. せっかくのおみやげも箱が押しつぶされ、( )になってしまった。
8. 私は足元に転がっている金ピカの真新しいトースターを( )にした。
9. 一般的にいってスリラー映画が好きな人が多い。でも、それを( )嫌がる
人もいる。
1〇.あれだけがんばったが、すべて( )努力となった。
七、次の文中の 部分に入れるのに最も適切なものを選びなさい。必要な場合
は、語の形を変えてもよい。また、答えは必ずしも一っとは限らない。
1. 夕暮れ時買物客で賑わう商店街を救急車が サイレンを鳴らして突走っ
ていった。
①甲高い ②声高に ③けたたましい
2. 先隣の部屋の前を通ると、中から 女性の話声が聞こえた。いつもひつ
そりと一人暮らしをしている老人の家に、いったい誰が来ているのだろうと思っ
た。
甲①高い ②声高に ③けたたましい
3. 高い崖の上に、3、4人の人影が現れ、私にはほとんど分からない方言で
話し合っていた。
①甲高い ②声高に ③けたたましい
4. 弓Iつ越し先のマンションでは猫が飼えないので、猫を連れていけなかった。とこ
ろが、この にした猫が、ある日突然新しい家に帰ってきた。
①放置する ②置き去り ③ほったらかす
5. 家の近くに された自転車を中古品として販売する店が新しくでき、販
売価格は新品の半値以下だが、買う人は意外に少ないようだ。
①放置する ②置き去り ③ほったらかす
6. 入院中の父親を て、パチンコに明け暮れる息子をみて、どうしてこん
な子になったのかと情けなくなってくる。
①放置する ②置き去り ③ほったらかす
ハ、括弧の中の言葉を使って次の中国語を日本語に訳しなさい。
1.同样的东西,使用方法不同,有时使用寿命就会很长。所以这不是质量问题,
而是使用方法不当。(〜ようによっては;使用寿命长一長持ちする)
2我把每夭必须要干的事全记在本子上,否则就有可能忘记。真是人老不中用
了。(さもなければ〜;人老不中用一年は争えない)
3.医生把最有效果的新药也用上了,可是仍然没有收到预期的效果,很遗憾 。(〜
でもって;最有效果、最も効果が期待できる)
、第io課屋根の上のサワン291
4. 我觉得你和他之间还有很大的差距,所以现在你不要去找他的磕儿,还是维持
原状为好。(〜でいる;找他的磧儿ーこっちから仕掛ける )
5. 我也知道这药很苦,但若不用自己的舌头舔一下,你就不知道这药苦到什么程
度。(てからでなくては〜ない)
6. 虽然由于战争的原因国民经济ー败涂地,但是好歹他们还是在困境屮完成了这项
计划。(どうやら;ー败涂地ー極端に駄目になる)
Z如此温暖的地方有时竟然还会下雪。这岂不挺奇怪的吗。(時としては〜)
8.那时候一旦小说到手就得以1天500页的速度把它读完,否则下次小说就轮不到
自己了。(数字+もの+名詞;轮不到自己一回してくれない )
9你们要是没做太不讲道理的事,他是绝对不会向上司反映的。一定是你们做了
什么过分的事了吧。(よほど;太不讲道理的事一理不尽なこと)
10.虽说是小孩子,可只要意见正确,还是应该认真听ー听的。如果大人能倾听他
们的意见,他们会受到很大的鼓舞的。(耳を傾ける;受鼓舞ー励みになる)
九、言葉の決まり
1.次の①〜⑤の漢字の部首名をそれぞれア〜カの中から選び、記号で答えなさい。
①欲() ②順() ③雑() ④凝()⑤彼()
アぎようにんべん イぎようがまえ ウおおがい
工あくび オふるとり 力にすい
2次の空欄に体の一部を表す言葉を入れて、()の熟語と同じ意味の慣用句を作
りなさい。
①匚ニニコをにぎる(同盟) ②丨.'丨がすべる(失言)
③I ."1がさわぐ(不安) ④Iにかける(自慢)
3.次の質問に答えなさい 。
A、 次の文には誤った表現がある。それを見つけて下線を引いて正しなさい。
① 酒井さんは正門を入ったところで始業のベルが鳴った。
② 外務大臣ははじめ年内に東南アジア諸国の訪問を検討していたが、都合で
新春に延期した。
③ 近所の友達が尋ねて来て、「あれはどうしょう」と相談を受けた。
B、 次の文の下線部の語の意味、あるいははたらきとして適切なものを後から選
292 日语综合教程第五册
び、番号で答えなさい。 )
① 暗くなったから電燈をつけた。(
② 私のことはご心配くださいますな。( )
③ 値が安ければ買おう。( )
④ この水は氷のように冷たい。( )
⑤ 雨のふりそうな空模様だ。( )
⑥ ぼくは遠足にいかれなくてつまらない。( )
⑦ 彼は今1.5 メ ートルを跳んだ。( )
⑧ あれは図書館M、これは体育館だ。( )'
ア 仮定の条件 イ 様態の意味 ウ 禁止の意味
ェ 確定の条件 才 伝聞の意味 力 可能の意味
キ 断定の意味 ク 受身の意味 ケ 完了の意味
コ 比喩の意味
十、次の文章を読んで後の問いに答えなさい。
ある日、私の枕元に見慣れないものが運ばれて来た。魔法瓶であった。私は魔法
瓶というものを見たのはこの時が初めてで、母から触ってはいけないと言われたの
で、決して触らなかった。
母は一日に何回か二階へ上がって来ると、魔法瓶の湯を茶わんに注ぎ、①それで
私に粉末の薬を飲ませた。私には内部が銀色に光った見るからに立派な容器から出
て来る湯が、普通のやかんや鉄びんから出て来る湯と同じものには見えなかった 。
薬を飲むために必要な②特別の湯だと思っていた。
そのころ、ただー人の友達である勘ちゃんが毎日のように遊びに来ていた。勘
ちゃんはいつも部屋に入って来ると、私の枕元に座っては魔法瓶をねめ回し、どう
してもそこから湯が出て来るところを見たいらしく、
「ほんとにお湯が出るか。湯なんか出るもんか。うそに決ってらあ。」
と、そんな言葉で私を③けしかけた。
ある時、勘ちゃんに見せるために、私は母がやるように魔法瓶のふたを開けた 。
そして、茶わんに湯を注ごうとしたが、あいにく魔法瓶はからになっていて、一滴
の湯も出なかった。それを見ると、勘ちゃんは、それみろ、出ないじゃないかと、口
をとがらせた。④私が面目を失した顔をしていると、勘ちゃんは何を思ったか、
「よし、貸してみな。」
と言って、私の手から魔法瓶を受け取ると、それを畳の上に伏せて、上になったび
んの底を手でたたいた。
私も勘ちゃんの真似をしてみた。魔法瓶は私と勘ちゃんの間を何回か往復してい
たが、そのうちに、勘ちゃんは畳の上に魔法瓶を転がした。私もまたその真似をし
293第1〇課屋根の上のサワン
た。魔法瓶は私と勘ちゃんの間を、こんどは転がりながら往復した。
そうしているうちに、勘ちゃんの手から離れた魔法瓶は、私の方へは転がらない
で、床の間の柱の方へ行ったかと思うと、やがて柱へぶつかったとたん、何とも言
えぬ静かな、しかし、⑤ただごとでなく複雑な音を立てて止まったC
二人とも⑥ぎょっとしたc私はすぐ魔法瓶を手に取り上げた。内部をのぞいてみ
ると、宮殿の建物でも粉々に壊れたようなむざんな状態になっていたが 、それより
手に取り上げた感じの方がもっとむざんであった。確かに完全に壊れてしまい、
⑦もういかんともすることもできないといった決定的なものがあった。
勘ちゃんも、その壊れた魔法瓶を取り上げたが、私と同じようなことを感じたの
か、いきなり、「うわあつ!」と大声をあげて泣き出した。そして勘ちゃんは泣きな
がら家へ帰って行った。
・問L 下線部①「それで」を文法的に分析してかっその意味を書きなさい。
(1D 下線部②「特別の湯だと思っていた」とあるが、魔法瓶のどんな様子から、
そう思っていたのか。文中の言葉で答えなさい。
碰 下線部③「けしかけた」とあるが、勘ちゃんは「私」に何をさせようとした
のか。簡潔に書きなさい。
dD 下線部④「私が面目を失した」とあるが、なぜなのか。
下線部⑤「ただごとでなく」とはどんな意味なのか、次から一つ選びなさい。
ア、何もやらないことではない
イ、当たり前のことではない
ウ、ただのことであるのにそう思わない
エ、お金を取らないことではない
晴❻ 下線部⑥「ぎょっとした」の意味を自分の言葉で書きなさい。
dD 下線部⑦「もういかんともすることもできない」の意味を次から一つ選びな
さい。
ァ、もうどうすることもできない
イ、もういけないことをしない
ウ、もういいかげんなことはできない
エ、もういけないこともいいかげなこともできない
(ED この文章の主題をつけなさい。ただし、文中に何度も繰り返し用いられてい
る名詞の一語を必ず含み、二語以上書きなさい。
294 日语综合教程第五册
文学、語学の^^
主要部首の読み方
七一SEXW、老
イ(にんべん) ロ(くちへん) 土(つちへん)
女(おんなへん)
彳(ぎようにんべん) 子(こへん) 山(やまへん)
才(犬)(けものへん)
日(にちへん) 4、(心)(りっしんべん) 扌(手)(てへん)
木(きへん)
壬(玉)(たまへん) P (阜)(こざとへん) 7 (水)(さんずい)
石(いしへん)
米(こめへん) 月(つきへん) 月(肉)(にくづき)
耳(みみへん)
ネ(衣)(ころもへん) 火(ひへん) 牛(牛)(うしへん)
豆(まめへん)
車(くるまへん) 田(たへん) 目(めへん)
馬(うまへん)
|J (刀)(りっとう) ネ(示)(しめすへん) 禾(のぎへん)
う(さんづくり)
戈(ほこづくり) 糸(いとへん) 羊(ひつじへん)
見(みる)
宀(うかんむり) 舟(ふねへん) 虫(むしへん)
穴(あなかんむり)
儿(ひとあし) 角(つのへん) 言(ごんべん)
皿(さら).
尸(しかばね) 貝(かいへん) B (足)(あしへん)
匚(はこがまえ)
行(ゆきがまえ) 金(かねへん) 食(食)(しょくへん)
(いんによう) 魚 (うおへん•さかなへん)鳥 (とりへん)
(えんによう)
力(ちから) 又(また)
P (邑)(おおざと) 寸(すん)
斤(おのづくり) 殳(るまた)
頁(おおがい) 卄艸(くさかんむり)
> (老)(おいかんむり) n (はつがしら)
四(网)(あみがしら) 雨(あめかんむり)
小(心)(したごころ) ハ、、(火)(れんが•れつ
厂(がんだれ) か)
戸(とだれ) 广(まだれ)
匸(かくしがまえ) r (やまいだれ)
門(もんがまえ) ロ(くにがまえ)
L(匚)(しんにょう) 攵(支)(ぼくにょう-と
鬼(是)(きによう) また)
第io課屋根の上のサワン295
読み物
蜜柑
■ II!龍ラ仆
ある曇った冬の日暮れである。私は横須賀発上り二等客車の隅に腰を下
して、ぼんやり発車の笛を待っていた。とうに電燈のついた客車の中には 、
珍しく私の外に一人も乗客はいなかった。外を覗くと、うす暗いプラット
フォームにも、今日は珍しく見送りの人影さえ跡を絶って、唯、檻に入れ
られた小犬が一匹、時々悲しそうに吠え立てていた。これらはその時の私の
心もちと、不思議なぐらい似つかわしい景色だった。私の頭の中には言いよ
うのない疲労と倦怠とが、まるで雪曇りの空のようなどんよりした影を落し
ていた。私は外套のポケットへじっと両手をつっこんだまま 、そこにはいっ
ている夕刊を出して見ようと言う元気さえ起らなかった。
が、やがて発車の笛が鳴った。私はかすかな心の寛ぎを感じながら、後
の窓枠へ頭をもたせて、眼の前の停車場がずるずると後ずさりを始めるのを
待っともなく待ちかまえていた。ところがそれよりも先にけたたましい
日和下駄の音が、改札口の方から聞え出したと思うと、間もなく車掌の何か
言い罵る声と共に、私の乗っている二等室の戸ががらりと開いて 、十三•四
の小娘が一人、慌しく中へはいって来た、と同時に一つずしりと揺れて、お
もむろに汽車は動き出した。一本ずつ眼をくぎって行くプラットフォームの
柱、置き忘れたような運水車、それから車内の誰かに祝儀の礼を言っている
赤帽—— そう言うすべては、窓へ吹きつける煤煙の中に、未練がましく後へ
倒れていった。私はようやくほっとした心もちになって、巻き煙草に火をつ
けながら、始めて懶い睚をあげて、前の席に腰を下ろしていた小娘の顔を
一瞥した。
それは油気のない髪をひっつめの銀杏返しに結って、横なでの痕のある
輝だらけの両頰を気持ちの悪い程赤く火照らせた、如何にも田舎者らしい娘
だった。しかも垢じみた萌黄色の毛糸の襟巻がだらりと垂れ下った膝の上に
は、大きな風呂敷包みがあった。その又包みを抱いた霜焼けの手の中には、
三等の赤切符が大事そうにしっかり握られていた。私はこの小娘の下品な顔
だちを好まなかった。それから彼女の服装が不潔なのもやはり不快だった。
最後にその二等と三等との区別さえも弁えない愚鈍な心が腹立たしかった。
だから巻き煙草に火をつけた私は、一つにはこの小娘の存在を忘れたいと言
296 I日语综合教程第五册
う心もちもあって、今度はポケットの夕刊を漫然と膝の上へひろげて見た。
するとその時夕刊の紙面に落ちていた外光が、突然電燈の光に変って、刷の
悪い何欄かの活字が意外なぐらい鮮やかに私の眼の前へ浮かんできた。言う
までもなく汽車は今、横須賀線に多い隧道の最初のそれへはいったのであ
る。
しかしその電燈の光に照らされた夕刊の紙面を見渡しても、やはり私の
憂鬱を慰むべく、世間は余りに平凡な出来事ばかりで持ち切っていた。講和
問題、新婦新郎、瀆職事件、死亡広告ーー私は隧道へはいった一瞬間、汽車
の走っている方向が逆になったような錯覚を感じながら、それらの索漠とし
た記事から記事へほとんど機械的に眼を通した。が、その間も勿論あの小娘
が、あたかも卑俗な現実を人間にしたような面持ちで、私の前に坐っている
事を絶えず意識せずにはいられなかった。この隧道の中の汽車と、この田舎
者の小娘と、そうしてまたこの平凡な記事に埋まっている夕刊と、——これ
が象徴でなくて何であろう。不可解な、下等な、退屈な人生の象徴でなくて
何であろう。私は一切がくだらなくなって、読みかけた夕刊を抛り出すと、
また窓枠に頭を靠せながら、死んだように眼をつぶって、うつらうつらし始
めた。
それから幾分か過ぎた後であった 。ふと何かに脅かされたような心もち
がして、思わずあたりを見まわすと、何時の間にか例の小娘が、向う側から
席を私の隣へ移して、頻りに窓を開けようとしている。が、重い硝子戸はな
かなか思うようにあがらないらしい 。あの輝だらけの頰は、いよいよ赤く
なって、時々鼻渎をすすりこむ音が、小さな息の切れる声と一しよに、せわ
しなく耳へはいって来る。これは勿論私にも、幾分ながら同情を惹くに足る
ものには相違なかった。しかし汽車が今まさに隧道の口へさしかかろうとし
ている事は、暮色の中に枯草ばかり明るい両側の山腹が、間近く窓側に迫っ
て来たのでも、すぐに合点の行く事であった。にもかかわらずこの小娘は、
わざわざしめてある窓の戸を下そうとする、—— その理由が私には呑み込め
なかった。いや、それが私には、単にこの小娘の気まぐれだとしか考えられ
なかった。だから私は腹の底に依然として険しい感情を蓄えながら、あの霜
焼けの手が硝子戸を擡げようとして悪戦苦闘する様子を、まるでそれが永久
に成功しない事でも祈るような冷酷な眼で眺めていた。すると間もなく凄ま
じい音をはためかせて、汽車が隧道へなだれこむと同時に、小娘の開けよう
とした硝子戸は、とうとうばたりと下へ落ちた。そうしてその四角な穴の中
から、煤を溶かしたようなどす黒い空気が、俄に息苦しい煙になって、濛々
と車内へ漲り出した。元来咽喉を害していた私は、手巾を顔に当てる暇さえ
なく、この煙を満面に浴びせられたおかげで、ほとんど息もつけない程咳き
こまなければならなかった。が、小娘は私に頓着する気色も見えず、窓から
297第10課屋根の上のサワン
外へ首をのばして、闇を吹く風に銀杏返しの鬢の毛を戦がせながら、じっと
汽車の進む方向を見やっている。その姿を煤煙と電燈の光との中に眺めた
時、もう窓の外が見る見る明るくなって、そこから土の匂いや枯草の匂いや
水の匂いが冷やかに流れこんで来なかったなら、ようやく咳きやんだ私は、
この見知らない小娘を頭ごなしに叱りつけてでも、また元の通り窓の戸をし
めさせたのに相違なかったのである。
しかし汽車はその時分には、もう安々と隧道を七りぬけて 、枯草の山と
山との間に挟まれた、或貧しい町はずれの踏切りに通りかかっていた。踏
切りの近くには、いずれも見すぼらしい藁屋根や瓦屋根がごみごみと狭苦
しく建てこんで、踏切り番が振るのであろう、唯一旎のうす白い旗が懶げ
に暮色を揺っていた。やっと隧道を出たと思う——その時その蕭索とした
踏切りの柵の向うに、私は頰の赤い三人の男の子が 、目白押しに並んで’
立っているのを見た。彼等は皆、この曇天に押しすくめられたかと思う程、
揃って背が低かった。そうしてまたこの町はずれの陰惨たる風物と同じよ
うな色の着物を着ていた。それが汽車の通るのを仰ぎ見ながら、一斉に手
を挙げるが早いか、いたいけな喉を高く反らせて、何とも意味の分からな
い喊声を一生懸命に迸らせた 。するとその瞬間である。窓から半身を乗り
出していた例の娘が、あの霜焼けの手をつとのばして、勢いよく左右に
振ったと思うと、たちまち心を躍らすばかり暖かな日の色に染まっている
蜜柑が凡そ五つ六つ、汽車を見送った子供たちの上へばらばらと空から
降って来た。私は思わず息を呑んだ。そうして刹那に一切を了解した。小
娘は、恐らくはこれから奉公先へ赴こうとしている小娘は、その懐に蔵し
ていた幾顆の蜜柑を窓から投げて、わざわざ踏切りまで見送りに来た弟た
ちの労に報いたのである。
暮色を帯びた町はずれの踏切りと、小鳥のように声を挙げた三人の子供
たちと、そうしてその上に乱落する鮮やかな蜜柑の色と——すべては汽車の
窓の外に、瞬く暇もなく通り過ぎた。が、私の心の上には、切ない程はっき
りと、この光景が焼きつけられた。そうしてそこから、ある得体の知れない
朗らかな心もちが湧き上がって来るのを意識した。私は昂然と頭を挙げて、
まるで別人を見るようにあの小娘を注視した。小娘は何時かもう私の前の席
に返って、あいかわらず輝だらけの頰を萌黄色の毛糸の襟巻に埋めながら、
大きな風呂敷包みを抱えた手に、しっかりと三等切符を握っている。……
私はこの時始めて、言いようのない疲労と倦怠とを、そうしてまた不可
解な、下等な、退屈な人生をわずかに忘れる事ができたのである 。
(『蜘蛛の糸・杜子春』新潮文庫より。漢字表記の改正あり)
298日语综合教程第五册
I...注釈
❶ 芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ)(1892 ~1927)
作家。東京都生まれ。小説『鼻』『芋粥』などにより作家としての地位を確立した。主な作品に、小
説『戯作三味』『奉教人の死』『地獄変』『舞踊会』『河童』『歯車』、評論『文芸的な、余りに文芸的
な』『朱儒の言葉』などがある。
❷横須賀(よこすか)
神奈川県南東部の市。三浦半島の東岸。東京湾の入口に位置する。元軍港で、鎮守府・東京湾要塞
司令部•造船所などがあった。現在、米海軍•自衛隊の基地・自動車工場がある。人口 43.3万。
299第10課屋根の上のサワン
11
本文 島で見たことから
・咼①宏
北海道の天売島で、船外機つきの小さなボートで島の海をまわったことが
ある。島の道をひとまわり散歩して民宿に帰ったとき 、ちょうど宿の主人が
四歳と一歳半の孫を遊ばせるのにボートを出すところで、乗るかい、と誘わ
れて乗ったのだ〇おじいさんといってもまだ五十代の若さなのだが 、彼は毎
日のように孫たちにせがまれてボートで海へ出る。妻や嫁たちが夕食の支度
に忙しい時間、彼が子守りを引き受けるわけで、海が荒れていなかったら海
上の子守りに出かけるのである。
ボートは磯伝いに走る。小船だから
観光船では近づけない島沿いの浅瀬を
波に揺られて行く。数百羽のウミネコ
が飛び立つ。岩礁のあいだをウミウが
一列になって海面すれすれに飛ぶ。子
どもたちはボートから乗り出して海の
水に手をつっこみ、きやっきやっと騒
ぐ。子どもたちが同じ舷側から身を乗
り出すものだから、ボートがぐっと傾
<〇私はハラハラする。海に落ちたらたいへんだ。それに、私自身がこわい
のだ。ボートがひっくり返ったら、うねる波で岩にたたきつけられるだろう。
そう思って二人の子の背中をつかんでいたのだが、子どもたちはすこしも
じっとしていてくれない。私はすっかり疲れてしまった。
だが、子どもたちの元気なこと。暮れかかる海を帰るときにも、もっとボー
卜に乗っていたいとせがんでいる。海の子である。この子たちはこうやって
海というものをからだ全体にしみこませてゆくのだろう。祖父に連れられた
海の散歩で、いつか天売島のまわりの海を隅々まで知ってゆくにちがいない 。
島をまわっている途中で四歳の子が、あそこの水おいしいよ、と言って、私
300 日语综合教程•第五册
たちのボートを海蝕崖の下につけさせ、洞穴の奥の湧き水を飲んだことがあっ
た。大昔、先住人が住んでいたと言われる洞穴の湧き水を 、その子は近くの
草の葉をとってきて器用にまるめ、水をすくって飲んだ。私も真似をして飲
んだのだが、たしかに味のあるおいしい水だった。そういう水の在り場所も、
水の飲み方も、四歳の子がすでに祖父から教わって知っているのだった。
あの子たちは海というものを、とりわけ天売島の海を、肉体化してしまつ
ている。海という自然のなかで、父とおなじものを、祖父とおなじものを、曾
祖父とおなじものを、からだに刻みこんでゆく。海の肉体化という点では私
は四歳の子にも一歳半の子にも及ばない。私は雪国育ちなので雪という自然
ならばかなり肉体化していると思うけれども、海となると海水浴とか海辺の
散策程度の体験でしかない。海は私のからだの外にある。海は好きだが、か
らだの内にあるものにはなっていない 。
或る土地の自然が変わることなくっづくとき 、いや、自然が自然みずから
のリズムでゆっくりと動いてそこに生きる人間の目には今年も去年も十年前
も百年前も変わることなくつづいていると見えるとき 、その土地に生まれ死
ぬ人びとは親から子へ、子から孫へと同じものを伝えてゆくのであろう 。去
年の春とおなじ春が今年もめぐってきて、去年の春とおなじに花が咲く。今
年は去年にくらべて花の咲くのがすこし遅れたけれどもそのぶん色がいいと
いった微細な違いをふくんで、自然は昔からの自然でありつづけ、そのなか
で人は世代を越えて同じ感覚を共有してゆく。同じ喜びを分け持ってゆく。
だが、もしも突然、島をとりまく海がなくなったり、海はあっても魚も住
めないくらいに汚れたりしたら、それまでの世代とそれからの世代とのあい
だの感覚の共有はなくなる。私が天売島で見たような祖父と孫との海遊びは
不可能になって、祖父のなかにある海は孫には伝えられない 。からだの底に
海を抱く祖父は、そういうふうには海を持たない孫にむかって、ひょっとし
たら海は嫌悪の対象でしかなくなっている孫にむかって 、あるいは海を経済
効果でしか見なくなった孫にむかって、あるいはまた海を見たことのない孫
にむかって、何を語ったらいいのだろうか。「海」という言葉だけは祖父と孫
とのあいだに共通であっても、その言葉で呼びおこされる感覚はまるでちが
うものになっているだろう。海を生きる場とする生き方が、祖父と孫とでは
別のものになってしまう。言葉はただの記号でしかなくなって、祖父と孫と
の会話はすれちがい、やがて互いに黙るしかなくなるのではないか。
海は一つの例にすぎない。山に生きる人びとなら、森が消えたり森が姿を
変えてしまったとき、おなじことが起こるだろう。東北の山村で、かってマ
タギであった老人が、若いころに仕止めた大熊のべっこう色に透きとおる熊
の胆を見せてくれて山の今昔を話してくれたことがあるが 、老人はこのごろ
はもう山へ入る気がしなくなったという。そこらじゆう杉の植林になってし
301第11課島で見たことから
まって、森は昔の森ではないというのだ。杉ばっかりの森には生きものがい
ない。鳥も啼かなければ獣も走らない。あんな淋しい森に入っても楽しいこ
となんかないと言って、老人は昔の森の楽しかった話をつづけた。
つい先日テレビで見たばかりだが九州の市房山を空から映すと 、山には無
数の引っかき傷があった。山の上までそれまであった森を伐り倒してそのあ
とに杉の植林をしたために、森による土の保持力が弱くなって崩壊が無数に
起こっているのだという。おなじようなことは日本の山のあちこちで起って
いる。そういうところではすでに、祖父のなかの森と孫のなかの森とは、言
葉ではおなじ「森」でも、実は別のものなのだ。そしてたぶん、森に何を感
じるかが変ってしまい、森を生きる場とする生き方が祖父と孫とでは変って
しまっているだろう。
町もまた例外ではない。町はたしかに人工のものではあるけれども、それ
が自然と対立すると考えるのは早計である。町もまたその土地の自然のなか
で営まれる暮らしである。自然を排除するわけではない。どうしても自然を
追い出したいなら屋根っきの野球場のように町全部をすっぽりドームにかこ
めばよいのだが、そんな必要があるとしたら町をとりまく自然が核戦争で壊
され変えられたときぐらいだろう。
私は前から東京の町の坂道と緑に親しみを感じている。起伏する武蔵野台
地に育ってきたこの町は、巨大都市のなかでも自然との共存の度合が大きい
ほうなのではないかと思っている。公園や寺社地など公けの緑の量は統計を
見ても少ないことが明らかだけれども、家々の庭の木や草花や生垣など、あ
るいは街角の木や道ばたの草花など、統計にあらわれない緑はたいへん多い
のである。広い公園にだけ緑をあつめるという計画都市よりも 、そこらじゅ
う雑然と緑がはびこるこういう町のほうが、私には町の本来のありかただと
思える。ブルドーザーでならした土地にコンクリートをはりつけコンクリー
卜の箱を並べるのが町ではない。その一部にだけ公園と称する緑地を配する
のが町ではない。町は昔からの地形の土地の上にゆっくり育ってゆく生きも
のだと思う。東京という町はその点、複雑な台地の上に育ってきたという幸
運があって、今のようになっているのだ。さきに島の暮しと比べて都市の暮
しが失ったものの大きさを書いたけれども、高速道路ができ高層ビルが建つ
て東京の変貌は激しいように見えながらも、幕末の江戸の町を見た外国人が
緑の町とおどろいたその基本性格は変っていない。私の住んでいる東京の一
画でも野鳥の数も種類も豊かである。夏になれば蝉しぐれがうるさいほどで
ある。町は大間だけのものではなく、鳥も虫も木も草も、そしていくらかは
小動物も住んでいる。多くの生命の共存体なのである 。
もちろん今の東京のままでいいのではない。経済効率優先の愚行が町その
ものの生命を傷つけていると思われることは多い。だが、それでも変らない
302日语综合教程第五册
骨格がこの町にはあると私は思い 、そこに期待しているのである。この町の
祖父と孫とが共有できる自然とその自然のなかで共有できる生き方は 、まだ
あると思うし、ずいぶん失われているとしても回復の可能性はあると思って
いる。楽観にすぎると見えるだろうけれどもそう思っている。
(『ときどき旅びと』講談社より)
、注釈
〇高田宏(たかだひろし)
1932〜。昭和後期〜平成時代の作家。昭和7年8月24日生まれ。昭和39年エッソ石油に入社。
広報誌「エナジー」「エナジー対話」の編集長をつとめる。昭和53年大槻文彦の評伝「言葉の
海へ」で大仏次郎賞(おさらぎじろうしょう)、亀井勝一郎賞を受け、昭和58年文筆生活に入
る。平成2年「木に会う」で読売文学賞。自然に関するエッセイや紀行文も多い。京都府出身、
京大卒。
❷天売島(てうりとう)
北海道北西部、日本海にある小島。
❸マタギ
東北地方の山間に住み、伝統的な猟法を守って狩りを行なう人々。
❹九州(きゅうしゅう)
福岡・佐賀・長崎•熊本・大分•宮崎•鹿児島の7県の総称。沖縄を含めていう場合もある。
❺市房山(いちふさやま)
熊本県と宮崎県との県境にある山。標高1721メートル。
❻武蔵野台地(むさしのだいち)
東京都・埼玉県両域にわたる関東平野南西部の洪積台地。主として多摩川により形成された扇状
地。
畠新しい言葉
船外機(せんがいき) [名] ボート程度の小型船に装着する取り外し可能の
回(廻)る(まわる) [自五] 小型エンジン。船尾に吊り下げて使用する。/小
型发动机。
①物が軸を中心にしてみずから円形に動く。/旋
转,回转,转动。②物の周囲などを輪を描くよ
うにして動き進む。/绕着转,拐。③あちこちを
順に通って行く。/巡回,巡视,周游。④目標に
Z向かってまっすぐに行かず遠道を行く。 绕弯,
绕道,迂回。⑤寄り道をする。立ち寄る。/绕弯,
绕道,迂回。⑥順々にわたる。/转移,转递,传
递。⑦(酒や薬が)行き渡る。/发作‘发散。
303第11課島で見たことから
ひとまわり(一回り) [名] ①何かが一回転するーこと。/ 一周,ー圈。②な
民宿(みんしゅく) [名] にかの回りを一回転すること。/转ー周。
子守り(こもり) [名] 一般の民家が泊り客のために設備を整えて営業
磯(いそ) [名] する簡易旅館。/家庭旅馆,在民家投宿。
浅瀬(あさせ) [名]
うみねこ(海猫) [名] Z子供の面倒をみること。また、それをする人。
飛び立つ(とびたつ) [自五]
岩礁(がんしょう) [名] 看孩子(的人),哄孩子(的人)。
つっこむ(突つ込む) [他五] 海岸の波うちぎわで、岩の多いところ。/海岸,
湖滨。
きゃっきゃっと [副] 川や海で、水の浅いところ。/(河,海等)水浅的
乗り出す(のりだす) [自五] 地方,浅滩。
鳥の名。海岸の岩などにむれてすむ。カモメに
ぐっと [副] 似ている。/黑尾鸥。
どこかへ向かって飛び去る。/飞上天空,飞起。
傾く(かたむく) [自五] 海面下に隠れていて見えない、大きな岩。/岩
礁,暗礁。
ひっくり返す(引つくり [他ー] ①むぞうさに中に入れる。/闯进,冲进。②表
かえす) 面だけではなく、さらに深いところまで問題に
する。/深入。
たたきつける(叩きつける)[他一] 戯れてわめき騒ぐ声。きゃあきゃあ。/叽叽嘎
嘎。・
しみこむ(染み込む) [自五] ①船などに乗って、出かける。/乘,出去。②
あることをすすんでし始める。/积极从事,亲
自出马。③上半身を前のほうに突き出すように
する。/挺出,探出。
①ある物事に力を入れてするようす。/使劲儿,
一口气地。②それまでとはひどく異なるよう
す。/更加,非常。③(感動したり困ったりして)
ことばや気が詰まるようす。/哑ロ无言,深受感
动。
①斜めになる。/倾斜,偏歪。②太陽や月が西
のほうへ落ちていく。/偏西,・西斜。③勢いが
衰える。/衰落,衰微。④考えや気持ちが、あ
る方向へ引かれる。/倾心于。
引っくり返るようにする。/翻倒,翻过来。
①強く投げつける。強くたたく。/摔。②荒々
しい態度で差し出す。/(粗暴的)扔。
①内部まで十分に染みる。/渗入。②考えや習
慣などが、人の心や世の中にふかくいきわた
304日语综合教程第五册
る。/铭刻。
隅々(すみずみ) [名] あちこちの隅。すべての隅。/各个角落,各处,
海蝕崖(かいしょくがい)
洞穴(ほらあな) 所有的地方。
涌き水(わきみず)
器用(きょう) [名] 海水によってけずられたり、海岸線の後退に
まるめる(丸める) よってできた崖。/海蚀岩。
すくう(掬う)
[名] 岩や崖にあいた、大きくて深い穴。/洞穴,洞。
曽祖父(そうそふ)
刻み込む(きざみこむ) [名] 地下から涌き出てくる水。/涌出的水,冒上来
散策(さんさく)
めぐる(巡る) 的水,泉水。
分け持つ(わけもつ)
嫌悪(けんお) [形動] ①(手先や体の動きがうまく)じょうずに物事を
呼びおこす(よび起こす)
処理できるようす。技芸にたくみなようす。Z
仕止(留)める(しとめる) 巧,灵巧,精巧。②要領よく立ちまわるようす。/
巧妙,精明。
[他ー] ①形を円くする。/团,弄圆,揉成团。②うま
い話で人を自分の思うとおりに動かす。/笼络,
拉拢。
[他五] ①液体や粉を、てのひらやスープンなど、中の
くぼんだもので取り出したり、液体の中にある
ものを、てのひらやスープン、あみなどに受け
て取り出す。/捞取,掬取,舀。②相手の足な
どを、ややうわむきにはらいあげる。/下绊子,
抄起。
[名] 祖父母の父。ひいおじいさん。曾祖。/曾祖父,
外曾祖父。
[他五] ①しっかりと刻む。彫り付ける。/刻上。②深
く心に留める。/铭刻。
[名・自サ] 気晴らしのために、これといった目的もなく、ぶ
らぶら歩くこと。散歩。逍遥。/散步,随便走走。
[自五] ① ぐるりと回ってもとにもどる。/循环,旋转。
② あちこちまわって歩く。/巡游。③そのこと
に関連する。そのまわりをかこむ。/围绕,绕行。
[他五] いくつかに分け、それぞれ別の人が持つ。分担
して持つ。/分别承担。
[名・他サ] 見るのも聞くのもいやだというほど、きらいな
こと。/厌恶,讨厌,嫌恶。
[他五] ①声をかけて眠っている人を覚まさせる。/唤
醒,叫醒,叫起来。②(比喩的に)今まで静止し
ていたものを刺激して活動を起こさせる。/唤
起,唤醒。•
[他ー] ①弓矢鉄砲などを使って、ねらったものの息の
305第11課島で見たことから
ねをとめる。うちとる。うちはたす。/打中,射
中。②ねらっていたものを手に入れる。/逮住,
べっこう(籠甲) 捉住,弄到手。
透きとおる(すき通る) 1[名] ウミガメの 種であるタイマイの甲らを煮て
胆(い) 作った装飾材料。かつ色がかった黄色の地に茶
今昔(こんじやく)
追い出す(おいだす) 色の波紋が入っている。/玳瑁。
ドーム(dome)
核戦争(かくせんそう) [自五] ①あるものを通して、その中や向こう側がよく
坂道(路)(さかみち)
度合(どあい) 見える。また、そのものがよく澄んでいる。/透
生垣(いけがき)
道ばた(みち端) Z明,透过去。②声などが澄んで、よくひびく。
雑然(ざつぜん)
はびこる(蔓延る) 清脆,清澈。
ブルドーザ」(bulldozer) [名] 胆囊。/胆,胆囊。
ならす(均す) [名] 今と昔。/今昔。
地形(ちけい)
変貌(へんぼう) [他五] 人を、今いるところから追いたてたり、仲間は
幕末(ばくまつ)
一画(いっかく) ずれにしたりする。/赶出,轰出,撵出。
[名] ①丸屋根。丸天井。/圆形屋顶。②半球状のも
の。/半球形的东.西。
[名] 核兵器を使用する戦争。/核战争。
[名] 坂になっている道。/坡道,土坡子,斜坡。
[名] ものごとの程度。/程度。
[名] あまり背の高くない常緑樹を植えてつくった垣
根。/矮树,篱笆,树篱。
[名] 道のほとり。みちのべ。路傍。/道旁,路边。
[副・連体] いろいろなものが入り混じっている。/乱七八
糟,杂乱无章。
[自五] ① 草や木などがしげって広がる。/蔓延,丛生。
②悪いものが勢力を得て、はばをきかすように
なる。/横行,猖獗。
[名] 前部に排土板をつけた土の掘削•運搬用のトラ
クター型土木機械玫キャタピラーで走るものが
多い。/推土机,开土机。
[他五] ①でこぼこがないよう、平らにする。/弄平,平
整。②数や量を平均する。/平均。
•[名] 地表の形態。地表の形。/地形,地势,地貌。
'[名•自サ] (人•物事の)姿、様子が変わること。また、姿
を変えること。/变形,改观,改变面貌。•
[名] 江戸時代のおわりのころ。/日本江户幕府的末
期。
[名] ①土地に区切りをつけたときの、ひとくぎり。/
ー块。②漢字を書くとき、ひとつづきに書く
306 日语综合教程第五册
野鳥(やちょう) 線。/一画。
蝉しぐれ(せみ時雨) [名] 野にいる鳥。野生の鳥。野禽。/野鸟,山鸟。
[名] 多くの蝉の、鳴きしきる声が、大きくなったり
愚行(ぐこう)
小さくなったりして、まるで時雨の降る音のよ
うに聞こえるのをいう。/阵雨声般的蝉声,聒
耳的蝉声。
[名] おろかしい行ない。ばかげた行為。/愚行,愚
蠢的行为。
言葉の学習
つー~っき______ ——ーー.............—.............一…ヽ i
接尾語。名詞について、三つの意味がある。
7.名詞の下に付いて、そのものが付属していることを表す。(带,附带)
❶ 娘は板付きのかまぼこがとても好きで、よく食べている。(我女儿很喜欢板蒸
鱼糕,她经常吃。)
❷ 上海では80年代に入っても、風呂丄の家はまだ手に入りにくい。(即便
已是80年代,要在上海弄到一套带浴室的房子还是很困难的 。)
❸ 保証書つきのアクセサリーがずらりと店頭に並べられているが、それを買う
観光客は少ない。(店铺前摆着ー排排带有质量保证书的饰品,可是很少有游客
购买。)
❹ 一度離婚した彼女は、こぶつきなので、再婚の相手を見つけるのはちょっと
難しいかもしれない。(她离过一次婚,又带着孩子,再婚也许有些困难。)
2体に関する名詞の下に付いて、そのもののようす、かっこうを表す。(样子,姿
势)
❶ 子供が危なっかしい手つきで挟みを使っているのを見て、私はそばではらは
らしている。(看到小孩子用剪刀的动作非常危险,我在ー边真替他捏一把汗。)
❷ 夕べ、すべてうまくいったような印象を受けたが、あの先生の目r2きだけは
気になる。(昨晚好像一切都很顺利,就是那位先生的眼神让我不放心。)
❸ 昨夜、久しぶりに民族舞踊を見たが、あの女優のしなやかな腰つきに魅力を
感じる。(昨夜,我去看了久违的民族舞蹈,那女演员柔软的腰姿真是迷人。)
❹ 彼の足つきに見とれる女性がいるそうで、ばかみたいな話だね。(听说有些
姑娘迷恋他那修长的腿,真是可笑。)
3.人を表す名詞の下に付いて、その人の世話をする役であることを表す。(跟随,
307第11課島で見たことから
附属)
❶ 彼は社長W!訳なので、大抵のことは知っているだろうと思う。(他是社长
的随身翻译,因此我想一般的事他都知道吧。)
❷ 大統領2^秘書になる人間は相当いい頭がないと勤まらないだろう。(不是
非常聪明的人是当不了总统的贴身秘书的。)
❸彼女は坊ちゃんつきベビーシッターだから、お母さん以上に赤ちゃんを可愛
がっている。(她是少爷的贴身保姆,比母亲还疼爱孩子。)
❹ あれは皇帝つき武官だから、腕はきっと並ではないだろうと思う。 (他是皇帝
的贴身武官,一定身手不凡。)
上ふ〜づたい 顺着,沿着,贴着 [
接尾語。名詞について、そのものに伝っていくことを表す。
❶ 海上、航空からの高速大量輸送時代になると、かつての陸路、島づたい、沿
岸の「古い輸送路」の意味は、ほとんどなくなったと言えるかもしれない。
(到了利用海路空路大规模高速度运输的时代,以前的那些陆路、沿岛、沿岸
的“旧运输道”几乎失去了存在的意义。)
❷メキシコを征服した彼らは、当時、どんどん直進すれば、陸づたいにインド
へ出られると思ったらしい。(征服了墨西哥后,他们认为只要勇往直前,就能
、 沿着大陆到达印度。)
❸ 映画を見ていた彼女は急に気分が悪くなり、胸苦しさに吐き気さえ覚え、薄
喑い館内を壁づたいに進んで、やっとの思いでトイレに駆け込んだ。(她在看
电影时,突然感到身体不适,胸闷想吐 。在昏暗的灯光下,她扶着墻壁往前走,
总算来到了洗手间。)
❹ 男は雷:車を降りて線路づたいに歩いていたが、しばらくするとその線路を飛
び越えるや次の駅に向かって猛烈な勢いで走り出した。(那名男子下了电车后
沿着铁路线向前走。一会儿,他突然越过轨道,向下ー个车站飞奔而去 。)
B JL— __ _ jーノ、ラハラー(と
ーーーーーーー……一・ーーー ______________________
副詞。「はらはら(と)」の形で次の用法がある。
A心配して気を揉む様子。(捏一把汗,焦虑)
❶・夢にまで見たわが子の舞台姿を、はらはらどきどきしながら見入った。(我甚
至在梦中都看到自己的孩子登台表演,而他现在就在舞台上。我提心吊胆地,
却是全神贯注地看着他〇)
❷ 右脚]こ痛みをかかえながらも、彼女はついにゴールインした。私ははらはらの
し通しだった。(她忍着右脚的疼痛坚持跑到了终点。我在旁为她捏了一把汗。)
308日语综合教程第五册
〇あなたがそんなにはらはらしていると、彼にまで伝染してあやまちをおかし
かねない。彼を信じるべきだよ。(你那么担忧会影响他的情绪,容易让他犯
错。你应该相信他オ是。)
❹ヨチヨチと歩き始めた我が子が転びはしないかと若レ、母親は内心はらはら気
を揉みながら側で見ていた。(孩子摇摇晃晃地开始学起走路,让ー旁的年轻母
亲捏了 一把汗,生怕他会摔倒。)
2小さな物や軽い物が少しずつ静かに落ちかかるさま。(飘落,扑簌扑簌)
❶ 早朝外に出て散歩していると、街中の木の葉がはらはらと散って、秋の気配
を感じる。(早上起来外出散步,只见树上的叶子纷纷扬扬地飘落下来,令人感
到秋天的气息。)
❷ あんなにもきれいだった紅葉も風ではらはらと散ってゆくへこれも自然の捷
で、その運命から逃がれることはできないのだ。(曾经是那么漂亮的红叶也会
随风而落,无法逃脱大自然给它安排的命运。)
❸20年ぶりにわが子と再会した彼女は、成長したその子を見たとたん、はら
はらと大粒の涙をこぼした。(20年后她再次与自己的孩子相逢。当长大成人
的儿子出现在面前的那一霎那,大颗的泪珠从她脸上滚落下来。)
❹ はらはらと散る桜の花の下、みんなそれぞれの思索を深めながら、「哲学の
道」を静かに散策している。(在花瓣飞扬的樱花树下,大家静静地漫步在“哲
学小道”上,思索着各自的问题。)
3.髪の毛が垂れかかる様子。(披散)
❶ みどりの黒髪が一瞬その頰にはらはらとたれかかったかと思うと、もう彼女
は身をひるがえして丘の向こうへと走り去って行った。(我刚感到那乌黑亮
泽的发丝从脸上轻轻划过,她已经转身向小丘那边跑去了。)
❷ それが癖なのか、髪がはらはらと肩にかかるたびに、彼女は軽く手で髪をう
しろへかきやっている。(那也许是她的习惯吧,当头发披散到肩上时,她总
是用手把头发往后撩。)
❸母がかんざしをとると、長くて美しい髪がはらはらと肩に垂れかかったC
(妈妈ー拔下簪子,那ー头美丽的长发就披散在肩上 。)
嬰—〜こと—・一—一——一—_—… _______ . 一—..
終助詞。女性用語。男性が使う場合もたまにはある。文末について次のよう
な用法がある。
余情がこもって感動を表す。(…啊! ••・呀!)
❶ だが、子供たちの元気なことc(可是,孩子们真是精力充沛啊。)
309第11課島で見たことから
❷ まあ、お知り合いとは奇遇ですこと。(啊呀,没想到你们是认识的,真是奇遇
啊。)
❸ あら、きれいに咲いたこと」啊呀,花开得真美啊。)
2「ことよ」の形で婉曲な断定を表す。(…啊,…哟)
❶ 北海道はお寒いことよ。旅行中十分体に気をつけてね。(北海道很冷的呀,你
可要当心点。)
❷あの子、男らしくないことよC (那孩子可不像个男孩啊。)
〇 よろしいことよC私がさせていただくわ。(好的,我去让他做。)
3. 同意を求める気持ちで発問することを表す。(不…吗?)
❶ すてきじゃないこ4 入学する前にお友達になれるなんて。(这不是很好吗?
在上学前就交上了朋友。)
❷ ねえさん、それなら3人してこの家をよく調べないこと。 (姐姐,那样的话我
们3个人是不是要仔细查看一下这个房子呢。)
❸ アッ!それからね、少女クラブの後援会を作りませんこと。 (啊呀!然后呢,
我们是不是成立一个少女俱乐部的后援会啊〇)
4. 命令・禁止を表す。(不得…,必须…)
❶大切な歯を守るために、朝晩二回必ず歯を磨くこと」为了保护牙齿,必须
坚持每天早晚・刷两次牙。)
❷ 授業中、学校の廊下は走らないことC (上课时间不得在学校的走廊上奔跑。)
❸ 明日の集合時間には絶対に遅刻しないことc (明天的集合绝对不能迟到。)
整 〜となると 要是…的话,如果情况这样的话 J
体言・活用詞終止形について話題を表し、「〜のような状況になった場
合」の下で、後述のことが出現するという意味を表す 。
❶ こんな時間になっても手術が終わっていないとなると、異常が発生した可矗
性もあり、手術室の外で待っている家族には焦りや不安の色さえ出始めた;
(手术到这个时候还没有结束,彳艮可能发生了异常情况。在手术室外等候的家
属开始流露出焦虑不安的神色。)
❷ 銀行が金利水準を引き下げるとなると、民間投資が活発になると理論的には
考えられがちであるが、事実上必ずしもそうはいかない。•(从理论上讲银行要
是降息,就会刺激民间投资。可事实上未必一定如此。)
❸ 他人の子供を厳しく叱ったりしていたが、自分の子となると、つい甘やかし
てしまうもの。親ばかとはこういうことを言うのかな。(能够严厉地斥责别人
的孩子,可一旦轮到自己的孩子,就会过分宠爱娇惯了。所谓糊涂父母大概就
310 日语综合教程第五册
是指这种人吧。)
❹ 今になっても知らせがないとなると、不合格の可能性が強いということか。
(到现在还没收到通知的话,是否意味着不合格的可能性较大?)
上公〜でしかない?只不过是… 1
「〜だ」ということを強調する言い方だが、「〜」の部分に来るものをあまり
評価しない、価値がそれだけに限られるという意味で使うことが多い。「〜にす
ぎない」に言い換えられる。
❶ こんなに一生懸命に勉強するのも、将来いい仕事につくためでしかなかっ
た。(之所以如此拼命学习,也只不过是为了将来能获得一个好工作而已。)
❷ どんなに僮くなっても、妻子を養わなければならない面において言えば、普
通の人間でしかないことには変わりがないだろう。(一个人无论多么伟大,在
抚养妻儿方面,只不过是ー个普通人,与一般人没什么两样。)
❸ 日本人は自然に対して研ぎすまされた感性を持っているのも事実である。’し
かし、それはあくまでも抽象的な、観念的な自然でしかないのではなかろう
か。(事实上,日本人对自然有一种被磨练出来的感性。但是,那也只不过是ー
种抽象性的、观念性的自然而已。)
❹ 暇がないというのはあくまでも口実でしかない。ほんとうのところでは、協
カする気がないことであろう。(说没空只不过是个借口。真正的原因恐怕是不
想合作吧。)
£〜と見え苦(〜とみえる)養来,看上去
自分の観察した事実を基にして、そこから推測したことを述べる言い方であ
る。「〜と見えて」の場合は、後ろの節では自分が観察したもの、つまり推測し
たことの理由・根拠が表れる。「〜と見える」は独り言のように用い、若い人に
はあまり使われないという。形容動詞と名詞につく場合は 「だ」が省略される
ことがある。
❶ 彼は相当悪いことをしたと見えて、父親がカンカンに怒っているし、母親は
そばで泣いている。(看来他这次是闯了大祸,他苍爸在大发雷霆,他妈妈在ー
边掉眼泪。)
❷ ホテルに着くと、彼女はすぐチェックインをすませて、さっさと部屋に行っ
てお風呂に入った。こうしたところから彼女は旅に大変慣れていると易え
る〇 (一到旅馆,她就办妥入住手续,然后马上进屋洗澡。看来她已经很习惯旅
游生活了。)
❸ こんな立派なホテルに泊まれるなんて、よほど意外だと見えて、彼女は窓を
311第11課島で見たことから
開けて外を見たり、風呂場やお手洗いなどを見たりして、喜びを隠せない様
子だった。(看来她根本没想到能住上这么好的旅馆,她一会儿打开窗户看看外
,边,一会儿又看看浴室和洗手间,隐藏不住心中的喜悦 。)
❹ 授業中説明したにもかかわらず、この文法はかなり間違っている。となる
と、学生はまだ理していないと見える。(这个语法的用法尽管上课时已经讲
解过了,可是学生们错得很多,看来他们还未掌握。)
ん心〜という据说,听说 :
「という」の用法が多いが、ここでは常体文につき文末に用いられ、伝聞を表
し、「〜そうだ」と同様な意味を表す。後ろに「ことだ」「話だ」をつける形も
ある。
❶ 夜のうちに十分に水分を吸った花が早朝のやわらかな光に包まれて照りはえ
る。その一瞬がすばらしいという。(花朵在夜间吸收了足够的水分,早晨在柔
和的阳光下朝相辉映。据说就是这ー霎那间花儿显得格外美丽 。)
❷ 木には何千年も生きているものがあるという。それに比べれば、人間の一生
なんてほんの一瞬に過ぎない。(据说有些树已经生存了几千年。与此相比,人
的一生只不过是短暂的一瞬间而已。)
❸ 東京ドームは建設費が200億円かかったが、20年ぐらいしか使えないとい
うことだ。(据说东京圆顶棒球场的建设费花了 200亿日元,却只能使用20年
左右。)
❹ ここは今は超高層ビルが林立しているが、昔は一面の菜の花畑だったという
話だ。(这里如今是高楼林立,可据说从前只是一片油菜田 。)
上九)・早計(そうけい)•过急,轻率 |
早まった考え。軽率な判断、という意味を表す。よく「〜のは早計だ」の形
で使われる。
❶ 今の時点で決定するのは早計だ、まだまだ検討の余地はあるだろう。(现在就
决定的话也太草率了,还是有商量余地的。) '
❷2年間の勉強で一級試験に合格するのは無理だと断言するのは早計だ。人間
努力次第でどういうことが起きるかわからないものだ。(只学两年不可能通过
ー级考试,这种说法也太武断了。人的努力有时会创造奇迹。)
❸ 小学生の息子を、この子はダメな子と諦めるのは早計だ。親がその子を信じ
て応援してやらないと、伸びるものも伸びないよ。(儿子才上小学,就认定他
没出息,实在为之过早。做父母的不相信自己的儿子,不帮助他的话,即使有
发展前途也会被埋没〇 )
312日语综合教程第五册
❹脳梗塞で麻痺した手がもう一生治らないと決め付けるのは早計よ。しっかり
リハビリすればかなりよくなるという可能性はあるから頑張って。(因脑梗塞
而瘫痪的双手终身无法救治,这种断言实在为之过早 。只要好好地锻炼,康复
是完全有可能的。好好努力吧。)
扫憧址ー)___________ _______ ___________ J
副詞。「すっぽりと」の形で次の用法がある。
1.全体にかぶせておおうようすを表す。(蒙上,包上)
❶ 関西全域はすっぽりと高気圧に覆われて、あす日中の最高気温は36度ま
で上がるでしょう。(高气压笼罩着整个关西地区,明天最高气温可达 36
度。)
❷ 彼はよほど疲れていたとみえて、布団を頭からすっぽり被ったと思うやもう
高いびきで寝込んでいる。(看来他非常疲劳,刚用被子把头蒙住躺下,便已经
听到他的打鼾声了。)
❸ 冬の間、北海道の山々は綿帽子を被ったようにすっぽりと雪に覆われてい
る。(整个冬天,北海道的群山像是戴上了棉帽子一般,被埋在厚厚的白雪中 。)
〇 夜来の雨が上がると、あたりはすっぽりと霧に包まれ、20 メートル先さえ
見えなくなった。(昨夜的雨停后,大雾笼罩了这ー带,甚至连20米前面的东
西都看不见。)
2差し込んだ物がたやすく抜けたり、また、くぼみにうまくはまったりするよう
すを表す。(完全脱落;正好套上,正合适)
❶ 畑で大きく育った蕪は意外なほどすっぽりとたやすく抜け、後にはそれぞれ
の抜け穴に、おりから降り出した雨が溜まりはじめた。(没想到长在地里的
芜菁格外好拔,拔后留下一个土坑,恰巧赶上一场大雨,土坑里便积起了雨
水。)
❷ よろよろとよろけた拍子に彼は片足をすっぽり沼にとられ、そこから抜け出
すのは容易でなかった。(他摇摇晃晃地ー脚踩进泥坑陷了进去,费了好大的
劲オ把脚拔出来。)
❸ ちょっと触ると人形の首はすっぽりと抜けてしまった。折角買ってきたのに
相当の粗悪品だ。(刚碰它一下,娃娃的脖子就掉下来了。特意买来的ー个娃
堆,没想到质量如此低劣。)
❹ 彼の投げたりんごは、すっぽり雪だるまの丁度ロのあたりにはまり、あたか
もその雪だるまが赤い口を開けて笑っているようだ。(他扔去的苹果正好镶
嵌在雪人的嘴上,就好像雪人张开红红的嘴在笑一般 。)
313第11課島で見たことから
類語の学習
そニ〉せがむ-ねだる・せびる
1. せがむ求,央求,死气百赖地要求
動詞。あることをしてくれるようにと、しつこく、むりに何度も頼むこと。
❶ パパが疲れているからと、妻は子供たちが直がむのを押さえていたが、実は
本人も子供たち化同じように、日曜日には家族でどこかへ遊びに行きたいと
思っているのを僕は知っていた。(妻子阻止孩子们向父亲央求,说爸爸累
了。可是,我知道其实她自己也和孩子们ー样,希望星期天全家能一起去什么
地方玩玩。) '
❷ 幼稚園のその子にせがまれて、隣のおばあさんはいつも夕方になると昔話を
してやったものだ。(在那个还在读幼儿园的孩子的一再央求下,隔壁的老奶
奶经常在傍晚的时候给他讲ー些故事。)
❸ どんなにせがまれても、うちの経済力では外国旅行に行かせるようなお金は
出せないよ。(无论你怎么央求,以我们家的经济实カ是无论如何也拿不出钱让
你出国旅游的。)
❹ 日曜日に、どこかへ連れていけと壁也息子3人を引き連れて出かけること
もある。(星期天,有时候我会带着 3个缠着我非要出去的儿子外出。)
2. ねだる死气百赖地要求
動詞。甘えたり、無理に頼んだりしてほしいものを請い求める。「物ねだり」
「おねだり」という名詞法もある。
❶ニホンザルは決して仲間に物をねだらない。彼らはねだる能力はあるが、そ
れは彼らの社会では生かしてないといっていいと思う。(日本猴子绝不向同伙
死气百赖地要东西。虽然它们有要东西的能力,但是可以说那种行为在它们的
社会里是行不通的。)
❷ 母親は子供を庇って、父親に内緒で子供の性至高い漫画の本を無理して
買ってやった。(母亲护着孩子,硬是瞒着父亲给孩子买了他们缠着要的昂贵的
漫画。)
❸ 僕が家に帰ると、弟がいつも僕にチョコレートや飴玉を性至ので、よく母
親に叱られる。(我一回家,弟弟就会跟我讨巧克力和糖果什么的,所以他经常
挨母亲的骂。)
❹ 君、貧しい親にそんな無い物ねだり,をしても仕方がないじやないか。さっさ
と諦めたほうが賢いよ。(你父母贫穷,没有你要的东西,你死缠着也没用,还
是趁早死心,这样比较明智吧。)
314日语综合教程第五册
3.せびる央求,死气百赖地要,硬要
動詞。金銭や品物を無理にもらい受けようと頼む。しつこく頼む。
〇 僕は小さい時、よく母親に小遣いをせびって粘土だの、パズルだの買って遊
んだものだった。(我小时候经常缠着母亲要零花钱,去买粘土啦拼板来玩 。)
❷ あの子にせびられたら、百年の寿命も一時に縮まりそうになる。言い出した
ら聞かない子だから。(要是被那孩子缠上了,即使有百年的寿命也会顷刻间
缩短。只要她说出来的事,不达到目的就不罢休。)
❸ 小さい時は、親にお小遣いを宣びたりすることもあったが、大学に入って以
来、一度もそんなことはしていない。生活費から授業料まで、全部アルバイ
卜で賄っている。(小时候我曾经硬是跟父母亲要过钱,可是自进大学以来,从
未有过这种事。从生活费到学费,全靠自己打エ挣来的。)
❹ 意地悪な気持ちになった僕はそれを食べる気もないのに、父が持って帰った
菓子を露骨にせびり出した。(我产生了恶作剧的心情,明明不想吃,可是却毫
无顾忌地硬要父亲带回来的点心。)
まとめ
相手との関係を利用して強く要求するという意味では三語共通しているが、
「せがむ」は相手が聞き入れてくれそうもないことが前提となり、自分の要求を
無理に通そうとする意が強く、また、「だっこをせがむ」のように行為を要求す
る場合に多く用いる。「ねだる」は「せがむ」に似ているが、普通に頼んだので
はできないことを、相手が聞き入れてくれるという期待が前提となる。相手(親
密な関係者)の好意に甘えようとする意が強い。また、物や行為を求める意で
は相通じて用いられる。「ねだる」のほうは使用範囲が広く、物品に関しても行
動に関しても言う。「おねだり」のような名詞的用法も「ねだる」に限る。「せ
びる」はほしい物を手に入れるため、あれこれ言い訳、理屈をこねたり、相手
の弱みをついてみたり、泣き言を言ったりして、親や友達にうるさく、しっこ
く強要して金や物をもらう意がより強い。また「ねだる」よりも相手に強いる
度合いが強く、厚かましい、卑しいといったマイナスの意味合いが強い。「せび
る」の主体は、親密な関係にあるものでなくても、ささいなかかわりのある者
でもいい。
点すれすれ・ぎりぎり _____ .」
1.すれすれ
①名詞 、形容動詞。あるものにもう少しで触れそうになるくらい近付いている
ようす。またそのさま。(几乎接触,差一点碰上) •
❶ 崖すれすれのところで車はぴたっと止まった。見た目にもはらはらして心臓
第ii課島で見たことから315
が止まりそうだった。(车子在悬崖边突然刹住,看着就令人心惊胆战,心脏也
几乎停止了跳动。)
❷夕闇の中、お互いにすれすれになるまで顔がわからなかった。(在黑暗之中,
大家近得几乎脸贴着脸,オ看清对方是谁。)
❸ 地面すれすれに燕が飛んでいて、何かを探しているようだ。(燕子几乎贴着地
面飞行,好像在寻找着什么。)
❹ 大きな男が舟に乗り込んできたので、ふなべりは水面すれすれになった。(一
个高大魁梧的大汉乘上船后,船舷几乎下降到了水面 。)
も②う少しで限界を越えそうな様子 。(逼近,几乎接近,勉勉强强)
❶ 相撲の軽量級の僕は朝から絶食して体重測定に臨んだ。結局体重はすれすれ
で合格し、試合に出場できることになった。(我是轻量级的相扑运动员,所以
从早上就开始停食进行体重测定。还好体重刚刚合格,可以参加比赛。)
❷ 彼の砲丸はいずれも80 メートルラインすれすれで惜しくもメダルを逃した。
(他扔出去的铅球每次都接近80米,很可惜与奖牌失之交臂。)
❸ この間も違反すれすれの運転をして、注意をされたばかりなのに、またやっ
たの?(前几天差点儿超速刚被警告过,怎么这次又犯了呢? )
❹ 試験のとき彼がカンニングすれすれのことをしようとして試験官にひとにら
みされた。(考试的时候他刚想作弊,就被监考官狠狠地瞪了一眼 。)
2.ぎりぎり最大限度,极限,到底
名詞、形容動詞。必要な量や時間に余裕のないこと。限度いっぱいである。そ
れ以上ゆとりがないこと。またその様子を表す。
❶ 今行けばぎりぎりで、終電に間に合うかもしれない。早く行きなさい。(现在
或许还能赶上末班车,快走吧。)
❷ もう少し待ちましょう。ぎりぎりまで待ってだめなら、訂正報道に差し換え
ましょう。(再等一会儿吧。实在不能再等了,他还是不来的话,再换上更正的
报道吧。)
❸ 昨夜電話で再度確認したのだから、彼は来ないはずはないと思う。出発ぎり
ぎりの時間まで待ちましょう。(我昨天晚上又打了一次电话确认过,他应该会
来的。我们就等到出发的时间吧!)
❹ 商談するのにもコツがあるのよ。まず高値で交渉する。最後になってはじめ
てぎりさ^の線で譲歩する。そうすると自分の思っている値の範囲で成立し
やすい。(谈判也是有技巧的。先开出ー个比较高的价格进行谈判,到最后时再
让到下限价格。这样才能在自己设定的价格范围内谈成生意。)
まとめ
限度に非常に近い様子を表す意味では二語共通しているが、「すれすれ」は何
316 日语综合教程第五册
かに限りなく近づき、マイナスの事態が起こる基準ぎりぎりの状態で、最悪の
状態にならずに、ラッキーな状況を表す。「ぎりぎり」は、お金・時間・空間•
数量 •程度 •状態・ 状況などが限界に来ていて、それを超えると許容できない
という限度に非常に近い状態を表す。
裸B
ー、次の漢字にふりがなをつけなさい。 岩礁 舷側 隅々 海蝕 列挙
散策 微細 嫌悪 今昔 磯
民宿 子守 木曾 度合い 雑然 同定 野鳥 骨格 獣
洞穴 大昔 現物 曽祖父
早計 台地 愚行 保持カ
幕末 西岸 浅瀬
二、 次の文の片仮名の部分を漢字になおしなさい。
1. あの塔は昔からカタムいているのだ。
2. 上び艺つ飛行機を見ながら食事をすることができるのでここにしょう。
3. 去年と同じ祭りがをってきた。
4. 喜びがあれば、みんなで2け玉つ。
5. 公害のせいで魚が玉めない川になってしまった。
6. 森に隠れていて虎やチーターなどをユめる。
7. 熊の工なんてものは見たこともない。
8. 彼も生活を丄上なまなければならないので、やむを得ないだろう。
9. 彼はいい人と悪い人とのミNけがつかないのだ。
10.あの子は何でもポケットに幺つ三む習慣がある。
三、 次の質問に口頭で答えなさい。
1.宿の主人が孫たちと海に出ることはどんな具体的な意味を持つのか。
2 海から帰るときにも、子供たちがいろいろなことをやった、ということを5文
字でまとめなさい。
3. 「天売島の海を、肉体化してしまっている」とはどういう意味なのか。
4. 筆者は、「自然」と「人間」との関係をどのように考えているか。
5. 「言葉はただの記号でしかなくなって」の記号とはどのように理解するか。
6. 山の老人はなぜ昔の森は楽しかったというのか。
7. 「町も、また例外ではない」とはどんなふうに理解するか。
8. 筆者はなぜ東京という町がいいと言うのか。
9. 「町は確かに人工のものではあるけれども、それが自然と対立すると考えるのは
早計である。」の「それ」は何を指しているか。
第11課島で見たことから317
10. r町もまたその土地の自然の中で営まれる暮らしである」と言っているが、どう
いう意味なのか。 .
11. 筆者はなぜ自分の見方を楽観にすぎると言うのか。
四、 次の文の下線部を辞書で引いて日本語で説明した上、全文を中国語に訳しなさい。
1.あんまり腹が立ったので、離婚届を叩きつけてやった。
2この大根は昆布の味がよく染み込んでいるのでおいしい。
3毎週の土曜日、夕日が西に沈みかけるころ、2人は公園でデートをしている。
4. 現地の人々は命を守るために、鉄砲で野性の熊を仕留めようとしている。
5. うちの庭には雑草がはびこっていて、蚊が多いので、うっかり出られない。
五、 次の下線部の言葉の意味が、それぞれのはじめの文と最も近い意味で使われている
文を、①、②、③、④から一つ選びなさい。
1. あの子は土边分かってくれる時も来るだろう。我慢しなさい。
① 前から待っていたが、毎日忙しくしているうちに、いっかこのせっかくのい
いチャンスも逸してしまったのだ。
② いつか見た夢と全く同じことが起こって、彼はびっくりした。
③ 毎日忙しくしているうちに、いつカ彳皮の頼みを忘れてしまったのだ。
④ 家出して外で苦労したら、いっかまた帰ってくるだろうと思う。
2. まず料理酒を入れてしばらく煮て、お肉のあくが抜けてから醤油やお砂糖を入れ
てください。
① このへんのところが僕の抜けていた点だろう。
② このシャンプーを使ってから、だいぶ毛が抜けた。
③ 一時間ほどトランプをして、彼女はその遊びから抜けた。
④ 薬を飲んでも風邪が抜けないね。おかしい風邪だ。インフルエンザかな。
3. 山の天候は荒れやすいから、緊急時に備え、必ず連絡用の無線器を携帯してくだ
さい。
① アルバイトの水仕事で、手が荒れて見た目にも痛々しい。
② 彼は商売がうまくいって金持ちにはなったものの、生活の乱れから心までも
荒れてきたようだ。
③ あの頃彼らは荒れた土地を耕して、少しでも食の足しにと、よくサツマイモ
を作ったものだ。
@遠くのほうの林はまるで海が荒れているかのように、ごとんごとんと鳴った
り、ざっと聞こえたりするのだった。
318日语综合教程第五册
六、次の語群から適切な言葉を選んで、必要な場合は形を変えて()に書き入れな
さい。
みずから 微細 ひと いつか 雑然
きやっきやっと 器用 隅々 いくらか ぐっと
1. 彼らが首相暗殺の計画を( )に話しはじめたが、そばで聞いている彼は
坐っていられなくなった。
2. 夢中になってコンピューターをしていたら、( )夜もあけていた。
3. 夏の夜、庭の( )から虫の鳴き声が聞こえてきた。
4. 女子生徒は何かおもしろいことでもあるかのように( )と笑っていた。
5. 長年苦労して育てた子供がついに卒業して就職できたときには、胸に( )
きた。
6. あれはかしこい子だから、今の世の中を( )に泳いでいる。
7. 村の後ろに山とは言えないぐらいの山があって、その山に登ると、( )と
立ち並ぶ家々が見える。
8. 彼女は( )この仕事をやめると言い出したのだ。
9. お腹がすいたが、汗びっしょりだから、まず( )風呂浴びてから食事を
しようと思う。
10.日本語なら上手ではないが、まだ( )は読み取れる。
七、次の文中の 部分に入れるのに最も適切なものを選びなさい。必要な場合
は、語の形を変えてもよい。また、答えは必ずしも一っとは限らない。
1. このコップの一番上の目盛り にこちらの液体を注ぎ、よくかきまぜて
②ぎりぎり
ください。
す①れすれ
2. まで交渉したけど、かつかつ食えるボーナスしか出なかったよ。
①すれすれ ②ぎりぎり
3. ヘリコプターは高層ビルに のところまで接近したので、私たちは気が
②ぎりぎり
気でなかった。
①すれすれ
4. 締め切り に願書を出したが、すぐ入学通知書を送ってくれたので助かつ
た。 ②ぎりぎり
①すれすれ
5. 上の子は父親にお金を 時しか家に帰ってこない。お金を受け取ると、そ
そくさと自分の下宿に帰っていく。親とはこんなものかと時々寂しくなる。
①せびる ②ねだる ③せがむ
319第11課島で見たことから
6.哺乳動物の場合は乳臭があるので、それで自分の子だと分かるが、鳥類の場合は
餌を ときは、啼き声で信号を送るのだと聞く。
①せびる ②ねだる ③せがむ
/あの子は僕と顔を合わせるたびに、歌を教えてほしいと ので、僕は君
の家に行くのが億劫になったよ。
①せびる ②ねだる ③せがむ
ハ、括弧の中の言葉を使って次の中国語を日本語に訳しなさい。
1.父母目不转睛地,提心吊胆地注视着孩子们的比赛。他们好像比参赛的孩子还
要紧张。(はらはら;目不转睛ー脇目も振らず)
2据说当时很多人都去电影院,心想或许能在拍摄战地实况的纪录片里看到自己
的亲人。所以电影院总是客满。(〜という;纪录片iニュース映画)
3. 如果厕所和浴室是公用的,那房租就比较便宜。如果想租带厕所和浴室的房
子,你这点预算恐怕不够。(〜っき)
4. 如果他出来参加竞选的话,这次总统大选举的局面定会发生很大的变化 。(〜と
なると)
5. 那个国家依然很封建,女人总是用围巾似的东西把整个头包上,只露出两只眼
睛。(すっぽり)
6. 决不要泄气,这只不过是漫长人生中的一次小小的挫折而已。(〜でしかない)
Z看来这个国家的国民生活水平有了相当大的提高,开私家车的人增加了很多 。
(〜と見える;私家车ー自家用車)
8. 说这件事一定不行,恐怕还为时过早。再找找其他的可能性吧。(早計)
9. 不要以为自己有多高的驾驶水平,一定要遵守交通规则,出了事可就来不及
了。(〜こと;•交通规则一交通ルール)
7Q.列车沿着山脉奔驰了半天,ー侧的窗外始终呈现着旷阔的草原景色,令人感受
到大自然的无比宽广。(〜づたい;令人感受到、実感させられる)
320日语综合教程第五册
九、言葉の決まり
/.次の文には間違って使われている同じ音訓の漢字が1字ある。それを見つけて下
線を引いて、正しい漢字をあとの( )に書きなさい。
① 最近の若者は、無気力、無感動、無感心だといわれる。( )
② 私の趣味は熱帯魚を鑑賞することです。( )
③ 企業の目的は利潤の追及にある。( )
④ 実際の火災を想定して被難訓練を実施する。( )
⑤ ご好意に感謝し、一層の努力を誓います。( )
2.次の①〜⑥と、よく似た意味を持つものを、後のア〜力の中から選んで、記号で
答えなさい。
①自由自在( ) ②十中八九( )
③一挙両得( ) ④無我夢中( )
⑤多種多様( ) ⑥針小棒大( •)
ア十人十色 イ 一石二鳥 ウ縦横無尽
工一心不乱 才 九分九厘 力大言壮語
3.次の敬語の使い方として、正しければ〇、誤っていればxを( )につけな
さい。
① 私の兄がいらっしやってもよろしいでしょうか。( )
② お世話になった方に、感謝の品をさしあげます。( )
③ 先生が、早く来るようにと申されました。( )
④ ただ今、お客様がお越しになりました。( )
⑤ お客様は今、お食事をいただいております。( )
十、次の文章を読んで後の問いに答えなさい。
旅先の宿で夕食を親と一緒に食べたいと言って泣く幼児は、イギリスではわがま
まだが日本ではそうではない。それは大人と子供の時間を明確に分けるイギリスの
子育てのあり方と、幼少時は子どもを親のそばに置くことをよしとする日本の子育
てのあり方との違いをAハンエイしている。
自分がいま使っている玩具を貸してと言われて貸すことのできない幼児は、日本
では①わがままだがアメリカではそうではない。アメリカで幼児を育てた日本の若
い母親は、子どもが自分のお気に入りの玩具を友達に貸せなくてもそれはごく自然
なことだと、アメリカ人の幼稚園の先生に言われて非常に驚いたと記している。
チョコレートアイスクリームでなくては食べたくないと駄々をこねる幼界は日本
ではわがままだが、アメリカではそうではない。知り合いの若い’駐在員夫丄は、親
しくなったアメリカ人の家を訪ね、「チョコレートアイスクリームとストロベリーア
321第11課島で見たことから
イスクリームのどちらがいい?」とたずねられた。「どちらでも。」と答えると、「ど
ちらがいいかはっきりしなさいね。」と再度たずねられた。「だって本当にどっちで
もいいんですもの。チョコレートを食べたいときもあるし、ストロベリーがいいと
きもあるし。」と答えた。するとさらに「そんな答えはいけませんよ、その年齢に
なって 〇とBサトされたとおかしそうに話していた。
子育てやしつけの文化比較をすると、幼児のわがままも文化によって親や保育者
の受けとめ方が異なるということに気付く。外国に滞在して幼児を育てる親たちは
このような文化による子育てのあり方の違いを、身をもって体験するだろう。
文化によって、幼児の同じ行動がわがままであると受け取られたり、正当な自己
主張であると認められたりすることがあるのであれば、③わがままと自己主張の綱
引きは難しいC幼児のわがままは、その国の文化の社会化の方向性や対人関係の価
値からのCイツダッ行為が何であるかによって規定されることが多いからである。
そうなるとある文化のなかで、子どもの対人行動の何を問題とするかは、絶対的
な価値によるものではなく、その子どもが育つ国の大人の社会の対人関係の価値を
Dトウェイしている相対的なものであることがわかる。であるからこそ、養育者や
友だちなど他者に対する子どもの自己主張と自己抑制をどう肯むかは文化によって
異なる。
長年、文化比較の視点から、「西洋文化の独立的な自己」と、「日本を含む東洋文
化での相互協調的な自己」が対照的に論じられてきた。
ところが近年、協調性、思いやり、礼儀正しさ、我慢強さ、Eジュウジュンなど、
相互協調的自己観にドモトづき自己抑制的であると特徴づけられてきた日本人の子
どもの社会性に黄信号(赤信号?)が点っている。学級Gホウカイ、いじめ、校内暴
カ、「キレる」現象、公共の場面での④「傍若無人」なふるまいなど、従来の日本人
の対外的なイメージとそぐわない行動が目立つ。
たしかに教育現場における上記の問題行動は、何も日本の社会特有のものではなく
先進国に共通すると論じられる。しかしながら、表出上の現象は同じでも、その要因
や因果関係は文化のダイナミズムとそれぞれの国の社会構造や教育システムのなかで、
いくつかの先進国に共通する部分と、その国特有のものがあることが考えられる。
私は、日本人の子どもの集団適応型の対人行動のあり方の破綻の要因のひとつは、
対人関係における葛藤が生じたとき、自己を主張すべき場面でも、自己を抑制すべ
き場面でも、自己抑制をする「抑制一抑制型」のパーソナリティ形成の限界にある
のではないかと見ている。
自己主張は日本人の対人関係においては、⑤タブー視されてきたcさらには自分
の考えやHソッチョクな気持ちにつレ、て述べる自己表現でさえも、日本人は抑制す
る傾向にある。
子どもの発達を考えるとき、親和性と達成カ、社会性と個性のバランスが重要で
あることが指摘される。であるとすれば、他者の考えや気持ちに歩み寄り、人との
結びつきを大切にする側面と、もう一方でこれだけはどうしても譲れない、これに
ついては自分の意志を優先させたいという自律の側面と、その両方が大切であるこ
322 日语综合教程第五册
とは厂矿の理である。
下線部a〜hまでのカタカナを漢字に直しなさい。
A( ) B( ) C( ) D( )
H( )
E( ) F( ) G( )
dB 下線部①「わがまま」とあるが、どうして「わがまま」なのか。その理由を
15字以内で答えなさい。
函 |②|に入れる文を次の意味で、必ず「確立」という語を用いて15字以
内で書いて「 」に入れなさい。
どちらがいいか決められないようでは、「 」ではありませんか。
OE)下線部③「わがままと自己主張の綱引き」とはこの場合、どういうことか。30
字以内で説明しなさい。
■
dD 下線部④「傍若無人」の解釈として正しいものを次の中から選んで記号で答
えなさい。
ア、そばに人がいないようだ。
イ、そばにいない人のようだ。
ウ、そばにいない人がわかった。
エ、そばにわかい人がいないだろう。
dD 下線部⑤「タブー視されてきた」理由とはどういうものか。その理由を次の
言葉を使って答えなさい。
A自己中心 B調和 C配慮
dB に当てはまる2字熟語を考えて入れなさい。
伊呂波歌,
『以呂波威』は仮名47文字で、同じ字を二度使わないようにして作った七
五調の歌。京法大師の作と信じられていたが、実はその死後、平安中期の作
323第11課島で見たことから
とされた〇
原文:
「色は匂へど散りぬるを我が世誰ぞ常ならむ有為の奥山今日越えて浅き夢見じ
酔ひもせず」
読み方:
「いろはにほへどちりぬるを、わがよたれぞつねならむ、うゐのおくやまけ
ふこえて、あさきゆめみじゑひもせず」
現代文の解釈
花は美しく咲くけれど、いつか散ってしまうものなのだよ。この世の中で
いったい誰が永遠に生きていることがあろうか、いやありはしない。
離れることのできない無常のこの世を今日越えてきて、つまらない浅い夢
はもう見まい。そんな夢に酔ったりはしない。
・読み物
森の恵み
•山本学治
私は、最近ある仕事で、奈良県と三重県の県境に近い山村、曾爾村を訪れ
た。青蓮寺川という川が深い渓谷となって流れてゆく、その谷間が一部開け
たところに、その村はあった。川沿いの段丘一面に水田がひらかれている
が、周囲には急傾斜の山腹か迫っていた 。
私の仕事は、その山腹に「少年自然の家」を建てるのにふさわしい場所が
あるかどうかを探すことだったが、山を下りる帰り道に、この山村を囲む山
林のほとんどが植林された杉林であることに気がついた。それも十五年生
(植えてから十五年たった)くらいの若い杉の林だった。ところどころには、
ほとんど草地にしか見えない、高さーメートルくらいの苗木の斜面もあっ
た。
ふと気がついて、いっしょに歩いている村長さんに、「昔は村では炭焼き
をやっていたんでしょう。」ときいてみた。
「そうです。昔は、農業と炭焼きが村の大きな収入でした。•私の若いころ、
山一面のこの杉林は、すべて雑木林でした。」と村長さんは答え、感概深そ
324 日语综合教程第五册
うに、下に見える村落と周りの杉林とを見回した 。
炭焼きには、山村の周囲に自然に生えた広葉樹林の木材を使う。そんなに
大木では困る。つまり雑木林がいいのだ。毎年、村の人たちは雑木林の木を
切り、枝を切りそろえ、林の中のかまで焼いて木炭を作る。またまきを束に
して町に売り出す。この曾爾村だけでなく、日本全国の山村では、こうして
炭を焼き、まきを出した。町や村の大たちは、それを使って御飯を炊き、ま
た暖をとった。山村にとって、それは大きな収入源だった。
山村では何百年ものあいだ、炭焼きが続いた。しかしどこの山村でも、そ
のために雑木林がなくなることはなかった。日本全国の炭やまきの需要と雑
木林の生長とは、バランスがとれていたからだ 。
昭和三十年代、プロパンガスや燈油が、新しい熱源として全国に普及する
とともに、炭やまきの需要はほとんど消滅した。炭焼きだけの収入に頼って
いた山村では、新しい収入源を求めて、極端な場合には全員が村を去った。
それに比べれば、この曾爾村はまだ恵まれていると言える。•
田畑の収入がかなりあったし、産業として利用価値のなくなった雑本林
は、すべて伐採して杉の苗を植えた。植えた苗は、京都の北山杉と同じ種類
だ。葉が本の上部にだけ茂り、幹はまっすぐに伸びる。十五年くらいで、床
柱用に売り出せるようになったという。切って売り出した林の跡には、また
同じ杉の苗を植えるのだ。これを、林業のほうでは、皆伐大工造林と言うそ
うだ。
この人工造林は、急変する世の中の情勢に対応しようとした、村の大たち
の懸命な努力の現れであった。他の多くの山村でも同じことが行われてきた
はずだ。
人間の手で、森の姿が変わった。
雑本林に囲まれ、炭焼きの煙があちこちから立ち上っていた 、昔の光景を
知っている村長さんにとって黒々した杉林が山一面に広がったこのながめ
は、さぞ感慨無量のことだろう。
そのことはいい。曾爾村は、そうする以外に生き延びる方法がなかったか
らだ。
けれども君たちは知っているだろうか。第二次大戦後、いや、その戦争中
の強制的な本材の大量の伐採と供出の時代も含めて現在に至るまで、「皆伐
人工造林」が全国的に進められてきたことを。
建築用材の需要の増大、ベニャ産業の大規模化、そして激増するパルプ需
要の増大。また、本を切り山奥からそれを運んでくる技術も機械化され 、必
要ならば数か月で一山全部を切ることだってできるようになった。チェーン
ソーという機械のこは、一抱えもある巨本を二、三分で切り倒してしまう。
建築用材として有名だった秋田杉や本曾谷の檜の天然林は 、この二十年間
325•第11課島で見たことから
の乱伐で著しく減少し、若い苗木の人工林と化した。最近の新聞で見ると、
屋久島の杉林の一部でも、製材業者の機械のこがうなっているそうである。
なるほど皆伐人工造林の方式では、切った後には必ず苗木を植える。五十
年か百年の後にはりっぱな人工林になるだろう。けれども、今切っている天
然林の多くは、数百年の巨木なのだ。今のペースで伐採を続けたら、人工林
の生長は、とても天然林の消滅に追いつけない。
現に、昭和四十八年の林野庁の国有林調査によれば、昭和三十年以来、伐
採量が生長量を上回るようになり 、昭和三十三年から以後は、毎年、生長量
の二倍に近い木が伐採されてきたという。これは国有林だけの話だが、国有
林が全国保有量の四二パーセントを占めていることを考えれば、恐らく、日
本全国の森林が保有している木の総量も減っているのであろう。
曾爾村のような山村が、生き続けるためには、皆伐人工造林をすることは
やむを得ない。けれども、高度経済成長を続けた日本の現代社会の木材の消
費を、日本の森林の総量を減少させてまで確保する必要があるのか。
答えは明らかだ。
我々は、森林の生長と見合うまで、木材の消費量を調節し、下げなければ
ならない。なぜなら、我々は木材以外のさまざまな材料とそれを応用する技
術を持っている。社会生活の消費のあり方は調節することができる。しか
し、.森林の生長は、たとえそれが人工林であっても、自然現象であって、人
手を加えてそれを早めることはできないからである。
しかも、「日本の森林」という本を書いた四手井綱英という林業の先生は、
森林を単なる木材生産工場として単純に割り切ってはいけない 、と警告して
おられる。
生長量と伐採量が見合うだけではいけない。森林は、洪水や山崩れの防
止、環境の維持、レクリエーションの場など、間接的ではあるが重要な役割
を果たしてきた。しかし、もっと大きく考えて、我々人間は、地球上の森林
による炭酸同化作用が作り出す酸素を吸って生きているのだ。人間が地球上
の自然生態系の一部である以上、我々はそのような目で森林を見 、その自然
さを維持しなければいけない。
というものである。私も全く同感だ。
昔から日本人は、木材を愛すると同じように、森林の自然さを本能的に尊
重してきた。弥生時代から今までの二千年間、建築や家具造りのために多く
の木を伐採したが、天然林の自然さを乱すまでに森林を切り開こうとはしな
かった。何百年続いた炭焼きでもそうだった。
また、必要な紙も木から作っていた。それでも森林は、もとのままの姿を
保っていた。
もちろん今の木材消費量を、江戸時代の昔に下げることはできないし、戦
326日语综合教程第五册
争前の水準に下げることさえ難しいだろう。
けれども、高度経済成長以来の木材消費の増大が異常であることは明らか
だ。それは、よく言われるように、第一に、自己の生産設備のために安い木
材を湯水のように消費してきた日本の各種産業の急激な発展であり、第二
に、消費は美徳だという妙な理屈におどらされてきた現代日本人の生き方の
問題であり、第三に、そうした動向に乗じて生産拡大だけを目指した木材関
係企業の体質の問題であり、第四に、自然の生長の限界を明らかにして、こ
のまま進んだらどうなるかを明確に示すことのできなかった科学枝術の未熟
さの問題であろう。
私は、これからの日本人がこうした問題に一生懸命に取り組んでいったな
ら、目的は達せられると思う。
その目的とは、森の自然さや生長とのバランスをとって本を使う、という
ことだ。
(『新しい国語二』東京書籍より)
注釈
❶ 山本学治(やまもと がくじ)(1923〜1977)
東京都生まれ。建築学者。著書に『建築学大系』『現代建築と技術』『素材と造型の歴史』などがある。
❷三重県(みえけん)
近畿地方東部の県。伊賀・伊勢•志摩三国の全域と紀伊国の東部を管轄。県庁所在地は津市。面積
5774平方キロ メートル。人口184.9万。全13市。
❺曾爾村(そにむら)
奈良県宇陀郡(うだぐん)にある村。
〇 少年自然の家(しょうねんしぜんのいえ)
中学生や小学生が自然の中で数日間を暮らすための施設。
❺木曾谷(きそだに)
長野県の南西部、木曾川上流の渓谷一帯の総称。古来中山道が通じ、重要な交通道路をなす。木曾
桟道•寝覚の床・小野滝の三絶勝があり、ヒノキその他の良材の産地。
0屋久島(やくしま)’
鹿児島県大隅(おおすみ)諸島に属する島。種子島の南西。面積503平方キロメートル。中央部の宮
之浦岳がある。樹齢千年以上の屋久島杉自然林があり、世界自然遺産に指定。
〇 四手井綱秀(しでい つなひで)
1911年に京都府の生まれ。森林生態学者。
❽・弥生時代(やよいじだい)
日本古代の一時期で、縄文時代の後、古墳時代の前の時代。縄文時代に続く前3世紀ごろから後3
世紀ごろまで。大陸文化の影響を受けて水稲耕作や金属器の使用が始まり 、銅剣・銅鐸(どうたく)
などのほか鉄器も用いられる。
第ii課島で見たことから327
歳時記
本文
五月に出会う
•谷川俊太郎
五月といえばもう初夏である。だが日本では、夏の初めがまっすぐに夏へ
は続いてゆかない。間に梅雨といううっとうしい季節がはさまる。梅雨は季
語としては夏に分類されるようだが 、私の感じでは夏ではなく、かといって
もちろん春でもない。何か四季から少しはずれた特殊な季節のような気もす
るのである。
統計的にみると、入梅の日付は五月四日から六月二十二日までの間に分布
しているそうだが、私の心の中では五月という月は、やはり五月晴れの五月
である。それはまぶしくきらきらと輝いていて、しかも"乾いている。あとに
梅雨をひかえているから、よけい対照的にそう感じられるのだ。
そういえば五月晴れということばは、昔は旧暦で梅雨の中休みの晴れ間を
さしていたという。今は新暦で五月初旬の、たとえば鯉のぼりの勢いよく泳
いでいる晴天をさすようだが、そのいずれにも、私は秋晴れとはちがったも
のを感ずる。五月晴れには秋晴れにない予感のようなものがある。
秋晴れはそれ自体で充足していて、あとにはもう何も残っていない。か
らつと晴れあがったという、そのからっぽな感じにむしろすがすがしさがあ
るのだが、五月晴れにはそういう底が抜けたような安心がない 。かすかない
らだちといわれのない希望がある。
梅雨という薄暗い季節をぬけて、その先に夏がある、そのことへの期待や
欲望がそんな感情を呼びさますのはたしかであるが 、同時にそのいらだちや
希望は、もっと形のないものにも向かっていると私は思う。日時はややずれ
るけれどもそれをキリストの復活に結びつけ、派手な帽子で発散してしまう
人びともいるわけだが、私にとってはその表現は何であろうとその中心は、
自分一個のこの生きている肉体に帰ってきそうである。すなわちそれは私と
328 日语综合教程第五册
いう一個の生物の生命欲のようなものに結びついている 。それゆえにそれは、
自分に発し自分に帰る一種自己中心的な息苦しさを伴うのである 。
そんなときに私を襲う予感は、だから他人への思いやりなどというものは
一切含んでいない。世界はどうあろうと自分は生きるのだという盲目的な予
感なのであって、それはもちろん論理的なものではあり得ないし、こうして
それを他人に語ることすら無意味なのかもしれない。
けれどそうした生きることへの衝動が、私にとっては大切なものであるこ
とは疑いない。私に人を愛することができるのも、詩を書くことができるの
も、もしかすると他人のために自分を犠牲にすることができるのも、すべて
はその力が源になっているからである 。
他人からではなく自然から、いやもっと深く宇宙そのものから直接に生き
る力を得るというのは、何も私だけの特権ではなかろう。あらゆる人が知ら
ず知らずのうちに同じことをしていると思う。社会の中での他人との関係と
いうものにも、その根元には一個の生命体としての人間の盲目的で自分中心
の生命力が働いている。いわばそういう絶対的な孤独から、人間はつねに新
しく関係を出発させると私は考えている。
だからこそ我々には他人に対して想像力を働かせる必要があるのである。
とくに遠い他人に対してはそれよりほかに結ばれようはない。そしてそのた
めには、我々は自分のエゴイズムをできる限り深くつきつめるしかない 。自
分の生命欲とまったく等しい生命欲を 、他人の中に認めるしかない。想像力
によって呼びさまされるものは、安易な同情などではない。それは欲望と欲
望のせめぎあう無間地獄なのである。
現代の都会に住む人間にとっては、季節感などないに等しいという意見が
ある。かってそう思ったこともあったが、今は私は信じない。街に一本の街
路樹がある限り、空に本物の太陽がかいま見える限り、季節は我々について
まわり、我々に新たに感ずることを強いる。季節は移り、季節はまた来ると
しか感じないのは、すでに自分で感じていない証拠ではないか?
街角で出会うにおいのようにはかないもの 、そのときふと動いた自分の心
のひだに分け入る余裕があれば、そこに何と多くのものがかくされているこ
とだろう。際限もなく自分をみつめることが他人につながり、世界につなが
ると、このごろようやく私にも分かってきた。〈汝自身を知れ〉とは、恐ろし
いことばだと思う。近い他人への思いやりはあっても、遠い他人への想像力
の働かなかった自分に、やっと私は気づきはじめている。
かつての五月に、私は自分のたましいにのみ気を奪われていて、他人など
というものにはとんと思いが及ばなかった。青葉の輝きは私の目のたのしみ
のために存在し、それを目にする束の間の幸福を私は当然のものとして私有
していた。
第12課歳時記 329
今もそれに変わりはないし、その幸福を感ずる能力を失っては、私に人の
不幸を感ずることもなくなるだろう。けれど今はその幸福の肉感がひとつの
相対的なものとして感じられる。答えは何ひとつ出ていなくて、かすかない
らだちといわれのない希望は、やはり私を息苦しくさせるのだが 、五月に出
会うたび、私が五月によって年輪のある部分を加え得ているということもま
た、私には信じられる。
(『散文』講談社より)
※※※
H—月の憂鬱
•渡江专一
H一月の北海道は暗い。寒々として、陰鬱である。
もっとも陰鬱なのは、なにも一月にかぎったわけではない。真冬で、終
日、雪の降り続く日も暗いし、真夏にも雨雲に厚く閉ざされているときもあ
る。
いつの月でも暗い日はある。
4だが、一年のうちで、 一月の暗さだけは格別である。鉛色でぬりこめら
れた空を見ているだけで気が滅入る。
Hそれはおそらく、 -一月が冬への入り口であるからに違いない。この月が
終ると、間違いなく冬が訪れる。その気の重さが、十一月をいっそう暗く、や
りきれないものにさせる。
Hかつて僕が札幌に住んでいたころ、 一月になるときまって心が揺れた。
一日、晴れたかと思うと、翌日はもう低い雲の下、終日冷雨が訪れる。そ
れがときに霎になり、夜からさらに冷えこんで雪になったりする。
朝、晴れていても庭は霜でおおわれ、その下で立枯れの草木が眠っている。
それは白と褐色だけの、死の世界そのものとも見える。
わずかに葡萄棚が空に向かい、その黒い粒に朝の陽がさすとき、辛うじて
生きているものが残っているのを知る。ななかまどの赤い芽が、空に浮ぶた
だーつの色である。
晴れても空の色には、もう秋のやわらかさはない。蒼といっても、それは
死人の唇の灰色がかった蒼に近く、秋空の透明感にはほど遠い。
短い晴れ間のあと、また冷雨がきて、霎がくる。再び思い出したように晴
れた日がきて、翌日はもう雪に変る。
H-一月の空は目まぐるしく動き、いっときといえども安心できない。
330日语综合教程第五册
暗く、確実に冬へ向かう空を見ながら 、「いっそ早く、冬になって欲しい」
と願った。
冬になるなら、きっかりと冬になるといい。野も山も街も、思いきり白い
雪でおおわれるといい。
中途半端な生殺しはいやだ。
北国の一月は、まさしく生殺しの季節である。暖かくなる当てもないの
に、ときにふと晴れて見せ、もしや、という期待を抱かせて、また冷雨を浴
びせる。
折角、夏への愛着を絶ちきろうと心を決めたのに、ときに気紛れのように
陽光を届ける。それが訪れる度に、ようやく固まった冬を迎える決心が鈍る。
この苛々した気持ちは、あきらめかけた人から、時に電話をかけられるの
に似ている。もう別れようと決心がついたのに、その心を弄ぶように声をか
けてくる。
Hまさしく、 一月は「悪女」に違いない。あるいは「憎い男」というべきか。
ともかく、僕は一月の北海道は嫌いである。僕が生まれ育った土地では
Hあるが、 月だけはいただけない。
この月になると、僕はいつも「南の国へ行きたい」と思った。もっと太陽
の明るい、色彩の豊かな南の街へ行きたいと願った。
いま東京に住んで、ときに北海道に帰っても、その気持ちは変わらない。十
一月の定めのなさは、やはりいまも僕を苛立たせる。
北海道に行く人がいると、僕はきまって「十一月だけはやめなさい」とい
う。あの一寸刻みに冬へ向かう、思わせぶりで冷酷な季節の移ろいは許せな
い。
晴れては降り、降っては晴れる、空は暗く道は汚れる。それは雪どけどき
の三月も同じである。 ,
だが三月のほうはまだ許せる。それは間違いなく季節が春に向かうからだ 。
冬に向かい、なお陰鬱な十一月とは違う 。
この感覚は札幌がいかに近代化し、ビルが建ち並び、暖房が完備し、住み
やすくなったとしても変らない。自然はそんなことにかまわず、毎年確実に
暗く、重い季節を送り届けてよこす。
おそらくどこの土地にも、感心しない季節というものがあるに違いない。
このときだけは、初めて行く人にすすめたくないという季節である。東京で
いえば、梅雨の六月とか、酷暑の八月とかがそうかもしれない。京都も八月
とか、底冷えのー、二月は感心しない。
東北や北陸はもちろん、気候のいいといわれる湘南や山陽道にも、それぞ
れに厭な季節があるに違いない。 0
その土地に住む人々が、どうしても感心しないという季節がある。そして
第12課歳時記 331
それは、その土地に住んだ人にしか、わからないものかもしれない
(『日本の名随筆20冬 歳時記』文藝春秋より)
注釈
〇谷川俊太郎(たにがわしゅんたろう)
1931(昭和27)年〜。詩人 東京都生まれ。21歳の時(1952年)に出版された第一詩集『二十億光年
の孤独』により戦後詩の新人として注目を浴びた。そして、現在に至るまで、現代詩人の中で最
も大衆的と評価され、トップランナーとして活躍している。詩集に『六十二のソネット』『ことば
あそびうた』などがある。また、詩の枠だけにとどまらず、随筆や翻訳をはじめとして、ラジオ、
テレビ、映画、ビデオなど多岐にわたって活躍している。翻訳には『マザー ・ダースのうた』な
どがある。また、『鉄腕アトム』の主題®Cの作詞者でもある。
❷旧暦(きゅうれき)
太陽暦以前に用いられた太陰太陽暦。陰暦ともいう。日本では明治5年まで公式に使われていた
暦。新月から新月までを1ヶ月とし、元旦を立春のころにきめてつくったものである。自然現象と
の食い違いを閏月で調整する。
❸キリスト(Chrisり 基督,耶苏
キリスト教の祖。ローマ支配下のユダヤ人がメシア(救世主)を待望していたときに世に現れ、神
の国を説いたナザレのイエス。
❹キリストの復活
キリスト教・ユダヤ教などで、人間は死後再びよみがえるという信仰。特にキリスト教でイエス
=キリストが死後三日目に生き返ったこと。また、最後の審判の日に万人が生き返ること。ここ
では、キリストの復活を記念する祭典をいう。春分後の最初の満月の後の日曜日に行なわれる。
❺「汝自身を知れ」(なんじじしんをしれ)
ギリシアのアポロン神殿の玄関に刻まれていたといわれる言葉。
❻渡辺淳一(わたなべじゅんいち)
昭和8(1933)年〜。小説家。北海道上砂川町の生まれ。札幌医大卒。医学博士。中学時代から短歌
に親しみ、のち医学と文学を志す。母の死を医者の目で捉えた『死化粧』で新潮社同人雑誌賞を
受け文壇にデビュー。運命の力に翻弄される人間のかよわさを描いた『光と影』で直木賞を受賞。
作品はほかに『小説・心臓移植』『リラ冷えの街』『雪舞』、植物人間の安楽死を医学と倫理から問
いた『神々の夕映え』など多数がある。
〇札幌(さっぽろ)
北海道石狩平野南西部にある市。北海道庁•石狩支庁•北海道大学の所在地。ビール、酪製品な
ど食品工業が盛ん。人口175.8万。
〇東北(とうほく)
奥羽地方、すなわち福島、宮城、岩手、青森、山形、秋田6県の総称。東北地方。
❾北陸(ほくりく)
富山、石川、福井、新潟4県の総称。北陸地方。また北陸道の略。
®湘南(しょうなん)
相模湾沿岸地帯の称。葉山、逗子、鎌倉、茅ヶ崎、大磯などを含む。夏季は海水浴場が多く、冬
季は比較的温暖で京浜の避寒地。住宅地化がすすんでいる。
332日语综合教程第五册
(D山陽道(さんようどう)
五畿七道のー。播磨(はりま)•美作(みまさか)•備前(びぜん)•備中(びっちゅう)•備後(びんご)・
安芸(あき)•周防(すおう)•長門(ながと)の8ヶ国。また、これらの諸国を通ずる街道。かげとも
のみち。せんようどう。
新しし、言葉
うつとうしい [形] ①天気がよくない。どんよりと曇っている。Z沉
闷,郁闷,阴郁。②何となく憂鬱で、心がはれ
季語(きご) [名] ばれとしない。/厌烦,不痛快。
文学の世界での連歌や俳句で、季節を表すこと
入梅(にゅうばい) [名] ばとして読み込むように決められていること
日付(ひづけ) [名] ば。/表示季节的词。
五月晴れ(さっきばれ) [名] 梅雨に入ること。梅雨入り。/入梅。
書類などに書き込む年月日。/年月日,日期。
まぶしい(眩しい) [形] ①5月の、よく晴れ渡った、さわやかな天気。/
旧暦(きゅうれき) [名]
晴れ間(はれま) [名] 5月的晴天。②さみだれの間のはれま。/梅雨中
新暦(しんれき) [名]' 的晴天。
初旬(しょじゅん) [名] 光があまりに強くて、じっと見ていられない。/
晴天(せいてん) [名] 晃眼,耀眼。
秋晴れ(あきばれ) [名] 月の満ち欠けを基準として作った暦。陰暦。/旧
历,阴历,农历。
からっぽ(空っぽ) [名・形動] ①雲がとぎれ、青空がのぞいているところ。/云
いら立ち(苛だち) [名]• 隙。②雨や雪などがやんでいる間。/(雨或雪的)
呼び覚ます(よびさます) [他五] 暂时停下。
太陽暦。陽暦。/阳历,新历。
日時(にちじ) [名丁 ひと月をio日ずつ三つにわけたうちの、はじめ
の10日間。中旬、下旬と続く。/初旬,上旬。
晴れ渡った空。天気のよいこと。/晴天,(天气
预报)晴。
秋の、青く高くはれあがった、さわやかな空の
ようす。また、そういう日のようす。/秋天里
的晴天,秋高气爽的天气。
中になにもはいっていないこと。/空,空虚。
気持ちがいらいらすること。/焦躁。
①呼んで目を覚まさせる。/叫醒,唤醒。②忘
れていることを思い出させる。/想起,勾起。•
会合や行事、出発予定などの日と時刻。/日期
第12課歳時記 333
和时间。
ずれる [自ー] ①上下や左右に滑ったようになって、正しい位
置から少しはずれる。/离开,移动,错位。②
基準や標準となるところから 、はずれる。/背
离,偏离。
発散(はっさん) [名•自他サ] ①中にたまっていた熱やにおいなどを外へ出す
こと。また、外に出ること。/发散,发射。②自
分の中にたまっていたもやもやしていたものを
外へ出して、すっきりすること。/发泄力气,发
泄精力。
思いやり(おもい遣り) [名] (いたわる気持ちで)その人の立場になって、親
切に考えること。/同情心,体谅。
盲目的(もうもくてき) [形動] 感情に引きずられて、理性を失い、分別を欠く
さま。/盲目的。
衝動(しょうどう) [名]. ①心を激しく動かすこと。急激な心の動揺。Z
(精神上的)打击,震惊。②善悪などの判断を伴
わないで反射的•本能的に物事を行おうとする
急激な心の動き。/冲动。
疑い(うたがい) [名] 疑うこと。/疑问,怀疑。
知らず知らず(しらずし [副] 自分で気づかないうちに、ある行動をする(あ
らず) る状態になる)ようす。無意識のうちに。/不知
不觉,不由地,无形中。
根元(こんげん) [名] ものごとをひきおこすおおもと。/根源。
いわば(言わば) [副] たとえて言うならば。/说起来,可以说。
エゴイズム(egoism) [名] 利己主義。エゴ。/利己主义,自我主义,自私
自利。
等しい(ひとしい) [形] 二つ以上のものが、同じである。/相等,相同,
等于。
安易(あんい) [形動] 努力したり、深く考えたりしないでいいかげん
欲望(よくぼう) '[名] である。/容易,轻而易举。
(最低限に必要なものが備わっても、それ以上
に)何かをしたい、あるいは何かがほしいとい
う望み。また、ほしいと思う心。不足を感じて
これを満たそうと望む心。/欲望。
せめぎあう(せめぎ合う) [自五] お互いに、対立してうらんだり、争ったりしあ
う。/相互憎恨;相互竞争ー
無間地獄(むけんじごく [名] (仏教で)八大地獄の一。五逆罪を犯した者が絶え
・むげんじごく) 間ない苦しみを受けるという地獄。/阿鼻地狱。
334日语综合教程第五册
かいま見る(垣間みる) [他ー] 隙間からちらりと見る。ちょっとのぞく。/窥
街角(まちかど) [名] 视,偷看。
はかない(果敢無い) [形] ①町の通りの曲がり角。/街角。②街のあたり〇/
街街巷巷。
ひだ(裝) [名] ①たしかでない。期待どおりでなく、たよりに
ならない。/不可靠,虚幻。②長く続くことが
分け入る(わけいる) [自五] なく、むなしい。/短暂,无常。
袴・衣服類に細く折り畳んである細長い折り
際限(さいげん) [名] 目。ひだめ。また、そのように見えるもの。/褶,
汝(なんじ) [代名] <,皱纹。
いわれ [名] かきわけながら奥のほうまで入っていく。/推
开进入,拨开进入。
年輪(ねんりん) [名] そこでおわりというところ。/止境,尽头。
「おまえ」に当たる古い言い方。/你。
寒々(と)(さむざむ) [副] ①古くから伝えられたことがある。由来。いわ
<〇 /来历,来由,因由。②わけ、理由。/缘故,
終日(しゅうじつ) [名] 缘由、理由。
①樹木の横断面に見られる同心円状の層。一年
雨雲(あまぐも) [名] に一層でき、樹齢を知ることができる。/树木
的年轮。②比喩的に、技芸や人物の発展•成長
鉛色(なまりいろ) [名] の歴史の積み重ね。/技艺经验,历史的年轮。
ぬりこめる(塗り込める) [他ー] ①いかにも寒そうな様子。/冷冰冰,冷飕飕。②
情緒がなく寂しい様子。みすぼらしい様子。/萧
冷雨(れいう) [名]
冷えこむ(ひえ込む) [自五] 索’凄z了、。
褐色(かっしょく) * [名] 朝から晩まで。一日中。ひねもす。/整天,终
日。
葡萄棚(ぶどうだな) .[名] 乱層雲のこと。暗灰色の低い雲。ふつう全天を
ななかまど(七竈) [名]. おおい雨や雪をふらせる。/雨云,阴云。
鉛の色に似た、青みをおびた灰色。/铅灰色。
ものを中に入れ外側からすっかり塗ってしま
う。/用泥巴封住。
(文)冷たい雨。/冷雨。
①寒さがきびしくなる。/骤冷,气温急剧下降。•
② 体の中まで冷えてしまう。/着凉,发冷。
(栗の皮のような)黒っぽい茶色。こげ茶(色)。/
褐色・。
葡萄を栽培する棚。/葡萄架。
ばら科の落葉高木。山地に自生する。樹皮は灰
第12課歳時記335