相対(あいたい) [自サ] ①(二つのものが)互いに向かい合う。/相对,对
ひきこむ(引き込む) 面。②反対の立場に立つ。対立する。/敌对,对
映像(えいぞう)
立。
紗(しゃ)
相棒(あいぼう) [自五] ①ひいてきて、中まで入れる。/引进,拉进来。
上機嫌(じょうきげん)
はやる(逸る) ②誘って中に入れる。/引诱,拉拢。
みぞれ(奏)
これしき [名] ①光線によって映し出される物体の像や、スク
割れる(われる)
リーンやブラウン管に映し出される画像。/映
切り裂く(きりさく)
はぐれ桜(逸れざくら) •像,影像。②頭の中に描き出された物の姿や有
新芽(しんめ) 様。/形象,印象。
きっぱり
ぬれぬれ [名] 糸をからみあわせて織った、・目があらくうすい
すっきり 絹織物。夏の羽織などに使う。/纱,薄绢。
情念(じょうねん) [名] 仕事などをいっしょにする相手。/同事,搭挡。
[名・形動]機嫌がたいへんいいこと。また、その様子。/情
绪彳艮好,心情愉快,非常高兴 。.
[自五] やりたいことを早くやろうとして気おいた
つ。/心情振奋,急躁,着急。
[名] 雨と雪がまじって降るもの。/雨夹雪,雨雪交
加。
[名] 「たかがこれぐらい」と、軽く見て言うこと
ば。/这么点儿(小事)。
[自ー] ①二つ以上に分かれて、離れる。//破裂,裂开,
分散,分裂。②こわれる。/碎,破碎。③(秘密
などが)明らかになる。/暴露,泄漏。④割算で
あまりが出ない。/除尽,除得开。
[他五] 切って二つに離す。切断する。/切开,劈开。
[名] ①開花時期より遅れて開花した桜のこと。/晚
开的樱花。②本文では群れから1本ぽつんとは
なれた桜のこと。/离群的樱花,单棵樱花。
[名] 新しく萌え出た芽。若芽。/新芽,嫩芽。
[副・自サ]あいまいでなく、はっきり。断固として。/断
然,干脆,斩钉截铁;清楚。
[副] なめらかですべるさま。粘液などに触れたよう
な感じにいう。/又滑又粘。
[副・自サ]①のこすところなく、みんな。/舒畅,畅快,痛
快。②煩わしいものや、はっきりしないものが
ないようす。また、そのために、気分がさわや
かなようす。/流畅,通畅,整洁。
[名] 心に深く付き纏って、思い切ろうとしても思い
186日语综合教程第五册・
切れない感情。/感情,情感。
放つ(はなつ) [自五] ①解き放す。放し飼いにする。/放养,散养。②
動ずる(どうずる) 遠ざける。追放する。/驱逐,流放。③光・匂
散り急ぐ(ちりいそぐ)
奥底(おくそこ) い・音などを発する。/’散发,发射。④発射す
潜む(ひそむ)
る。射る。/发射,放,射,开。•
溶(融・解)かす(とかす)
[自サ] 驚いて落ち着きを失う。/动摇,心慌。
しこり
[自五] 急いで散ってしまう。/匆匆谢落;匆匆凋谢。
落ちあう(おち合う)
追い立てる(おいたてる) [名] 奥深いところ。Z底蕴,深处。
すがる(縄る) [自五] ①ひそかに隠れている。忍んでいる。/藏在(心
帰京(ききょう) 里)。②まだ外からはそれと分からず内部に存
海鳴り(うみなり)
小降り(こぶり) 在する。潜伏する。/隐藏,潜伏。
吹き渡る(ふきわたる)
酔狂(すいきょう) [他五] ある液体に他の物質を入れて均一な液体にす
しげしげ(繁繁)
横なぐり(よこ殴り) る。溶解させる。また、加熱するなどして固
まっているものを液状にする。/溶,溶化。
[名] ①筋肉や皮下組織などの一部がかたくなるこ
と。また、そのかたくなった部分。/聚缩,发
硬。②いやなことがあったあとの、すっきりし
ない感じ。/疙瘩,隔膜,隔阂。
[自五] 約束しておいてそれぞれが出向いて一緒にな
[他ー] る。Z相会,会合,汇流。
追い払う。追いやる。/赶走,轰走,驱逐。
[自五] ①頼りとする人やものを、はなすまいとして、
必死にしがみつく。/抱住,搂住,缠住。②人
の情けや助けを頼りにする。/依靠,依赖。
[名・自サ] 都へ帰ること。今では普通東京に帰ることをい
う。/返京,回首都。
[名] 遠くでも聞こえる海の波のひびき。波が海岸に
ぶっかるために起こる。/海鸣,海的隆隆声。
[名] 雨や雪の降り方が弱いこと。少し降ること。Z
(雨,雪等)下得小。
[自五] 風が(ある所、またはあたり一面を)吹いて通
る。/(风)刮得远,到处刮风。
[名•形動] しなくてもいいことを、ものずきで、わざわざ
やろうとする。/好奇,异想天开,想入非非。
[副] ①何度となく。/屡次,频繁,三番五次。②よ
くよく。じっと見つめるさま。/端详,凝视。
[名] ①横の方から勢いよく殴るようにすること。/
从旁边打。②風雨が横から強く吹き付けるこ
第7課紅山桜187
と。/(风雨)从侧面吹打。
風情(ふぜい) [名] ① そのものの独特の情緒•味わい。いかにもそ
かじかむ(悴む) れらしい趣。/风趣,趣味,情趣,(别有)风格。
ぬれそぼつ(濡れそぼつ)
あわあわ(と) ② ようす。ありさま。けはい。/样子,情况。
眺望(ちょうぼう)
赤茶色(あかちゃいろ) [自五] 寒さのために、手足の指先が凍えて動かしにく
炎(ほのお)
立ちつくす(たち尽くす) くなる。/冻僵。
しぶき(飛沫)
銀色(ぎんいろ) [自五] しずくがたれるほど、びしょびしょに濡れ
ひっかく(引つ搔く)
はげる(剥げる•禿げる) る。/湿透。
闘い・戦い(たたかい) [副] 薄い薄い。淡々とした感じ。/淡淡的,浅浅的。
傷あと(きず跡) [名・他サ] 景色を遠く広く見渡すこと。また、その眺め。
移ろい(うつろい)
展望。/眺望,瞭望;风景,景致。
相(そう)
[名] 赤みがかった茶色。/红褐色。
後日(ごじつ)
予兆(よちょう) [名] 気体が燃えるときに見える火の先。火炎。/火
焰,火苗,火舌。
[自五] 動こうとしないで、その場にじっと立つ。/站
到最后,始终站着。
[名] 空中に飛び散る、細かい水の玉。/飞溅的水沫,
水花。
[名] 銀のような色。しろがねいろ。/银色。
[他五] 先の尖ったものや爪などで、ものの表面を傷っ
けるようにする。/搔,挠。
[自ー] ①表面がむけはなれる。はがれる。/剥落,脱
落。②頭髪がぬけおちる。転じて、草木がなく
なって山などの地肌が露出する。/头发脱落;
秃,秃山。
[名] ①打ち合うこと。/斗争。②戦争すること。/战
斗,战争。③技芸などの優劣を争うこと。/竞
赛,比赛。
[名] 傷の付いたあと。傷が治って残ったあと。/伤
痕,伤疤,创伤。
[名] ①次第に移ってゆくこと。変遷。/变化,推移。
②色の衰えること。盛りの過ぎること。/退色,
衰弱。
[名] ①すがた、ありさま。外見、形状。/外表,相
貌。②物にあらわれた吉凶。また、それを見る
'[名] こと。/(凶吉之)相。
ある日より後の日。今後。/将来,日后。
[名] あらかじめ現れるきざし。事の前触れ。/预兆。
188 日语综合教程第五册
七ケ調子に乗る(ちょうしにのる) 顺手,顺当;得意,得意洋洋」
(仕事などの)進みぐあいがよくなる様子や、おだてられて、得意になって軽
はずみな言動をする様子を表す。
❶ その日、彼女は調子にのらなかったし、私も拍子抜け気味であった。(那天,
她没有兴致,我也有点提不起劲来。)
❷ 今度は調子に乗りすぎて失敗を招いてしまったので、しっかり教訓を汲む
べきだ。(这次失败的原因在于过分得意,所以应该好好地吸取教训 。)
❸ なかなかうまく進まなかった仕事が、最近ようやく調子に乗ってきて、なん
とか期限に間に合いそうだ。(这工作一直进展不顺利,最近总算顺当起来了,
看来好像还能赶上工期。)
❹ 彼女が入ってから店の経営がだんだん調子に乗ってきたようだ。(自从她进店
以后,经营状况慢慢地开始顺利起来了。)
q〜じみる(沾)上…;修…似的 j
接尾語。名詞について動詞を作る。染み付く。染まる。それがしみついて汚
くなる様子や状態に感じられたり、また「〜らしく見える」「〜のようになって
いく」という意味を表したりする。一般に好ましくない意味を表すことが多い。
❶ もう30年以上も都会を離れて農村で暮らしてきたので、彼はもうすっかり
田舎じみたものに変わってしまった。(离开城市到乡村生活已经有30多年了,
他完全变成土味十足的乡下人了。)
❷ そんな子供じみた格好はやめなさい。短いスカート、大きなリボン、もうい
い歳なんだから相応の服装をしたらどう。(不要再打扮得像小孩子似的,什
么短裙,蝴蝶结,都这年纪了,要穿些相称的衣服。)
❸ 垢じ次た萌黄色の毛糸の襟巻がだらりと垂れ下った膝の上には大きな風呂敷
包みがあった。(一条脏兮兮的淡绿色毛线围巾一直奪拉到放着ー个大包袱的膝
头上。)
❹部屋に入ると、いつも彼が身につけていた油也た作業服は無造作に椅子
に掛けられていたが、彼の姿はどこにも見当たらない。(走进房间只见他平
时穿着的沾满油污的工作服被随意地扔在椅子上 ,却不见他的人影。)
M〜ぞい過萱,顺着
接尾語。名詞について長く続いているものにはなれずに並行して進むことを
第7課紅山桜189
表す。
❶ 僕たちの乗る車は国道dの小さな村を、いくつか通り過ぎ、その道端では
子供たちが、通る車を相手にバナナやパパイヤを売っていた 。(我们乘坐的
车沿着国道行驶,沿途经过好几个小村庄。路边ー些小孩子向路过的乘车人推
销着香蕉和番木瓜等。)
❷ 僕はドライブで海岸性の道路をゆっくり走った。春風に海の香りがして
とても気持ちのいい1日だった。(我开着车悠哉悠哉地沿着海岸行驶。春风
送来了大海的气息,真是令人心旷神怡的 1天。)
❸ 家の近くに小川があって、私は毎日夕食の後、その川・の小道を散歩す
る。(我家附近有条小河,每天吃完晚饭我都会沿着河边的小路散步 。)
❹ 街道墊2には商店が軒を連ね、客寄せの人の姿もそこらに見られる。(沿街
的商店鳞次栉比,还可以看到在那里揽客人的身影。)
姓 腰を据える(こしをすえる) 稳坐不动,不慌不忙;久住下去J
!.. 一…….,一_____ 一……久眉__________________一…____ j
慣用句。一定の場所に落ち着いてとどまる。また、他に気をとられないで、
じっくりと一つのことをするさまを表す。尻を据える。
❶ 旅から旅に明け暮れてきた私だが、この町は居心地がいいので、当分ここに
腰を据えることにした。(我虽然以四海为家,然而这个小镇却让我感到格外
舒适,于是决定在这里住上一段时间。)
❷今度の夏休みにはほかは何もせず、じっくり腰を据えて古典を読もうと考
えている。(这次暑假我决定什么都不干,安下心来好好看看古典作品 。)
❸ こんどの交渉相手は甘くないとみた。しっかり腰を据えてかからないと、え
らい目にあいそうだ。(我看这次谈判的对手不简单。如果不沉着应对的话,有
可能会遭殃的〇 )
❹ 入試まであと半年しかない。これからは真剣に腰を据えて勉強しないと、
あっという間に時は過ぎていくよ。(离考试只有半年时间了,从现在开始不
认真复习的话,时间转眼间就会过去的。)
匕拿 しょせん(所詮).归根到底,终究,反正,终归 j
副詞。あれこれ考えてみたが、結局は〜だという意味を表す。結局は。最後
に行き着くところ。多く否定的な意味の語句を伴う。
❶ プロが相手じやしょせん勝ち目はない。しかし、こういう体験も大事だから、
勝てなくてもいいから、試合に出なさい。(如果对方是职业选手,那终究是毫
无胜算的。但是这种体验也相当重要,即使不能取胜,也一定要参加比赛 。)
190日语综合教程第五册
& ロボットが進歩したといっても、しょせんは機械に過ぎないc意外なこと
が起こった場合は、やはり対応できない。(机器人再怎么进步,终究是机器,
一旦发生意外的事情,它是无法应付的。)
❸ いくら航空運賃が安くなったといっても、庶民にとってヨーロッパ旅行は
しょせん高嶺の花だ。(不管机票怎么降价,对老百姓来说,欧洲旅行终究是
高不可攀的。)
❹ しょせん、彼らと私は全く異なった世界に住む人間で、同じ生活スタイル
を求めるのが無理というものかもしれない。(毕竟我和他们是属于完全不同世
界的人,追求同样的生活方式或许是不可能的。)
肩を落とす(かたをおとす) 奁拉着肩膀;无精打采,泄气,通
丧,气馁,炭心 ;
慣用句。肩の力が抜けて両腕が垂れ下がる意で 、がっかりしたり、気力を
失ったりするときの様子を表す。
❶3時間にわたって交渉したが、何の結果もなかった。2人は肩を落として日
盛りの中を帰っていった。(他们交涉了 3个小时,可是毫无结果。两个人十分
沮丧地顶着烈日回去了。)
❷ 洋服についている値札を見ると、340元だったが、ポケットには150元しか
ない。彼女は肩を落としてデパートを出た° (她看了看挂在衣服上的价格牌,
340元,可是口袋里只有150元。于是她非常失望地走出了百货商店。)
❸ また彼女と喧嘩したらしく、息子はがっくりと肩を落とし帰ってきた。 (儿
子好像又跟女友吵架了,他奔拉着肩膀沮丧地回到家里 。)
❹ 長年夢見たエジプト旅行、アルバイトでやっと旅費もでき、綿密にスケ
ジュールをくんで楽しみにしていたが、直前にビザの申請が不許可となり、
彼はがっくりと肩を落とし、目もうつろに気落ちしていた。(他一直梦想着
去埃及旅行,好不容易通过打エ赚够了旅费,制定了周密的日程,并热切地期
待着。没想到出发前タ得知签证没批下来,他感到万分失望,眼里都透露出了
沮丧的神情。)
たまる(もの)か 怎么能…‘怎么受:得了… j
「動詞連用形+て」につき、そのようなことが起こるはずがない。そのような
状態のままにしておくわけにはいかないという意味を表す。「たまったものでは
ない」の形もよく用いられる。我慢できない。堪えられない。堪えきれない。
❶ こんなにうそをつかれてたまるか。明日からなんとかして彼女のうそをば
らしてやらなきゃと思う。(怎么能让她尽吹牛呢,从明天起我得设法揭穿她的
谎话。)
第7課紅山桜191
❷ 堂々たる名チームなのに、これぐらいの失敗にへこたれてたまるもんか。元
気を出しなさい。(我们是赫赫有名的团队,怎能这么点失败就气馁了呢,都给
我打起精神来。)
❸ ほんとうにこのプロジェクトのいいところがお前なんぞにわかっ てたまる
ものか〇さっさとあっちへ行け。(这个项目真正的好处怎么能让你知道呢。
快给我到ー边去。)
❹ あんな評判の悪い女がおれの母さんになるなんてたまったものではない。
そうならないようになんとかじなきや。(怎么能让名声那么坏的女人当我的母
亲呢。我得想个办法阻止这件事。)
—(助数詞)一(助数詞) 逐个,ーー,---------- j
「一」に助数詞がつき、それを重ねる形で多くあるものの、それぞれ。いちい
ちという意味を表し、畐詞的に用いる。
❶ 彼はさすがに優秀教師だけあって、問題児を一人一人呼び出して、彼らと親
切に心の交流を行なった。(真不愧为优秀教师,他把所有有问题的孩子ーー
叫出来,亲切地与他们促膝交谈。)
1 1❷ 長い論文だったが、先生は間違ったところを 箇所 箇所見つけ出して一々
訂正してくれた。(虽然论文很长,但老师还是把错误ー个ー个地找出来,逐一
纠正。)
❸ 彼はカーマニアで、普段、直のデザインを集めている。今回も例外なく、
Lg!モーターショウの会場に並べてある新車に向かって 空とシャッターを
押した。(他是个车迷,平时就在收集车子的款式。这次也不例外,在车展上他
对陈列着的新款车进行了逐个拍摄。)
92❹ お祖父さんは今年もう 歳になったにもかかわらず、虫眼鏡を使って也
1 92行追って新聞を読んでいる。 (爷爷虽然今年已经 岁了,可他还是一行ー
行地用放大镜照着看报。)
劝》体直張る(からなをはる) 發H差,J憧r 〕
慣用句。一身をなげうって行動する。命がけでやる。自分の身の安全をかえ
りみないで行動する。
❶ 一般国民の利益を守るために、彼は体を張ってまでやっているのに、何で
こんなひどい言い方で彼を中傷するのか。(为了维护国民的利益,他不顾ー
切地拼命努力。可为什么要用这么狠毒的语言去中伤他呢?)
❷38度以上高温の日が続いている中、この大橋を計画どおりに完工させるた
め、現場の労働者はみな体を張ってやっている。 (为了保证大桥工程如期完
38ェ,工地的工人们拼命奋战在 度以上的高温中。)
192 日语综合教程第五册
.❸ 余りにも無謀なその計画を白紙に戻さない限り 、私は体を張ってでも計画
の実行を阻止するつもりだ。(只要不取消这个有欠斟酌的计划,我将竭尽全
カ阻止该计划的实施。)
❹ 子供が危険なめに会いそうになると 、体を張ってでも阻止する。それが母
性愛というものだろう。(一旦孩子有可能遇到危险,她会拼命全力阻止。这
就是母爱吧。)
上士〉〜なしの没有…的 !
「体言+なしの+体言」という連体修飾の形で、「〜がない〜」という意味を
表す表現である。
❶ 若いころはよいかもしれないが、年をとったら子供登旦四生活は淋しいも
のだ。(年轻时或许还好,一旦上了年纪又没有小孩,生活会非常孤单寂寞的。)
❷ 師匠なしの修業って、自由になるかもしれないが、それは高度な自律性を
要求するものではないだろうか。(这种不靠师傅的学习或许彳艮自由。但这需
要有高度的自觉性吧。)
❸ 世の中、生きていく上で苦しみ至し四生活なんて容易なことではないだろ
うね。(只要在这个世界上活着,想过ー种没有痛苦和烦恼的生活并不是一件
容易的事。)
❹私のこれまでは失敗な丄四人生と言えるかもしれない 。でもこれからずつ
とこのままでいけるかどうかは自信がないね。(我觉得至今为止可以说自己
的人生没有失败,但是今后是否能够一直这样下去,我可没有自信 。)
壬Wとりわけ・特に・殊に !
1.とりわけ 特别,尤其,格外,分外
副詞。多くのものの中で、とくにそのものに注目する様子。前文の叙述を受
け、その主要な一つを特記することを表す。
❶ 期末テストの成績が発表された。あの子は目も当てられない成績ばかりで、
とりわけ英語が悪くて、20点しか取れなかった。(期末考试的成绩公布了。那
孩子的成绩真是差得惨不忍睹,尤其是英语,只得了 20分。)
❷ 私は花が好きで、中でもとりわけ白い百合の花が大好きだ。あのやや薄緑が
かった色を見ると、何となく心が安らかになる。(我喜欢花,尤其喜欢白色的
百合花。看着那微微带绿的颜色,不知为什么我的心会变得很平静。)
第7課紅山桜193
❸ 彼はなかなかの好青年で、みんなの注目の的となっているが、とりわけ彼
女ときたら彼以外の男性は目に入らないって感じだ。(他年轻有为,是众人
注目的焦点。尤其是她,除他以外,根本不把别的男性放在眼里。)
❹ あの家の子供はみんな優秀で、とりわけ末つ子は、頭脳明晰で、アメリカの
ハーバード大学を出ているらしい。(那家的孩子都非常优秀,尤其是小儿子,
头脑清晰,听说是美国哈佛大学毕业的。)
2.特に(とくに)特别,特
副詞。多くあるものの中から、そのものだけ取り出して言う様子。同じ種類
の物事を比較して、その中から程度が大きいものを取り出して強調したり、ほ
かからはっきりと区別されたりする様子を表す。また、あとに否定の意味の言
葉を伴って、部分否定のように使うことがある。
❶ 山奥だから夜道はいつも暗い。それにしても、あの日は月も星も出ていな
く、萱に暗かったことを記憶している。(因为在深山里,晚上道路都很暗。而
且那天还没有月亮,又没有星星,我记得周围特别暗。)
❷ 応募者はたくさんいて、今度はその大勢の中から旺君を選んだのだから、
是非とも頑張ってほしい。(应聘者非常的多,这次在众多的应聘者中特别挑
选了你,因此你一定要努力。)
❸ 1ヶ月ぐらい悪戦苦闘してきて、やっと一段落がついた。今日は特に用事は
なく、ただ気分転換のために来ただけである。(奋战了1个月左右,总算可以
告ー个段落了。今天我没什么特别的事,只是来散散心的。)
❹ 私は山育ちで此魚が好きなわけではないが、今日は君のために魚料理を
注文したよ。遠慮せずに食べなさい。(我是在山里长大的,不是特别喜欢吃
鱼。不过,今天可是为你オ点的鱼,你不要客气,多吃点儿。)
3殊に(ことに)特别,格外,分外,尤其
副詞。ほかとは際立って異なる状態にあるものを話題として取り上げて客観
的に言う場合に使われる語で、その事物の程度が同種の他のものとひどくかけ
離れている様子を表す。
❶ あの日、周りは殊に静かだったと思う。だって少しでも音がすれば、私は眠
れないのだが、その日はぐっすり眠ってしまったのだから。(我觉得那天四
周格外安静,因为只要有一点声音我就会睡不着的,而那天我却睡得很熟。)
❷ わずか3日間だけでしたが、行き届いたご配慮と至れり尽せりのご高配で、
みんな大変感激しております。遂にお嬢さんのこまやかなお心遣いには感
謝のことばもありません。(虽然只有3天的时间,但是却得到了你们周到的
照顾和无微不至的关怀,大家都很感动。特别是您女儿细致体贴的照应,让我
们无以答谢。)
194 日语综合教程第五册
❸ この駅は朝の7時と夕方の5時ごろが遂に込み合うので、その時間帯を避け
れば、別にたいした問題はないだろう。(这车站特别是早上7点和傍晚5点左
右非常拥挤,只要避开这段时间,就没什么大问题了吧 。)
❹ここしばらく殊に忙しい日が続いた。毎日、1日3度の食事と夜寝る時間以
外はずっと机に向かっていた。(这段时间我特别忙。每天除了 3餐和睡觉外,
一直坐在书桌前。)
まとめ
普通一般と違った状態であるという意味では三語共通している。「とりわけ」
は全体としてすべてが平均以上(以下)の状態で、その中でも特に一つを、ほか
からとりわける、際立たせて主観的に述べる場合に使われるが、意志的行為に
ついては用いない。
「特に」は「とりわけ」と同じ用法があるほか、意志的に他と区別して、違っ
た物であることを主観的に判断し、強調するニュアンスがある。この場合は「と
りわけ」と置き換えられない。また、「特に」には、後ろに打ち消しの語が来て
部分的に否定する用法もあるが、この場合も「とりわけ」と置き換えられない。
「特に」は状態だけでなく、他と区別して扱うという意志行為にも使えるという
意味では「殊に」とも違う。
「殊に」はほかと比較した場合、同じ種類のほかの事物よりも、取り出したも
のが、「一際異なった」状態にあるということを、客観的に判断するやや改まっ
た表現である。この客観的な判断を表すという意味では、主観的に判断し、強
調する「特に」とは違う。
hもどかしい•歯がゆい
/,もどかしい 慢得令人着急,令人不耐烦,急不可待
形容詞。早く何かを実現したいと思っているのになかなかできずに時間がか
かり、遅々と進まず、それに耐えられない、イライラした様子、または「じれっ
たい」気持ちを表す文章語である。
❶ 授業中、ときどき本文を読んでもらうが、ー二行しかない文でも、5分ぐら
いかかるので、そばにいるともどかしいものだ。(课堂上,有时让学生念课
文,明明只有一两行字,却念上了 5分钟的时间,我在ー边心里真是着急。)
❷ 一分一秒でも早く彼の顔を見たい。空港で待っている私は飛行機の速度で
さえもどかしく感じていた。(哪怕早一分一秒也好,我很想马上见到他。在机
场焦急等待的时候,我甚至觉得飞机飞得太慢了。)
❸2ヶ月も待っていた彼からの手紙がやっと届いた。彼女は封を切るのももど
かしく、むさぼるようにその手紙を読んだ。(等了两个月之久终于收到了他
第7課紅山桜195
的来信,她迫不及待地打开信封,贪婪地读了起来。)
❹ 父が危篤という知らせを聞いた彼は、上着を着るのももどかしく部屋を飛
び出すと、すぐタクシーを拾い実家に向かった。(他得知父亲病危,急得顾
不上穿上衣就跑出房间,马上叫了一辆出租车直奔父母家。)
2.歯がゆい(はがゆい)急死人,令人焦急,令人不耐烦,令人懊悔
’形容詞。他人の動作行為に対して、そばから見ていて「もうちょっとなんと
かならないか」という気がして、いらいらする様子で、心が苛立つ状態を表し、
「残念、悔しい」といった思いが含まれる「じれったい」気持ちを表す言葉であ
る。
❶ あの子は誰に似ているのだろう。何をするのにもぐずで見ていて歯がゆい。
(那孩子像谁啊,干什么都这么慢吞吞的,让人看了心急。)
❷ 今日こそいつも自分が不満に思っていることを皆に打ち明けようと思った
が、いざ皆の前に立つと、なかなか思うようにそのことを伝えられなくて
自分でも歯がゆく感じた。(我原本打算今天无论如何要把一直以来的不满向
大家讲明,可一站到大家面前,又怎么也讲不清楚,自己也感到十分焦急。)
0 仕事がのろくて歯がゆい思いをするので、彼とペアを組むのがいやだ。(他
做事很慢,让人看了不耐烦,所以我不愿意和他组对干。)
❹ 今度は奨学金もちやんと出るし、しかも名門校で勉強できるのに、みんな行
きたがらない。せっかくのチャンスをふいにするなんて、ほんとうに歯がゆ
12。(这次有奖学金,又能在名牌学校学习,然而大家却不想去 。好容易得到
的一次机会白白浪费了,真叫人又气又急。)
まとめ
思うようにならず、いらいらする状態であるという点では二語共通してい
る。「もどかしい」は、ことの進みぐあいがあまりに遅く、逆戻りしていくよ
うな、焦りの気持ちや、急いでいるのに時間がかかりそうで、待ち切れない、と
いう純粋に時間が速いほうがよいという気持ちを表す。それに対して、「歯がゆ
い」は事態の成り行き、他人のすることが自分の思い通りにいかないために、
悔しさのために起こる歯ぎしりをしたくなるような気持ちや、そういう気持ち
でいながら、どうすることもできず、嫌になる気持ちを表す。
練習
ー、次の漢字に振り仮名をつけなさい。
熱血 新潟 三脚 巨木 落葉松 早朝 翌朝 谷川
196日语综合教程第五册
情念 古人 自嘲 本音 無機質 帰京 酔狂 源
風雪 風情 眺望 堡景 襟裳岬 除雪 辛夷 楓
怪物 箱根 霊性 眼光 上機嫌 林道 歓喜 彷徨う
二、 次の文の片仮名の部分を漢字に直しなさい。
1. 自分の好きな本はいつもミヂ力においてあるC
2. 子供は勉強のエeに家事を手伝っている。
3. この木はミをの太さをもって歴史を物語っている。
4. 変なことを言われたイッシュン、自分の耳を疑った。
5. はからずも海外で親しい友達とヨ:ちエうほどうれしいものはない。
6. せっかく時間があいたので、僕はテニスのアイボウを探している°
/学生が可愛いと思うのは教師たる人間の カタオモいであるC
8. 3時間説得して彼女はついに心のを么2三を打ち明けてくれた。
9. あそこに点滅しているのは二蛙の灯台である。
10.長年修繕していないので、建物のペンキが△げている。
三、 次の質問に口頭で答えなさい。
1. 高波さんはなぜいつもワゴン車に寝るのか。
2. 桜はたかだか1本の木でしかないのに、なぜ高波さんは「ひざまずくしかない」
と言うのか。
3. 桜に対する筆者と高波さんの認識はどこが違うか。
4. どんなときの桜がすばらしいといっているか。文中からそれを表現する部分
を抜き出しなさい。
5. 高波さんはどんな桜を撮りたいか。
6. 雪が降って寒いだろうと高波さんのことを心配していたら、かえって「上機
嫌」になっていたのはなぜか。
7. 筆者が見つけた紅山桜はどんなふうに目に映るのか。
8桜を撮り続ける原動力はどこにあるか。
9.高波さんはなぜ「桜にすがって生きてゆく」のだろうか。
10. 筆者はどこに桜の生命力を見たのか。
11. 桜の両面性とはどういうことなのか。
四、 次の文の下線部を辞書で引いて日本語で説明した上、全文を中国語に訳しなさい。
1. 今日の懇談会ではぜひみなさんのなまなましい体験談を聞かせていただきたい
と思います。
2. 結果だけ見るのではなくて、彼のあの負けてもしぶとく立ち向かうところを表
彰して上げたいと思う。
第7課紅山桜197
3. 夕日に紅葉が照り映えて大変美しい。私は自然の不思議な力に心を打たれた。
4. 留学に行ってもう10年になる。10年ぶりに会えるわが子がどんなふうになって
いるかといろいろ想像しながら、はやる心を抑えて待っていた。
5. 高い山が青い空に聳えたっていて、山の麓に人家が点在している。いかにも悠々
とした自然風景だろう。
五、次の下線部の言葉の意味が、それぞれのはじめの文と最も近い意味で使われている
文を、①、②、③、④から一つ選びなさい。
1. イラク戦争以来、世界的に平和を求める声はやまない。
① これは賠償を求める訴訟で、すでに2年もかかっている。
② 彼みたいに権力を求める人は、私の周りには少ないと思う。
③ もう3時間もかかって、彼は本屋で自分のほしい本を探し求めている。
④ 彼女は職を求めようと、知り合いを訪ねまわっている。
2. 上海では8月の末頃になると、暑さも盛りを過ぎる。
① 桜開花の盛りは地方によって違うが、東京なら4月の上旬だろう。
② 酒の盛り場といえば、やはり新宿の裏通りだろラ。
③ 50歳を過ぎれば、だいたい人生の电を越すことになるだろう。
④ 盛りのついた猫は昼も夜もうるさく鳴いている。
3. 不動産の値段を手ごろなところで担さえなければならない。
① まだ痛みが消えていないと見え、彼女は傷口をおさえながら歩いていた。
② 文章を読む場合、いつもまず要点をおさえて読むことが大事である。
③ 今さら言ってもしかたがない。財産をおさえられる前に言ってくれればよ
かったのに。
④ 横顔の筋が動いているところを見て彼が怒りをおさえていることがわかった。
六、 次の語群から適切な言葉を選んで、必要な場合は形を変えて( )に書き入れな
さい。
しげしげ まずまず 断固として これしき 際立つ
,まみれる ほどほど ぬくぬく はかない 移ろい
1.親が生きているうちは親元で( )と過すことができるが、親が亡く
なったら、どうやって生活していくだろうか。
2あまり理想的ではないが、あの子にしては( )のできだ。
3.大学の向かい側に安くておいしい店があり、僕らはあの店へ( )と
足を運んだものだ。
198日语综合教程第五册
4. バイキングだからと、一度にたくさんお皿に取り込まないようにね、お腹と相
談して( )にしなさいよ。
5. 彼は戦場を駆け回ってきた人間で、( )のことでびくともしない
よ〇
6. 昨日の役員会議で生産拡大をはかろうという多数の意見に彼は( )
反対した。
7. 季節の( )に世の無常を思い、その気持ちを俳句などに託す。
8. 地震で倒れた建物の下から血に( )男が運び出された。
9. あそこに( )聳えて見える超高層ビルは何というビルですか。
10.友人が亡くなった消息を耳にして、彼は人生の( )を実感した。
七、次の文中の 部分に入れるのに最も適切なものを選びなさい。必要な場合は、
語の形を変えてもよい。また、答えは必ずしも一っとは限らない。
1. 上海の夏は暑いが、今年の夏は 暑く、38度以上の日が半月ぐらい続き、
史上最高という記録をマークした。
殊①に ②とりわけ ③特に
2. 病院で検査をしたが これといった悪いところはなかった。
①殊に ②とりわけ ③特に
3. 冬の星座の中で 目立つのはオリオン座だ。
①殊に ②とりわけ ③特に
4. 明日、テストがあると聞いたのに、夜になってもまだぐずぐずと宿題をやって
いる。テストの勉強はぜんぜんできていない。あの子ったら、ほんとうに
思いをさせてくれる。
①もどかしい ②歯がゆい
5「大学の合格通知書が届いたよ 」と外でノックされると、彼は靴をはくのも
、裸足のままドアのほうへと走っていった。
①もどかしい ②歯がゆい
6.彼は変に誤解されて悪く言われても決して言い訳をしない 。それはそれで立派
かもしれないが、見ている私はとても 思う。
①もどかしい ②歯がゆい
/脳梗塞の後遺症で、麻痺の残った手でスプーンにご飯をのせて口に運ぶまでも
大変な労力を要する。家族はそれらを、からとすぐ手を貸したくなる
が、忍耐強く見守ることも大切だと言われた。
①もどかしい ②歯がゆい
ハ、括弧の中の言葉を使って次の中国語を日本語に訳しなさい。
ん昨晩在久违的同学会上,气氛十分高涨,我ー来劲就喝过了头,今天早上好
像有点宿醉。(調子に乗る;气氛高涨〜盛り上がる、宿醉f二日酔い)
第7課紅山桜 199
2我想他落榜了一定很沮丧吧,可没想到他倒是很起劲地唱着卡拉 OK。真让人
哭笑不得。(肩を落とす;哭笑不得一泣くに泣けず笑うに笑えず)
3.为了寻找不明去向的孩子,他花了两个月的时间,非常耐心地ー家一家地拜访
了住在那ー带的人家。(一軒一軒;不明去向一行方不明 )
4我们是唯物主义者,不相信幽灵什么的。在这个世界上怎么能让幽灵存在呢。
(〜てたまるものか;唯物主义者ー唯物論者)
5. 这可是你的儿子在干坏事啊,你还想拼命袒护他吗?希望你能好好考虑一下后
果。(体を張る;袒护ーかばう)
6. 世界上有比没有烦恼的生活更奢侈的东西吗?你的要求可不能太高啊。应该满
足オ是。(〜なしの;要求高一高望み)
/作为ー个男人,喝酒和写文章都需要定下心来认真对待,在这一点上两者是同
等的。真所谓鱼和熊掌不可兼得。(腰を据える;鱼和熊掌不可兼得一両雄並び
立たず)
8. 反正是没有救了,也许还不如他想吃什么就让他吃什么,他想去什么地方就让
他去什么地方的好。(しょせん)
9. 他失去了以往的诚实,我在ー旁看着他那做作的行为,不由地想道:他是什
么时候变成这个样子的?(做作的行为ー芝居じみた)
10. 那里沿着湖边种着ー排柳树,夏天的时候很多老人在树下乘凉、打牌、下象
棋。(〜ぞい;乘凉一夕涼み)
九、言葉の決まり
1.「無機質」のように「無」がついて熟語となるものを、次から選びなさい。
ァ自由 イ 常識 ウ関係 工気味
ォ公式 力 案内 キ愛想 ク意識
2次の( )の中に入ることわざとして適切なものを、あとからそれぞれ選び
なさい。
① 君がぼくたちのチームに入ってくれたら( )だね。
② 練習せずに優勝しょうなんて無理な話さ。( )と言うじゃないか。
ア、千里の道も一歩より始まる
200 日语综合教程第•江册
イ、果報は寝て待て
ウ、鬼に金棒
エ、百聞は一見にしかず
ォ、好きこそものの上手なれ
3.次の問いに答えなさい。
1. 次の文中で「医者は」という主語に対する述語を、下線をつけた部分①〜⑥
から二つ選び、番号を書きなさいQ
医者は、湯気の①w洗面器の中で、湯の②はねぬようにまるくまるく手
を③洗いながら、病気の長女にも、次女にも、台所へ④引きこんでは⑤出て
くる妻にも、あいそうよく⑥話しかけた。
( )( )
2. 次の各文の中で斜めの部分が修飾するものを、あとの下線をつけた部分の中
からそれぞれ一つ選び、その番号を書きなさい。
A、 次女は、古ラおねえちゃま、絵を①かきましょうと、長女のまくらもと
へ②寄っていた。
B、 風の落ちたようすでチっかり①夜になったことが②知られた。
C、 さくらの花の-七分後ど①咲いているのが②見えた。
A( )B( )C( )
十、次の文章を読んで後の問いに答えなさい。
もともとぼくはおしやべりだった。それが若いころの一時期、人前で話そうとす
ると、かならず吃ったり、つかえたりしたのは、訛りがひどい①コンプレックスに
なっていたからである。
ぼくは青森県の津軽生まれで、津軽弁というのは、日本中でもいちばん訛りがき
つい、といわれている。
東京へ出てくる前から、それは知っていた。ラジオや映画のスクリーンから流れ
てくる言葉と、身近な人たちの発音をくらべてみれば、すぐにわかるし、それに自
分でも、「イ」と「エ」、「チ」と「ツ」、「シ」と「ス」の区別がよくつかないのを
・意識していたからだ。
よく笑い話でいいますね。津軽あたりの人は、「寿司」のことを「シス」というっ
て……。
でも実際には、そんな馬鹿なことはありません。間違えるとすれば、「シシ」と
か、あるいは「スス」とか、どちらか一方の音に偏って訛る。つまり、「寿司」が
「獅子」や「煤」になっちゃうわけですね。
ところが、今、そんな馬鹿なことはない、といったその馬鹿なまねを、ぼくは実
第7課紅山桜 201
際にやったことがあるんです。
高校を出て東京の私立大学に入り、専門の下宿屋さんではない、ふっうのお宅に
下宿して間もないころー〇
そこの家には、美人の若い姉妹がいた。とうぜんこっちは②意識して、顔を合わ
せるたびに固くなる。
日曜日の朝、先輩を訪ねようと思って、玄関先へ行ったら、ちょうどそこで靴を
磨いていた妹さんのほうに、
「どちらへお出かけ?」
と聞かれた。
先輩がいるのは、四谷の上智大学の寮だった。「四谷」と「上智大学」には、「ツ」
と「チ」の音がひとつずつ含まれている。それを意識して、訛ってはいけない、と
ひどく緊張していたぼくは、
「ヨチャのジョウツダイガクです」
と、丁寧に両方とも間違えてしまった。なんのことかわからずに、ちょっと怪訝そ
うな顔をしていた妹さんは、間違いに気づいた途端に吹き出し、あまりのおかしさ
に苦しくなった腹を抱えて悶絶しかけ、ぼくは恥ずかしさのあまり悶死しかけた。
大学で、ある大にいわれた。
「オサべくんはもうひとつ、外国語を勉強したほうがいいね」
その言葉を聞いたとき、心のなかでこう思った。ああ、この大はなぜかぼくに隠
された語学の才能があるのを見抜いて、それでもうひとつ別の外国語を学んだほう
がいい、と勧めているんだな... と。
だが、相手はこう言葉をつづけた。
「きみは、標準語という外国語を勉強すべきだよ」
ここに書いたのは代表的な例で、訛りやイントネーションのおかしさを指摘さ
れたり、笑われたりした経験は、まだまだ沢山ある。
これでは大前で話そうとすると、(A )吃ったり、つかえたりするように
なったのも、不思議はあるまい。若いころの方言コンプレック、スは、そんなに強
かったのだ。
③それが今は、民放の番組に週一回のレギュラーで出たり、NHKのテレビにもた
びたび出て、共通語とはいささか抑揚が異なる言葉を平気でしゃべっている 。
年のせいで図々しくなったのだろうか。そうかもしれないが、④そればかりでは
ないと思う。
三十代のなかばに、あれは素面では思うようにしゃべれない方言コンプレックス
のせいもあったのだろうか、毎晩のように酒に溺れ、失敗ばかりしている自分に嫌
気がさして、
—ー津軽を舞台に、小説を書こう。
と考え、それまで東京のマスコミの底辺でやっていた仕事を一切やめて、青森県
202日语综合教程第五册
の弘前市に帰り、町はずれの借家で二年半ほど暮らした。
小説の主人公には、方言で語らせた。(B )、今吉幾三や伊奈かっぺいがテレ
ビでやっていることを、小説で試みたのだ。
⑤方言を売り物にしている、といわれると、ほかに何の能もないようで、いやな
気がする。方言のなかには、文字では残されていないさまざまな屈折や、喜びや悲
しみが、豊かに籠められていて、決していちがいに馬鹿にされていいものではな
い。
小説を書いているうちに、それがだんだん実感としてわかって、方言が恥ずかし
くなくなってきた。
これは開き直りとは違う。向上心を捨てて、今の自分にあぐらをかく開き直り
は、見苦しいだけだ。
千昌夫や吉幾三や伊奈かっぺいに、向上心がないとは、だれも思うまい。もとも
と才能があった彼らは、方言を意識的な方法にすることによって、能力をフルに発
揮しはじめた。自分のコンプレックスを、エネルギーに変えたのだ。
コンプレックスは、エネルギーの宝庫である。
方言を恥ずかしいとは思わなくなってから、ぼくは人前でも、テレビでも、前ほ
どはつかえずに話せるようになった。まだまだうまくはない。だが、ぼくはいっか、
共通語も方言も、同じようにうまくしゃべれるようになりたい、と思っている。
若いころのぼくはいつも、なにかしゃべったら笑われるんじやないか、と戦戦兢
兢としていたが、笑われるのを恐れない勇気も必要だ。批判や悪口と同じように、
嘲笑だって、自分を磨き、洗練させていく砥石になる。
でも、羞恥心だけはお忘れなく ---- 〇
それがない人に、少なくともぼくは、⑥なんの魅力も感じないC
dD 下線部①「コンプレックス」の意味を漢字3字で書きなさい。
dB 下線部②「意識して」とあるが、何を意識したのか、次の中から適切なもの
を選びなさい。
ア、訛りがひどいこと
イ、馬鹿なまねをやったこと
ウ、美人で若い女性だということ
エ、美人で若い姉妹に好意を持っていたこと
ォ、人前で話すと吃ること
(1B 空欄A、Bに当てはまる語として最も適切なものを、次から選びなさい。
ァ、なお イ、そこで ウ、そうすると エ、それで
ォ、それから カ、したがって キ、かならず ク、つまり
第7課紅山桜203
A( ) )
dD 下線部③「それが」を別の言葉に書き換えなさい。
dD 下線部④「そればかりではない」とあるが、その理由として適切なものを次
から選びなさい。
ア、笑われた経験がたくさんあるから
イ、テレビ番組に出るようになったから
ウ、小説家として有名になったから
エ、方言のなかにある豊かさがわかってきたから
dD 下線部⑤「方言を売り物にしている」の意味を自分の言葉で書きなさい。
dD 下線部⑥「なんの魅力も感じない」とあるが、その理由として適切なものを
次から選びなさい。
ア、羞恥心に欠けているから
イ、笑われるといつもびくびくしているから
ウ、笑われる勇気に欠けているから
エ、方言で語ろうとしていないから
オ、自分を磨き、品のある努力をしていないから
dD 方言のもつよさについて、筆者の考えが述べられているところを抜き出しな
さい。
文学・語学の豆知識[
春と秋の七草
ー、春の七草(はるのななくさ) 稻槎菜
1•ほとけのざ(仏の座)(たびらこ) 芜青,蔓菁
2. すずな(菸)(かぶ) 萝卜
3. すずしろ(蘿蔔)(だいこん) 水芹
4. せり(芹) 莠菜,菱角菜
5. なずな(齊) 鼠曲草
6. ごぎよう(御形)(ははこぐさ)
204日语综合教程第五册
7.はこべ(繁縷)(はこべら) 繁缕,鹅肠菜
二、秋の七草(あきのななくさ) 红瞿麦
1. なでしこ(撫子) 黄花龙芽
2. おみなえし(女郎花) (贯叶)泽兰,兰草
3•ふじばかま(藤袴) 桔梗
4. ききょう(桔梗) 胡枝子
5. はぎ(萩) 芒草,狗尾草
6. すすき(芒)(おばな) 葛,甘葛藤
7. くず(葛)
読み物
湯ヶ島の桜
• 大/唐法剥雄•
昨夜はおそかったのだけれど、旅さきの癖で今朝も早く目をさました。渓
川の上に突き出ているようなこの部屋はかなり高い瀬音だが、その音にも
晴れた春の早暁のすがすがしさが感じられる。
まだ眠っている〇君やW君をおこさないようにそっと起き出して浴室に急
ぐ。
朝湯というなかにもこうして起きぬけにひたる温泉ほどありがたいもの
はない。湯ヶ島世古の渓にあるこの湯川屋は昭和の初めに梶井基次郎が名
作「檸檬」その他の短編を書いた静かな宿である。
もうすっかり明けきっている。流れに臨んだ浴室の窓から見ると 、対岸の
木立の中に山桜の咲きまじっているのが目についた。今日は三月の三十日、
伊豆とはいっても天城山麓、春のややおそい湯ヶ島の渓間では例年なら山
桜にはちょっと早過ぎるし、それに昨日は下田で急に思い立ってすっかり
暮れてからここに着いたせいもあって山桜のことなどまったく念頭にな
かったが、私には湯ヶ島は山桜と切り離しては考えられない所である。
私が初めて来たのは大正十五年、沼津の若山牧水先生の家にいた時だった
が、先生が「うす紅に葉はいちはやく萌えいでて咲かむとすなり山桜花 」
第7課紅山桜205
に始まるあの名作「山ざくら」一連を作ったのはその四年前ここの湯本館
滞在中だったし、私も昭和十年だったかにここで山桜の歌を作ったことが
ある。そしてその後ももう一度見たいと思いながら丁度その花の時に来る
機会は今日までなかったのだ。
浴後、一人で渓間を散歩する。湯ヶ島もその後変わって山桜もひどく減っ
たが、この世古の渓にはまだかなり多く、それが川岸の朝の木の間にうら
らかに咲きまじっている静かな眺めはひどく私を喜ばしてくれた 。
世古の渓をすこし上流の方に歩いて引返した私は宿の前を通り過ぎて湯本
館の方へと歩いて行った。落合楼の染井吉野の満開の下を通って中平橋の
近くに来たとき、私ははっとして足をとめた。向う岸の橋の袂の山桜が満
開ではないか。
私はこの本をよく知って居る。これこそ牧水先生が、
かき坐る道ばたの芝は枯れたれや坐りて仰ぐ山ざくら花
と歌った桜なのである。そして私はこの桜はもうかなり老衰していて花
などいくらも咲かないものとばかり思い込んでいたのである。牧水先生
の来ていた頃はこの附近にもかなり山桜が多かったが 、その頃のもので
いま残っているのは私の知る限りではこの本一本である。いま全国で二
十三の牧水歌碑があるが、この湯ヶ島は当然「山ざくら」の歌碑のあっ
てよいところ、もしそれを建てるとすればこの本の下こそ絶好の場所 、た
だこの本が余命いくばくもないものだとすればそれは考え物 。とにかく
もうかなりな老本、そして枝を伐られたりなどで傷めつけられ 、苔がは
え蔦のからんだその幹には古ぼけたペンキ塗りの美粧院の広告の板が針
金でしばりつけられていた。前に牧水先生の生まれた村の村長であり牧
水顕彰会長でもあった宮崎県会議員の小野君が昨年その広告の板を見て
嘆いていたが、実は私は内心もう諦めていたのだった。
ところが、なんとそれがいま満開なのだ。萌えいでたうす紅の葉、白々と
咲きみちたその花、それにいま朝の日がさしとおっているので、なんとも
言えないうるおいとつややかさがある。
私は狩野川台風で流失して最近新しく出来上がった鉄橋に立って眺めなが
ら自分でもおかしいほど昂奮して来た。
やがて橋を渡って桜の下に立った。
ここは牧水先生のよく泊っていた湯本館から二三町の川上、そしてその
頃はこの中平橋は今より数メートル上流にかかっていたので 、橋に向う
とこの山桜は右の袂にあったが、今では左の袂に変っておる。
さっきから気づいていたことだが、こうしてま下に立って仰いでみると
この本の花は実に小さい。山桜でも何か種類がちがうのだろうか、それと
も老樹になると次第に花が小さくなって来るものなのだろうか?かなりは
206 日语综合教程第五册
げしい風に時おりほんの一ひら二ひらずつ散って足もとに落ちて来る花び
らなど赤ん坊の爪ほどもないような可愛さである。でも、その小さな花が
こんなにまでいっぱい咲きみちていようとは。ほんとうに悲しいまでのう
ららかさである。
私の立っている道の後ろは小さな段々畑である。宿のどてらを着た牧水
先生はその畑の畦の枯芝に坐って眺めたのだが、その頃は畦の上の方に
まで大きな枝がさし出していたのを私は覚えておる。
何にしてもこの山桜は「牧水桜」と名づけてもいいもので、出来ることな
ら何とかしてすこしでも永く咲き続けるように保護してゆきたいものであ
る。
私は畑の畦のあちらこちらに位置を変えたり、また道のずっと高い方に
行ったりして眺めていたが、いつまたこの桜の盛りにあうことが出来るだ
ろうかと思い、それにこの桜のことを誰かれに知らせてやりたいと思う
と、ぜひ写真にとっておきたくなり、じっと眺めてばかりいられなくなっ
て来た。私はカメラはいじらないが、幸に今度一緒に来ている〇君は写真
家だからこれは何としてでも〇君を引つ張って来て写して貰わなくてはな
らない。いま満開の桜に朝日が射しとおっているこの美しさはあと一時間
もすればもうすっかり違って来るであろう。
私は宿に引返しかけたが、昂奮してまるで駆け出すような勢いになって
いるのが自分でもよくわかった。
(『若山牧水 伊豆•箱根紀行』木蓮社より)
、注釈
❶ 大悟法利雄(だいごぼう としお)(1898〜199〇)
歌人 若山牧水記念館館長。1898年大分県生まれ。1917年中津中卒。1917年より作歌を始める。
1918年『創作』に入り、1923年若山牧水の助手を努める。出版社勤務を経て1942年から著述に専
念。1946年『新道』創刊、のち復刊の『創作』に合流し、1984年退会まで選者をつとめた。歌集
に『第一歌集』『父母』『伊豆』•『尾瀬と九十九里』『飛魚とぶ』ある。研究書『若山牧水伝』等多
数。
❷湯ヶ島(ゆがしま)
静岡県田方郡天城湯ヶ島町にある温泉地。無色透明の重炭酸土類泉。
❸ 梶井基次郎(かじい もとじろう)(1901〜1932)
小説家。大阪の生まれ。胸を病みながらも冷静に自己を凝視し、鋭敏な感覚的表現で珠玉の短編
を残した。『檸檬』『城のある町にて』『冬の蝇』などある。
❹伊豆(いず)
静岡県の東部、伊豆半島および東京都伊豆諸島。豆州。
第7課紅山桜207
❺沼津(ぬまづ)
静岡県東部、駿河湾頭の商工業都市。もと水野氏五万石の城下町。東海道の宿駅。狩野川の河口
に位置し、海浜は千本松原の景勝地。人口 21.2万。
❻ 若山牧水(わかやま ぼくすい)(1885〜1928)
歌人。宮崎の生まれ。本名、繁。尾上柴舟(おのうえ さいしゅう)に師事。前田夕暮とともに、自
然主義歌人として一時代を画した。旅と酒の歌が多い。歌誌「創作」を主宰。歌集「海の声」「別
離」「死か芸術か」「山桜の歌」などある。
〇染井吉野(そめいよしの)
桜の1種。各地で最も普通に栽植。花は葉の出ぬ先に開き、つぼみは初め淡紅色で、次第に白色
に変る。成長は早いが本の寿命は短い。エドヒガンとオオシマザクラの雑種とされ、東京染井の
植本屋から売り出されたという。
208 日语综合教程第五册
8
本文
•竹西穹寻
列車Iの中は、国民服やモンペ姿の人達で混み合っ
ていた。立ったままで座席に寄りかかっている者があ
る。通路に荷物を置いてそれに腰を下している者もい
る。
暑い。すでに西陽の時刻でもあった。
二人掛けの座席はいたるところで三人掛けになり、
窮屈そうに身を寄せ合った乗客が 、晴れない顔付きで
扇子や団扇を使っている。網棚の荷物をしきりに気に
している老婆は耳が遠いらしく、隣の男に、この次は
どこの駅かと大きな声でたずねていた。
窓際の席で父親と向かい合っているひさし少年は 、頑丈そうでもないから
だを腰板に押しつけられながら、さっきから歯の痛みをじっと、堪えている
のだが、こんな時は、遠くの席の赤ん坊の泣き声まで耳に立った。
小学校も最後の夏休みに、父親の出席する葬儀について行ったのはいいけれ
ど、帰りの列車に乗ると間もなく、思いがけない歯痛になった。いつ父親に言
い出したものかと、周囲の乗客にも気兼ねして、すっかり固くなっている。
父親は、扇子を片手に握りしめたまま、反対の手で、時々、胸のポケットか
らハンカチーフを取り出して額の汗を押えていた。家にいる限り、暑さを訴え
ることも、寒さを訴えることも滅多にない父親であるが、その父親がこの車内
の暑さを耐え難く思っているのはほかでもない。平素着馴れない国民服という
ものを着用しているのと、列車の窓に鎧戸が下されているためだった。
列車は、内海に沿って東に走っていた。
しかし、この鉄道の沿線にはずっと軍需工場が続いているので、乗客はそ
の地域を通る間中、どんなに暑くても当局の命令通り窓に鎧戸を下さなけれ
ばならなかった。
第8課蘭209
見るからに暑苦しいカーキ色の服の襟元を詰めて、わざと風通しを悪くし
た部屋でゆるい目隠しをされているような時間が 、さすがの父親にも耐え難
く思われた。
戦争をする相手の国が増えて、質素と俭約の生活を政府がすすめるのと見
合うように、近郊へ買い出しに出掛ける人の数も次第に増えている 。現にこ
の車輛の網棚の荷物も半ばは大きなリュックサックで占められていた 。通路
も塞がっているので、互に気軽に洗面所へ立つことも出来ない。
ひさしには、座席にいて見渡せる乗客のどの顔も 、一様に不機嫌そうに見
えた。自分の痛みが高じると、人々の不機嫌も高じるように思われた。
父親は、工場を休んでの葬儀への出席だった 。離れた土地にまでわざわざー
人息子を伴う気になったのは、長い間、親戚以上の懇意で頼り合った同業の故
人に、ひさしが格別可愛がられていたのも理由の一つだが、この時勢では、息
子を連れて旅する機会も、これからはなくなるだろうという見通しもあっての
ことだった。しかしそれだけは、ひさしにも、母親にも言わなかった。
何年か前までは、家族で避暑地に滞在する生活もあった。けれども父親の
見る限り、再びそうした生活に戻れるあてはなく、工場での働き手も、一人、
また一人と兵役に抜き取られて、次々に戦場に送られていた。工場の規模で
さえ、否応なしに縮小を迫られる日のそう遠くはないことも 、この父親には
すでに充分予感されていた。
父親は、ひさしを伴うのに、葬儀という名目があってむしろよかったと
思った。それで、葬儀が終わると、予め頼んでおいた店に寄って、ひさしに
好物の水炊きを食べさせた。
店と言っても、表に看板も掲げていない仕舞屋ふうの造りである 。ここの
女将と亡くなった人とが普通の親しさではなかったところから、父親はそれ
までにも幾度かこの店に案内されていたが、水炊きのよかった記憶がひさし
に繋がって、無理を承知で頼んでみた。
ひとしきり思い出話に涙を拭い続けた女将は、こんな時ですから、材料も
大っぴらには手に入りませんし、板前も兵隊さんに取られてしまって 、いつ
まで営業出来ますやらと言いながら、それでも贅沢な食卓をととのえてくれ
た。父親はちょっと箸をつけただけで専ら酒をふくみ、ひさしの食欲を満足
そうにながめていた。
ひさしは、初めて会った女将の物言いや仕種を見て、他人の死をこんなに
までかなしむのは、きっと優しいひとに違いないと思ったが、そのうちに、そ
のかなしみの一通りでない様子から、自分を可愛がってくれた人の今まで知
らなかった一面を、それとなく知らされもした 。
あの小父さんは、自分はさきにさようならしたからいいようなものの、こ
の女のひとはこれからどうやって生きていくのだろう。今日という日に、大
210 日语综合教程第五册
事な人のお葬式にも出られないで、同じ土地にひっそり働いている女のひと
を知ったことが、ひさしに、漠然とながら人生の奥行きのようなものを感じ
させた。
玄関を出る時、女将は父親に、あまり遠くない時期にぜひもう一度おたず
ね下さいと言い、父親が女将に、あなたもどうぞ気を強く持って下さいと
言っているのをひさしは聞いた。ひさしは、今自分がこの女のひとのために
出来るのは、心からお礼を言うことだけだと思ったので 、父親のそばからた
だー言、
「ありがとうございました。」
と丁寧に言って頭を深く下げた。
町中の掘割を、静かな音を立てて水の流れている町だった。あの世へ旅
立ったばかりの人が、今にも後から追って来そうなその掘割のそばを、父親
はもう二度と通ることもないだろうと思いながら、一歩一歩を踏みしめるよ
うに、黙って駅に向かっていた。
父親が黙っているので、ひさしも黙って少し後から歩いていた。靴をはい
た父親の歩き方は、和服に下駄の普段の歩き方よりも、ずっとぎごちなくひ
さしには見えた。
帰りの列車に乗ると間もなく始まったひさしの歯痛は、時間が経っても
いっこうに楽にはならなかった。少し前に続けていた治療の際の詰物がとれ
て、そこに何かの繊維がきっく くい込んだらしい。治療の半ばでほうり出し
たことも悔まれる痛み方だった。
向かいの席で時々額の汗を押えていた父親は、いつの間にか目を閉じてい
た。隣の老人に寄りかかられて、心持ちからだを斜めに倒している。ひさし
の周囲で不機嫌そうな顔をしていた大人達も、列車が走り続けるうちに、振
動にまかせて一様に首をかしげ、一様に目を閉じていた。
何とか我慢しよう、とひさしは思った。父親に訴えたところで、父親も困
るだろう。楊枝もなければ痛み止めの薬があるわけでもない。ところが、改
めてあたりを見廻してみて、目覚めているのがどうやら自分一人と分かると、
痛みは耐え難くつのってきた。窓の外の景色に気を紛らせるというわけにも
いかないし、嗽に立つことも出来ない。
ひさしは、眠っているらしい人達に気を遣って声を立てず、指で父親の膝
をつついた。驚いて目を開いた父親に、ひさしは片頰を片手で押えて、しか
めつ面をしてみせた。
「歯か?」
と即座に父親は反応した。眉の間に皺を寄せたままひさしはうなずいた。
父親は、困った、という表情になったが、困った、とは言わなかった。そ
の表情を見た途端、ひさしは、
第8課蘭 211
「何か挟まっているみたいだけど、大丈夫、取れそうだから。」
と言ってしまった。取れそうな気配もなかった。
今度はひさしのほうが目を閉じた。あと一時間半の辛抱だ。そう自分に言
いきかせて、自分の手をきつく抓った。
いっときして目を開くと、父親が思案顔で見詰めている 。
「まだ痛むか?」
ひさしは、息を詰めたくなるような痛さにいっそう汗ばんでいたが、
「少しだけ。」
と答えた。
すると父親は、手にしていた扇子を開きかけ、いきなり縦に引き裂いた。そ
して、その薄い骨の一本を折り取ると、呆気にとられているひさしの前で、’更
に縦に細く裂き、
「少し大きいが、これを楊枝の代わりにして。」
と言って差し出した。
ひさしは、頭から冷水を浴びせられたようだった。その扇子は、亡くなっ
た祖父譲りのもので、父親がいつも持ち歩いているのを知っていたし、扇面
には、薄墨で蘭が描かれていた。その蘭を、いいと思わないかと言ってわざ
わざ父親に見せられたこともある 。
ひさしは、
「蘭が……」
と言ったきり、あとが続かなくなった。
父親に促されるまま、ひさしは片手で口を蔽うようにして、細くなった扇
子の骨を歯に当てた。
熱が退くように、痛みは和らいでいった。ひさしから痛みが消えたのを見
届けると、父親はハンカチーフでゆっくり顔を一拭きした。それからまた、元
のように目を閉じた。
ひさしは、自分の意気地なさを後悔した。
父親が惜し気もなく扇子を裂いてくれただけに、責められ方も強かった。
うれしさも、ありがたさも通り越して、何となく情けなくなっていた。
しかし、ひさしはその一方で、ずっと大切にしてきたものを父親に裂かせ
たのは、自分だけではないかもしれないとも思い出していた。はっきりとは
言葉に出来ないのだが、決して望むようにではなく、やむを得ない場所で否
応なしの勤めをさせられているように見えるこの頃の父親を 、ひさしは気の
毒にも健気にも思い始めていた。
静かな音を立てて水の流れる掘割のそばを、ぎごちない足どりで駅に向
かっていた父親の背が、向かいの席で目を閉じている父親に重なった。今頃
あの女のひとはどうしているだろう。列車の振動に身をまかせて、ひさしも
212 日语综合教程笫五册
やがてゆっくりと目を閉じた。
(『兵隊宿』講談社より。漢字表記の改正あり)
注釈
〇竹西寛子(たけにしひろこ)
1929(昭和4)年広島市生まれ。小説家、評論家。戦前父を失い、広島県立女専国文科を経て、早大
文学部国文科卒。主な作品には、小説『儀式』『鶴』『管絃祭』『挨拶』、評論『式子内親王•永福
門院』『古典日記』などがある。知性としなやかな感性の合致した文学者として活躍中。『兵隊宿』
は川端康成賞受賞。
❷国民服(こくみんふく)
第二次世界大戦中、日本の男子に広く用いられた、軍服に似た服装で、色は枯れ色(カーキ色)。
1940(昭和15)年に制定された。
❸モンペ
もとは農山漁村で用いられていたズボンの形をした女性が農作業や保温のために、着物の上から
はくものだが、足首のところが細くなっている。1942(昭和17)年に国民服に準じるものとなった。
❹軍需工場(ぐんじゅこうじょう)
軍事上必要とされる物資を作る工場のこと。
新しい言葉 [自五] かぎられた場所に、おおぜいの人やたくさん
のものが集まっている。/拥挤,人山人海。
混み合う(こみあう) [名] 行き来するための通り道。/道路,通行路。
通路(つうろ) [名] 西に傾いた太陽の、つよく照りつける光。特に
西陽・西日(にしび) 夏のものを言う。/タ阳。夕照的阳光。
窮屈(きゅうくつ) [形動] ①場所が狭かったり、ものが小さかったりし
て、自由に動けない。また、そのような感じで
団扇(うちわ) [名] 楽にならない。/窄小,狭小,狭窄。②ぎりぎ
網棚(あみだな) [名] りいっぱいで、ゆとりがない。/感到受拘束,
不舒畅。
向かいあう(むかい合う) [自五] 紙と竹などでできた、風をおくる簡単な道
具。/团扇。
頑丈(がんじょう) [形動] 電車やバスなどで、席の上のほうにある、荷
物を載せるための、網でできている棚。/网
架。行李架。
お互いに、正面から顔を合わせる形になる。
向き合う。/相对,面对。
①もののつくりがしっかりしていて、こわれ
第8課蘭 213
腰板(こしいた) [名] にくい。/结实。②体つきがしっかりしていて、
じょうぶだ。/健壮。
堪える«耐える(たえる) [他ー] ①男の袴の腰に当ててある板。/(日本男人穿
的和服裤裙的)腰部放的板,裙板。②壁-障子・
歯痛(はいた•しつう) [名] 垣などの腰部に張った板。/撑档,横档。
気兼ね(きがね) [名・自サ] 心の動きを押さえて、外にあらわさないよう
にする。/忍耐,忍受,抑制住。
握り締める(にぎりしめ [他T 歯の痛み。/牙痛。
る) 相手に遠慮して、したいことをしないでいる
[名] こと。/多心,顾虑;客气,拘谨。
ハンカチーフ(handker ぎゅっと強くにぎる。/紧握,攥住,紧抓住。
chief) [名]
[自ー] 手ふきや装飾用の四角い布。/手帕。
平素(へいそ) [名・他サ]
着慣れる(きなれる) [名] いつも。日ごろ。/平时,平常,素日。
着用(ちやくよう) いつも着て身体になじんでいる。/穿惯。
鎧戸(よろいど) 衣服や帽子•装身具を身につけること 。/穿。
①鎧板をとりつけた戸。しころど。がらり
暑苦しい(あつくるしい) [形] ど。/百叶窗似的门。②シャッター。/折卷窗
式的铁叶门。
カーキ色(khakiいろ) [名] 暑くて息苦しい。息苦しくなるほど暑い。/闷
热,热得难受。
襟元(えりもと) [名] 茶色がかった黄色。目立たないので軍服に用
いられた色。/卡肌色,土黄色。
風通し(かぜとおし"か •[名]. 洋服で、首に近い部分。/领子的周围,领边,
后领,胸。
ざとおし) ①風が吹き抜ける具合。/通风。②組織などの
中で、互いの意思が通じる具合。/通气。
ゆるい(緩い) ' [形] ①しまっていない。緩んでいる。/松,不紧,
肥大,旷。②厳しくない。厳重でない。/不严。
目隠し(めかくし) [名] ③(傾きなどが)急でない。緩やかである。/不
急,不陡。④(勢い・速度など)激しくない。の
質素(しっそ) [名・形動] ろい。/缓慢,缓,慢。
俺約(けんやく) [名・他サ] ①目をなにかで覆って、見えなくすること。Z
蒙眼睛。②家の中を外から見られないように
するための、かこい。/围墙,围屏。
ぜいたくをしないで、じみでつつましいこ
と。/俭朴,简陋。
お金や物品の無だ遣いをなくして、費用をき
214日语综合教程第五册
りつめること。/节省,节约,俭约。
見合う(みあう) [自・他五] ①出すお金や払う努力に対し、つりあうだけ
のものがある。/相称,相抵。②たがいに相手
を見る。/互相对看。
買い出し(かいだし) [名] 市場や生産地に出かけていって、品物を買う
こと。/采购,采购粮食。
リュックサック(Rucksack)[名] 登山、スキー、キャンプなどに行く人が、食
糧、衣類などの必要品を入れて背負う、丈夫
な袋形の用具。/帆布背包,(登山用)背囊。
車両•車輛(しやりよう) [名] 汽車•電車•自動車などの車。/车辆。
塞がる(ふさがる) [自五] ①じゃまなものが詰まって、通じなくなる。Z
堵,塞。②開いていたものが閉じる。/关,闭,
合。③すでにほかに使われていて、その事に使
えない状態にある。/占用,占满,占着。
一様(いちよう) [形動] どれも同じで、変わったところがない。/一
样,同样。
不機嫌(ふきげん) [名・形動] きげんがわるいこと。/不高兴,不快活。
高じる(こうじる) [自ー] たかまる。甚だしくなる。つのる。/加剧,加
重,剧烈化。
伴う(ともなう) [自・他五] ①いっしょにつれていく。/带。②いっしょに
おこる。なにかにつきまとう。/伴随。
懇意(こんい) [名・形動] したしくつきあっていて、仲がいい。/恳切的
心意,好意。
同業(どうぎよう) [名] 職業・業種が同じであること。/同行,同业。
格別(かくべつ) [副・形動] ほかよりとくに。普通の場合に比べて、程度が
大きい。/特别,格外,特殊,显著。
時勢(じせい) [名] 世の中の動き。/时势,时代趋势,时务。
見通し(みとおし) [名] ①ものの間をとおして、遠くまで見えるこ
と。/眺望。②「こうなっていくだろう」と予
測。/预计,推测。
兵役(へいえき) [名] 国民が徴兵によって軍籍に編入され、軍務に
服すること。/兵役。
抜き取る(ぬきとる) [他五] ①ほかの物の中にさしこまれているものや、
中に入っているものを、取り出す。/抽出。②
多くの物の中から必要なものを選び出す。Z
选出。
縮小(しゅくしょう) [名•自他サ] (規模が)縮んで小さくすること。/缩小,缩减。
好物(こうぶつ) [名] ①好きな飲食物。/爱吃的东西。②好きなもの・
事柄。/嗜好的东西。
第8課蘭215
水炊き(みずたき) [名] 鍋料理の1種。湯または昆布だしで肉や野菜
を煮て、ポン酢醤油などで食べる。骨ごとぶ
看板(かんばん) [名] つ切りにした鶏を入れたものは博多の名物料
理。博多煮。/清炖鸡肉。
仕舞屋(しもたや) [名] ①宣伝や案内などのために 、会社名や店名、商
品名を大きな文字や絵で書いてかかげたも
女将(おかみ) [名] の。/招牌,广告牌。②①のように、人目につ
きやすいようにして、おもてに出すもの。/幌
幾度(いくど) [副] 子。③昔、閉店するときに看板をしまったこと
大っぴら(おおっぴら) [形動] から、飲食店や酒場などが1日の営業を終える
こと。/打・羊,•关门。
板前(いたまえ) [名] 商店街の中にあって、商売をしていない住
専ら(もっぱら) [副] 宅。/不开店的一般住家。
料理屋や旅館など、日本風の店の女主人。/女
物言い(ものいい) [名] 掌柜。
なんど。「いくたび」ともいう。/好几次。
仕種・仕草(しぐさ) [名] 普通なら人の目を気にすることを平気でする
一通り(ひととおり) [名•副] ようす。/毫不掩饰,•毫无顾忌,明目张胆。
小父さん(おじさん) 日本料理屋の調理人。/厨师。
漠然(ばくぜん) [名] ただ一つのことだけで占められているよう
奥行き(おくゆき) [副・連体] す。/专门,专心致志。
①口に出して言うこと。また、その言い方。Z
[名] 说话,说法。②判定に対する抗議や疑問を口に
出すこと。/异议,反对意见。
掘割(ほりわり) [名] なにかをしようとするときの、その人の特有
ぎごちない .[形] の体の動かし方。/动作,举止。
① ありふれたものであること。/普通,一般。
② 全体のだいたいのところ。/大概,大略。
(主に年少者が)よその年配の男性を親しんで
呼ぶ語。/大爷,大叔,伯伯,叔叔。
考えや気持ち、話などがはっきりしないよう
す。/含糊,笼统,暧昧。
①家屋や地所、家具などの、前面から奥までの
長さ。/进深,纵深的程度。②考えや知識など
の深さ。/深度,渊博。
地面を掘って水をひいて、水路としたとこ
ろ。/沟渠。
しやべりかたや態度がぎくしやくしていて、
216 日语综合教程第五册
詰物(つめもの) [名] スムーズに行かない。笨拙,不灵活,不流畅,
不通顺。
繊維(せんい) [名] ①鳥•魚・野菜などの内部に、別の調理品をつ
くい込む(食いこむ)• [自・他五] め込んだ料理の総称。また、それに詰めるため
悔む(くやむ) [他五] の調理品のことをもいう。/填塞食品。②接触
閉じる(とじる) [自他ー-] 部の摩耗を防ぐために、また、輸送のとき、品
斜め(ななめ) [名・形動] 物の損傷を防ぐため、機械・装置中の隙間やそ
楊枝(ようじ) [名] れぞれの品物の間に充填するもの。パッキン
痛み止め(いたみどめ) [名] グ。/填充物,衬垫物。
つのる(募る) [自・他五] ①動植物を組織する細かい糸状の物質や、化
紛らせる(まぎらせる) [他五] 学的合成法で造られた繊維。/纤维。
嗽(うがい) [名・自サ] ①中にきりきりと深く入り込む。/深入,陷入。
膝(ひざ) [名] ②他の領分に入り込む。/侵入,侵犯。
つつく ・つっつく (突く) [他五] 自分のしたことをふりかえって、「こうすれば
よかった」「ああしなければよかった」などと
思い、残念がる。/懊悔,后悔。
①閉まる。閉める。/闭,关闭,盖,合。②終
わりになる。止める。/结束。
傾いていること。斜めにたてかけること。/歪
斜,倾斜。
食事の後で歯のあいだにはさまったものを
とったりするための、小さな細い棒。つまよう
じ。/牙签。
痛みを止めるための薬。鎮痛剤。/止痛剂,镇
痛剂〇
(自)ますますひどくなる。/越来越厉害。(他)
広く呼びかけて集める。/招募,募集。
①区別できないようにして、ごまかす。/蒙混
过去,掩饰。②嫌な気持ちを、ほかのことに心
を向けて忘れるようにする。/排遣。消解。
水や薬の液を口にふくんで、口の中や喉をす
すいで吐き出し、きれいにすること。/漱口。
大腿の下端と下腿の上端との間の関節部の前
面。ひざがしら。/膝,膝盖。
指先や細い棒のようなもので、軽くつく。ま
た、そのようにして食べる。/辍,捅。②欠点
などをわざととりあげる〇/オ兆毛病,吹毛求疵。
③その気になるように、けしかける。/扌兆拨,
第8課蘭217
挑唆。
片頰(かたほお) [名] 一方の頰。/ ー侧的脸,侧脸。
しかめつ面(颦めっつら・ •[名] 機嫌の悪そうな、しかめた顔。’/频蹙的面孔,
颦めっづら) 愁眉苦脸。
即座に(そくざに) [副] すぐに。/立即,马上。
皺(しわ) [名] ひふや紙、布などがたるんだり、おされたりし
たときに、その表面に出きる、ほそいすじ。Z
皱纹,皱褶,折纹。
挟まる(はさまる) [自五] ①ほそい隙間に入って、両側からおさえつけ
られ、うごけなくなる。/夹。②二つのものご
との間に、別のものが割り込むようにして
入っている。/夹,处。
気配(けはい) [名] まわりの感じから、なんとなくそうらしいと
思われるようす。/动静,迹象,苗头。
辛抱(しんぼう) [名・自他サ]つらいことや苦しいことを、じっとたえしの
ぶこと。/忍,忍耐,忍受。
抓る(つねる) [他五] つめや指先でひふを強くつまんでねじる。Z
掐。
思案顔(しあんがお) [名] 考え込んだり心配したりする顔つき。/面带愁
容。
汗ばむ(あせばむ) [自五] 軽く汗をかく。/微微出汗。
引き裂く(ひきさく) [他五] ①強く引つ張って破る。/撕开。②親しく付き
合っている人どうしの邪魔をして、離れるよ
うにする。/挑拨,离间。
冷水(ひやみず) [名] つめたい水。/凉水,冷水。
譲り(ゆずり) [名] 多く、人を表す名詞について、その人から譲っ
てもらっていること。/让与,让给,遗留。
扇面(せんめん) [名] おうぎの地紙(表面)。/扇面。
薄墨(うすずみ) [名] 墨の色の薄いもの。/淡墨色,淡黑色。
和らぐ(やわらぐ) [自五] 激しさや厳しさが静まって穏やかになる。/和
缓起来。
見届ける(みとどける) [他ー] ものごとがどうなるか、終わりまで見る。/看
到,看准,看清。
意気地なし(いくじなし) [名] ものごとに立ち向かおうとする気力がない
人。/没志气,不争气,不要强。
惜しげもなく(おしげも [慣] なくすことを残念に思う気持ちもなく。/毫不
なく) 可惜,毫不吝惜。
責める(せめる) [他ー] ①あやまちや怠慢を指摘して、改めたり、つぐ
218日语综合教程第五册
通り越す(とおりこす) [自五] なったりするようにつよく求める。/责备,责
难。②きびしく、催促する。/严加催促,催逼。
情けない(なさけない) [形] ③苦痛を与えて、苦しめる。/苛责,折磨。
健気(けなげ) [形動] Z①とまらずに通って先へ行く。通り過ぎる。
足どり(あし取り) [名]
走过。②ある程度を越える。/超过。③比喩的
に、困難や障害などを、切り抜ける。/渡过。
①期待がはずれて残念だ。/无情。没有仁慈心。
② みじめで、たよりない感じだ。/可怜,悲惨。
③ なげかわしい。/令人遗憾,可耻。
子供など、力の弱い者が、勇敢に困難に立ち向
かうようす。/坚强,勇敢,大无畏精神。
①歩く時の足の運びぐあい。/脚步,步伐。②
犯人などがうごきまわった道筋。/行踪,踪
迹。
言葉の学習二
n〜かかる :
接尾語。動詞の連用形について複合動詞を構成する。多義語である。
/,ある動作を他に向ける。何かに向かって〜する。その方向に作用を及ぼして身
を任せる。(靠着,压着)
❶モデルは椅子にもたれかかってポーズをとり、画家の要求に応じている。
(模特儿根据画家的要求,靠在椅子上摆出姿势。)
❷壁に寄りかかって人と話しているのは、例の有名な実業家である。(靠着墙
与别人说话的就是那位有名的实业家。)
1❸林の中で休んでいると、側の 本の朽ちた老木が倒れかかってきて驚いた
1よ。(在林子中休息时,身边的 棵腐朽的老树朝我这边倒了下来,把我吓了一
跳。)
❹ 訓練されたサーカスの熊が突然調教師におそいか公工きたんだって、や
はり何といっても野獣は野獣だね 。(杂技团受过训练的熊突然袭击了驯养
员,不管怎么说野兽终归是野兽啊。)
2物事をし始めるという意味を表す。「まさに〜しようとする」「〜しそうにな
る」「今にも〜しそうになる」。また、ちょうど〜する、〜しはじめる。(正要,
即将)
❶ 急いで帰りかけたところへ急に大雨が降って困っていたら、ちょうど知人
第8課蘭219
が通りかかったので、その傘に入れてもらった。(我刚想赶回家时突然下起
了大雨,正在发愁时恰好一个熟人路过,于是我便钻进了他的伞下。)
❷ 夕日が沈みかかるころの海の美しさはとても言葉では言い尽くせないほど神
秘的だ。(タ阳西落时大海的美有一种难以言语的神秘感 。)
❸ 言われた仕事に取りかかろうとしたら、突然中止命令が出た。何かトラブル
でも起きたのかな。(正想着手被吩咐的工作时,突然接到了中止的命令,难道
出了什么麻烦?)
❹ 近くの山に登りかかったところで、突然大粒の雨がポツポツと降り出し、あ
わてて引き返してきた。(正要去近处登山,突然下起了大雨,只好急忙跑回
来。)
上ふ〜がけ(掛け)
接尾語。次のような用法がある。
/•人数を表す語について、その人数だけ腰掛けられることを表す。(…人座
位)
❶ 1日走り回って疲れたので、公園で3人がけのベンチに横になってしばらく
休んだ。(跑了一天我累极了,躺在公园里的 3人长椅上休息了一会儿。)
❷これは2人がけのソファーだが、お客さんが来たときにはここを引き出した
ら間に合わせのベッドになる。(这是ー张双人沙发,可是有客人来时,可以
把这儿拉出来变成一张临时的床。)
❸ ソファーは2人がけにしょうか、3人がけにしょうかとさんざん迷ったあげ
く、客間が狭いため、やはり2人がけにした。(我犹豫着到底是买双人沙发
还是3人沙发。最后考虑到客厅较小,还是买了双人沙发。)
❹ 映画館の席も昔の1人がりIをやめて2人がり1にしたところが多いそうだ。(听
说很多电影院都把以前的单人座改成了双人座 。)
2名詞について、それを身につけていることを表す。(穿着,戴着)
❶ あの日、大勢のなか彼女だけがゆかた坦!の姿だったので、大変印象深かつ
た。(因为那天在众多的人群中只有她穿了浴衣(ー种夏季穿的日式单衣),所
以我印象非常深。)
❷ 彼は夕食の後、草履がけで出掛けたので、すぐ帰ってくるだろうと思う。(他
吃完晚饭后是穿着草屐出去的,所以我想他马上会回来的 。)
❸ およそ30分ぐらい待っと、彼女はたすきがけ姿でホールに現れた。(大概等
了 30分钟,她穿着和服绑着束衣袖带,出现在大厅里。)
❹ 彼は都会には来ているが、相変わらずのわらじがけで、周りの友達に笑われ
た。(他虽然来到了大都市,可是却依然穿着草鞋,遭来了周围朋友的嘲笑 。)
220 日语综合教程第五册
3.動詞の連用形について、ある動作の途中で、または、ある動作から次の動作へ
移る途中に、ある事が行われる、という意味を表す。(顺便…,•••以前)
❶ 行きがり1の駄賃に、資料用としてホテルの英文パンフレットを失敬した。こ
のようなパンフレットはもうたくさん集めてある。(临走的时候我顺手拿走了
介绍旅馆的英文小册子,用作资料。像这样的小册子我已经收集了很多。)
❷ ここはかまぼこの産地だと思って、帰りがけに、駅前の蕎麦屋に入り、「お
かめそば」を注文した。(我想这里是鱼糕的产地,所以回来时,顺道去了火车
站前的养麦面店,要了1碗“什锦养麦面条”。)
❸ お祖父さんは毎晩、寝がりIにこの薬を飲むのだ。それはお祖父さんが長生き
をする秘訣かもしれないね。(祖父每晚临睡前都要服这个药。也许这就是爷
爷长寿的秘诀。)
❹2階から1階への降りがけに、上ってくる先生とばったり出会った。私たち
はそのまま踊り場で長く立ち話をしていた。(刚要从2楼下去时,正巧碰到
老师走上来。于是我们站在楼梯拐弯处讲了好一阵子话。)
会 耳に立つ(みみにたつ) 听起来特别响,声音特别大,…刺耳 «
慣用句。耳に聞こえて気になる。耳障りである。耳に止まる。耳立つ。耳に
つく。
❶ 蒸し暑くて眠れない夜は、外の自動車の音が余計に耳に立つものだ。(天气
闷热睡不着觉的晚上,外面的汽车声显得格外刺耳。)
❷ 今日は朝から社長に叱られた。こんな気分の悪い時は地面を打つ雨の音さ
え耳に立つ。(今天一大清早就挨了社长的骂,这种心情不好的时候,就连落
到地面的雨滴声听起来都是那么地剌耳〇 )
❸ 真夏の日中、ジリジリ照り付ける太陽のもとで聞くあの蝉の鳴き声は本
当に耳に立つものだC (盛夏正午在火辣辣的太阳下听到的蝉鸣声,特别刺
耳。)
❹ 私は寝つきのよいほうではない。秋の夜、虫の音さえ耳に立って寝付けな
いことがある。(我是ー个不易入睡的人,秋天的夜里,有时甚至连听到虫子
的叫声也会感到心烦睡不着觉。)
甄 疑問詞+動詞過去形+もの(だろう)か 到底该…
その行為や行動を起す最も適当なチャンス、場所、もの、または人選、やり
方などに戸惑う気持ちを表す。「〜たらいいもの(だろう)か」と同じ意味であ
る。
第8課蘭 221
❶ 大変よく働いてくれたのでたくさん出してあげたかったが 、社長はだめだ
と言っている。彼への報酬はどうしたものかと迷っているC (他工作很努力,
我很想多给他ー些报酬,可是社长说不行。我很犹豫不知道该怎样付他的报
酬オ好。)
❷ 今度のお礼に何を買ったものかと、彼女はデパートの1階から4階までプレ
ゼントを探している。(这次谢礼该买什么好呢,她从百货大楼的1楼跑到4
楼寻找着合适的礼品。)
❸ この件について誰を相手に相談し たものかと、彼は名簿を見ながら適切な
人選を考えている。(这件事该找谁商量好呢,他翻着名册考虑着合适的人选。)
❹ もっといいチョコレートを作るために、これらの原材料のどれを入れたも
のかと、彼は一晩かけて様々な試作品を作った。(该使用哪种原材料才能做出
更好的巧克カ呢,他花了一个晚上的时间,做了各种各样的样品。)
上金 見るからに(みるからに)一看就… j
一見。ちょっと見ただけで分かるようす。見るとすぐそのような感じを受け
る。
❶ お見合いだと言われて、連れられて行ったが、相手は見るからに乱暴そう
な男で、まったく自分のタイプではないと思った。(他们把我带去,说是相
亲。对方一看就是1个很粗鲁的男人,根本不是我所喜欢的那种人。)
❷ 彼は2カ月入院していたそうで、昨日キャンパスで会ったが、見るからに病
気上がりのたよりない様子だった。(听说他在医院住了两个月,昨天在学校
里见到了他,ー看就是ー副病怏怏的样子。)
❸ 彼女は見るからに育ちのよさそうなお嬢さんで、近所でも評判の気立ての
良い子だ。(ー看就知道她是个有教养的姑娘2左邻右舍的口碑也很好,都说
她性情温和。)
❹ あの2人は見るからに仲の良くない、正に「犬猿の仲」と思っていたが、い
つ頃からか仲良しになって …。女性って不可解だね。(那两个人ー看就知道
关系不怎么好,正所谓是水火不相容,但不知从何时起成了好朋友。女人真是
令人费解啊!)
初少〜てのこと是因为…オ可能…
動詞連用形について、後項の成立が前提で、その前提の下で前項が成立する
のだという意味を表し、前項条件を強調する表現である。
❶ この職を勧めるのは君の将来を考えてのことで、別に君の将来を悪くしょ
うという目的ではない。(劝你去做这个工作,并不是要毁了你的将来,恰恰
222日语综合教程第五册
是为你的将来着想。)
❷ 自分で会社を興す考えはたいへんいいが、しかし、それは資金があっての
ことだ。資金がなければその話も畳の上の水泳になるだろう。(你想办公司
的想法彳艮好,可是这首先要有资金オ行。如果没有资金,那只不过是纸上谈
兵罢了。)
❸人生もここまで来ると、幸せとは苦労があってのことだということをしみ
じみ感じるものだ。(人生走到今天,我オ深深体会到所谓的幸福是用吃苦换
来的道理。)
❹ みなさんは留学ができたのも親の支援があってのことだということを忘れて
はいけない。将来卒業したら親孝行をしなければならない。(可不要忘记你们是
在父母的支持下才得以出国留学的,所以将来毕业以后一定要孝敬你们的父母。)
匕点 いやおうなしに 不管愿意不愿意,不容分辩,硬着头皮 j
副詞。是非を言わせずに。むりやりに。承知、不承知にかかわらず、という
意味を表す。
❶ 徴兵制とは決められた条件に合えば、いやおうなしに兵隊に行かなければ
ならない制度のことである。(所谓兵役制就是凡是符合条件的人,无论愿意
与否一律得去部队当兵的制度。)
❷ 今度の病気で感染者は全員いやおうなしに隔離された。(这次疾病凡是被感染
的人无论愿意与否都被隔离了 〇)
❸ 税金とは、いやおうなしに納めなければならないお金のことである。(所谓
税金,・就是无论愿不愿意都必须交纳的钱。)
3❹ せっかくの休みなのに、来月から ヶ月間、日曜日はいやおうなしに全員出
3勤しろと社長に言われた。(难得有休息日子,可是社长说从下个月开始 个
月,无论愿意与否,星期天所有的人都必须上班。)
心 ~からいいようなものの 因为・•・幸好没…(但)… j
常体文につき、「〜からそれほど大きな問題にならずにすんだ」という意味
で、最悪な状態は谜けられたという気持ちが含まれる。「〜からいいが/けど」
に似ているが、それより非難の気持ちが強い。
❶ 今日は学校の都合で短縮授業になったからいいようなものの、これからは
ちやんと予習してこないとだめだよ。(今天因为学校提前下课,也就算了。可
是今后不预习好来上课可不行。)
❷ 彼女が自分でやめると言い出したからいいようなものの、さもなければ、ど
う言って彼女をやめさせるのだろうか。(这次是她自己提出辞职还算好,否
则你怎么跟她说让她辞职呢?)
第•8課蘭223
❸ 彼の生活態度の甘えはひどい、今はまだ親がいるからいいようなものの、将
来親がいなくなったらどうしょうと考えているのか。(他对生活的严峻认识
不够,现在父母健在还好,将来父母一旦不在了该怎么办,他想过没有?)
❹ 二、三日の余分な食料があったからいいようなものの、山で遭難した彼らは
場合によっては命も危ういところだったね。(幸亏他们多带了两三天食物,
否则他们在山里遭难有时说不定还有生命危险呢。)
上公\-心--持-ち--(こ--こ-ろ-も-ち-)- -稍--微--,有-点--儿-------------- ■
畐"詞。名詞としての「心持ち」は「気持ち」「心地」「心の持ち方」の意を表
すが、副詞として使う場合、それほどはっきり感じられるわけではないが、程
度がごくわずかであるさまを表す。ほんの少し。やや。
❶ 空の色だけど、心持ちブルーを入れれば、お月様がもっと浮き彫りになり、
すばらしい絵になると思うが。(在天空的颜色里再略微加一点蓝色,这样月
亮就被衬托得更明显,这幅画就会更完美 。)
❷ とてもきれいな女の子だが、左の目が右の目より心持ち大きいのがちょっと
残念である。(她是个非常漂亮的女孩子,可遗憾的是左眼比右眼略大了一点。)
❸ 顔を心持ち右に向けてにっこりと笑ってくださいね。そのほうができた写真
がきれいに見えるから。(请把脸稍微向右转一点,面带笑容,那样照出来的照
片才好看。)
❹ この望遠レンズを心持ち右に移すと、北極星の位置に当たる。ほら、一番輝
いているのがそうじゃないか。(把望远镜略微向右移一点,就可以对准北极
星了。瞧,最亮的ー颗不就是它吗。)
ケう 身を任せる(みをまかせる) 任凭,任其摆布,完全服从;]
L 委身于男人,许身于男人 !
相手の前に身を投げ出して、そのなすがままになったり、相手の思うように
させる。また、特に女性が相手の男性にからだを許すという意味を表す 。
❶ ときには船の快い揺れに身を任せることもストレス解消になるんだよ。(有
时躺在小船里任其慢悠悠地摇晃也是消除精神疲劳的ー种方法。)
❷ その人は君臨する皇帝の使いと言う。その彼の強要に身を任せた結果、彼女
は罪に手を染めてしまった。(这个人被称为皇帝的使者。由于屈服于他的强
权,结果她就走上了犯罪之路。)
❸ 彼女は素直な心を持って、湧き上がる喜びに身を任せながらこの上ない幸
せを感じていた。(她用ー颗纯朴的心去体会发自内心的喜悦,充分感受这人
世间无上的幸福。)
❹ 彼女は親の反対を押し切って好きな男に身を任せたあげく、体に17箇所の
224日语综合教程第五册
傷を負わされて実家に戻ってきた。(她不顾父母的反对委身于自己喜欢的男
人,可结果身上带了17处伤回到了娘家。)
学習
上〉 しきりに・ひとしきり•ひっきりなしJ
/.しきりに(頻りに) 不断地,不停地;热心地,强烈地
副詞。たびたび。切れ目なく続く様子。間隔をおかずに同じ動作、行為を何
度も繰り返す様子、また熱心に何かをする様子を表す。
❶ うちの犬は最近目が急に赤く充血したり耳や皮膚をしきりに搔いたり嚙んだ
りするので、今日ペット病院に連れて行った。(我家的狗最近突然眼睛充血,
还不停地抓挠啃咬耳朵和皮肤,于是今天我把它带到了宠物医院 。)
❷ この蟹はまだ生きている。その証拠に口のところに泡をしきりに吹いてい
る。(这只蟹的嘴边不断吹出泡泡,证明它还活着。)
❸ 笹の葉をしき次にかじっているパンダの仕種がとてもかわいいので、写真を
撮ろうとしたが、館内撮影は禁止という貼紙があったのでやめた 。(熊猫不
断地啃竹叶的动作十分可爱,我想把它摄下来。但是因为贴着管内禁止摄影
的纸条,只好作罢。)
❹ 僕はそんなに気にしていないのに、彼女はデートに遅れたことをしきりに
弁解している。(其实我并不在乎,可她却不停地向我解释约会迟到的原因。)
2ひとしきり(一頻り)ー阵子,一会儿
副詞。しばらくの間。その間に物事が集中する様子。盛んに続く様子を表す。
❶ ひとしきり降り続いた雨が午後になるとぴたりとやんだ。彼は会議に出席
するために急いで家を出た。(雨下了一阵子,到下午的时候突然停了。于是
他急忙离家去参加会议。)
❷ 隣の家ではひとしきりにぎやかな子供の声がしていたかと思うと 、そのう
ちピアノの演奏が始まった。今日はどうやら誕生パーティーの集まりのよ
うだ。(从隔壁邻居家不断传来孩子们的欢闹声音,后来又听到了钢琴演奏的
声音。今天他们好像在举行生日派对。)
❸ その時代、ひとしきり婦人の男装が流行っていたが、いつの間にか、女性は
またスカート姿に復帰した。(在那个时代,有一阵子流行女性穿男装,后来不
知什么时候女性又恢复了穿裙子。)
❹ ひとしきりにキャンキャン泣いていた小犬は母犬の乳を飲むとそのままスヤ
第8課蘭225
スヤと寝入った。(小狗叫了一阵子,吃了母狗的奶后,在母狗的•身边安静地
睡着了。)
3,ひっきりなし(引つ切り無し)接连不断地
形容動詞。動作や行為の頻度が非常に高くて絶間のない様子、また切れ目な
く続く様子を表す。たえず。よく「ひっきりなしに」の形で用いられる。
❶ 僕は部屋で受験勉強をしているのに、窓の外は騒音がひっきりなしに続い
て勉強を邪魔した。(我在房间里忙着复习迎考,可窗外不断传来噪声影响我
学习。)
❷ 昼食の後シャックリが出た。最初1分に1回くらいだったのが、次第に間
隔が短くなり、終いにはひっきりなしに出るようになった。(吃完午饭我开
始打嗝,开始是隔1分钟左右打1个,慢i曼地间隔时间越来越短,最后就一个
劲地打嗝。)
❸ 北海道南部で地震が発生した。震度5の大きな揺れの後、その日はひっきり
なしに小さな揺れが続いて、眠ることもままならなかった。(北海道南部发
生了地震。经过5级的震动后,余震接连不断,连睡觉也不能如意。)
❹ 僕はアレルギー性鼻炎で鼻水がひっきりなしに出て、勉強に集中できない
ほどだった。(我因患过敏性鼻炎,鼻子不停地流着鼻涕,甚至妨碍我集中精
力学习。)
まとめ
三語とも物事が盛んに重ねて起こる様子を表すが、「ひとしきり」はある動
作、状態がしばらくの間、勢いよく盛んに続く様子を表す。それに対して「し
きりに」は物事が起こる時間的間隔よりも、起こる回数が多く、何回も繰り返
されるという物事の頻度を’強調する語である。また、「ひっきりなし」は、頻度
から言って「しきりに」よりも高いが、とぎれずに、切れることなく続くとい
う持続性を強調する語である。
ョ ひっそりづこっそり…•そっと—— —__j
7•ひっそり 偷偷地,悄悄地;鸦雀无声,寂静
副詞。人のいる気配がなく、なんの物音もしない、静かな様子。または人に
知られないようにひそかに物事を行う様子を表す。
❶ 僕は定年になったら、騒々しい大都会を離れてA市のようなひっそりした
街へ行って静かに老後の生活を送ろうと考えている。(退休以后我想离开嘈杂
的大城市,去像A市那样安静的地方,在那儿安享晚年。)
❷ 店舗はみんな高級品を売るばかり。人影もまばらで、ひっそりしている。そ
226日语综合教程第五册
ういう店に入るたびに、やっていけるかと無用の心配をした。(这些店铺尽
卖些高档品,基本上没有什么客人光顾,非常安静 。每次走进这种店铺时,我
总是产生一些无谓的担心,想这种店是否能经营下去? )
❸ 隣の家はいつもひっそりしていて、どんな人が住んでいるのだろうと好奇
心を搔き立てられるほどだった。(我家隔壁一直十分安静,甚至使我产生一
种好奇心,想知道究竟是什么样的人住在那里。)
❹ あれほど派手だった彼女が、旦那に死なれて、特にあの事件以来、田舎に
行ってひっそりと一人暮らしをしている。(她以前是那么的阔绰,可是丈夫
去世后,尤其是那起事件以后,她便去了乡下,1个人过着寂静的生活。)
2.こっそり悄悄,偷偷,蹑手蹑脚
副詞。人に知られないように、ひそかに物事を隠れておこなうようす。こそ
こそ。
❶ みんなで議論している真つ最中に彼女は気分が悪くなり 、こっそり会議室
を抜け出して外の空気を吸った。(大家议论得正起劲时,她突然感到不适,便
悄悄地退出会议室,到外边去呼吸新鲜空气。)
❷ 主人に内緒でこっそり宝くじを買ったら、一等奨に当たってしまったのだ。
(我瞒着丈夫偷偷买了彩票,可没想到竟然中了头奖。)
❸ 彼は手にしているものをテーブルの下で二2そ当と隣にいる彼女の手に渡‘し
た。(他偷偷地把手中的东西从桌底下递到坐在身旁的她的手中 。)
❹ 玄関のほうで相手の親が喧嘩してきたようなので、彼はこっそりと裏口か
ら抜け出して行った。(大门口传来了对方父母吵上门来的声音,于是他悄悄
地从后门溜走了。)
3そっと悄悄地,轻轻地,偷偷地
副詞。人に気づかれずに静かに何かをするようす。また、音を立てないよう
に、ひそかにするようすや干渉しないで静かにしておくさまなどを表す。
❶ 暑い夏のある日、図書室で汗をかきながら読書に没頭していると 、彼女が
をとそばに来て後ろから団扇で煽いでくれた 。(那是在ー个炎热的夏天,
我满身是汗地坐在图书室埋头看书,她悄悄地来到我身游我的身后为我打扇。)
❷ 彼が駆けつけた時、彼女はすでに息絶えていた。彼は溢れる涙を拭こうとも
せず、彼女の額に公と最後の口づけをした 。(他赶到时她已经咽气了。他
顾不得擦去涌出来的泪水,轻轻地在她的额头上作了最后的亲吻 。)
❸ 今度の事件は君が悪いのだから、しばらくの間おとなしくそっとしていたほ
うがいいと思うよ。(这起事件是你不好,所以我想这段时间你还是老实些好。)
❹ 悩みに悩んだ結果、彼女は自分の心の秘密をwと彼に打ち明けた。(虽ー
再犹豫,但最后她还是悄悄地向他说出了心中的秘密。)
第8課蘭227
まとめ
他人に気づかれないようにする様子という点では、三語とも共通している。
「ひっそり」は、静まり返って人のいないような、寂しげな感じ、仲間内だけで
周りに知られていない様子を表す言葉である。「こっそり」には、法律・規則な
どに違反するか、誰かに悪いという後ろめたさのあることを隠して人に知られ
ないようにする場合に使う語である。「そっと」は静かに、他人に迷惑を掛けず
に、遠慮しながら、目立たないように何かをするというニュアンスがある。
練習
ー、次の漢字にふりがなをつけなさい。
通路 西陽 時刻 窮屈 団為 網棚 老婆 窓際
平素 着用 内海 奥行き
頑丈 腰板 葬儀 歯痛 故人 時勢 兵役 不機嫌
気配 思案 女将
襟元 質素 イ黄約 懇意
健気 繊維 片頰 即座
二、次の文の片仮名の部分を漢字になおしなさい。
1. こんな三み切っている電車に乗れるだろうか。
2. 隣近所に・ねしてテレビの音を小さくしている。
3. こういうメカクしをすることはやめてほしい。
4. 収入にミ切う生活をすれば無難である。
5. 静かに音を立てて水が流れているホリワリに沿って歩き出した。
6. お祖父さんも間もなくあの世にタビダった。
/あれはシモタヤのような小さい店だった。
8. 夏はヒショチに行って過ごすのだ。
9. この指輪は亡くなった母から室られたもので、ずっと大切にしている。
10.孫の卒業式を三上工けたいとお祖母さんが言った。
三、次の質問に口頭で答えなさい。
1.乗客はなぜ晴れない顔つきをしているのか 。
2老婆はなぜ網棚の荷物を気にするのか。
3. ひさし少年はなぜ遠くの席の赤ん坊の泣き声まで気にするのか。
4. 暑い日なのに、列車の窓に鎧戸がなぜ下ろされたのか。
5. 「耐え難く思われた」という父親の気持ちがどうして分かるのか。
6. ひさしには、なぜ座席にいて見渡せる乗客のどの顔も、一様に不機嫌そうに見
えたか。
7. 父親はなぜ工場を休んでまで葬儀に出かけたのか。
228 日语综合教程第五册
8. 父親はなぜ息子を連れて旅をする機会も、これからはなくなるだろうと見てい
たのか。
9. 父はひさしにも、母親にも何を言わなかったのか。
10. 文中に「そうした生活に戻れるあてはなく」とあるが、どんな生活に戻れない
といっているカ、。
11. 葬儀という名目があって、むしろよかったと父は思ったが、なぜなのか。
12. 父はなぜ時勢から水炊きのような贅沢な料理は無理を承知で頼んでみたか。そ
こから父親と店の女将さんとはどんな関係にあると思うか。
13. せっかく作ってくれた料理を、父はなぜ「箸をつけただけで専ら酒をふくみ」
なのか。
14. 「この女の人はこれからどうやって生きていくのだろう」というひさしの思い
を父親はどのように表したのか。
15. ひさしにはなぜ「靴をはいた父親の歩き方は、和服に下駄の普段の歩き方より
も、ずっとぎごちなく見えた」のか。
四、 次の文の下線部を辞書で引いて日本語で説明した上、全文を中国語に訳しなさい。
1. 頭が上の棚にぶつかって痛かったが、その痛みに堪え宜みんなに説明した。
2. 人に気兼ねして一緒に暮らすより、1人でいるほうがいい。
3. あの子は収入に見合った生活をしているので、心配はない。
4. 約束した時間が過ぎても子供の姿が現れない。私はだんだん不安が募ってきた。
5. 来たくなかったら来なくていい。しかめつ面などすることはない。
五、 次の下線部の言葉の意味が、それぞれのはじめの文と最も近い意味で使われてい
る文を、①、②、③、④から一つ選びなさい。
1. 町をきれいにするのは市民としての公也である。
① 税金を納めることは国民のつとめだ。
② 1日のっとめが終わると、さっさと家に帰る。
③ お寺では朝夕のっとめを欠かさない。
④ 彼はつとめをやめて日本留学に出た。
2. 裁判では勝ったが、原告はまだ気分が匱セないらしい。
① 半日かかってやっと霧が晴れて飛行機が飛べるようになった。
② 3年間も疑いをかけられたが、おかげさまでやっと晴れたのだ。
③ 雲がだんだん東の方に移動して、西の空が明るく晴れてきた。
④ 問題を起こしたものを首にする約束で、やっとみんなの気持ちが晴れた。
3. その講演は聴衆の理性に強く發えた_。
① これは腕力に訴えるゲームである。
② あれは明らかになにかを訴えている目つきである。
第8課蘭229
③ あれは視覚に訴える芸術で、勘の鈍い人にとっては非常に難しいものである。
④ 最近外国人を訴える民事訴訟が増えているようだ。
六、次の語群から適切な言葉を選んで、必要な場合は形を変えて( )に書き入れな
さい〇
いつの間にか 耳が痛い 耳が遠い 頭を下げる 以上
ぎごちない おおっぴら けなげ 意気地ない 思案顔
1.好きな人と話していても会話が( )、白けた雰囲気になってしまう。
2私はまだ12歳のこの子の( )な行為に敬服せずにはいられない。
3. とても親切な人だが、会うときはいつも( )をするので、こっちも
っいいやな気持ちになる。
4. そこまでやられても、反抗の意思一つ示す勇気のないあの子の( )
には呆れたものた。
5. かまどにあれほど燃えていた火は( )消えていた。
6. 昼間からこんなに( )に酒を飲んだりしていて、いいのかな。
/いくらご意見歓迎と言っても、いざ自分の子どもの悪口を聞かされると、やは
り( )ものである。
8. あの子は小柄だが、想像( )によく働くし、また気が利くものだか
ら、採用することにしよう。
9. いつもイヤホンを使っていると、( )なりやすいと言われたことがあ
る。 •
".彼は人に( )ことの嫌いな男だから、こんな話なら彼の耳に入れな
いほうがいい。
七、次の文中の 部分に入れるのに最も適切なものを選びなさい 。必要な場合
は、語の形を変えてもよい。また、答えは必ずしも一っとは限らない。
1. 秋の行楽シーズン中は、快晴の青空のもと、紅葉の続く道路を観光バスが
走ってレ、く。
①しきりに ②ひっきりなしに ③ひとしきり
2. '泣いた彼女は、立ち上がって台所に向かって、夜帰ってくる家族のた
めに、夕食の準備にとりかかった。
①しきりに ②ひっきりなしに ③ひとしきり
3何がきっかけだったか、彼女は突然ポロポロ大粒の涙をこぼした。そして
涙を気にしながらも貧しかった昔のことを語り出した。
①しきりに ②ひっきりなしに .③ひとしきり
230日语综合教程第五册
4. 破産して以来、友人どころかわが子も訪ねてくることはなく、とうとう社長は
愛する妻を残して とこの世を去っていった。•
①そっと .②こっそり ③ひっそり
5. 自分の試験結果を心配するあまり、彼女はつい と先生の事務室に入っ
て成績表を盗み見てしまった。
①そっと ②こっそり ③ひっそり
6. 奥様は入ってくると、派手な裏のついたコートを 玄関の隅に脱いだ。
③ひっそり
①そっと ②こっそり
ハ、括弧の中の言葉を使って次の中国語を日本語に訳しなさい。
1.年轻的母亲已经烦恼1个月了,想着该什么时候把孩子的父亲外出打エ并死在
那里的事告诉年幼的孩子们。(疑問詞〜たものか;外出打エ并死在那里一出稼
ぎ先で亡くなる)
2 ー看就知道社长今天心情不好。这种日子哪怕只要出ー顶点差错,也会倒霉的。
(見るからに)
3你能不能停止那书桌下脚呷阿呷阿的声音啊,非常刺耳,使我无法集中精力学
习。(耳に立つ;脚呷阿呷阿的声音一カタカタと足を鳴らす)
4. 过了 5月中旬,校园里杜鹃花盛开时,那粉红色的颜色也会略微红一点 。(心持
ち;杜鹃花一つつじの花)
5. 在国外生活,不管愿不愿意都应该学习该国语言,了解该国的文化,融入该社
会,才能得到最大的留学效果。(いやおうなしに;融入该社会ーその社会にと
けこむ)
6. 的确,你还这么年轻就已经获得如此大的成功。可是,不要忘记你是因为有了公
司的支持才能走到这ー步的。(〜てのこと;走到这ー步ーここまで来られた)
7. 幸好讨厌的上司这次退休了,要不然我就只好辞掉这份工作了。真是太幸运了。
(〜からいいようなものの)
8. 那里是一片草丛,透过树梢之间可以看到已经开始腐烂的房顶,一片荒凉,根
本无人居住。(〜かかる;一片草丛一一面の薮)
9临出门时我去叫佐藤,他好像不太想去,还在那里依依不舍地摆弄着他刚买来
的吉他。(〜がけ;依依不舍一未練がましく)
第8課蘭 231
10.像她这种情况与其说是她工作能力强,或许倒不如说是因为她紧跟时代潮流,
オ带来今天的成功的。(身を任せる;时代潮流一時代の流れ)
九、言葉の決まり
1.次の①〜⑤の下線部の漢字の読み方が他の四っと異なるものをア〜オから選び、
それぞれ番号で答えなさい。
① ア 公垩 イ 生等 ウ 垩日 ェ 垩和 才 垩行
② ア 帰省I イ 省I略 ウ 宣庁 ェ 豈令 才 省:力
③ ア 壓布 イ 壓政 ウ 財団 ェ 財界 才 壓宝
④ア 宣水 イ 修宣 ウ 宣楽 ェ 改ii 才 宣列
⑤ア 生誕 イ 生命 ウ 生存 ェ 生涯 才 生徒
2次の言葉の意味に合うものを、後のア〜カより選び記号で答えなさい。
①漁夫の利( ) ②蛇足( )
③五十歩百歩( ) ④海老で鯛を釣る( )
⑤餅は餅屋( ) ⑥雨降って地固まる( )
ア、少しの差はあっても本質的には同じこと
イ、その道のことはやはり専門家が一番であるということ
ウ、よけいなつけ足しをすること
エ、わずかな元手で、多くの利益を得ること
才、第三者が利益を得ること
カ、試練にたえて、かえってよい状態になること
3.次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
高山の寒い所の樹木たちは、春から秋にかけて、あわただしく生き生きとし
た生活の営みを続けている。少しもぼんやりしてはいられないのだ。とにかく
少しの時間をも惜しんで、生命を充実していこうとしているのである。霜が降
りて葉が染まる、落ちる、やがて雪がやってくるのである。そして、それから
の長い間を雪の中に①埋まっているのだ。その間こそ長い長い休息のとき②M
ある。年を越えて5月か6月のころまで、おそらくそうして静かにしていなけれ
ばならないのであろう。そして、ようやく雪③四解けるのを待って、④それと
ばかりに、昨年の秋からこらえていたその芽生えの力を解き放つのである 。
dD 下線部①「埋まっているのだ」の主語にあたるものはどれか、文章の中
から抜き出し、一文節の形で書きなさい。
dB 下線部②「で」と同じ意味・用法のものを、次のア〜エのうちから一つ
選び、その符号に〇をつけなさい。
アプール迫泳いだ。 イそれは兄のMこれが私のだ。
232 日语综合教程第五册
ウ筆M書きなさい。 工本を読んM答えなさい。
dB 下線部③「の」と同じ意味・用法のものを、次のア〜エのうちから一つ
選び、その符号に〇をつけなさい。
ア 人のいない島がある。 イ これは彼への手紙である。
ウ 鳥丑ような島がある。 エ 彼も友人西1人である。
dD 下線部④「それとばかりに」の被修飾語を書きなさい。
十、次の文章を読んで後の問いに答えなさい。
人間と人間とが結びつくのは、言語を通してである。あたりまえの話だ。そして
私たちは日本人だから、日本語なら自由に使えるはずだと思い込んでいる。しか
し、このあたりまえのことを疑ってみよう。私たちは、ほんとうに言葉において自
由であるか。また、人間と人間とが言葉を通して結びつくと言うけれど、ほんとう
に結びついているのか。「結びつく」とは、どういうことなのか。
だれでも経験していることが一つある。たとえば音楽を聞いたり、絵を見たり、
また読書などで、心に深い感動を受けた時、あるいは心の中に多少でも複雑な悩み
のある時、私たちはどういう状態に陥るか。だれでも経験することは、まずものが
言えなくなるということだろう。言葉を失うわけだ。①感動の深さや悩みの深さに
それは比例するC沈黙せざるを得ないような状態に陥る。
ところで深い感動や悩みは、言葉を失わせるが、本人は今度は、②そういうこと
ほど人に伝えたくなるものだ。自分がほんとうに表現したいと思うことは、一番表・
現しにくいことだと言ってもよかろう。ここで当然起こるのは言葉の困難である。
どんな言葉を使って、いかに表現したら少しでも自分の考えや感じを明らかにする
ことができるかを模索する。言葉との格闘がここに始まる。それが精神というもの
の目覚めである。言葉を開拓することが、匚瓦コを開拓することである。
ところが、これがたいへん苦しいことだ。だから怠ける人は、だれか他人が使っ
た言葉、あるいは新聞や雑誌でよく見かけるありきたりの言葉を使って、安易に表
現してしまう。そのとき生ずるのは言葉の③平均化であるCそれは同時に、精神の
平均化である。平均化寸ることで安心している場合が多い。だれもが同じようなこ
とを言うと、それで一応は気が楽になるものだ。画一性とは、匚B□のようなもの
であろう。
大切で微妙な言葉ほど表現しにくい。④微妙性を徹底的に追求するのが文学だと
言ってもよかろう。この種の「文学」は万人の心の中にひそんでいる。だれだって
言いたいことを十分には言えないで、心の中で悶えているのだ。そういう状態にお
互いに敏感であること。それが愛情というものだ。人間と人間との結びつきは、こ
の点で辛うじて可能となるのではなかろうか。
第8課蘭233
(ED 下線部①表す意味を20字以上40字以内で説明しなさい。
(1B 下線部②「そういうこと」は何を指すか。7文字を文中の言葉で答えなさい。
ob に入れるのに最も適当な漢字2字を文中の言葉で答えなさい。
HD 下線部③「平均化」と似たような言葉を文中から探し出しなさい。
dD I b丨に入れるのに最も適当な言葉を、次のア〜エの中から選び、記号で
答えなさい。
ァ、臆病な精神にとっての避難の場
イ、勤勉な精神にとっての修行の場
ウ、怠惰な精神にとっての安息の場
エ、潔癖な精神にとっての試練の場
dD 下線部④「微妙性を徹底的に追求する」という意味を文中の言葉で答えなさ
dD この文章で「人間と人間とが言葉を通して結びつく」ためには、どんな心構
えが必要なのか、次から適当なものを二つ選びなさい。
ア、自分の気持ちに忠実に、的確な言葉で表現する。
イ、自分の気持ちを抑えて、わかりやすい言葉で表現する。
ウ、自分の言葉は不完全であるから、余分なことを言わない。
エ、相手のほんとうに表現したいことを 、鋭く察知する。
才、相手の言葉は不完全であるから聞き漏らさない。
カ、言葉に惑わされず、相手の気持ちを見抜く。
文学・語学の豆知識
小説とは
小説とは、作者の想像力によって創造し、または事実を脚色したもので、主
として散文体の文学である。小説の種類は三つある。
(1) 分量からいって、短編小説、中編小説、長編小説とある。
(2) 内容からいって、現代小説、歴史小説、伝奇小説、推理小説、冒険小
234日语综合教程第五册
説、科学小説、恋愛小説などある。
(3)表現からいって、大衆小説と純文学などがある 。
小説は、人物、背景、事件・行為が中心になっていて、これらの展開を通
じて、作者のいいたいこと(主題)が表現されているのである 。小説を読む場
合はいつも、人物、環境、生き方という三つの要素を読みとることによって
主題をつかまなくてはならない。
小説を読む場合には、三つの要素の展開を読みとることによって主題をつ
かまなければならない。そのためには次のような点に気をつけるとよい。
(1) 全体の筋をつかむ
段落に分け、各段落の内容を要約し、筋の展開のしかた(発端T展
開T高潮ー結末)を読みとる。
(2) 内容を味わう
登場人物の性格の組み合せ、環境を考え、人物が、どういう行為を
行っているかをつかむ。
(3) 主題をつかむ
作者が作品の中で表現しようとしているもの、 読者に伝えずにはお
られない感動などを、筋の展開、描写のしかたの中からっかむ。
小説では、作者が、その考えを文中に、はっきり述べることは少な
く、ときに、作中の人物にその考えを語らせたり、小説全体から読者
が判断しなければならないことがあるから、主題をつかむ時には要注
意である。また、近代小説は個性的である。作者の生い立ちはどうか、
どういう考え方を持ち、どういう生き方をしているか、作品はどうい
う動機で書かれたか、どういう傾向の作品が多いか、などについて
知っていれば、作品の理解に役立つ。
読み物
とんかつ •三浦哲郞
須貝はるよ。三十八歳。主婦。 第8課蘭 235
同 直太郎。十五歳(今春中学卒業)。