どのように機械を使うか、いかにして機心を戒め、人間らしい充実感をもつ
て生きることができるか、ということなのである。
私が今更のようにこんなことを反省するのも、実は二十世紀がまさしく
「機械の世紀」であり、二十一世紀は更に「機械万能の世紀」になることが
確実だからだ。そして機事はいよいよ増え、それとともに機心がますます
増大してゆくことを憂える故である。複写機は大切な文章を書き写すとい
う作業を無用なものにしてしまった。コンピューターは記憶の容量を一挙
に拡大し、それを一枚のフロッピーに簡単に保存してくれるようになった。
それは確かに偉大な技術の進歩である。
だが、人間の本質とは記憶で成り立っているのだ。大生とは記憶の集積
なのである。そのように貴重な記憶のすべてを機械に譲り渡してしまった
なら、人間にいったい何が残るだろうか。記憶など必要としない大々の群
れ、それは歴史を失った人間であり、ただ現在だけを条件反射的に、ある
いは要領よく生きる人たちと言っていい。二十世紀のおそろしさ、そして、
二—世紀の何よりの不気味さは、そのような「ポスト・モダン」人を着々
と生み出していることにある—— と私は思う。
(『新選国語ー改訂版』尚学図書より)
,注釈
❶ 森本哲郎(もりもとてつろう)(1925〜)
評論家。東京生まれ。主な著書に『あいまいな言葉』『神々の時代』『生きがいへの旅』『文明の旅』
『詩人・与謝蕪村の世界』『そして文明は歩む』などがある。本文は1985年10月刊の雑誌『波』に
よる。
❷ 藤田吉香(ふじた よしか)(1929〜1999)
洋画家。
❸荘子(そうし)
中国の思想家。紀元前4世紀末から前3世紀初めの人と言われる。著書に『荘子』がある。
❹ ポスト・モダン(Post-modern) 超近代建筑
ここでは流行の先端にあるという意。
86日语综合教程第五册
4
[本文 庭
•濾江漬信
庭というものは住まいの外にありなが
ら、室内の雰囲気に少なからぬ影響を与
える住まいの装置である。たとえば居間
などに座って何気なく外に視線を投げる
とき、そこにあるのが明るい芝生の広が
りであるか、こんもりとした松の茂みで
あるかによって住まいの気分はかなり異
なるであろう。ぼくは親の庭先に家を建
てて住んでいるので自分の庭と言えるも
のを持たないのだが 、それでも窓辺の食卓から父母の庭を望むことができる 。
この庭は“庭園”風に整えられてはいない雑木ばかりの広がりだが、それがか
えって四季折々の移り変わりを鋭敏に映しだすことになって好ましく感じら
れ、春先にヒョロリとした梅が思いもかけぬ片隅を小さく彩ったり、枯木立ち
が冬の入り陽を千々に裂いたりするのを眺めやることで、ささくれ立った気分
が和む思いをすることが多い。
庭を眺めるという一見目立たない行為は 、ぼくを含む日本人の日常生活の
流れの中で意外に重要なー種の節目になっているらしい。たとえば山口瞳の
哀切きわまりない私小説集『庭の砂場』の中の同名の短編はその典型的な例
の一つであろう。この小説は次のように書き出される。
「今年の梅雨は殊更に長く感じられた。三月にも四月にも雨が多かったせい
だろう。私は陰鬱な気分で暮らしていた。梅雨時は必ずしも嫌いではなかっ
た。それは繁った樹木のせいだ。青葉の繁った樹木に雨が降りかかるのを見
るのは好い気持ちのものだった。紫陽花は好きだし、紫式部の薄いピンクの
花が咲くのもいい。
私は樹木が間近に見える居間の長椅子に坐って庭に降る雨を見ていた 。そ
第4課庭87
うしていると気分が沈んでくる。.... 」
作者の分身である主人公は 、こうして庭を眺めているうちに最近次々と亡
くなった肉親たちに思いを馳せていく。つまり気分がますます沈みこんでい
くわけで、これは先に述べた「気分が和む」のとは逆のように思えるかも知
れないが、実は、普段は押し殺していた感情が庭の眺めに誘い出され 、一種
の放電を起こすことによって抑圧が解消されるのだから、本質的には「和む」
のと同じ現象である。そのことは、ひとしきり死者を思った後に風呂場で頭
を洗っている主人公が、葬式では決して泣かなかった自分が涙を流している
ことに気づく、という結末によっても明らかだ。
思うに庭の大言な効用の一つは、このような治癒効果にあるのではないだ
ろうか。そのた為に最低限必要なのは、住まいに接して、とくに美しいもの
や素晴らしい眺めではなくとも 、視線を受けとめてくれるに足る私的に囲わ
れた自然の断片が存在することである。それを見て心が和むのは、自然の営
みというものが、いかに断片であっても、人間の日常生活の偶発的な喜怒哀
楽と独立したリズムを持って動いており 、ぼくたちはそのリズムを感じとる
ことで自分の感情をなにがしか相対化できるからではないか。つまりこの場
合、視線を受けとめてくれるということは感情を受けとめてくれるというの
にほぼ等しい。
もちろん、こうした効用は庭の外に遠望する風景や公共緑地にもないこと
はない。しかし、ここが微妙なところで、私的領域である庭とその外とでは
どうも効きめが違うようだ。それはたぶん、感情を託す側の意識がおのずか
ら異なるからだろう。外の対象に投げかけることによって結果的に治癒する
感情の波というものは、たいてい、とりたてて深刻なものとは限らぬにせよ、
当の本人にとっては他人に知られずに秘めておきたい、高度にプライベート
な類のものである。だから、そうした感情の放電を自分に許すためには、人
間は他人の干渉をあたう限り免れた、心理的に安全に保護された境地にいる
必要がある。そうなると自分のいる場所も、感情を託す対象も私的領域の内
にあるほうが有利なので、自宅の庭を眺めている状態が一番適していること
になる。不思議なもので、庭の外の草木に感情を託してもそうたやすく他人
に悟られるわけはないのだが、人里離れた一軒家の周囲の大自然ならともか
<、公園の緑や街路樹が相手では感情を放電するのがちょっと恥ずかしい 、
というのが、人間の、少なくとも都会人の一般的心理であるらしい。
庭は雑木林風にさり気ないのがいい 、と思っているせいで、ぼくは庭つく
りを任された場合でも樹木の種類を細かく指定したりはしないのだが、そう
いう、おおざっぱさの中でやや強く執着するのは、室内から見わたせるほど
良い位置、とくに日常生活の中心になる居間、食堂の前に落葉樹の大木を配
88 日语综合教程第五册
することである。これは樹種は問わぬにしても、その姿には注文を付け、可
能ならば実物を見て選定する。ぼくの理想は太い幹が人の背丈ぐらいまで
スッと伸び、そこから上に枝の広がりを持つ木である。もっとも予算の制約
でこうした思いが叶わず、サイズが不十分なものを将来の生長に期待して植
えることもある。
この一本の木への執着は、一つには季節に応じて身づくろいを変える落葉
樹が、前に記したような、庭の精神的治癒効果に不可欠な自然のリズムを最
も象徴的に映し出すからだ。落葉樹は夏に厚い茂みで涼しい木陰をつくり、
冬には葉をふるい落として陽光を透過させる。言うまでもなく、春の木の芽
どきや、秋に色づく葉には、その時々の眺めがある。しかしそれと並んで重
要なもう一つの理由は、大きな落葉樹は室内気候にも優れた影響を及ぼすこ
とである。落葉樹の季節変化は当然、その樹に面する部屋の陽当たりを自然
の営みによって実に具合よく調整することにもなるのだ 。
ぼくはこの落葉樹の恩恵を自分の家で年々実感しつづけている。両親の家
の庭先に南北に細長く建っているわが家は南端がほとんど敷地境界に接し、
その面に庭を持たないのだが、さいわい隣地は公園で、その落葉樹の木立ち
が陽当たり調整効果をもたらしてくれる。夏はうっそうと茂る葉が室内を緑
の反映でほの暗く満たし、冬は枯れ枝を透かしてくる低い陽射しが奥まで差
しこんで、晴れた日の昼過ぎまでは暖房も要らないほど暖かい。
ここまで記してきたように、庭に四季の反映を強く求め、それを「眺める」
ことに庭の最大の意義を見出すのは、どうも日本人特有の庭園観であるよう
だ。いかに私的に囲われていようと、また人の手が加えられていようと、日
本人が庭に求めるのは自然のミニチュアであり、その自然志向は石を山に、
砂を水に見立てた枯山水のような屈折した操作を含む庭まで一貫している。
これは結局、自然を克服すべき対象としてではなく、親和的な環境としてと
らえる日本的自然観に由来するもので、むろんぼくの雑木林好みもその影響
下にあると言えるだろう。
(『住まい方の演出』中央公論社より。一部削除あり)
注釈
〇 渡辺武信(わたなべ たけのぶ)
1938 (昭和13)年横浜市に生まれる。1962 (昭和37)年東京大学工学部建築学科卒業。1969 (昭和44)
年同大学大学院博士課程修了。同年個人アトリエとして渡辺武信設計室を開設し、5年後法人組
織に改組した。現在は個人住宅を中心に設計活動を行なっている。
東大教養部在学中に天沢退二郎と詩誌『赤門詩人』を創刊。『暴走』『X (バッテン)』などの詩
第4課庭89
誌を経て1964(昭和39)年に、天沢、菅谷規矩雄、鈴木志郎康らとともに、60年代を代表する詩誌
『凶区』を創刊し、1971(昭和46)年まで刊行した。詩論、美術批評、ジャズ批評、映画評論など、
多岐の分野にわたって活躍している。主な著書には『住まいの思想』『住まいの演出』『渡辺武信
詩集』『日活アクションの華麗な世界 上中下』があり、主な訳書には、『驚異の工匠たち』『建
築家なしの建築』『摩天楼』などがある。
❷山口瞳(やまぐちひとみ)
1926〜1995。小説家。東京生まれ。国学院大卒。コピーライターとしても著名。都会的•小市民
的・平均的日本人の感情と生活を描く。昭和38 (1963)年に『江分利満氏の優雅な生活』で第四
十八回直木賞受賞。作品に『男性自身』『血族』などがある。
❸ 紫陽花(あじさい) ハ仙花,绣球花
ユキノシタ科の観賞用落葉低木。初夏、球状の集散花序に4枚の萼片(がくへん)だけが発達し
た装飾花を多数つける。花の色が青から赤紫に変わることから七変化(しちへんげ)とも言う。
❹紫式部(むらさきしきぶ) 紫珠
クマツヅラ科の落葉低木。秋に球形の実が紫色に熟することから源氏物語の作者、紫式部の名を
もじったといわれる。
❾日本的自然観
自然を人間と対立するものとは考えないで、自然に囲まれて、その恩恵に浴しながら生活し、自
然と調和し、共存していこうとする考え方。
!新しい言葉
少なからず(すくなからず) [副] たくさん。たいそう。はなはだ。非常に。(多く
より強い言い方)。/很多,不少;非常。
居間(いま) [名] 家族がいつも自由に使う部屋。/起居室,客厅。
芝生(しばふ) [名] シバが一面に生えるところ。/草坪,矮草地。
広がり(ひろがり) [名] 面・空間が広くなること。また、広がる度合い
や、ある広さを持った場所。/变宽,展宽;宽
度。
こんもり [副・自サ] ①うすぐらいほど、木々がよく茂っているよう
す。/丛生,茂密,繁茂。②円く盛り上がって
いるようす。/鼓起,隆起。
茂み(しげみ) [名] 草木の生い繁ったところ。/草木繁茂处,草丛,
树丛。
庭先(にわさき) [名] 庭の、家屋に近いほう。また、庭のあたり。/庭
前。
窓辺(まどべ) [名] 窓のそば。窓の近く。/窗边。
食卓(しょくたく)’ [名] 食事用の卓。卓袱台。テーブル。/饭桌,餐桌。
雑木(ぞうき) [名]' 材木として使えない、たきぎなどにする木。/杂
木,不成オ的树木。
鋭敏(えいびん) [形動] ①ものごとへの感じが鋭い。/灵敏,敏感。②
頭の働きが鋭い。/敏锐。
90日语综合教程第五册
好ましい(このましい) [形] このみや望むところにかなっている。/可喜的,
春先(はるさき)
ひょろり(と) 令人满意的。
片隅(かたすみ)
彩る(いろどる) [名] 春の初め。早春。/初春,早春。
枯木立ち(かれこだち) [副] 細かくてひょろひょろしたようす。/纤弱,纤
入り陽(日)(いりひ) 细,细弱。
千々(ちぢ)
裂く(さく) [名] 目立たないすみっこ。/一隅,角落。
眺めやる(ながめ遣る)
ささくれ立つ(ささくれ [他五] ①色を塗る。色をつける。/上色,涂上颜色,着
だつ) 色。②化粧する。/化妆。③(色を取り合わせて)
節目(ふしめ) 変化をつける。飾る。/装饰,点缀。
哀切(あいせつ)
砂場(すなば) 1[名] 冬になって葉が枯れて落ちた木立。木立 本が
書き出す(かきだす) 群から生い茂っているもの。冬木立。/
ことさら(殊更) 冬天落光树叶的光秃秃的树。
陰鬱(いんうつ)
樹木(じゅもく) •[名] やがて沈もうとする太陽。/落日,タ阳。、
青葉(あおば)
[名] ①千個。また、非常に数の多いこと。/很多,许
许多多。②種類が多いさま。/种种,形形色色。
[自・他五] 切ったり引つ張ったりして二つにわける。/撕
开,切开。
[他五] 眺め渡す。見渡す。/放眼望去,远望。
[自五] ①ささくれた状態になる。全体に先端部分が細
かく裂け分かれた状態になる。/尖端碎裂;起
毛边,长刺,起肉刺。②(比喩的に)感情がすさ
んでとげとげしくなる。気持ちがトゲトゲしく
なる。/暴躁。
[名] ①竹や木の、節となっている部分。/(木材的)节
眼。②物事の段落の区切り。/段落,阶段。
[名・形動] 非常にあわれで、もの悲しいこと。/悲惨,悲
辰。
[名] ①一面に砂のあるところ。砂地。砂原。/沙地,
沙土地。②跳躍競技や砂遊びができるように、
砂を入れた区切った場所。/沙地,沙坑。
[他五] ①書き始める。/开始写。②抜き出して書く。/
摘录,摘要。③文字にして出す。/写出,标出
(给大家看)〇
[形動・副] ①特別の気持ちをこめているようす。/故意,特
意。②特別に。ひときわ。/特别。
[形動] 暗い感じである。気がむすぼれて晴々しくない
様。/忧郁,郁闷,阴沉,闷闷不乐。
[名] 立ち木。/树木。
[名] 初夏のころの、鮮やかな緑の若葉。/嫩叶,新绿。
第4課庭 91
分身(ぶんしん) [名] ある身体や物から、その形•性質などをそっく
肉親(にくしん) り受けついで分れ出た身体や物。/分出的身子,
押し殺す(おしころす)
放電(ほうでん) 分身。
抑圧(よくあつ) [名] 親子•兄弟など、非常に近い血続きの人。/骨
解消(かいしょう)
ひとしきり(一頻り) 肉亲,亲人,血缘关系。
結末(けつまつ)
治癒(ちゆ) [他五] 笑い、声、感情などの勢いをおさえること。/抑
囲う(かこう)
制,憋住。
断片(だんぺん)
偶発(ぐうはつ) [名・自サ] ①電池などにたまっていた電気が流れ出すこ
リズム(rhythm)
なにがし(某・何某) と。/放电。②二つの電極の間で、空気などの
効用(こうよう) 絶縁体を通して電流が流れること。/放电现象。
遠望(えんぼう)
[名・他サ] 人の動きや考えなどを、押さえつけること。/压
迫,压制。
[名•自他サ] 従来あった関係や状態をなくすこと。また、そ
れがなくなること。/解除,取消,消灭。
Z[副] しばらくの間。 ー阵子,一会儿。
[名] ものごとの終わり。/结尾,终结,结局。
[名・自サ] 病気やけががよくなること。なおること。/治
愈,痊愈。
[他五] ①周囲をとりまき、中と外とを区別する。/围
上,围起来。②(人を)隠しておく。かくまう。/
隐藏,隐匿。③(女を)妾にして別の所に住まわ
せて養う。/纳妾。④(変化しないように)たく
わえておく。/储藏,贮藏。
[名] きれぎれになった一部分。きれはし。/片断,部
分。
[名・自サ] 思いがけず起こること。/偶发,偶然发生。
[名] 音楽の音の強弱や長短が一定の決まりに従って
連続するもの。/节奏,旋律,格律,韵律。
[代名] ①名前がはっきりわからないときや、わざと
はっきりさせたくないときに使うことば。/某
某,某人。②ものの数量がはっきりしないとき
や、あまり多くないので、わざとはっきりさせ
たくないときに使うことば。/某些,若干。
[名] 役に立つこと。/用途,功效,用处。
Z[名・他サ] ①遠方を望みみること。はるかに見渡すこと。
远望,远眺。②遠い将来までの見通しをつける
こと。/将来的希望。
92日语综合教程第五册
微妙(びみょう) [形動] 細かな要素が複雑に絡み合っていて、一言では
言い表せないようす。/微妙。
とりたてる(取り立てる)[他ー] ①(貸金・税金などを)強制的に取る。催促して
徴収する。/索取,催缴,催收,征收。②(多く
のものの中から)特に取り上げる。特別なものと
して数え上げる。/(特别)提出,提及。③(多く
の人のなかから)特に引き上げて用いる。また、
引き抜いて重要な役目につける。/提拔,提升。
秘める(ひめる) [他一] 隠して、人に知らせないでいる。また、表面に
表れないようにする。/隐藏,隐瞒。
プライベート(private) [形動] 個人的、私的、非公開の。/隐私。
類(たぐい) [名] ①同じ種類のもの。同じようなもの。同じ仲
間。/同类,类。②同じ程度のもの。ならぶも
干渉(かんしょう) [名・自サ] の。Z匹敌。
① 自分と直接関係のない物事に立ち入って、関
係を持つこと。自分に従わせる意思をもって、
他人のことに口出しをすること。/干涉,干预。
② (光波•音波などで)二つの波がかさなりあっ
て、その力をある点では強めあい、ある点では
弱めあうこと。/干扰,干涉。
あたう(能う) [自五] (文章語)できる。なしえる。/能,可能。
免れる(まぬかれる・ま [他ー] 困ることや災難に遭わないで、うまくいく、ま
ぬがれる) たは、無事に過ぎる。/摆脱,避免。
境地(きょうち) [名] ①人の置かれている立場。/处境。②修行や経
験をつむことで得られる、優れたものの考え方
や姿勢。/境界,心境。
適する(てきする) [自サ] ①よく合う。かなう。あてはまる。/适合,适
应,适于。②あることをするのにふさわしい資
人里(ひとざと) 格・能力•質素がある。/有能力,有天赋。
[名] 田舎で、人が集まり住んでいるあたり。/村落,
村庄。
一軒家(いっけんや) [名] ①あたりに他の家がなく、一つだけ立っている
家。/孤零零的1栋(间)房子。②(長屋でなく)
街路樹(がいろじゅ) [名] 独立してたっている家屋。/单独的1间房子。
(市街の環境をよくするために)街路に沿っ
て(整然と)植えてある樹木。/林荫树,行道树,
街道树。
第4課庭 93
少なくとも(すくなくとも)[副] ① (数量を)いくら少なく見積もっても。最小
限。/至少,最低。②ほかのことはさておいて、
せめて。/最低限度,起码。
任す(まかす) [他五] 「任せる」のことで、①自分では手も口も出さな
いで、信用できる人にやらせる。/委托,托付。
② 自分の意志によらないで、ほかの力のままに
動く。/听任,任凭。
おおざっぱ(大雑把) [形動] ①注意深さが足りなくて、雑である。/粗枝大
叶,草率。②小さなことにこだわらないで、全
体を大きくとらえるようす。/粗略,大略。
執着(しゅうちゃく •し[名・自サ] あるものごとに心を奪われて、どうにも思いき
ゆうじゃく) れないこと。/贪恋,留恋;执著,固执。
見わたす(み渡す) [他五] 広い範囲までを遠く見る。そこから見える範囲
をひととおり見る。/放眼望去,了望,远望。
大木(たいぼく) [名] 大きな木。/大树,巨树。
配する(はいする) [他サ] ①大や物を必要と思われる場所におく。/分配,
配属于。②ものとものをうまく取り合わせる。/
配置,布置,配备。
樹種(じゅしゅ) [名] 樹木の種類。/树的种类。
選定(せんてい) [名・他サ] '(ある条件に合うものを)多くのなかから選ん
で決めること。/选定。
幹(みき) [名] ①木で、そこから枝がのびる大い部分。/树干
② ものごとの主要な部分。/(事物的)主要部分。
背丈(せたけ) [名] ①背の高さ。/身量,身长。②着物の丈の長さ。/
衣长。
制約(せいやく) [名•他サ] 条件をつけて、自由にさせないこと。また、そ
の条件。/规定,限制。
サイズ(size) [名] 大きさ。寸法。/尺寸,大小,尺码。
身づくろい(み繕い) [名・自サ] 服装などをきちんと整えること。/打扮,装束。
記す(しるす) [他五] 「記(き)する」と同様。①書きとめる。書きつけ
る。/记下来,写下来。②記憶する。覚えてい
る。/铭记,牢记。
不可欠(ふかけつ) [名•形動] (その物事に)欠くことのできないこと。なくて
はならないこと。/不可缺少;必须。
木陰(こかげ) [名] 木の下で、日陰になるところ。/树荫,树下。
ふるい落とす(振るいお [他五] 振って落とす。揺る動かして落とす。/抖掉,震
とす) 掉。
94 日语综合教程第五册
色づく(いろ付く) [自五] ①(葉、実などに)色がっく。/(树叶)变红,呈红
陽(日)当たり(ひあたり)
恩恵(おんけい) 色;(果实)渐熟,呈红色。②色気が出てくる。/
うっそう
満たす(みたす) 知春,情窦初开。
透かす(すかす)
[名] 日光のあたりぐあい。また、日光のあたる場
見出す(みいだす)
ミニチュ ア(miniature) 所。/向阳,向阳处。
見立てる(みたてる)
[名] 利益や幸福となるもの。めぐみ。/恩惠,恩德,
屈折(くっせつ)
赐予,恩赐。
一貫(いっかん)
克服(こくふく) [形動] ・たくさんの草や木がこんもり繁って、薄暗いよ
親和(しんわ) うす。/郁郁葱葱。
むろん(無論)
[他五] ①満ちるようにする。いっぱいにする。/充满,
填满。②満足させる。/满足。
[他五] ①隙間をつくる。間隔をおく。/留开缝隙,留
出空隙,留出间隔。②(密なものを)まばらにす
る。間を荒くする。/稀疏。③透き通らせる。Z
透过••・看,迎着光亮・•・看。④音なし屁をする。Z
放闷屁。
[他五] やっとのことで、。探していたものやかくれてい
たものを見つける。/找到,发现。
[名] ①小型。また、小型模型。/小型,雏形;模型。
② 細密に描かれた小さな絵。細密画。ミニア
チュール。Z纤细画,袖珍画,小画像.。
[他ー] ①いくつかのものを比べて、よいものを選ぶ。/
选择。②医者が病気を診断する。/诊断。③そ
うではないものを、仮にそうだとして代用す
る。/比作。④見て選び定める。鑑定する。/鉴
定,判断。
[名•自サ] ①長いものが折れ曲がっている。/弯曲,曲折。
② 光や音波が、ある物質を通って、違う物質に
入るとき、その境界ですすむ方向をかえるこ
と。/屈折,折射。③比喩的に、感情などが素直
に表現されないさま。/歪曲,不正常,不自然。
[名・自サ] はじめから終わりまで、一つの考え方ややりか
たで、貫きとおすこと。/ ー贯。
[名・他サ] (悪条件や困難な物事に)うちかってそれを自分
の思うとおりにすること。/克服。
[名・自サ] ①互いに仲良く親しむこと。/亲睦,和睦。②
物質の化合。/(化)亲和。
[副] 「当り前だ」という気持ちを表す。/不用说,当
然。
第4課庭95
言葉の学習
モナV--〜----と---い---う----も---の---は----…--这--东-西--------------------------------------------------「
名詞について、その名詞の意味の解釈や、その名詞について何かを述べる場
合に用いる表現であるが、強調的に示すニュアンスがある。
❶ 熟睡というものは意外に短時間でも眠ったという満足感が得られるものだ。
(熟睡这种生理现象,即使短时间也能使人意外地获得一种睡眠的满足感。)
❷子供というものは、個人のものでありながら、社会全体の財産であるCよっ
て、社会全員が子供の成長に関心を寄せるべきだと思う 。(孩子虽然属于个
人私有,但同时也是社会的财富。因此我认为全社会都应该关心孩子的成
长。)
❸ テレビの映像というものは、平凡なものは切り捨てて、大きな事件の、しか
も突出した部分だけを取り上げて流すという特徴を持っている。(电视的影像
这种东西,它具有舍去普通的事,把ー些较大的事件,•尤其是把突出的部分提
出来进行播放的特点。)
❹ 私は人間というものは、徹底的に孤独なものであるがゆえに、絶対で永遠の
ものを求めざるをえないと思う。(我认为人是个彻头彻尾的孤独者,正因为如
此,他オ不得不寻求绝对和永远的东西。)
/ 〜極まりない(〜きわまりない) 极其;••・之极
名詞、形容動詞の語幹について、物事の程度が甚だしい。この上ないような
ところまで達しているという意味を表す。前にくる言葉は好ましくない状態を
表す抽象的なものが多い。肯定の形も同様の意を表わす。
〇 映画のタイタニックを見たとき、大きな映画館には終始哀愁きわまりない
雰囲気が漂っていた。(看电影泰坦尼克号时,偌大的电影院中始终充满着极
其悲伤的气氛。)
❷ 今のような医療保険制度はまだ不完全きわまりないとしか言いようがなく、
今後の改善が期待される。(如今的医疗保险制度可以说是极不完善的,有待
于今后改善。)
❸ 今度君が新しくすることになった機械関係の仕事は危険極生性ビと聞い
ているよ。やはり止めた方がいいと思うけど。(我听说这次你将接手的有
关机械方面的工作,危险程度极高,我觉得还是辞掉为好 。)
❹しっかりとした見通しもなく始めようとしている君の今度の会社設立計画
は無謀極まりないよ。失敗は目に見えている。(你这次成立公司的计划实
在有欠斟酌,没有足够的把握就想上马,肯定会失败的。)
96日语综合教程第五册
*一思いを馳せる(おもいをはせる)回想,思念 :
あこがれなどの気持ちで想像をめぐらす。そのほうに気持ちを向ける。
❶ あのころ、しんと静まり返って寝つけない時、僕はよく遠い故郷に思いを馳
直たものだ。(那时,在无眠的宁静的夜晚,我时常会想起遥远的故乡 。)
❷ 長引く不況下でやっと就職ができた。しかし、これから会社での厳しい日々
に思いを馳せると内心はとても不安だ。(在持久的经济萧条的情况下好不容易
找到了这份工作。但是ー想到进公司后严峻的日子,内心就感到十分不安。)
❸ 遠く木々の間から湖がキラキラと光って見え、草原には黄色い花が一面に咲
きみだれている中、僕は草原に寝転んで将来のことにあれこれ思いを馳せ
だ〇 (透过远处的树木丛可以看到闪闪发光的湖水,草原上黄色的小花开成一
片。在这美好的景色中,我躺在草原上思绪飞向遥远的未来。)
❹ 日本人が賑やかにお正月を過ごすのを見るにつけ、そのころの私は遠い故
国の片田舎の静かな田園風景の我が家 に思いを馳せるのであった。(看到日
本人热热闹闹地欢度新年,我的思绪总会飞向遥远的家乡 ,想起我家那闲静的
田园风光。)
%必思うに(おもうに)想乘
考えて見るに。よく考えて見ると、自分が考えるところでは、という意味を
表す。
❶思うに、小学校にも行かなかった私であったけれども、こんな優れた娘を
育てることができた。私は誇りに思っている。(仔细想来,尽管我连小学都没
上过,却培养出如此优秀的女儿。我感到很自豪。)
❷ あの痩せた父が孫悟空の見得を切ったところは、滑稽以外の何物でもない。
思うにキャスティングの失敗だね。(瘦弱的父亲扮演孙悟空亮相时,除了可
笑之外什么都没有。想来这是角色分配的失败吧。)
❸ 思うに昨日の私のやり方には、良くないところがあった。申し訳ない。
(想来我昨天也有不对的地方,请你原谅。)
❹ 思うに自由とは、自分が自由であること、そして他人の自由も侵さない
という規律があるということ。(想来自由也应该有规则,即自身自由的同时,
也不能侵犯别人的自由。)
上旬〜に足る(〜にたる) 足以•••,值循… i
「足る」は動詞で、本文では「その状態が十分で満ち足りる」という意味を表
し、「足りる」の文語的表現である。そのほか、動詞の連体形につき、「〜に足
る」という形で何かをする価値が十分あるという意味を表し、書き言葉的表現
である。
第4課庭 97
❶ ああいうことを平気でするのだから、軽蔑される些莹ような人間だ。(竟然
能若无其事地做那种事,那就足以遭人鄙视了。)
❷ あの人は本音を打ち明けるに足莹人物ではないように思える。(我觉得他不是
ー个值得向他表白真心的人。)
❸ 今の社会では信頼する!^坚友人を得ることは難しいから、この人を大切に
したほうがいいよ。(如今的社会想要找到ー个可以信赖的朋友是很难的,我
想你应该珍惜这个人。)
❹ 悠久の中国にあって、わずか一世紀半あまりの歴史は語るに足らない。(在历
史悠久的中国,仅ー个半世纪多的历史不足挂齿 。)
会〜ことで 通过,用;由于,因为 J
動詞や動詞句について、「手段」と「原因」を表すことができる。「それを手
段として」「その方法を用いて」という意味、また「そのため」「それが原因で」
という意味をも表す。
❶ われわれはお互いに自己反省をする室M、今までの悪い関係を改めようと
している。(我们想通过双方的自我反省改变以前不融洽的关系 。)
❷ 政府は交通網を整備することで、遠距離通勤を可能にしようとしているが、
今すぐに問題の解決はできないと思う。(政府是打算通过健全交通网,使远
距离上下班成为可能。但是不可能马上解决问题。)
❸ 彼女の、今まで知らなかった一面を知ったことで、かえって彼女への同情心
が湧いてきた。(当我了解到她不为人知的另一面后,反而对她产生了一种同情
心。)
❹ これまで輸出産業が売り出した外貨を買っていた投資家が対外投資から身を
I弓 いたことで、為替市場では一気に円高圧力が強まることになった。(由于投
资者不再因对外投资的需要而购买出口商抛售的外币,因此一下子给外汇市
场造成了日元升值的压カ。)
招〜(こ艾ざ尽豊即イ更 j
体言、または活用語の終止形につき 、一歩譲ってその条件を認め 、しかし、
それとは相反、矛盾する後件が次に展開することを表す。それ以外の場合も同
様のことが言えるという意味で、「〜にしろ」「〜にしても」「〜にしたって」の
改まった表現で、「〜にもせよ」の形で語気を強めて表現することもできる。ま
た、「〜にせよ、〜にせよ」の形で、累加する形で例としてあげるが、その例を
含めた同類のすべてのものにも妥当することを暗示するのに用いる。その場合
は「无论…还是…」という意味になる。
ii❶ 今度のことは、われわれには責任がないに 、事故を起さないように協力
98日语综合教程第五册
する義務はあると思う。(尽管这次事件我们没有责任,但我认为我们还是有义
务协助他们,以防事故再发。)
❷ 君にせよ、自分の親が侮辱されるのを見たら、黙っていられないだろう。(即
便是你,如果看到自己的父母受辱,不会保持沉默的吧。)
❸ わが国の美しい自然をつくってくれる常緑樹_に苴よ、木の種類はほぼ決まつ
ている。(即便是为我国带来美丽自然的常青树,树的种类也几乎是固定的。)
❹それは自分が予想したにせよ、他人が予言したにせよ、あらかじめそう考
えていたことには変わりはない。(那无论是自己的料想还是别人的预言,都
是事先想到的,这一点没什么区别。)
初〉〜わけが(は)ない 不可能…,不会…
動詞連体形につき、ある事実に基づいてそれを否定するのは当然だ、という
判断を表す。あることをすることは絶対ない。そうするはずがない。
❶ 賄賂を受け取ったり、浮気をしたりしていたといわれているあの人が再当選
するわけはないだろうC (听说他又是受贿又是沾花惹草的,这次不可能再当
选吧。)
❷ こんな難しい問題についてはたとえ先生であっても、即答できるわけがない
だろうと思う。(对于如此高难度的问题,我想即便是老师也不可能当场回答出
来吧。)
❸ 彼は今でも一人暮らしをしているよ。あのうわさは全くのうそで、独身主義
者の彼が結婚するわけがないからc (他至今仍是独身一人。那种传言完全是假
的,他是独身主义者,根本不可能结婚的。)
❹ 定職もない私に銀行がお金を貸してくれるわけはない。だから、私の場合は
あくまでも友人から貸してもらうしか方法がない。(我没有固定的工作,在艮行
根本不可能贷款给我。所以我只能向朋友借钱,除此之外别无他法。)
上カユ〜(の)ならともかく 要是…姑且不论…;若是…暂且不谈・・«
名詞または用言の終止形につき、前に述べた話の内容や状況を踏まえて、「そ
のような事態なら、別として」後続の文は否定の意味を表すものが多い。
❶ 彼が詩でも書こうというのならともかく、こんな小さな体であの大きなチェ
口をどうやって弾くのだろうかと、僕は余計な心配をしたかもしれない。
(也许是我多余的担心,我想他若是写写诗倒也罢了,可他那么瘦小的身材如
何演奏那么大的大提琴呢。)
❷ 家を一軒買うのならともかく、敷地もないただのマンションなのだから、
この金額は高すぎるのではないかと思う。(要是ー栋单门独户的房子那也就算
了,只不过是间不带土地的公寓房,我觉得价钱实在太贵了。)
第4課庭99
❸ のんびりと走るバスの中ならともかく、朝夕の混雑する電車の中であんな
ものを持たされては、はなはだ迷惑だ。(如果是在慢悠悠的公交巴士车上那
也就算了,在早晚那么拥挤的电车里拿着那样的东西,真是添麻烦。)
❹ 昼間ならともかく、真夜中でも平気で電話してきて長話をするのは、非常識
としか言いようがない。(若是白天也就算了,深更半夜都毫不在意地在电话里
说上半天,’只能说是不识相了 J
モ以いかに〜(う)ようと无论…,不管… 1
「いかに〜(活用語の推量形)(う)ようと」の形で、どのような程度、レベルの
条件であっても、後続の事態がそれに影響を受けないで成立するという意味で
ある。やや文語的表現で、「いかに〜ても」と同じ意味である。
❶ いかにミニチュアであろうと、あるべきものがなくなれば、意味のないミニ
チュアになってしまう。(无论多么微型,一旦缺少了应有的东西,那就失去了
微型的意义。)
❷ 現代社会ではいかに物質的に豊かであろうと、精神的に充たされなければ心
豊かにはなれない。(无论现代社会物质多么丰富,如果精神上空虚的话,不可
能有宽阔的胸怀。)
❸ いかに父親が怖かろうと、これは大事なことだから、やはり先ず父親に相
談すべきだ。(这可是件大事,无论你怎么怕父亲,也应该首先和他商量ー
下。)
❹ いかに一生懸命に努めても、1人の力では限りがある。みんな力を出し
合ってやれば、きっとすばらしいものができる。(不管怎么努力,1个人的
力量是有限的。如果大家齐心协カ地干,一定能做出好东西来。)
類語の学習
セ》さりげなく •それとなく j
7.さりげなく 若无其事,漫不经心,不动声色
形容詞「さりげない」の連用形で、副詞の働きをする。わざと何気ない様子
をすること。相手やまわりの人に自分のしたことや気持ちを分からせずに、目
立たずに言動をするようすを表す。
❶ 彼女はおしやれがとても上手で、今日のさりげなく襟につけたアクセサリー
もとても感じがよい。(她很会打扮,今天漫不经心地戴在衣领上的别针,给人
100日语综合教程第五册
以十分高雅的感觉。)
❷ 今日もまた夫婦喧嘩の最中に客が来たが、2人はさりげなく話をそらせてご
まかした。(客人往往在他们夫妻吵得最凶的时候来访,今天也不例外。于是夫
妻俩若无其事似的转换话题,掩饰了刚オ的窘态。)
0 彼は約束した通りに、Aさんが来たことを彼女にさりげなく目くばせして知
らせた。(按约定,他不动声色地向她使了个眼色,以示A来了。)
〇 彼女はお茶を運ぶふりをしてそっと会議室に入り、さりげなく上司たちの顔
色を伺った。(她装着端茶的样子,轻轻地走进会议室,不动声色地观察了上司
们的脸色。)
2それとなく 暗中,不露痕迹地,婉转地,委婉地;不知为什么
副詞。それとささないで、自分の考えや気持ちなどを、はっきりと示さず、
遠回しの言葉や態度で相手のプライドを傷つけないように、相手に気兼ねさせ
ないように、相手に伝えようとする様子を表す。また、はっきりした理由もな
く、という意味を表す場合もある。
❶ 部長の反応を見ようと思って、僕は野球の現役を引退する意図をそれとなく
言ってみたが、部長は聞かないふりをして話を続けた。(我想看看部长的反
应,于是就不动声色地说了想退出棒球第一线的打算。可是,部长装作没听
见,继续说他的话。)
❷ 僕たちは別れようと言ったら、彼女が泣き出してしまいそうなので、映画を
見ながら、それとなく別れたいという意思を示した。(要是直接对她说我们分
手的话,恐怕她会哭出来。所以我一边看电影ー边婉转地把分手的意思告诉了
她。)
❸ 彼からもらった手紙の意味がよくわからないので、夕食の時、それとなく彼
に聞いてみた。(我不清楚他给我的信上写得究竟是什么意思,于是吃晚饭的时
候,我婉转地问了他。)
❹ 周りの雰囲気から、それとなく大変なことになりそうな感じがして、私はお
手洗いに行くふりをして、その場から逃げた。(也不知为什么,从周围的气氛
中我感到有些不妙,于是装作上厕所的样子,逃离了现场。)
まとめ
相手にそのようなそぶりを感じさせない様子を表すという意味では二語共通
していて、互換性はあるが、「それとなく」は、上述意味のほか、はっきりした
理由が言えないが、漠然とそう感じるという現在の状況や将来の予測などを表
す場合は「さりげなく」に置き換えられない。「さりげなく」は、人の行動に使
われる場合は、自分の意図的な行為を相手に感じさせず、普段のままの様子で
振る舞う、という意味を表すプラス評価で、その様子がとても奥ゆかしい•さ
わやかですてきだという、一種の清々しい印象が感じられる。これは「それと
第4課庭!101
なく」にないニュアンスである。話し手自身の行動に使われる場合は、自分の
意図を相手に悟られることはないという自信があっての行為で、「それとなく」
に置き換えると、相手への気遣いしか表せず、場合によっては相手を怒らせな
いようにといった卑屈な感じになってしまう。また、「それとなく」ははっきり
した動作•行為の受け手があるのに対して、「さりげなく」の場合は必ずしもそ
うではないというところも「それとなく」と違う。
上さ ほの暗い"薄暗い・暗い i
1.ほの暗い(ほのぐらい) 微暗,有点黑暗
あたりがぼんやりするほどに暗い様子を表す文章語。
❶ この部屋は内装に凝っている。特にほの虹室内に静かに燃える暖炉は寛ぎ
の雰囲気が感じられて、とても気に入っている。(这个房间的室内装潢特别讲
究,尤其是在昏暗的室内静静燃烧着的暖炉,使人感到ー种轻松舒适的气氛,
我特别喜欢。)
❷ あの喫茶店なら、店内の間接照明とシャンデリアによる、ほの暗い雰囲気の
中でゆっくりとコーヒーを味わえる。(若是那家咖啡馆的话,店内的间接照
明和枝形吊灯营造出ー种昏暗的气氛,可以在那里悠悠地品尝咖啡。)
❸ 私はどちらかというと、暗い小さな部屋が好きだ。厳密に言えば、ほの暗
い> あるいは、ほの明るい部屋が好きだと言ったほうが正確かも知れない。
(说起来,我喜欢又小又暗的房间。严格地说,喜欢微暗或微亮的房间可能更
准确些。)
❹ それはアーケードで覆われたほの暗い商店街で、そこを通り抜けると向こう
側に、人がひしめき合う活気に満ちた世界が広がっている。(这里是昏暗的拱
廊式商业街,一旦穿过这里走到对面,那便是熙熙攘攘充满活力的世界了。)
2薄暗い(うすぐらい) 发暗,微暗,昏暗
光が十分でない状態で、全体的に暗い感じがする場合に使う言葉 。
❶ シイタケやマッシュルームといったキノコ類は湿った薄暗い土壌に生えるの
で、それに合う環境を作り出す必要がある。(香菇和蘑菇之类的菌菇,是生长
在阴暗潮湿的土壤里的,所以必须营造出ー种适合它们生长的环境 。)
❷ 薄暗い山道を車で走る時は、昼間でも車のライトをつけないと、いつ事故を
起こさないとも限らないほど危険なことである。(车子行驶在阴暗的山间小道
上,即使在白天若不开车灯,说不定也会发生什么事故,非常危险。)
❸ その薑虹部屋では未だ面接が続けられていた。面接をする側もされる側も
明らかに焦燥の表情が見て取れた。(在那昏暗的屋子里面试还在继续。无论是
面试的人还是被面试的人,都可以明显地从他们的脸上看到ー种焦虑的神色。)
102日语综合教程第五册
❹ せっかく朝薄虹うちに起き出して日の出を待っていたが 、天気が悪いので
日の出は見られなかった。(我们特意在淸晨天蒙蒙亮时就起床等着看日出。可
是没想到天气不好,没能看成。)
ュ暗い(くらい) 暗,昏暗,黑暗
そこで何かをするのに必要な光が十分でない状態。または、そこから受ける
印象に、否定的な要素が感じられる様子。また、知識が乏しい、事情に通じな
いなどの意味を表す。
❶ この写真はよくとれているが、背景をもう少し恥おさえると、人物がはつ
きり浮かんできて、もっといい写真になると思う。(这张照片照得彳艮好,イ旦要
是背景再暗ー点的话,人物就会更明显,就会是ー张更好的照片了。)
❷ 彼はその話を聞くと急に顔を墮くしながら 、何かもの思いにふけるように
なった。(他听到这话一下子沉下脸来,陷入了沉思。)
❸ 私は来日してからもうずいぶん経つが、方向音痴で日本の地理にも虹か
1ら、どこに行くにも 人では不安だ。(我到日本已经很久了,可是因为方向感
1不好又不懂日本的地理,所以 个人无论到什么地方去都有一种不安的感觉。)
❹2人は結婚して10年間も別居生活をしていたが、その間一度だって暗い疑
10惑の雲をお互い胸に宿したことはなかった。(两个人婚^后过了 年的分居生
活,期间,双方都从未产生过对对方的疑虑。)
まとめ
三語とも光が少なくて物がよく見えないという意味を表すが 、「ほの暗い」と
「薄暗い」は、光が十分でない状態で全体的に暗い感じを表す。「薄暗い」は物
理的に光が少なくて暗いという意味であるのに比べて、「ほの暗い」のほうは、
同じことのやや上品な言葉である。「暗い」は、基本的な意味は以上二語と同じ
で、そこで何かをするのに必要な光が十分でない状態を表す。そのほかに、物
事に不案内、希望が持てない、性格的に陰気、という意味で使われる場合もあ
る。
練習
ー、次の漢字にふりがなをつけなさい。
居間 茂み 鋭敏 片隅 紫式部 裂く 和む 枯木立ち
紫陽花 偶発 断片 自然志向
哀切 陰鬱 結末 治癒 薄暗い 境地 恩恵 喜怒哀楽
街路樹 屈折
人里 執着 木陰 陽光
親和 由来 節目 遠望
第4課庭103
二、次の文の片仮名の部分を漢字になおしなさい。
1. 芥丿11龍之介のタンペン小説はおもしろい。
2. 青葉の茂ったジュモクを見ると、気持ちがよくなるものだ。
3. 父はその人のソウシキに出るために、朝早く家を出た。
4. 今度はその責任をマヌカれないのだ。
5. この洋服の主空のほうはちょっと問題があるようだ。
6. 予算にセイヤクがあるので、思うままにはいかないのだ。
7. この方針は割りとイッカンしている。
8. ものさしを刀にをてる。
9. そのことはいつまでも心の底に旦めておきたい。
1〇.あそこのマドベに立っている人は会社の社長だそうだ。
三、 次の質問に口頭で答えなさい。
/.室内の雰囲気に少なからぬ影響を与えると言っているが 、なぜか。
2なぜ庭を眺めることでささくれ立った気分が和むのか。
3. 「一種の放電を起こす」とはどのように理解するか。
4. 「和むのと同じ現象である」といっているが、何が「和む」のと同じなのか。
5. 「そのために最低限に必要なのは」とあるが、最低限に必要なのは何か。また
「その」とは何を指しているか。
6. 「人間の〜独立したリズム」とはどういうことを言っているのか。
7. 「感情を託す側の意識がおのずから異なる」とあるが、どこが異なっているの
か。
8「ぼくはこの落葉樹の恩恵を〜」と言っているが、落葉樹の恩恵とは何か。
9.何が「日本人特有の庭園観」なのか。
1〇. 「自然」を「親和的な環境としてとらえる」とはどういう意味か。
四、 次の文の下線部を辞書で引いて日本語で説明した上、全文を中国語に訳しなさい。
1. 南の方はまた洪水に見舞われたので、なにがしかの金を寄付した。
2. 彼としてはあたう限りの努力を払ったが、あとは運に任せるしかない。
3. 公園でしか見たことのない彼女は、山を彩る紅葉を見て思わず感激してしまつ
た。
4. 部屋に入ってみると、手前の半分には、ささくれ立った畳が敷き詰めてあった。
5. 折にふれ、テープなどで日本語を流すと妙に心が和むのだ。
五、次の下線部の言葉の意味が、それぞれのはじめの文と最も近い意味で使われている
文を、①、②、③、④から一つ選びなさい。
1.上司のいる前で早退するのは具合が悪レ、。
こ①んな具合に書いてごらん 。
104日语综合教程第/曲
② どうもこの機械の具合が悪レ、ようだ。
③ 理事長招待のパーティーだから、その格好では具合がよくないだろう。
④ このごろはな、んとなく胃の县^が悪いようだ。
2. 地震でここは建物も木もたくさん沈んだそうだ。
① 男の口調が底ぶかく沈んでいるようである。
② この辺りでボートが地だという事故があったばかりだった。
③ この間の津波で地下に沈んMいた島などが露出されたそうだ。
④ 彼女は最近ずっと悲しみに沈んでいるようだ。
3. 母は誰にも言わずに外出の支度をととのえた。
① 今言われたように、服装はどんなことをしてもととのえるべきだ。
② 何人もの人と見合いをして、ようやく縁談をととのえた。
③ 一年間で体調をととのえてから出直すつもりだ。
④ 彼はいつも夕食をととのえてから夜間大学に行くのだ。
六、次の語群から適切な言葉を選んで、 必要な場合は形を変えて( )に書き入れな
さい。
ひとしきり うっそうと ことさら 営み 偶発的
こんもりと おおざっぱ ひょろりと 千々 なにがし「
1.競争は人間の能力を最大限に発揮させる偉大な( )である。
2山里の一人暮らしは雨の日は( )人恋しい。
3( )に見積もっても、それは四、五十万円はするだろう。
4.哀れみ、恐れ、( )の思いは激しく彼の胸を去来した。
5あの( )した松の茂みのあるところが御所で、一般公開の時しか入れ
ないよ。
6. ( )続いた陽気な子供の歌声に心を打たれて、自分の気持ちもよく
なった。
7. あれは( )な事件で、決して普遍的なものではない。
8. 私の家の南向こう側は自然林で、そこには名前も知らない大木が暗いほど
( )茂っている。
9. 彼は急用があるといって、朝から知名の政治家( )の家に行った。
W.( )した少年はついに何かにつまずいて、道端に倒れた。
七、次の文中の 部分に入れるのに最も適切なものを選びなさい。必要な場合は、
第4課庭105
語の形を変えてもよい。また、答えは必ずしも一っとは限らない。
/,僕は彼女から借りた本の感想文を書いて彼女に送った。そしてその感想文に
自分の気持ちも書き込んだ。
①それとなく ②さりげなく
2. いつも私の欠点を カバーしてくれる彼を、私は心から信頼している。
そ①れとなく ②さりげなく
2 23. 隣に座った 人の話を耳にはさんで、 人が教育関係者であることが
推測できた。
①それとなく ②さりげなく
4それに関する記述は、数行だけでよい。それはあくまで 挿入すること
が必要だ。
①それとなく ②さりげなく
5. 傍らで見て、僕は 皮女の気持ちを察し、こっそりと部屋を出て先に帰っ
た。
①それとなく ②さりげなく
6. あの人はいつも 話ばかり持ち出すので、周りの人は応対しにくい。今
度のパーティーに呼ぶのは、ちょっと見合わすべきではないかと思う。
①ほの暗い ②薄暗い ③暗い
/本展覧会は天保から昭和にかけての金銀屏風や工芸作品が展示されていて、
展示場で鑑賞することで、より強い感動を覚えることができる。
①ほの暗い ②薄暗い ③暗い
8.今度の夏休みは、日も差し込まない 森の中に生息する生物の種類とそ
れぞれの生物の食べ物などについて調べることになった 。
①ほの暗い ②薄暗い ③暗い
ハ、括弧の中の言葉を使って次の中国語を日本語に訳しなさい。
1.这是不是值得把自己的一生都压上去的工作,你仔细考虑以后再作决定吧 。(〜
に足る;一生都压上去ーー生をすべてかける)
2 1两个人合骑 辆自行车是极其危险的行为,快给我下来。(極まりない;合骑
2!辆自行车自転車の 人乗り)
3. 看到竞争激烈的现代社会,想到渺茫的将来,一种虚无之感不由地涌上心头。
(思いを馳せる;渺茫的将来一見通しが立たない将来)
4. 想来,工作不仅是谋生的手段,也有赖以寄托精神的作用 。所以绝对不能失
去自己的工作。(思うに;寄托精神一精神を託す)
106 日语综合教程第五册
5. 像“小道新闻”这种东西,不能太当一回事,否则会把自己也牵入进去的。
(〜というものは;不能太当一回事ー••・加減に聞く)
6. 我们公司从去年开始用电脑进行大量的文档管理,以此削减人工费用,达到降
低成本的目的。(ことで;文档つ文書;降低成本一コストダウン )
7. 这是他从去年暑假就开始计划的一次旅游,我想他不会不来的。(〜わけがな
い)
8. 尽管感染期高峰已过,但还是希望再戴一段时期的口罩。(にせよ;感染期高
峰一感染期の山)
9. 如果是以前的歌曲,那就另当别论了。现代的流行歌曲我没学过,根本不会
唱。(ならともかく)
1〇.无论战乱如何,破坏和偷盗国宝都是非法行为。(いかに〜ようと)
九、言葉の決まり
1.次の語句の対義語を後から選んで、漢字に直して答えなさい。
①短縮( ) ②抽象( ) ③自然( )
④動揺( ) ⑤拡大( )
Aしゅくしょう Bえんちょう Cあんてい Dじんこう Eぐたい
2①から⑤の( )に最も適切な語句を、それぞれのア〜オから選んで書き入
れ、その言葉の意味を最後に掲げたカ〜シの中から選んで、それぞれの〈 〉
にその記号を書き入れなさい。
&( )に物がはさまったような言い方 (〉
アのど イ目玉 ウ奥歯 エ 指の間 才 わきの下
②木で( )をく くったような応対 (〉
ア腕 イひざ ウ鼻 エ耳 才指
③( ) を濁すような返答 〈〉
アお茶 イお湯 ウお酒 エ お水 才 お汁
④彼はそんなことは( )にも出さない。 〈〉
アせき イため息 ウあくび 工おくび ォこ首
⑤立て板に ( )のような話し方 〉
ァ油 イ矢 ウ豆 エ水 才ロ
カ、ごまかす キ、愛情がない ク、 休みなく言う
ケ、口数が少ない コ、隠して言わない サ、 冷淡にあしらう
第4課庭107
シ、思うことをはっきり言わない
3.次の文章を読んで後の問いに答えなさい。
漢字かなまじり文では、文字を全部くっつけて書くので、適当に区切らない
と読み間違えることがある。語句を区切るのに用いるもっとも普通の符号はて
ん(、)で、昔から読点と呼ばれてきた。区切り方のきまりははっきりしてい
ないが、文の中の意味の切れ目と読み間違いを起こしそうなところに打つのが
一般的で、このてんを使ういくつかの場合をあげてみると、次の通りである。
① 説明の述語が長い場合は、文の主語を示す「は」や「も」などのあとに用い
る。
② 一つの主語について、たくさん説明の語句を並べるとき、それぞれの説明の
語句のあとに用いる。
③ 呼びかけ、返事、感動などの語句のあとに用いる。
④ 文中の、限定を加えたり、条件や理由をあげるような語句のあとに用いる。
⑤ 主語の次に助詞を省くときには、そこに用いる。
⑥ 語句を隔てて修飾する場合に、その語句のあとに用いる。
⑦ 疑問や質問の内容をあげるとき、その語句のあとに用いる。
⑧ 主語を文の中ほどに出すときには、それの前に用いる。
問い、次にあげるア〜クの各例は、上の(1)〜(8)のどれに最もよく当てはまる
か。記号で答えなさい。ただし、一つの項目に当てはまる例は一つだけであ
る。
ア、どんな条件で採用していただけるか、至急ご返事ください。
イ、彼はその件で現地へ飛び、関係者たちを訪問し、責任者に面接した。
ウ、すっかり文章がやさしくなったので、新聞の読者がたくさん増えた。
エ、日本語は、使っている人間は多いけれども、地域が東洋の一部に限られてい
る。
ォ、この、ヘビに似た動物はなんと言うか。
カ、論より証拠だと、わたしは信じている。
キ、わたし、それをやめるつもりです。
ク、おい、わかるか。
十、次の文章を読んで後の問いに答えなさい。
(一) 「日本の家は木と紙でできている」と言われてきました。この言葉には、粗
末だという意味もあります。が、一方で、植物素材を巧みに生かし、日本の風土に
合った生活様式を確立し、その中で穏やかな心を育み、そして、繊細で風雅な日本
文化を築いてきた、という誇りの意味を含んでいると思います。
(二) 古くから日本の建物とインテリアの素材は、主に本、竹、紙などの植物系で
108日语综合教程第五册
あり、それに加えて鉱物系としての泥を用いたものでありました。これらを素材と
した日本の建物は、山水に恵まれ、四季折々の風物の変化が豊かで、しかも寒暖の
差がそれほど激しくない、そのかわりに湿気の多い日本の風土によく合った様式と
して発達したと思います。
(三) 西洋の建築学者からみれば、すき間だらけで断熱性も遮音性もない日本の木
造建築は、それこそ苛酷な住居となりましょう。確かに①日本の住宅の昔からの欠
陥ではありますが、本や紙や土は水分を吸収するから湿度を自然に調節するし、暑
いときは開け放し、寒いときは自在に仕切って暖をとることができるなど、日本の
風土からすると合理的なものであると言えるのです 。
(四) 日本の建築は、平安時代の板戸や格子戸の寝殿造りから、鎌倉時代の武家造
りを経て、室町時代の書院造りへと移っていきますが、それにつれて、だんだん和
紙が多く用いられる様式になっていきました。
(五) この和紙を用いた障子、さらには、蘭草(いぐさ)を用いた畳、茅(かや)
を用いた屋根が、日本の建物を素材の面からみたとき、独特で優れているものとし
てあげられます。畳は湿気の遮断と肌触りが抜群であり、茅は厚葺きにすれば、そ
の遮断性、耐水性がこれに勝るものはないと言われるほどです。和紙を用いた障子
は、中でも素材として特色あるものと言えましょう。
(六) 障子というものは、もともと文字どおり「さえぎるもの」という意味であ
り、室内の仕切りに立てる道具のことでした。古くは、戸、襖、屏風、衝立などを
総称したものですが、中国から敷物が入ってくると②盆から畳を考え出したよう
に、紙が入ってくると③ユを利用して紙障子を考案したもので、日本人の優れた
知恵によってうまれたものです。この紙の障子が広まるにつれて、障子といえば紙
を張った匚重]を言うようになったのです。
(七) 窓は、もともと採光と通風のはたらきをしますが、日本の最初の窓は、戸を
上から蝶番(ちょうつがい)でつるし、それを押し上げて金具またはつっかい棒で
支えるつきあげ窓です。戸を上げると窓の役割をし、おろすと外部と遮断できま
す。紙のなかった昔は、戸は筵(むしろ)や戸板でできたもので、原始的ではある
が、窓、戸じまり、雨よけ、日よけなど多くの役割をもったものでした。
(八) そういうところへ、中国から明りとりを主とした窓文化が入ってきて、日本
でも明り窓に関心を寄せるようになりました。和紙の発明が、⑤これに拍車をか
け,明り障子が発達していったのです。和紙は湿気に比較的強く、何にも増しての
特色は、直射日光を和らげて穏やかな明るさを室内に取り入れることです。この和
紙による障子が日本人の生活に浸透し、やがて日本人の感受性にも影響を与えて
いったと言えるのです。
(九) 谷崎潤一郎は、明り障子を、「光と翳(かげ)の区分のさだかならぬ日本独特の
室内空間を作り出し、ひいては日本文化全体を特色づける「陰翳(いんえい)文化」を
育てる環境となった」と礼讃しています。明り障子が独特のおもむきのある空間を作
り出すのは、和紙が光を和らげるからであり、それは紙に当たった光が素通りせずに
第4課庭 109
反射・回折•散乱など非常に複雑な現象を繰り返し、総合した光となるからです。
dD 次の一文はどの段落の末尾に入るか。段落番号で答えよ。
日本建築の最高傑作は「桂離宮」であると言われていますが、ここでも木、
竹などとともに和紙が用いられています。
OD 下線部①「日本の住宅の昔からの欠陥」と言っているが、文中からそれを見
つけ、20字以内で答えなさい。
dB 下線部②と③の「これ」はそれぞれ何を指しているか、文中のことばで答え
なさい。
②③
dB I④I文中に入る4字の言葉を文中から抜き出せ。
dD 下線部⑤「これに拍車をかけ」の「これ」は何を指しているか、答えなさ
い。
dD 筆者がこの文章を通して述べている最も適当なものを次から選びなさい 。
ア、和紙を用いた建築様式は、平安時代の寝殿造りから鎌倉時代の武家造り
を経て、室町時代の書院造りへと移って確立した 。
イ、和紙を用いた障子、蘭草を用いた畳、茅を用いた屋根は、日本の建物を
素材の面からみたとき、ともに優れたものと言うことができる。
ウ、目本の建物は植物素材をたくみに生かしてきたが、中でも光をやわらげ
,る和紙による障子は、日本人の感受性にも影響を与えた。
エ、谷崎潤一郎は、明り障子を礼讃しているが、それは紙に当たった光が非
常に複雑な現象をくりかえし、総合した光となるからである。
dD 文中のことばを使って日本の風土の特徴を40字以内でまとめなさい。
文学、語学突
符号のいろいろな使い方
1.。(句点・まる•しろまる)
①一つの文を完全に言い切ったところに必ず用いる。
110日语综合教程第五册
② 「」および()の中でも、文の終止には用いる。
③ 「……すること•時•場合」などで終わる列記にも用いる。
2. 、(読点・点)
① 文中で、ことばの切れ目など誤解されやすいところに用いる。
② 対等の関係で並ぶ同じ種類の語句の間に用いる。
3. -(なか点•くろまる)
①名詞の並列の場合に用いる。
② 日付けや時刻、称号を略して表す場合に用いる。
4. ( ) < > [ ](かっこ)
語句または文の次に、それについて特に注意をする時に用いる。
5. 「 」(かぎかっこ)
会話の部分を示したり、語句を引用する時、あるいは、特に注意してほ
しい語句をさしはさむ場合に用いる。
け《》『 』(二重かぎかっこ)
「 」の中にさらに語句を引用する時、あるいは、会話の中にさらに他
人の会話が入っている時などに用いる。『 』は書物の題名をいう時な
どに用いる。
7. ―(棒線・ダッシュ)
「つまり」「すなわち」の意味を表したり、余情や省略を表す時に用いる。
8. ?(疑問符)!(感嘆符)
原則として「?」「!」の符号は使用しないほうがよいとされている 。
〇々ゝヾ?(くり返し符号)
10.=—(つなぎ)
・読み物
縁
•上①t
縁は、まことに異なものであり、味なものである。
ここに言う縁とは、住まいの縁、すなわち縁側やぬれ縁などのことだ。こ
のような縁があることによって、日本の住宅は、その物理的な狭さにもか
第4課庭111
かわらず、心理的な狭さをあまり感じないですむ。座敷から、明かり障子
と縁側のガラス障子を通して見る庭 、それは、室内の落ち着きの中に、四
季の変化を楽しむ、日本の住まいの最も優れた生活空間の一つの場面だ。ま
た、縁側の障子を開け放てば、座敷と庭は、縁をはさんで一続きのものと
なる。夏の午後など、縁側で涼風を受けながら、うたた寝していると、庭
の木陰で昼寝をしているのと、同じような気分になろう。つまり縁側は、も
・う庭なのである。
縁を異なもの、というのは、例えば、軒下のぬれ縁などが、いったい内部
空間(戸内)なのか、外部空間(戸外)なのか、判然としない、というところ
にある。ぬれ縁は、部屋から見れば、ガラス障子の外にある風の吹きさら
しのところだから、外部空間と見なされる。しかし、外から見ると、そこ
は、軒下にあって一応屋根やひさしもかかっており、また板敷きの床もあ
るのだから、純然たる戸外空間とは見なしにくい。建築の内部空間ではな
いにしても、せめてその付属空間である、というぐらいのことは言えそう
だ。あるいは、建築の構成から言うと、屋根があって壁がない庭の東屋(あ
ずまや)だとか、壁があって屋根がないヨーロッパの広場だとかいうよう
に、少しずつ何かが欠けた「半建築」のようなものと言っていいだろう 。
また、ガラス障子の内側にある縁は、通常、縁側などと呼ばれるが、そこ
は座敷のように天井を張らず、軒裏をそのままに見せるのが普通だ。と言
うのは、日本建築の感覚では、ここは室内空間ではないのである。ガラス
障子のなかった昔は、この縁側には障子を立てず、台風とか大雪の時には、
外から戸板をはめこんで防ぐ以外は、ふだんは吹きさらしのままであった
ものが多い。今でも田舎へ行くと、そういう農家を数多く見かけることだ
ろう。
そこで、こういう外部空間でもなければ内部空間でもない、言わばコウモ
リのような異空間であるぬれ縁や縁側などを、一部の建築家は、「つなぎの
空間」とか「第三の空間」などというように呼んで、純然たる内部空間や
外部空間と区別しているのである。
一方、味な空間というのは、初めに述べたように、室内と庭とを、視覚的・
心理的に、時にはつなぎ、時には切り離す、一種の空間の「連結器」のよう
な役割を持っていることを指すが、それは単に、視覚や心理にとどまらず、
時には機能的・行動的にも、つなぎの空間としての意味を持っている。
わたしの家の近所のおばあさんの話を例に引くとこうだ。おばあさんは、
息子夫婦が建てた明るい洋風のモダーンリビングに住んでいる。ところが、
このモダーンリビングには、縁側がない。そこでおばあさんは言う。昔の
家には皆縁側があったので、年寄りは縁側に座って、針仕事をしたり、孫
のお守りをしたり、また庭に出入りしたりして、一日を過すことができた。
112日语综合教程第五册
さらに縁側に座っていると、通りがかりの人々の様子をよく見ることがで
きる。近所の人ともあいさつできるし、たまには、縁側に腰掛けて話しこ
んで行ってもくれる。雨が降れば障子を閉めればよし 、お天気になれば障
子を開けたまま昼寝をすることもできる。縁側は年寄りにとっては安全で、
しかも快適な場所だった。そういう縁側が新しい家からなくなったという
ことは、いくら便利なモダーンリビングでも、年寄りにとっては、不便で、
味気ないものだ。では外へ出ればよい、と言われるかもしれないが、たと
え近所の公園へ行くにも、女はいちいち着替えをしなければならず、気軽
には出歩けない。それに昔と違って、通りは自動車が増えてきたために怖
いし、また歩道橋みたいなものを渡らなければならないかと思うと、気が
重い。息子は、家の中にいるようにと、テレビを買ってくれたが、テレビ
とでは話ができない、と。そう語るおばあさんは、寂しそうであった。
ここでわたしたちは、反省をしてみなくてはならないだろう。年寄りに
とって、いったい現代文明とはなんであろうか 。少なくとも、縁側のない
アメリカ式のモダーンリビングは、日本の年寄りにはあまりありがたくな
いようだ。それは、老人だけではない。主婦にとっても小さい子供にとつ
ても、たまの休みに家にいる亭主にとっても、庭続きの縁側は、気持ちょ
くありがたいものだろう。それがない日本の現代の多くの住まいは、確か
に味気ない生活になりつつある。
さて、縁はふちとも呼ばれるように 、もともとは、昔の中国服などのそで
やすそについているピラピラした「縁飾り」のことを指して言ったもので
ある。服のそでやすそに縁飾りをつけるには、いくつかの理由がある。ー
つは、着物の糸がほつれてくるのを防ぐための、縫い取りを兼ねた「すみ
押さえ」であるということ。第二に、着物の端部の擦り切れの補強と、さ
らに擦り切れた時に、新しいものと取り換えのきく「互換品」としての意
味を持つ。畳のへりもそれで、それは実際消耗品として取り扱われている。
そして第三に、縁飾りと言われるとおり、それは着物の「飾り」でもある。
畳のへりも、昔は、いろいろ模様の入ったものが使われていたのである。
この着物や畳における縁の機能を、日本の住まいに置き換えてみると、
同じようなことが言える。すなわち、本や紙、畳という柔らかい材料で作
られた日本の住まいの外周を、それは補強しているのである 。もし縁がな
ければ、開放的な日本の住まいでは、雨や直射日光が直接室内に入りこん
できて、畳や障子、土壁(つちかべ)などを傷めつけるであろう。日本の
住まいが柔らかい材料でできているということと、開放性を持つというこ
とを前提とすれば、物理的に言っても、縁は欠かせないものである。そし
てそれは、また「遊びの空間」としても重要だ。座敷が格式を持った空間
なら、縁は格式にとらわれない自由な空間である。そこには床の間もなけ
第4課庭113
れば、額もない。したがって、上席も下席もない。座敷で宴が始まる前、あ
るいは宴が終わったあとに、人々が自由にくつろげる場所なのである。
このように考えると、縁というものは、日本の住まいにとって、建築構造
的にも生活的にも、意外に重要な意味を持つ。それに似たものは西洋のべ
ランダやバルコニーなどであるが、障子で囲まれた縁の持っている開放性
や室内と庭とをつなぐ連続性には比ぶべくもない。
日本建築における縁の歴史は古い。ミヤと言われた古代の貴族の宮殿の名
残をとどめる各種の神社建築を見ても、建物の周囲には必ず勾欄のついた
大床(おおゆか)を回している。さらに下って平安時代の寝殿造りになると 、
建物の周りに、板敷きのすのこと言われるものをつけるようになった。こ
れらは今日のぬれ縁に当たるものだ。また寝殿造りは、中央の母屋(もや)
を中心に同心円的に、ひさしや広びさし・又びさしと言われる細長い部屋
が取り巻いているのが特色であるが、これが言わば今の縁側に当たるよう
なものだろう。そう考えると縁が日本で発達したのは、高床(たかゆか)住
居の流れをくむ開放的な住まいの外郭構造として、構造上、あるいは機能
上、欠かせなかったからに違いない。
そのような伝統を受け継いで、この際、縁の思想を広げて、例えば、ア
パートやビルの窓の前面に、開放的なバルコニーを設けることもいいこと
だ。それは生活的にも潤いを与えるものだし、特に高層建築の火災が相次
いでいる時、建物の周りに立体的な縁としてのバルコニーが完備している
ことは、避難階段の三つや四つにも勝る効果があるだろう。
何百年の間、日本の風土と社会の中にはぐくまれてきた伝統的な生活空間
の数々を、新しい機械文明の前に、ただ古くさいからと言って、よく考え
もせずにほうむり去ってしまっている例を 、わたしたちの周囲に多く見か
けるが、縁もまた、そのようなケースの一つではないか。仏教では、「縁な
き衆生は度し難し」と言うが、現代の庶民の住まいが、文字どおり縁なき
衆生になるのでは、困ったことである。
(『中学校現代の国語3新版』三省堂より)
I注釈
〇 上田篤(うえだ あっし)(193〇〜)
建築学者。大阪府の生まれ。著書に『生活の空間の未来像』『日本都市論』などがある。
❷縁側(えんがわ)
日本家屋で座敷の外側に沿う細長い板敷。えん。「椽側」とも書く。
114日语综合教程第五册
❸座敷(ざしき)
昔の屋内は板張りで、茵(しとね)•円座などを敷いてすわったから、座を敷くという。ここは畳を
敷き詰めた部屋のことを言う。特に客間。
❹ ベランダ(veranda(h)) 阳台,凉台
家屋に沿って外側に張り出した縁。縁側。濡れ縁。
❺ バルコニー(balcony) 阳台,露台
西洋建築で、室外へ張り出して作った、屋根のない手すり付きの台。露台。バルコン。
G 「縁なき衆生は度し難し」(えんなきしゆじょうはどしがたし)
いかに仏でも仏縁のないものは救済しにくいように、人の言を聞き入れないものは救Kようがな
い。
第4課庭 115
5
木の葉の魚
本文
•宕尾直寻
アイは、貧しい漁師の娘でした。
その漁師の家の貧乏さかげんといったら、財産は何一つなく、借り物の小
舟が一艘に、借り物の網が、たった一枚あるだけでした。それなのに、子供
ばかりは十人もいて、おまけに、その子供たちを養う父親は、病気ばかりし
ているといった具合でした。
さて、その家の一番上の娘のアイが年頃になって 、いよいよどこかにお嫁
にやらなければならなくなった時、母親は自分の娘をつくづくと眺めて考え
ました。
こんなに色が黒くて、学校にもろくに行かなかった娘を 、もらってくれる
人がいるだろうか……
それでも、自分の娘は、なんとか幸せになってほしいと願うのが親心とい
うもので、アイの母親は、村の人に会うたびにこんなふうに頼んだものでし
た。
「うちのアイに、お婿さんを探しておくれ。ご覧のとおりの貧乏人で、仕度
はなんにもしてやれないが、嫁入りの時には、とっときの道具を一つ持たせ
てやるつもりだから」
村の人達はふんふんと頷きましたが、アイの家の山ほどの借金の事を思い
出して、誰ー人本気でアイのお婿さんを探そうとはしませんでした。
ところが、このアイを大喜びでもらおうという人が出てきました 。それは、
遠い山の村から時々野菜を売りにやって来る婆さんで 、山番をしている自分
の息子の嫁に、ぜひアイをほしいと言い出したのです。その婆さんの話はこ
うでした。
「貧乏はお互い様だ。アイちゃんみたいに働き者の娘をうちの嫁さんにもら
えたら、どんなに助かるかしれない。仕度はなんにもいらないから、体一つ
で来ておくれ」
116日语综合教程第五册
これを聞いてアイの母親は大喜びしました。願ったりかなったりの話だと
思ったのです。
こうして、それからいくらも経たないうちにアイは 、山からやって来た行
商の婆さんに連れられて、まだ見たこともない人のところへ嫁入りすること
になったのです。
いよいよアイが村を離れる前の晩に、母親は古い鍋を一つ出して来てこう
言いました。
「いいかい、アイ、これがお前のたった一つの嫁入り道具だよ。汚い鍋だけ
れど、これ一つがお前を幸せにするからね 」
アイは、ぽかんと母親を見詰めました。母親はそのアイの耳に口を寄せて、
鍋の蓋をそっと開けました。
「これから母さんの言う事をようく覚えておくんだよ。これは不思議な鍋で
ね、この中に山の木の葉を二、三枚入れて蓋をして、ちょっと揺すって又蓋
を開けると、木の葉はすばらしい焼き魚になるんだよ。そこに柚子でも絞っ
て食べてごらん。そりやもう、とびきりの御馳走だから」
アイは目を丸くして、そんな不思議な品物が、一体どうして自分の家に
あったんだろうかと考えました。すると母親はアイを両手で抱き寄せてささ
やきました。
「この鍋には母さんの祈りがこもっているんだよ。お前が幸せになるよう
に、母さんは百日、海の神様にお願いして、この鍋をもらったんだから。だ
けどね、この事をようく覚えておおき。あんまりやたらにこの鍋を使っては
いけないよ。なぜって、この鍋に入れられた木の葉が焼き魚に変わる時に、海
ではちょうど同じ数の魚がお前のために死んでくれるんだからね 。その事を
考えて、この鍋は嫁入りをした最初の晩と、それから本当に大事な時にだけ 、
使うんだよ」
アイは頷きました。母親は鍋をていねいに風呂敷に包んで、アイに手渡し
ました。
こうして、鍋を一つ抱えただけの海の娘は、お姑さんの後について旅立つ
たのです。
長い道程でした。
二人はバスに三時間も揺られたあと、石ころだらけの山道を何時間も歩き
ました。おろしたての草履が磨り減って、鼻緒が切れるくらい歩き続けた時、
やっと崖の下の小さな家に着きました。
それは緑の木もれ陽に包まれた草屋根の家でした 。家の前には高い朴の木
と小さな葱の畑がありました。
「ここだここだ。ここが、わしらの家だ」とお姑さんが言いました。アイは
目をぱちぱちさせて、
第5課木の葉の魚 117
「いい家ですねえ、立派な屋根ですねえ」と言いました。アイが今まで住ん
でいた海の家はトタン葺きで、屋根には石がたくさんのせてあったのです。
それに比べると、この草屋根はなんとどっしりとぶ厚くて、温かい感じがす
るんだろうかとアイは思いました。
すると、その家の戸ががらっと開いて、これはまた、どっしりとしてあっ
たかい感じのする若者が顔を出しました。若者はアイを見ると、それはいい
感じに笑ったものですから、アイは一目でこの人が好きになりました 。
その夜、アイは母親からもらった鍋を使って 、とびきりおいしい魚の料理
を挎えました。
鍋の中に、朴の葉を三枚並べて蓋をしてちょっと揺すって、又蓋を開ける
と一
どうでしょう。鍋の中にはカレイが三匹、ちょうどいい具合にこんがりと
焼けていたのです。
アイは、焼きたての魚に塩を振り掛けてお皿にのせて食卓に運びました。
料理の上手なお嫁さんが来たことを、アイの夫はただもう喜びました。けれ
ども、お姑さんは箸を動かしながら首を傾げました。
(はて、これはどうしたわけだろう。魚はどこで手に入れたんだろう。たし
かに、この娘は鍋一つしか持って来なかったのに …… )
けれども、お嫁さんはそれっきり、鍋を高い戸棚にしまいこんで使おうと
しませんでした。
静かで平和な日々が過ぎて行きました。山ではふくろうが鳴き、鳩が鳴き、
きつねが鳴きました。そんな動物たちの声をアイは聞き分けることができる
ようになりました。朝は早く起きて水を汲み、昼は畑を耕し、夜は機織をし
て、毎日せっせと働いて、春が過ぎて行きました。
ところが、その年の夏は雨が多く肌寒く、めったに晴れる日はありません
でした。そのために秋になっても山の木の実は実らず、丹精した畑の作物も
腐ってゆきました。
おそろしい飢饉がやって来たのです。
長いあいだアイの一家は、乏しい食べ物で食いつないできましたが 、とう
とう細い薩摩芋が一本しか残らなくなった時に、お姑さんは青い顔をしてア
イに言いました。
「いつかの魚の料理を作ってもらえないかねえ 。もう食べ物はなんにもなく
なってしまった」
その目は、あの鍋の秘密をちやんと見抜いているように思われました 。ア
イは頷きました。こんな時には海の神様も許してくれると思ったのです。ア
イは家の外へ出て行くと、木の葉を三枚とって来て鍋に並べました。それか
118日语综合教程第五册
ら蓋をしてちょっと揺すって、また蓋を開けると鍋の中には、すずきが三匹
じゅうじゅうと焼けていました 。それを三枚のお皿に取り分けながら 、アイ
は真つ青な秋の海を思い浮かべました。アイは自分達のために命を捨ててく
れた三匹の魚にそっと手を合わせました。
雑木林の向こうに住んでいる隣の家の人々がやって来たのは、それからし
ばらくあとのことでした。
今ごろ、魚の焼ける匂いがするので、ちょっと寄ってみました。この飢饉
に一体どこで魚を手に入れたのか、それを聞こうと思って——
おどおどとへつらうように隣の人は言いました 。これを聞いてお姑さんは、
アイに魚を焼くように言いました。そこでアイは、又木の葉をお客の数だけ
鍋に入れました。
「さあさあ、遠慮なく食べて行ってください」とお姑さんは言いました。お
客は大喜びで魚を食べて帰ったのです。
ところが、困ったことになりました。
あの家に行けば、魚がただで食べられるという噂が、村から村へと広まり、
遠い道を歩いて飢えた人達が、アイの家をたずねてくるようになったのです 。
アイは、朝から晩まで台所に閉じこもって、木の葉を鍋に入れては魚の料理
を挎えました。ああ、これで何十匹、海の魚が死んだろうか……そんなふう
に思いながら、それでもアイは手を休めることができませんでした。魚を食
べたい人達は、あとからあとからやって来ましたから 。
ある日、とうとうお姑さんが言いました。
「こんな時にただで魚を振舞うこともあるまい。うちも貧乏なんだから、魚
一匹につき、米一合でも、大根一本でも、いくらかの金でも、もらったらい
いと思うが....」
これを聞いてアイはすぐこう答えました。
「あの鍋はやたらに使ってはいけないと 、里の母さんに言われました。ただ
で魚を上げるのならまだしも、お金や物と交換するのでは、海の神様にすみ
ません。鍋に入れた木の葉の数だけ海では魚が死ぬのだと聞いています」
すると、お姑さんは笑いました。
「山の木の葉と海の魚はおんなじことさ。山の木の葉が取っても取ってもな
くならないように、海の魚だって、なくなりやしない」
横からアイの夫も口を合わせました。
「そうとも。海の魚は山の木の葉とおんなじだ」
仕方なく、アイは又台所に入って行って、魚の料理を挎え続けたのです。あ
あ、せつないせつないと思いながら 、何百枚何千枚の木の葉を鍋に入れ続け
たのです。
林の中の小さな家は、やがて魚の匂いでいっぱいになりました 。それにつ
第5課木の葉の魚119
れて、家の中は米や豆や野菜や果物でいっぱいになりました。魚を食べたい
ばかりに、人々はとっときの食物を持ってやって来たのでしたから。そのう
ちに、アイの夫は山番の仕事をやめました。お姑さんも畑仕事や縫い物をや
めました。アイの夫は、時々もらいものの野菜や豆をかごに入れて麓の村に
売りに行きました。そうして、いくらかのお金を作っては戻って来たのでし
たが、ある日のこと、アイに一枚の美しい着物を買ってきたのです。
それは白地に、椿の花がほとほとと散っている着物でした。その花びらの、
ぽってりとした赤がアイの心をくすぐりました。ま新しい着物を手にしたの
は生まれてはじめてのことでしたから。アイは涙が出るほどうれしいと思い
ました。突き上げてくる喜びの渦の中で、アイは海の神様への後ろめたさも
里の母親の注意もさらりと忘れました。新しい着物を抱き締めて 、この鍋が
お前を幸せにすると言った母の言葉はこういうことだったかと自分なりに解
釈したのです。
それからというもの、アイは喜んで魚を焼くようになりました 。
アイの家に魚を食べに来る人々の群れが細い山道にひしめきました 。アイ・
の家はどんどん豊かになり、アイは美しい着物を何枚も持てるようになりま
した。
そうして、それから、どれほどの月 日が過ぎたでしょうか。
激しい雨がまるまる七日降り続いたある明け方のこと——
三人はドドーッという無気味な音を聞きました 。それから、家がぐらりと
大きく揺れるのを感じました。
「山崩れだ!」
アイの夫が叫びました。
「後ろの崖が崩れて来る!」
とお姑さんも叫びました。たちまちのうちに、天井がメリメリと鳴り、柱
が揺れました。ああ、家が潰れる……もう逃げることもできずにアイの夫が
畳の上に蹲った時、いきなりアイが言ったのです。
「いいや、違う…… 」と。
それからアイは天井を見上げて、
「あれは海の波の音だ」とつぶやきました。
「波の音?波の音がどうしてこんな所まで聞こえるものか」
「そうとも。お前の空耳だ」
けれどもこの時、アイは懐かしさに躍り上がり、髪を振り乱して戸口に駆
けていったのです。そうして、カタリと戸を開けると——
どうでしょう。
山の木もれ陽とそっくりの色をした海の水が 、ゆらゆらと家の中にあふれ
120 日语综合教程第五册
こんで来るではありませんか。
「ほうら!」とアイは叫びました。それから、上を見上げて何もかもを知っ
たのです。
なんとアイの家は、海の底に沈んでいたのです。
一体、どういうわけでそんなことになったのか分かりません。大津波でも.
起きて、遠い海が山まで押し寄せて来たのか 、それとも海の神様の大きな手
が、この小さな家をつまみ上げて海の底に沈めてしまったのか……
それにしても、海の底に沈められても、三人は苦しくも寒くもなく、ただ、
体がいつもより少し軽いだけでした。三人は戸口のところに集まって、呆気
に取られて上を眺めました 。
この家を覆っていた緑の木の葉はみんな生きた魚になり 、群れをなして泳
いで行くところです。しばらくその美しさに見とれたあと、お姑さんがため
息をついて言いました。こんな所に沈められて、この先、どうやって生きて
いったらよかろうかと。
この時です。アイはずっとずっと上の方で、誰かが自分を呼ぶのを聞きま
した。
「アイ、アイ、こっちへおいで」
温かいやさしい声でした。
「アイ、アイ、こっちへおいで」
「ああ、母ちゃん!」
思わずアイは両手を上げました。それから、よくよく目を凝らすと、網が
——そうです。まぎれもなく、アイの家の継ぎ接ぎだらけの借り物の網が頭
の上いっぱいに広がっているではありませんか。
「父ちゃんの舟が来てるんだ」
とアイは叫びました。
「父ちゃん母ちゃん、網で引き上げておくれ。私達を助けておくれ」
アイは駆け出しました。続いて、アイの夫もお姑さんもアイの後を追いま
した。
ゆらゆら揺れる緑色の水の中を、三人は両手を広げて走り続けました。
こんぶの森を通りました。サンゴの林もわかめの野原も通りました。
網はどんどん大きく広がって行き、海全体をすっぽりと覆い尽くして行く
ようでした。
お昼を過ぎて夕暮れが近づいて、海の底に射し込む陽の光が緑から紫に変
わる頃、三人の体はいきなりふうっと浮き上がりました 。まるで三匹の魚の
ように。
三人は網を目掛けてのぼって行きます 。両手を広げてゆらゆらとのぼって
行きます。 ’
第5課木の葉の魚 121
アイの母親のやさしい声が、おいで、おいでと呼んでいます。もうすぐ、も
うすぐなのです。
(『南の島の魔法の話』講談社文庫より。漢字表記の改正あり)
注釈
〇 安房直子(あわ なおこ)(1943〜1992)
童話作家。東京都の生まれ。日本女子大学国文科卒業。1972年に短編『さんしょつ子』で、日本
児童文学者協会新人賞受賞。1972年に『風と木の歌』で小学館文学賞受賞。1982年に『遠い野バ
ラの村』で野間児童文学文芸賞を受けた。主な作品には、『まほうをかけられた舌』『北風のわす
れたハンカチ』『ハンカチの上の花畑』『白いおうむの森』『白暮の海の物語』などがある。
❷すずき(鱸)
スズキ目の海魚。体形はやや長く背面は青黒色、腹面は銀白色をしている。近海魚で、夏期には
若魚は海水の混合する河川にも上がってくる。幼魚をコッパといい、成長するにしたがって、セ
イゴ・フッコ・スズキと呼び名が変わる出世魚。秋の季語。
新しい言葉
漁師・猟師(りょうし) [名] ①(漁師)魚や貝などをとって、それを売って生
活をしている人。/渔民。②(猟師)野性のけも
娘(むすめ) [名] のや鳥などをつかまえて、それを売って生活を
艘(そう) [助数] している人。/猎人。
おまけに [接] ①その両親の間にできた女の子供。/女儿,闺
年頃(としごろ) [名] 女,女孩子。②若い未婚の女の子。/姑娘。
(小さな)船を数える語。/只,条,艘。
つくづく [副] さらにくわえて。/又加上,加之,况且。
①およその年齢。/大约的年龄。②特に、結婚
願う(ねがう) [他五] するのにふさわしい年齢。/妙龄,该结婚的年
龄。
親心(おやごころ) [名] ①念を入れて注意深く見たり、あれこれ考えた
りするようす。/仔细,仔细思量。②身に染み
122 日语综合教程第五册 て感じるようす。/痛切,深切。
①(心の底から)望み求める。/请求,要求,恳
求;愿望,希望。②神仏に願をかけて祈る。/祈
求,祈祷。③役所などに願いを申請する。/申
请,请愿。
親が子を思うやさしい気持ち。また、それと同
じような、目下の者をかわいがる気持ち。/父
母心,父母的慈爱;(父母般的)亲切关怀。
嫁入り(よめいり) [名・自サ] 女性が結婚して夫のもとに行くこと。また、そ
の儀式。/出嫁,出阁。
とっとき [名] 「とっておき」の口語の形。貴重品などを大切に
しまっておくこと。また、後日、いざという時
の用意のために品物などをたくわえておくこ
と。また、そのもの。/珍藏,秘藏(之物)。
山番(やまばん) [名] 山の番人。山守。/山林看守人,护林人。
お互い様(おたがいさま) [名] 相手も自分も同じ立場にあること。/彼此彼此,
彼此ー样。
働き者(はたらきもの) [名] よく働く人。/劳动能手,能干的人。
なんにも(何にも) [副] (下に打ち消しの語を伴う)①何事にも。何物に
も。/什么也。②「なにも」を強めた言い方。全
< 〇何一つ。/什么也,一点也。
行商(ぎょうしょう) [名・他サ] 店をかまえないで、商品をもって売り歩くこ
と。/行商,经商。
ぽかん(と) [副] ①勢いよくたたくようす。/(打头的声音)啪嚓。
② 無表情に口を開いているようす。/目瞪ロ呆,
张ロ。③ぼんやりしているようす。/发呆,呆
呆地。
見詰める(みつめる) [他ー] 目をほかへむけないで、じっと見つづける。/凝
视,注视,盯着看。
ロを寄せる(くちをよせる) [慣] 口を何かの物の近くへ近づける。/把嘴靠近・..。
揺する(ゆする) [自他五] 小さく揺り動かす。/摇晃,动摇。
焼き魚(やきざかな) [名] あぶって焼いた魚肉。/烤鱼。
柚子(ゆず) [名] ミカン科の一種。常緑小高木。初夏、白い花が
咲き、でこぼこのある黄色の実をつける。実は
すっぱくて、料理に味や香をつけるのに使う。/
柚子。
とびきり(飛切り) [副] ほかからとびぬけているようす。ずば抜けてい
るようす。/最,格外;出众,优秀。
抱き寄せる(だきよせる) [他ー] 抱いて、自分に近づけさせる。/抱到怀里,抱
到身边。
ささやく(囁く) [自・他五] 声をひそめて話す。ささめく。また、ひそひそ
こもる(籠る) [自五]' と噂をする。/低声私语,咬耳朵,说私话。
①中に入ったまま、外へ出ない状態になる。/闭
门不出。②気体が、外へ出ないで、そこにいっ
ぱいになる。/充满,不通气。
第5課木の葉の魚123
やたら [形動・畐叮 むちゃくちゃである。手当たり次第だ。/胡乱,
随便。
風呂敷(ふろしき) [名] 物を包んで持ち運んだりするために使う四角の
布。/包・氏(布、皮)。
包む(つつむ) [他五] ①紙や布などで全体を覆う。/包,裹,包上,穿
上。②とりかこむ。/包围。③辺りを覆う。/笼
罩,覆盖。④心の中に秘める。/藏在心里,隐
藏,隐瞒。
手渡す(てわたす) [他五] ①手から手へと渡す。/递给,传递。②相手に
直接渡す。手交する。/面交,亲手交给。
姑・舅(しゅうと) [名] ①(姑)夫の母や妻の母。/婆婆,岳母。②(舅)
夫の父や妻の父。/公公,岳父。
道程(みちのり) [名] 目的地までの道の長さや、遠さ。/路程,距离。
山道(やまみち) - [名] 山の中の道。/山路,山道。
石ころ(いしころ) [名] どこにでもあるような小さな石。/石块,小石
子。
草履(ぞうり) [名] 底が平らで、はなおのついた履物。わら•ビニー
ル•革・ゴムなどで作る。/草屐,草鞋,人字
拖鞋。
磨り減る(すりへる) [自五] こすれて(物の形が)小さくなる。消耗する。/磨
减,磨薄。
鼻緒(はなお) [名] げたやぞうりの、足指にかける紐の部分。/木
屐带,草屐带。
崖(がけ) [名] 山や岸がかべのように険しくきりたっていると
ころ。/悬崖,绝壁,河崖。
木もれ陽(こ漏れび) [名] 枝葉の間から漏れてくる日光。/从树叶空隙照
进来的阳光。
葱(ねぎ) [名] 畑に栽培するユリ科の多年草。/葱。
ぱちぱち [副] ①物がはぜ、火などがはねる、小さく鋭い音。ま
た、そのさま。/畔里啪啦。②拍手の音。/嘱曄
啪啪。③まばたきするさま。/眨巴眨巴。
がらっと [副] (がらりと)①戸•障子・窓などを急に勢いよく
開ける音の形容。またその様子。/哗啦一声。②
ある状態が急にすっかり変わる様子。/突然改
变,豹变。
トタン葺き(tutanagaぶき) [名] うすい鉄板に亜鉛をメッキしたもので、平らな
ものと波の形のもので作った屋根。/镀锌铁皮
铺的屋顶。
124 日语综合教程第五册
こしらえる(挎える) [他ー] ①きちんとした形のものに仕上げる。/制造,
かれい(麒) 做。②必要となったものを集めて、準備する。/
こんがり 筹备,准备。③その場をきりぬけるために、つ
振り掛ける(ふりかける)
はて くりごとをする。/捏造,虚构,假装。
日々(ひび)
ふくろう(梟) [名] 海の底に住む平たい魚。右側に、両目がある。目
聞き分ける(ききわける) のある側は黒茶色で裏側は白い。煮つけなどに
汲む(くむ) して食べる。/篥鱼。
せっせと
肌寒い(はださむい) [副] ちょうどよい程度に褐色に焼けるようす。/(烤
丹精(たんせい) 得)恰到好处。
飢饉(ききん)
[他ー] 粉状のものを振って、ものの上にかける。/撒
乏しい(とぼしい)
上
食いつなぐ(くい繋ぐ)
[感] 軽く怪しんだり、迷って考え込んだりするとき
に発する語。/咳,哎,嗯,哎呀。
[名] 毎日。その日その日。一日一日。/天天,每天。
[名] フクロウ目フクロウ科の鳥。大きさはカラスぐ
らい。森の繁みや木の洞に住み、夜出てノネズ
ミなどを捕えて食う。/猫头鹰。
[他ー] ①二種類以上の音を聞いて、その違いを区別す
る。/听得出来。②自分に対して言われたこと
の道理や筋道がわかる。/听明白。
[他五] ①液体を掬い取る。/打水,汲水,舀水。②相
手の気持ちを察する。/理解,酌量,体察。
[副] やすまず熱心に。/拼命地,不停地,勤勤恳恳
地。
[形] ①肌に少し冷たさを感じるようす。/凉飕飕的,
有点凉意。②(比喩的に)はだに寒さを感じるよ
うな気持ちになる。ぞっとする感じである。Z
(感到)汗毛凛凛。
[名•自サ]' 心をこめて何かをすること。/精心,真诚。
[名] ①農作物のできが悪いために、食物が足りなく
なって、うえに苦しむこと。/饥荒,饥俺。②
生活に欠かせないものが足りなくなって、ひど
く困ること。/缺乏,缺少。
[形] ①あることはあるが、ちょっとしかない。/不
足,缺少。②生活などが貧しい。/贫困,贫乏,
贫穷。
[自五] ①少ない食糧を小出しにして食べて命を長らえ
る。/省着吃。②かろうじて手段を講じて生活
第5課木の葉の魚 125
見抜く(みぬく) [他五] を保つ。食いのばす。/勉强糊口。
取り分ける(とりわける) [他ー] ものごとがかくれた部分、特に他人のたくらみ
真つ青(まっさお) [形動] などを推理して知る。/看穿,看透,认清。
[他ー] ①(多くの中から)取って区別する。選び取る。/
思い浮かべる(おもいう
かべる) (从大堆里)拣出来,挑出来。②めいめいに分け
て取る。/分成份儿。
手を合わせる(てをあわ まったく青いこと。血の気のないさま。/刷白,
せる) 苍白,铁青。
思い出して心に描く。/想起,忆起。
じゅうじゅう
おどおど [慣] 両手を合わせて拝む。手を胸の前で組んで心か
ら頼み願う。/礼拜,合掌;恳求,作揖。
[擬声] 高温で焼けるときに出る音。/滋滋的声音。
[副・自サ]不安や恐れ、自信のなさなどのために、おびえ
て落ち着かないようす。/提心吊胆,战战兢兢,
惴惴不安。
へつらう(諂う) [自五] 目上の人や強い者に気に入るようなことを、わ
ざと言ったりしたりする。追従。/奉承,谀媚,
逢迎。
飢える(うえる) . [自ー] 食べるものがなく、お腹が空いて死んでしまい
そうになる。/饥饿。②喉から手が出るほど、ほ
しくてたまらなくなる。/渴望。
閉じこもる(とじ籠る) [自五] 戸を閉めて、外へ出ようとしない。/闷在房里
合(ごう)
里(さと) 或家中。
[名] 尺貫法で、容積の単位。1合は0.18リットル。/
合(计量单位)。
[名] ①人家が集まって、小集落をなしている所。/村
落,村庄。②その人が生まれ育った家。/娘家。
③いなか。/乡回,乡下。
口を合わせる(くちをあ [慣] ①相手の話の調子を合わせる。/交ロ,异口同
わせる)
声。②しめし合わせて同じことを言う。口裏を
せつない(切ない)
合わせる。/统ー口径。
[形] ①息が詰まりそうで苦しい。/喘不过气来。②
胸が締め付けられるようにつらい。/难过,苦
闷。
かご(籠) [名] 竹・蔓・針金などで荒く編んで作った入れ物。/
麓(ふもと)
筐,篮,笼。
[名] 山を降りきったあたり。山の裾。/山脚,山麓。
126 日语综合教程第五册
白地(しろじ) [名] 布や紙の地色が白いこと。/素地,白地。
椿(つばき) [名] 暖かい地方に生える常緑高木。葉は厚くてつや
があり、早春、赤や白の花が咲く。花は散ると
き、付け根から落ちるので、縁起が悪いと言わ
Zれることもある。種から油をとる。 山茶。
ほとほと [副] ①もう少しのことで。すんでのところで。ほと
んど。/几乎。②身に染みて感じるようすを表
すことば。非常に。まったく。/非常,实在。③
「〜と」の形で戸を叩く音。また、物を叩く音の
形容。/咚咚。
ぽってり Z[副] ふくよかに肥えて弾力のありそうなようす。
胖而重。•
くすぐる(操る) [他五] ①他人の皮膚を軽くこすって、その人に、むず
むずするような、笑いたいような感じをおこさ
せる。/使发痒。②わざと人を笑わせるような、
または、いい気持ちにさせるようなことを言
う。/逗乐,逗笑。
ま新しい(真あたらしい) [形] 見るからに新しい。/崭新,全新。
突き上げる(つきあげる) [他・自ー] ①下から突くようにして押し上げる。/(从下边
往上)顶,撞。②下の地位のものが、上の人のや
り方を批判して、何かをするように要求する。/
施加压カ。
渦(うず) [名] まんなかへむかってぐるぐるまいている、水や
空気のながれ。/漩涡,漩涡状。
後ろめたい(うしろめたい) [形] 自分のしたことに罪悪感があって、なにか心が
落ち着かない。/负疚,内疚。
さらりと [副] ①かるく、なめらかなようす。べとつかないよ
うす。/滑溜,光滑。②なにごとにもこだわら
ないようす。また、ものごとをあっさりと成し
遂げるようす。/爽朗,干脆,轻快。
抱き締める(だきしめる) [他ー] 締め付けるように強く抱く。かたく抱いて離さ
ない。/紧抱,使不能动弹。
ひしめく(麝く) [自五] 人がたくさん集まり、押し合いへし合いして動
き騒ぐ。/拥挤,吵吵嚷嚷。
月日(つきひ) [名] 暦の上での月と日とを積み重ねたような、(比較
的長い)時間。/时光,岁月,光阴。
無気味(ぶきみ) [形動]• どことなく気味が悪い。/令人毛骨悚然,令人
害怕。
ぐらり [副] 物が急に大きく揺れ動くさま。/突然摇晃。
第5課木の葉の魚127
山崩れ(やまくずれ) [名] 急斜面をなす山腹の岩石や表土が急激に崩れ落
ちる現象。/山崩。
天井(てんじよう) [名] ①屋根裏や上の階の床などを隠し、また、保温・
塵除けなどのために部屋の上部に張る板。/顶
棚,天花板。②物の内部のいちばん高い部分。Z
物体内部的最高处。③物価・相場などの一番高
い値段。/(物价上涨的)顶点,最高限度。
メリメリ [副] 物がもろくて裂けわれたり、砕けたりする音。Z
咯吱咯吱地。
いきなり [副] なんの前触れもなくことが起こるようす。/突
然,冷不防。
空耳(そらみみ) [名] ほんとうは音がしていないのに、何か聞こえた
ような気がする。/(听到)错觉,听错。
躍り上がる(おどりあがる) [自五] 勢いよく跳び上がる。はねあがる。/跳起来,蹦
起来。
戸口(とぐち) [名] 建物の出入り口。/房门,大门。•
カタリ [副] かたいものがふれあって出る、あまり大きくな
い音。/咯哒,哗啦。
ゆらゆら [副] ものがただようように、揺れ動くようす。/摇
晃,摇曳。
津波(つなみ) [名] 地震や噴火などによる海底の大規模な地殻変動
にともなって生じた大波が陸地を襲う現象。Z
海啸。
押し寄せる(おしよせる) [自・他ー] たいへんな勢いで多くのものがせまってく
る。/涌过来,蜂拥而至。
見惚れる(みとれる-みほ [自ー] 心を奪われて、ただうっとりとして見る。/看
れる) 迷,看着入迷。
ため息をつく(溜いきをつ [慣] 気苦労や失望などから、また、感動したときや
く) 緊張がとけたときに、思わず大きな吐息が出
る。/叹息,叹气,唉声叹气。
目を凝らす(めをこらす) [慣] 注意を集中して、一点を見詰める。/凝视,睁
大眼睛。
継ぎ接ぎ(つぎはぎ) [名] ①衣服に継ぎがたくさんあたっていること。Z
补丁,缝补。②ほかのものをあれこれ集めて、つ
なぎ合わせて一つのものを作り上げること。Z
东拼西凑,修修补补。
サンゴ(珊瑚) . [名] サンゴ科サンゴ属の腔腸動物の総称。普通は、
その珊瑚虫が作った樹状の骨格を言う。白・桃・
赤色のものがあり、磨いて装飾品を作る。/珊
128日语综合教程第五册
わかめ(和布) [名] 瑚。
食用にする海藻の一種。ひらたく、いくすじに
夕暮れ(ゆうぐれ) [名] も切れこんでいる。しるの実や、あえものに使
目掛ける(めがける) [他ー] う。/裙带菜。
日が沈み、あたりが暗くなっていくころ。/黄
昏,傍晚。
それを目標にする。/瞄准目标。
モ〉~かげん(事物的)程度,状态,情况;调节;身体状况 !
接尾語。体言や動詞の連用形につき、そのことの程度やぐあい、又はその傾
向を表す。また接尾語の用法以外に、名詞やサ変動詞としての用法もあり、物
事の程合いや体の調子、調節することなどの意味を表す。
〇母は料理がとても上手だ。いつも塩かげんもほどよく、私にはどんな豪華
なレストランの料理よりも口に合う。(母亲做的菜很好吃,咸淡口味把握得
正好。对我来说,母亲做的菜比任何高级饭店的饭菜都合味口。)
❷ 退勤して家に帰ると入りかけんの湯がいつも用意してあるので、ぼくは先に
お風呂に入って、それから食事をすることにしているのだ。(下班回家后,家
里总是为我准备好水温正好的洗澡水,所以我一直是先洗澡,然后吃饭的。)
❸このごろ、体のかげんが悪いのだろうか、彼は何をやっても調子がでないの
だ。(最近,也许他身体不太好,干什么都不起劲。)
❹ 同じエンジニアといっても、彼のほうが機械をかげんする技術がずっとうま
いのだ。(虽说都是技术员,可是他调试机器的技术高明多了。)
M〜といったら涅劉:••,理到… :
名詞について、話し手の主観的な見方を表し、話題になる事柄の程度が極端
であることを強調するのに使われる。
❶ あの娘の不精なことといったら、横のものを縦にもしないCこんな人を嫁に
もらったら、それこそ大変だから、よく考えてから決めてほしい。(要说这姑
娘懒到什么程度,倒下的东西绝不会把它扶起来。要是娶了这种人,那オ糟糕
呢。希望你仔细考虑以后再决定。)
❷彼女の権力に対する執念といったら、大変なものだc肉親を裏切っても決し
てその地位を手放そうとはしないだろう。(说到她对权カ的执着,真有点可
第5課木の葉の魚 129
怕,即便背叛自己的亲人也绝不放弃她的地位。)
❸ あの子の賢さといったら相当なもの。口では並みの大人もとても太刀打ち
できないほどだ。(要说那孩子的机灵啊,真是了不得。说起话来,一般的大人
根本比不上他。)
❹ 子供を亡くした悲しみといったら、それは筆舌に尽くせないほどで、経験
のない人にはとうてい分かってもらえるものではない。(要说丧子之痛,这
绝非是用笔墨能形容的,没有经历过的人根本无法体会 。)
ーつ(〜ひ•とつ)一ー_____ ______—.———.…一.......... 一................. 一>
1.体言について、それだけで他に何もないことを強調し、その物だけであるとい
う意味を表す。(只,光,单)
〇 彼らの中に、相手の出方二でどうにも態度を変えられる、実に要領のいい
人が増えているのも事実である。(事实上,他们中间那种处世圆滑的人越来越
多。他们擅长根据对方的态度而随时改变自己的态度 。);
❷ 火事だと分かった瞬間、ぼくはすべて構う暇がなく体一つで脱出してきたの
だから、周りのことなんか、全然気づいていない。(在发现火灾的刹那间,我
顾不得一切,只身逃了出来,所以周围的事我根本没注意 。)
❸ 大気の中の酸素一つをとって考えても、生物の今日ある姿が地球の歴史の産
物であることが分かる。(即使只从大气中的氧气考虑,也可以知道现今的生
物,都是地球历史的产物。)
❹ もう万事準備され、すべてが君の決心ーつだ。こんないいチャンスを逃した
ら、それこそ二度と手に入らないよ。(万事俱备,一切就看你的决心了。你要
是错过了这次机会,再也不会有第二次了。)
2「(名詞)一つ〜できない(可能動詞の否定形)」の形で、本来ならできるはずの
簡単なことだが、それさえできないから、それ以上のことは当然何もできない
という意味を強めて言うのに用いられる。話し手の否定的な気持ちを表す場合
が多い。(连・•・都不会,连…都不能)
❶ 今の若者は技能証書はたくさん持っているが、いざやらせると、何一つろく
にできないのだ。(现在的年轻人虽然有很多技能证书,可是一旦让他们动手
做,却什么也做不好。)
❷ 英語を10年間勉強したというのに、外国人に会っても、挨拶一つ満足にで
きない。(虽说学了10年英语,可是遇到外国人时,连一句寒暄话都说不好。)
❸ すべてとは言えないが、現代の女性はボタン一つつけられない人がざらにい
る。(虽然不是所有的人,可是现代女性连ー颗钮颗都钉不好的大有人在。)
❹ 機械音痴の僕は、事務のOA化について行けず、目の前にコンピュータが
あっても、文字一つ打ち出せない。(我对机械没有感觉,所以跟不上办公自动
化的步伐,眼前明明放着电脑,可我却连ー个字也打不出来 。)
130日语综合教程第五册
Xm 願ったりかなったり(ねがったりかなったり) ノ
[ 正食心昼顶之时…
こちらの望んでいることと、相手の条件がうまく合って、ものごとが希望ど
おりに実現すること。すっかり思いどおりになることを表す。
❶ 息子をヨーロッパ旅行に連れていってくださるなんて、これは願ったりか
なったりの話で、ぜひお願いします。(带我儿子去欧洲旅游,这可是求之不得
的大好事啊,那就拜托你了。)
❷ もし、先方さんにそうしていただければ、願ったりかなったりですが、実際
はなかなかそうしてもらえないでしょう。(如果对方能这样做,那是求之不
得的。可是实际上他们不肯这么做的吧 。)
❸ 娘をあなたの家にホームスティさせていただけるとは願ったりかなったり
のことで、何より安心だわ。(能让我女儿寄住在你家里学习可是求之不得的
事啊,这比去任何地方都让我放心呢。)
❹ そこへ行くのは交通の便も悪いし、困っていたの。あなたの車に同乗させ
てもらえれば願ったりかなったりで、助かるわ。(去那儿交通很不方便,我
正发愁呢。能搭你的车那是再好不过了,实在是帮了我的大忙 。)
せやたらに(と)胡乱,随便,任意,过分,非常,大量 j
形容動詞、副詞。形容動詞としては、正当な根拠や理由がなくいいかげんな
様子。また、物事の程度が激しかったり、秩序がない様子を表す。「むやみやた
らに」という形でそれを強めていう言い方もある。副詞の場合は「やたら(と)」
の形で用いる。意味は同様。
❶ 日本がいかに湿潤な国であるか、私は外国を旅行するたびに思い知らされ
る。外国ではやたらに喉が渇くから。(每次到国外去都让我深切地体会到日本
是ー个多么湿润的国家。因为在国外总让我感到十分口渴。)
❷ マナー向上を唱えて以来、やたらと痰を吐く人は少なくなった。これがずつ
と続くといいけどね。(倡导精神文明以来,乱吐痰的人少了。要是能保持下去
就好了。)
❸ むやみやたらと人を集めるばかりではね、お客さんは大勢でも物見遊山で
は収益につながらないだろう。(过分招揽顾客的话,虽然人数增多了,但都
K些游山玩水的人,并不能带来很大的收益。)
❹ 他人のことをむやみやたらと非難ばかりして、相手のことを理解しようとし
なければ友情は育たないだろう。(只是一味地胡乱批评别人,从不努力理解
对方,这样的友谊恐怕不能长久吧。)
第5課木の葉の魚 131
’が〜たて刚刚••・的 :
接尾語。動詞連用形にっき、その動作が終わったばかりであることを表し 、
「〜して間がない」という意味を表す。
❶ 長崎でとりえ工のイカの刺身を食べたことがあるが 、その味は東京当りの
スーパーで買ったそれと雲泥の差だ。(我曾在长崎吃过用刚捕到的墨鱼做成的
生鱼片,那味道与东京超市里买到的墨鱼生鱼片简直是天壤之别。)
❷ 大学を出た工の若い女に映画監督を頼む会社なんかありはしない。(没有一家
公司会去雇用一个刚从大学毕业的女孩当电影导演的〇 )
❸ 僕は毎年のように、搗きた工の餅を食べながらお正月の特別テレビ番組を見
るのだ。(我几乎每年都是一边吃着刚做好的年糕,ー边看新春特别节目的。)
❹ 小学校に上がりたての頃、初めて母に買ってもらった風がどうしても揚がら
なくて泣かんばかりになった記憶がある。(记得刚上小学时,第一次让母亲
买来了风筝,却怎么也放不上天空去,我急得差点哭出来。)
上捻同一語(文節)の重ね表現
日本語には物事を強調する表現はいくつかあるが、同一語や文節を重ねて使
うことによって話し手の表す意味を強調することができる。なお:この場合の
訳文はそれぞれの文脈に従う。
❶ 傷口から血があとからあとから出てくるのを見て、彼女は怖くなった。(看到
血不断地从伤口涌出来,她害怕了。)
❷ 目の前に見えながら、砂丘の中を歩いても歩いてもなかなか目的地に着かな
く、本当にもどかしい。(虽然目的地就在眼前,可因为是在沙丘中,尽管走了
又走,却怎么也走不到目的地,真让人着急。)
❸ こういう住宅は建てても建てても需要に間に合わないのが不思議だがC (这种
住宅房子盖了又盖,却依然不能满足需求,真是不可思议 。)
❹それは、夜は永遠に明けないのではないかと思えるほど垣勇い一夜だっ
た。(那是ー个很长很长的夜晩,长得甚至让人觉得永远不会天亮了。)
公ー〜にっき……………..一一ー一一一—ー
/•名詞について「その理由で」という意味を表す。相手に了承を求める場合など
に用いられる。(由于,因为)
❶ 従業員の慰安旅行!^丄臨時休業させていただきます。(因职エ旅游,暂停
营业。)
❷ ここは私有邸宅につき、立ち入り禁止になっているが、いつも知らないふり
をしてそこを通っていく人がいる。(这里是私有住宅,禁止入内,可是总是有
132日语综合教程第化册
人假装不知,从那儿借道通过。)
❸ 雨天02^、本日の運動会は中止となりましたので、ご了承願います。(因天
气下雨,今天的运动会暂停,敬请大家谅解。)
❹ 台風につき、本日の海南島行き297便は欠航させていただきます。(由于台风
的关系,原定今天飞往海南岛的297次航班停飞。)
2「名詞+数量詞」について「その単位に応じて」「ごとに」「あたり」という割当
てなどを言い表す。(每…)
❶ 日本では生活費1月につき、家賃も含めて最低でも8万円はかかるだろうか
ら、それだけ毎月送金している。(在日本的生活包括房租在内,每个月最低也
要花8万日元,所以我每个月要寄去这些钱。)
❷ 向こうでは2人で1室を共用する習慣がないので、来賓1人につき、部屋を
一つ用意するのが常識である。(那里没有两人合用1间房间的习惯,所以为
每位来宾准备1间房间是常识。)
❸ 景品は1人につき、3点までという決まりがあるので、ご了承ください。
(规定奖品每人最多可得3件,敬请谅解。)
❹ 当駐車場は使用料1時間につき200円徴収させていただくことになっていま
す。(本停车场的费用为每小时200日元。)
三かまだしも还算可以,还说的过去
副詞。いずれにしても不満足であるが、それでもまだそのほうがよい、とい
う意味を表し、よく「〜(の)ならまだしも」の形を用い、これに続く事柄に否
定的な意思表示をする場合に使う。また、「〜がまだしもだ」「〜(の)なら〜の
ほうがまだしもだ」の形で、少しだけ好ましいという意味を表す。
❶ 1人や2人が来て泊まるのならまだしも、3人も5人も来れば、とても泊ま
らせるところはない。(如果来ー两个人住的话也就算了,这么来上三五个人,
根本没地方让他们住。)
❷ 喉の乾いた時だから、お茶漬けならまだしも、こんなパサパサのパンは、と
ても喉を通らないわ。(嗓子干渴的时候,如是茶泡饭倒也可以,这么干巴巴的
面包我怎么也咽不下去。)
❸ みんな24時間看病をさせられて大変だった。それでも私の番は退院日だっ
たので、午前だけで終わったのがまだしもであった。(大家被迫进行24小时
看护,弄得十分疲劳。轮到我的时候正逢出院的日子,所以只看护了一个上
午,还算好。)
❹ 死ぬまでベッド生活が続くのなら、いっそのことこの世を去ったほうが・
しもだ。(如果要在床上度过余生的话,那还不如干脆离开人世来得好些 。)
第5課木の葉の魚133
そうそれからというもの这…,从…以后 J
連語。「そのできごとをきっかけとして」「そのことがあってからは」「それ以後
は」という意味だが、事情がそれ以前に比べて180度変化した場合に使ったりす
る表現である。また、よく「動詞連用形+てからというもの」の形で用いられる。
❶ 私は自分の本音を一度彼女に打ち明けたことがある。ところが彼女はそれを
笑いの種にして、みんなの前に持ち出して、私をからかったのだ。それから
というもの、私は彼女と口を利かなくなったのだ。(我曾经向她倾吐过自己的
心思。可没想到她竟然以此为笑料,在大家的面前嘲弄我。从那以后我再也不
跟她说话了。)
❷ ある日、私は偶然すばらしい音楽を聞くチャンスに恵まれた。その美しいメ
ロディ一は私の心に焼き付いて離れない。それからというもの、私は音楽に
対して特別の思いを持つようになり、楽器も演奏するようになった。(有一次.
我偶然有机会去欣赏高雅的音乐,那美妙的旋律深深烙在我的心中 。从此以
后我对音乐产生了一种特别的情感,并开始弹奏乐器了 。)
❸ あの人と付き合ってからというもの、彼女は勉強しなくなったばかりでな
く、カラオケやバーなどに通うようになった。(自从与他交往以后,她不仅不
用功学习,还开始往卡拉OK和酒吧间跑了。)
❹子どもが生まれてからというもの、昼寝どころか、夜寝る時間も縮められ
た。(自从孩子出世以后,不要说睡午觉了,就连晚上睡眠的时间也缩短了。)
舞の学習 . ______ :
4占ー養う—•.•育て一る…____ _
7.養う(やしなう)养育,养活;疗养;养成
自力では生活していけない人に必要な食物や衣服などを与えて、生活を続け
られるようにしてやる。また、訓練や休養などによって、能力、体力、気力な
どをよりよいもの、状態にしていく。
❶ 男性は自分の家族を養うために、残業したりして、夜遅くまで一生懸命に働
いている。(男人为了养活自己的家族拼命工作,晚上还要加班加点。)
❷ 空を飛ぶ鳥でさえその雛を養い、地を走る獣でさえその子を養うことに苦心
をしている。(甚至连天上飞的鸟,地上跑的野兽也都在为养活自己的后代而
费神劳心。)
❸ この学校では、生きた学力を養うことを目的とした公開講座が度々開催され
ている。(这个学校经常举办公开讲座,以培养学生的实际运用能力。)
134日语综合教程第五册
❹ 幼い時に海外生活を体験することは、子供の国際感覚を養うという点で、こ
れからの社会では非常に大切なことである。(从小就让孩子出国体验国外生
活,可以培养他们的国际观念,这在今后的社会中是非常重要的。)
2育てる(そだてる)培育,抚育,抚养,教育,培养
手を掛けて、生物の成長を導き助ける。また物事を小さいころから面倒を見
て大きくさせる。一人前にするために教え導く。
❶ 五つ子を宣Mいる母親の日記を読んで感心した。私は子供1人を育てるの
に悲鳴を上げるぐらいだから、5人の子供を同時に育てるなんて、とても考
えられない。(读了五胞胎母亲的日记非常感动。我抚养1个孩子已经累得呼
天喊地了。同时抚养5个孩子,简直不可想像。)
❷ みんなに言いたいことを十分に言わせる。せめてこのクラスで民主主義を直
ェたいと考えている。(让大家畅所欲言,我认为起码要在这个班里形成一种
民主的风气。)
❸ それは国際的ビジネスに適応する人材を直穿公立専門学校で、一流の設備
のもとで一流の先生が、教育と研究の両面から日々研究を重ねている。(那是
ー所培养国际商务人才的公立专业学校,学校里有一流的设备和教师,从事着
教育和科研两个方面的工作。)
0 うちのベランダは広いので、主人はベランダで観葉植物をたくさん育ててい
る。(我们家的阳台很大,丈夫在阳台上种了很多赏叶植物 。)
まとめ
手をかけて、人間や動植物の生長を助けるという意味では二語とも共通して
いるが、「養う」は食物や衣服などを与えて、生存させ、生活の面倒を見てやる
という意味が強い。また、「心を養う」「気力を養う」のように、強い意志を作
り上げたり、体力を蓄えたりする意味もある。しかし、植物や文化などには使
えない。それに対して「育てる」は、上述の意味のほか、「花を育てる」「才能
を育てる」のように植物や抽象的なものにまで広く用いられる。また、「子供を
養う・子供を育てる」のように、両方とも使える場合は、「子供を養う」は子供
・が生きるのに必要なものを与えることによって生存させるところに重点が置く
のに対して、「子供を育てる」はただ子供を生かすだけでなく、子供を立派なも
のにするために、教養や情操や思想などの面における面倒も見るというところ
に重点があり、この点は「養う」と違う。
nどっしり:まっしり—.…… 一 —」
1.どっしり沉重,稳重,庄重
副詞。いかにも重いと感じる様子。また、いかにもたよりがいのあるような、
第5課木の葉の魚135