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Published by johntss124, 2021-06-24 19:45:58

日语综合教程7

日语综合教程7

の木が植えてあったが、この土手が1塁側とネット裏スタンドになった。っ
まり3塁側のチームはいつも陽に灼かれていなければならないが、1塁側の
チームはすくなくとも自軍の攻撃中は桜の土手のつくる日陰の下で汗を拭く
ことができる。あの夏の1日、3塁側に陣取った新道少年野球団はきっと死ぬ
ほど辛かったろう。

「……決勝戦の6回ごろだったと思いますが、ベンチに戻ってぐったりして
いると、さっと涼しくなりました。見ると、正ちゃんがぼくの前に立って日
陰をつくってくれているんです。正ちゃんにならってナインがぼくの前に立
ちはじめました。これが12回まで続いたんです。ぼくが完投できたのは西日
をさえぎってくれたあの日陰のおかげです。途中、常雄がふらふらっとしか
けましたが、そのときも正ちゃんが言いました。『常雄も日陰に入れ。遠慮す
るな。これはキャプテン命令だぞ。』って。パレードのとき泣いていたのもう
れしかったからです。自分たちは日陰なぞありえないところに、ちやんと日
陰をつくったんだぞ。このナインにはできないことはなにもないんだ。そん
な気持ちでいっぱいでした。その気持ちはいまでもどこかに残っていると思
います。だから……〇 J

中村畳店から、わたしは外堀通りを市ヶ谷へ向かった。金網越しに野球場
を見ると、木枯らしに吹き上げられた砂煙がグラウンドを走り回っている。
振り返って西を見ると、大会社の大きなビルが野球場に覆いかぶさるように
立っていた。この十何年かのうちに、ここには西日がささなくなってしまつ
たようである。

『ナイン』(1987年刊)Iこよる

作者紹介

井上ひさし(いのうえひさし)
: 劇作家、小説家。1934年山形県に生まれた。上智大学外国語学部フランス語科を卒業。その作品

は奇抜な構成、奔放な言葉遊び、鋭い批評精神に溢れる。主な戯曲に『表裏源内蛙合戦』『頭痛肩
こり樋口一葉』。近作に『貧弱物語』(1998年)、『天保12年のシェイクスピア』(2002年)。主な小説
に『手鎖心中』『吉里吉里人』、近作に『東京セブンローズ』(1999年)、『わが人生の時刻表!(2000年)
などがある。また、日本語関係のエッセイ集に『私家版日本語文法』『自家製文章読本』『日本語観
•察ノート』などがある。

K釈

〇四ツ谷駅(よつやえき)
東京都千代田区と新宿区の境にあるJR中央線の駅。

第3課ナイン39

❷四谷新道(よつやしんみち)

東京都新宿区四谷1丁目にある商店街。
❸外濠(そとぼり)公園野球場

東京都千代田区5番町にある、都立の公園野球場。
❹上智(じょうち)大学

東京都千代田区にあるカトリック系の私立大学。1911年イエズス会が設立した財団法人上智学院
を、1913年改称し、大学を設立した。1928年大学令による大学となり、1948年現学制による大学
となった。
❺大和屋(やまとや)

岩井半四郎の屋号。屋号は、役者やその一門に対する名称。
❻岩井半四郎(いわいはんしろう)

歌舞伎俳優。屋号大和屋。1927年、東京生まれ。当代は10代目。日本舞踊花柳流の、初代花柳寿

太郎(はなやぎじゅたろう)の長男。

〇祝儀袋(しゅうぎぶくろ) 红包,喜钱

「祝儀袋」とは、祝い事に送る金や心づけなどを入れる袋のこと。「点袋(ぽちぶくろ)」とも言う。
その語源は、僅かとか心ばかりという古い関西弁の「ぽちっと」、関東弁の「これっぽち」という
言葉からきていると言われている。小銭(僅かなお金)を入れる袋であることから「ポチ袋」、祝儀
を包む袋であることから「祝儀袋」と言われるようになったという。
❽丸の内(まるのうち)

東京都千代田区内にある地名。
❾ 若葉町(わかばちょう)

東京都新宿区内にある地名。
®練馬(ねりま)

東京都練馬区の略称。
❿市ヶ谷(いちがや)

東京都新宿区内にある地名。
®ライオンズ 西武狮队

日本プロ野球球団「西武ライオンズ」の略称。
®ジャイアンツ 读卖巨人队

日本プロ野球球団「読売ジャイアンツ」の略称。

® 遊撃(ゆうげき) (棒球中的)游击手

野球で、内野手のー。2塁と3塁の間を守る。ショートストップ。

®左翼(さよく) (棒球中的)左外场,左场手

野球で、本塁から見て外野の左方。レフト。

够 右翼(うよく) (棒球中的)右外场,右场手

野球で、本塁から見て外野の右方。ライト。
® 打者(だしゃ) 击球员,击球手

野球で、球を打つ人。バッター。
®捕手(ほしゅ) 接球手

野球で、キャッチャーのこと。
西 ベンチ (棒球比赛)教练和队员的席位

野球場の監督や選手の控え席。

40日语综合教程第七册

、日本プロ野球12球団

パ・リーグ(パシフィック・リーグ) 太平洋联盟
西武ライオンズ 西武狮队
福岡ソフトバンクホークス 福冈软件银行鹰队
北海道日本ハムファイターズ 北海道日本火腿斗士队
千葉ロッテマリーンズ 千叶罗德海洋队
オリックス・バファローズ 欧力士野牛队
東北楽天ゴールデン・イーグルス 东北乐天全鹰队

セ・リーグ(セントラル・リーグ) 中央联盟
中日ドラゴンズ 中日龙队
ヤクルトスワローズ 养乐多燕子队
読売ジャイアンツ 读卖巨人队
阪神タイガース 阪神老虎队
広島東洋カープ 广岛东洋鲤鱼队
横浜ベイスターズ 横浜湾星队

、新しい言葉

ナイン(nine) [名] 9人の一組。野球のチーム。/(棒球)9人ー组,棒
球队。
裏手(うらて) [名] 裏に当たる方。背後。/后面,背后。
間取り(まどり) [名] 部屋の配置のしかた。/房间布局,房型。
茶筒(ちやっつ) [名] 製茶を貯えておく筒形の容器。/茶叶罐。
かじる(齧る) [他五] ①(硬いものを)歯で少しずつかむ。/啃;咬。②
(ある物事について)その一部分だけを知る。少し
針だこ(はりだこ) [名] 知識を得る。/稍懂得一点,学一点,一知半解。
いつも畳針を使って作業するために指にできた 、
膨れ上がる(ふくれあ[自五] 皮膚の硬く厚くなった部分。/(捏针捏出的)老茧。
①膨れて大きくなる。/肿胀,鼓起。②希望、数
がる) 量、金額などが大きくなる。/膨胀,庞大。
特に良くも悪くもないこと。普通の程度であるこ
なみ(並) [名] と。/普通,一般。
引き換えること。交換。/交换,兑换。
ひきかえ(引き換え) [名] 決勝試合出場資格を決する試合。/半决赛。
準決勝(じゅんけつ[名]
第3課ナイン41
しょう)

ぶつ続け(ぶっっづけ)[名] はじめから終わりまで、とぎれず、休まず続ける
こと。続けることを強めていう語。/连续不断。
かんかん照り(かんか[名] 夏の日光が強く照りつけること。/火辣辣的阳光。

んでり) その場所がいっぱいになるほど、大勢の人がーか
所に押し寄せる。/拥到,挤到,蜂拥而来。
詰めかける(つめかけ [自ー] (そのものを思わせる何ほどかの)要素•におい。
面白み。趣。/气味,味道;趣味。
る) 店のこしらえ。店の構え方。/铺面;店铺的格局。
日常の食事のおかず。副食物。/家常菜;副食。
素つ気(そっけ) [名] 室内競技の一つ。玉突き。撞球。/台球;撞球。
①ゆとりがある様子。厳しくない様子。/宽松,宽
店構え(みせがまえ) [名] 大。②傾斜が急でない様子。なだらか。/平缓,缓
惣菜(そうざい) [名] 和。③ゆっくりしている様子。のびやか。/舒畅,
ビリヤード(billiards) [名] 宽松。
ゆるやか(緩やか) [形動] 傾斜面の傾きの度合。斜面。傾斜。/斜面,斜坡,
坡度。
勾配(こうばい) [名] 日が暮れて間もないとき。初夜。夜。/天刚黑,傍
晚;夜晚(上半夜)〇
宵(よい) [名] 塗料を塗っていない木材で作ること。またそのも
の。/(不油漆)原色木料的建筑。
白木づくり(しらきづ[名] 埃を鎮めたり暑さを和らげたりするために、道や
庭先に水を撒くこと。またその水。切り水。/洒
くり) / 水;泼洒的水。
四角い平らな石をたたみのように敷き詰めたとこ
打ち水(うちみず) [名] ろ。またその石。/古石板地,石板。
小さな花火。火をつけると、細い枝状の閃光を発
石畳(いしだたみ) [名] して燃える。/线香型的小焰花。
商店。みせ。/店铺,商店。
線香花火(せんこうは[名]. 毎日の生活が維持できる、生計を立てることがで
きるという意味である。/能维持生计,能糊口。
なび) ①水の勢いが盛んである。/(水)涨满。②あふれ
るほどに満ち広がる。/充满,洋溢,弥漫。
店屋(みせや) [名] 鼻の奥を軽く鳴らす様子。/(鼻子里发出轻微的)
哼、哼(的声音)。
暮らしが立つ(くらし[慣] 夏の暑さに負けて、体を壊すこと。暑さ負け。/

がたつ) 中暑。
(悪く変化させようとする力に耐えて)なんとか、
みなぎる(漲る) [自五]

くすん [副]

暑気中り(しょきあた[名]
り)

持ちこたえる(もちこ[他ー]

42日语综合教程第七册

たえる) [他五] ある状態を保つ。/坚持,维持,支撑住。
ねぎらう(労う) [他ー] (苦労や骨折りなどに対して)感謝していたわる。
慰める。/慰劳,犒劳。
伏せる(ふせる) ①上または前を向いているものを下向きにする。
うつむける。/向下,朝下。②物を逆さまにする。/
地所(じしょ) [名] 翻过来,扣过来。③覆いかぶせる。表面に出さず
に、隠して秘密にする。/隐藏,隐瞒。
引つ込む(ひっこむ) L自五] (家を建てる)土地。地面。/土地,地面;地皮,地
产。
見染める(みそめる) [他一] ①隠退する。閑居する。/隐居,退居。②しり込

そうそう [感] みする。/退缩,畏缩。③奥の方になっている。Z

抜かす(ぬかす) [他五] 凹进,缩进。
異性を一目見てその人を恋い慕うようになる。普
幼友達(おさなともだ[名] 通は「見初める」と書く。/ー见钟情,ー见倾心。

ち) 忘れていたことを思い出したときに発する語。Z

能弁(のうべん) [名] 对了对了,是的是的。
①入れるべき物を入れない。飛ばす。/跳过。②抜
ひょっこり(と) [副] けるようにする。抜けた状態にする。/漏掉,遗漏。
幼いときの友達。/幼年时代的朋友,竹马之友。
口上(こうじょう) [名]
話が上手で、よくしゃべること。弁舌の達者なこ
ぐず [名・形動] と。/能说善辨,口若悬河。
思いがけなく現れる様子。不意に出会う様子。
弱りきる(よわりきる)[自五] ひょっくり。/突然出现,偶然遇见。
売り込む(うりこむ) [他五] ロで言うこと。またその内容。/述说;说话内容,
言词。
請合う(うけあう) [他五] 動作が鈍く、決断の乏しいこと。態度をはっきり
建売(たてうり) [名] しないこと。またそういう人/(反应)迟钝;(做
事)磨磨蹭蹭;不灵敏。
①すっかり弱る。きわめて衰弱する。/极度衰弱。
② 非常に困る。/非常为难。
①大いに宣伝して有名にしようとする。強く推薦
して信用させる。/大力宣传自己,沽名。②ある
品物を強く勧めて買わせる。/兜售,推销。③秘
密情報などを告げ知らせる。/出卖(情扌艮)。
約束する。保証する。ひきうける。/保证,担保;
承包。
業者が最初から売る目的で家を建てて売りだすこ

第3課ナイン43

寸借(すんしやく) [名・他サ] と。またその家屋。/建房出售,商品房(大多指独
门独户的房子)。
詐欺(さぎ) [名] ちょっと借りること。わずかな金を借りること。/
暂时借用,挪借少许(钱)。
かき集める(かきあっ [他ー] 人を騙して金銭や品物を奪ったり損害を与えたり
める) [他五] する。/欺诈,诈骗,欺骗。
①かき寄せて集める。/扒到ー起,搂在ー起。②
引き渡す(ひきわたす) 方々から集める。/收集,筹集。
①網、幕などを長く張り渡す。/(网)围上,拉上;
しかける(仕掛ける) [名] (幕布)拉上,挂上。②手元にある人、物を管理す
べき人、機関の手に移す。/交还,(犯人)引渡。
大将(たいしょう) [名] ①やり始める。仕事を始める。/着手做。②途中
までやる。やりかける。/做到半截。③他に働き
女出入り(おんなでい [名] かける。(動作を)しむける。/主动做。④(装置を)
り) [名] 取り付ける。仕掛けをする。/安装;设置(陷阱)。
①全軍を指揮統率する者。/(军队)大将。②一群
仕上がり(しあがり) の首長。かしら。頭領。/(团伙)头头,老大。③他
人を親しみ、または、からかって呼ぶ称。/(称呼
肘あて(ひじあて) [造語] 人)老朋友。
女に関してのもめごと。女関係のごたごた。/因
大甘(おおあま) [形動] 沾花惹草引起的纠纷。
出来上がること。完成すること。できばえ。/做
かざす(翳す) [他五] 完,完成;做完的结果。
肘を保護するために当てる物。/(工作时用的)袖
家付き娘(いえつきむ [名] 套。
すめ) [形動] (「非常に甘い」の意味から)態度やものの見方に
厳しさがない様子。楽観的すぎる様子。/(ヌ寸孩子)
高慢ちき(こうまんち 溺爱,太姑息;(看问题)过于乐观。
き) ①かげを作るように差しかける。/罩个阴影;(用
东西)遮光。②光に当てるように高く上げる。/举
キャプテン(captain) [名] 起照光。③(手に持ったものを)頭上に上げて構え
る。/举过头;挥动。
生家にいて婿をとる娘。/招女婿(的女儿)。

偉ぶって相手をばかにした態度をとる様子。おご
り高ぶって、自己本位に物事を考える様子。/傲
慢的,自命不凡的。
①小さい組織の長。主任。/头头,首领。②船長。
艦長。機長。/船长,舰长,机长。③競技などで、

44日语综合教程第七册

チームメイト(team mate)[名] チームの主将。/(竞技)队长。
気圧される(けおされ [自ー] 同じチームに属する同僚。チームメート。/队友。
全体の感じや相手の勢いに圧倒される。/被(气
る) 势)压倒,镇住。
切り出す(きりだす) [他五] ① (木、石などを)切って運び出す。/砍伐后运出。
②話し始める。話題として持ち出す。/开口,开言。
だらだら(と) [副・自サ] ①なだらかな傾斜が続く様子。/倾斜度小而长,缓
缓。②大量の液体が途切れず流れ伝わる様子。Z
金網(かなあみ) [名] (液体)嘀嗒嘀嗒,不停地流。③物事がしまりなく
スタンド(stand) [名] 長く続く様子。/(话)冗长;(文章)不简练;(工作)
陣取る(じんどる) [自五] 拖拖拉拉。④無意味に怠けて時を過ごす様子。Z
混日子。
完投(かんとう) [名・自サ] 針金で編んだ網。/金属网,铁丝网。
ふらふら(と) [副・自サ] 競技場の階段式の観覧席。/看台。
① (ある場所に)陣地を構える。/占领阵地,扌し营。
砂煙(すなけむり) [名] ② (あることをするための)場所を占める。/占地
盘,占座位。
グラウンド(ground) [名] 野球で、1人の投手がー試合の初回から最終回ま
で投げ通すこと。/投到底,投到终场。
覆いかぶさる(おおい [自五] ①足どりがしっかりせず、よろめく様子。/摇晃,
かぶさる) 蹒跚。②あれこれと迷って、気持ちが不安定な様
子。/犹豫不决。③十分考えないで行動する様子。/
(做事)稀里糊涂。
砂が舞い上がって煙のように見えるもの 。砂塵
(さじん)。/沙尘。
運動場。競技場。「グランド」とも書く。/(棒球)
场,操场,竞技场。
包み込むように上から覆いかかる。/覆盖在…之
上,压在・•・之上。

!学習の手引き

❶ ①時間はいつか。②場所はどこか。③人物は誰と誰か。またどういう関係か。
❷「わたし」と「新道」との関係を考えること。
❸「新道」の今の様子と昔の様子を整理すること。
❹「わたし」が「新道」についてどのように思っているか、整理すること。
❺ 新道少年野球団について次のような情報を整理すること。

第3課ナイン45

例えば、メンバーの構成、監督、訓練の状況、メンバーそれぞれの名前、家業、そ
の後の情報など。
❻ 新道少年野球団の強かった理由を並べてみること。
〇主将「正太郎」の名前について考えること。
❸ 中村さんが「正太郎のことは口にしたくない」理由を整理すること。
❾ 正太郎に騙されたことについて、英夫の考えをまとめてみること。
®正太郎が英夫の前に立って日陰をつくった理由と、正太郎が常雄まで日陰に入れる
理由を考えること。
❿ 英夫や常雄を日陰に入れた行動から正太郎はどんな人間か、考えること。
也 作者が「西日」を小説に取り入れた狙いを考えること。

言葉と表現

匕ユ 〜とでもいう(ような/ように)…叫说… 、甚至可以涅………」

物事の性質、特徴を別の表現にたとえて説明する言い方。「たとえて言えば、
〜のように言えるのではないか」という意味を表す。表現の形として「〜とで
もいう+体言」「〜とでもいうような+体言」「〜とでもいうように」「〜とでも
いってよいだろう」などいろいろある。

❶ 医者も含め、自然探究者と医者とのドイツ連合とでもいうようなものが生ま
れた。(包括医生,甚至可以称之为由自然科学家与医生构成的德意志联盟诞生
了。)

❷ 主人公が恋人を兄貴にとられ、その悔しさを抱きながら夢にかけてひとりき
りで生きる、とでもいうような話で、なんで俺、こういうのが好きなんだろ
うと思った。(可以说这是ー个恋人被哥哥夺走,主人公一生怀着悔恨,努力追
寻梦想,一个人孤独生活的故事。我为什么会喜欢这样的故事呢?)

❸ 無表情な顔、余計なことにはかかわりたくない、とでもいうような態度だっ
た。(他那张毫无表情的脸,甚至可以说是ー种事不关己、高高挂起的态度。)

❹ 千差万別だろうから、十把一絡げに扱うことは難しいのだけれども、いって
みれば、郷愁というのとはまた別な、文化的であった時期への懐かしさとで
もいうようなものがあるのではないだろうかc (因为情况各有不同,所以彳艮难
一概而论。要说的话,那可以说是ー种有别于乡愁的,对以前文化时期的怀念
之情吧。)

0 つまり、その土地土地の「気」とでもいう物を吸収して、力を分けてもらっ

ているのかなあ、と。(也就是说,它吸收了各个地方的可以称之为“精气”的
东西,并从中得到了力量吧? )

46日语综合教程第七册

三9 ロ(くち)种,类型的… ;

物事をいくつかに分けたうちの、同じ種類に入るものの一つを現す。「のたぐ
い」、「の類」の意味を表す。話し言葉としてよく使われる。

❶ 俺は住井たちと、たまに俺の部屋に酒を持ち込んで飲んでいるので、自分で
は結構いける旦だと思っている。(我和住井他们,偶尔会买些酒到我的房间来
喝,所以觉得自己属于能喝酒的。)

❷ 彼女は完全に、アリババが魔界君主になった煽りを喰らって悪魔化した旦だ
と思うんですよね。(我想她已经完全相信了阿里巴巴变成大魔头,受其影响,
自己也成了恶魔似的人,对不对?)

❸「いい剣持ってるじやねえか。さては貴様、平和になったからって戦士をや
めた旦か。」(“你手里不是有一把好剑吗?看来你是那种觉得天下太平了就不当
兵的那种人了。”)

❹ お前はそうすると西洋音楽に降参の旦かねえ。(这么说,你算是西洋音乐的俘
虏了?)

❺ 彼女もこういった他人の話は大好きな旦だ。(她也是那种喜欢说人家闲话的
人。)

團…慎用包…一一一———…一-一———………―….一一…—……一—・一・一一一…..一…j

7.膝を進める 凑过身去倾听,听得津津有味

座ったまま相手に近寄るという意味で、相手の話などの面白さにつられて、

すっかり乗り気になっている様子を表す。類似の表現に「膝を乗り出す」があ

る。

❶ 彼の面白い話に、子供たちは月黍を進めて聞き入った。(孩子们都凑过去津津有
味地听他说有趣的故事〇 )

❷国民所得分析の話をすると、池内は膝を進めて「面白いCじっくり講義しろ」
と言った。(ー谈起国民收入分析,池内兴趣昂然,“有意思。详细讲讲!り

❸ 窓際に寄せたベッドから下りる為の前置きらしく、そう言いながら私の方に
膝を進めて来た。(似乎像从窗边的床上下来的开场白似的,他ー边说ー边挪动
身子靠向我这边。)

❹ 坂田に事情を説明したら、彼は膝を進めて、いろいろ尋ねてきた。(当我向坂
田说明了情况后,(没想到)他兴致勃勃地向我打听了许多事。)

2.性根を据える 下决心…,决意…

いかなる困難にも耐え抜こうと覚悟を決めて仕事に打ち込む。「性根を据えて

第3課ナイン47

……Jの形で用いられることが多い。類義表現に「性根を据えてかかる」「性根

を据えてやる」などがある。

❶ 今度こそ性根を据えてやる決心だから、どうか、ご安心いただきたい。(这次
我是下定决心了,一定好好干,你就放心吧。)

❷それは性根をすえてかからねばならぬ難事業であったC (这是个艰巨的事业,
必须要下决心坚持到底。)

❸ 性根を据えて取り組めば、道は必ず開かれて来る。(只要努力拼搏,前途必定
豁然开朗。)

❹ 今年は、いよいよ「支援費制度」スタートの年ですね。町田ヒューマンも、
いろいろな意味で性根を据えてかかる年になりそうです。(今年是即将实施
“援助款制度”的第一年,从各种意义上来说,町田市的市民也将迎来努力拼
搏的一年。)

❺委員長は「規制改革と医療特区などの問題については性根を据えていかなけ
ればならない。何をどのように論じればいいかが難しい」とあいさつした。
(委员长在致词中说:“有关制度改革和医疗特区等问题,我们必须花カ气去解
决。具体地说,解决什么,怎么解决オ好,这是难点。”)

3. 気がある
(1) しようとする意思がある。(有意思…)

❶ そりやあ、それもあるが、久しぶりに君と飲みたいという気もあったからだ
よ。(当然,也有这方面的原因,不过我们很久没在ー起喝酒了,所以真想和你
喝一杯〇 )

❷ 本当に埋め合わせる気があれば、何とかできる金額であるc (如果真心想弥补
的话,想想办法这笔钱是凑得起来的〇 )

(2) (異性に対して)関心がある。恋い慕う心がある。(男女之间的恋慕之情)
❶ それは演出の下山が、どうやら彼女に気があるらしいということかもしれな

い。(看样子,下山导演好像ヌ寸她有点意思。)
❷ 自分のほうで少し気があるだけで、夏子のほうでは何とも思っていないこと

だけは確かだった。(我唯一可以确定的是,我对夏子心存爱慕,可她却丝毫没
有这种想法。)

4. 眉に唾をつける 倍加小心,提高警!'易

相手の口車に乗せられて騙されないように、十分に用心する意味を表す。

❶ キツネや狸に化かされないためには、眉に唾をつければよい。(要想不被狐狸
迷住,就要小心提防。)

❷ あいつの話は眉に唾をつけて聞いたほうがいいよcうそっきだから。(听那家

48日语综合教程第七册

伙的话一定得处处小心。因为他是个骗子。)
❸ そんな眉に唾をつけるような話に簡単に乗らないでよ。(不要轻信那种骗人的

鬼话。)
❹ 1本4000円弱という値段の額も眉に唾をつけるのに十分な要素であるc (ー支

不到4000日元的价格,也足可以让人提高警惕了。)

5. ひと肌ぬぐ 真情帮助

援助を求めて来た人のために、本気になって力を貸して人を助ける。

❶ 兄の就職のためにおじがひと肌ぬいでくれたので、いい会社に就職できた。
(哥哥找工作时,由于叔叔的鼎カ相助,他进了一家很好的公司。)

❷ 何でしたら、あたしがひと肌ぬいで差し上げましょうか。(如果有什么困难的
话,就让我尽力帮忙吧。)’

❸ 同世代で親しい間柄の人、2人のためにひと肌ぬいでくれるような人が適任
と言えます。(年龄接近,关系亲密,愿为他们两人真心出力,可以说这样的人
比较合适。)

6. ねんごろになる 男女相爱;成为亲密朋友

親密になるという意味で、特に男女がひそかに情を通じ合い、親しい間柄に
なるという場合に用いる。

❶ 草八はその下宿先の浪曲家の細君とねんごろになってしまった。(草ハ跟他的
房东浪曲家的妻子暗通私情。)

❷ 看護婦とねんごろになっていたことまで洗い出され、逮捕後すぐに細君は実
家にもどった。(就连与护士私通的事也被抖了出来,逮捕后,老婆马上就回娘
家去了。)

❸ 困ったことに、和尚と娘はどちらからともなくねんごろになってしまったん
だ。(令我头疼的是女儿跟和尚也不知道是谁先主动,两人变得暧昧起来了。)

7. 一目おく 略逊ー筹,有差距;礼让

碁を打つとき、優者に対して何目かのハンディ(让步)をおいて打つところか
ら出た言葉で、相手の力に敬意を示して譲歩する、先輩などに一歩譲るという
意味である。本文の「一目も二目もおいて……」は強めた言い方である。

❶ 彼は知識の豊富な岡崎に対しては、一目置いたらしい。(对于知识渊博的冈
崎,他好像十分礼让。)

❷ 私はあの人には一目も二目も置いている。(我远不如他。)
〇 あれほどプライドが高く、人を批判するのが好きなキイウィが、彼には一目

第3課ナイン 49

も二目もおいています。(自尊心那么强,又喜欢批评别人的奇威 (音译),对他
也是毕恭毕敬。)
❹ 比較的アナーキーな思想の美術部員たちは、一見おとなしいが、何をするか
解らない彼に、一目も二目もおいてレ、た訳である。(那些目无组织纪律的美术
部成员,对于看似老实,但又叫人琢磨不透的他,自然礼让三分。)

練習

ー、次の言葉を覚えなさい。

詰めかける 素つ不 惣菜 勾配 暑気中り ねぎらう 建売り
大甘 寸借 見据える 女出入り
気圧される 請合う 口上 詐欺 木枯らし 見染める

だらだら かざす

二、 次の慣用句や連語の意味を覚えなさい。

膝を進める 眉に唾をつける 性根を据える 気がある
一目も二目もおく 鼻にかける
ひと肌ぬぐ ねんごろになる

三、 次の日本語を中国語に訳しなさい。

1. もっとも軒を並べる店は飲み屋に食べ物屋に喫茶店のどれかに限られてしまい、

客を迎えるだけの、厚化粧だが、なんだか素つ気のない小路に化けてしまったこ
ともたしかだ。

2. いまはたしかに華やかな小路になっているけれど、外からやってくる客の懐中を

あてにしないとやってゆけないというところが見えて、なんだか脆い通りになつ
たような気がしてしかたがない。
3「常雄の奥さんは家付き娘を鼻にかけた高慢ちきな女だったんですよ。それが正
ちやんと問題を起こしてから別人のようになったんです。正ちゃんは一見、悪の
ように見えるけど、やはりぼくらのキャプテンなんですよ。結局は、ぼくらのた
めになることをして歩いているんだ。」

4.中村畳店から、わたしは外堀通りを市ヶ谷へ向かった。金網越しに野球場を見る

と、木枯らしに吹き上げられた砂煙がグラウンドを走り回っている。振り返って
西を見ると、大会社の大きなビルが野球場に覆いかぶさるように立っていた。

四、 本文の内容に基づいて、次の質問に答えなさい。
/,「放送局での仕事が思いがけず早く終わったので……」から、「わたし」が中村
さんの店を訪れたのはどのような行動といえるか。
2中村さんが「新道少年野球団は強かったねえ」という理由をまとめなさい。

50日语综合教程第七册

3. 当時の新道と現在の新道の様子、また「わたし」がそれについてどのように

思っているか、違いが分かるようにまとめてみなさい。

4. 9人がばらばらになった原因を説明しなさい。
5. 「大和屋も若葉町のほうへ引つ越したよ」ということは、新道がどうなって

いったことを表しているか、説明しなさい。

6. 中村さんが正太郎のことを「口にしたくない」理由を述べなさい。

/ 「口にしたくないと言いながら…… 能弁になった。」とあるが、中村さんが「能
弁になった」のはなぜか、説明しなさい。

8. 「おまえが見て、それでよしということになれば、誰からも苦情は出ないさ。」

から中村さんが息子をどう見ていることが分かるか、説明しなさい。

9. 英夫は正太郎にだまされたことをどのように考えているか、説明しなさい。
10. 正太郎が英夫の前に立って日陰を作ったのはどうしてだろうか、説明しなさ

い。

11. 「自分たちは日陰なぞありえない……できないことは何もないんだ。」とある

が、このことばからどのような思いを読み取ることができるか 。

12. 文章の最後のところに「その気持ちは今でもどこかに残っていると思います。

だから……」とあるが、「だから……」の後に続く言葉を補ってみなさい。

13. 文末に「この十何年かのうちに、ここには西日がささなくなってしまったよう

である。」とあるが、ここの「西日」は、小説の中でどんな意味をもっていた
か。そして「ささなくなってしまった」とはどういうことを意味するか。

14. 「ナイン」という題名のもつ意味を説明しなさい。
15. 「ナイン」の主題をまとめてみなさい。

五、次の文章を読んで、後の質問に答えなさい。
いちばんきれいなのは夜の雪であるC夜でも雪は明るいから①ほのぼのと何かが見

える。そして、一面に白くけむったようになって、景色が昼間とはたいへん違って
くるC②ひろびろと奥深く思われて、まるでおとぎ話の世界のようになるCきれいな
ことはきれいだが、夜の雪道は歩くとあぶない。目の前が光って、どこも同じよう
に見えて、方角がわからなくなる。わたしも、家の近くの雪の原で道に迷ったこと
がある。毎日歩いている道でも、どこか違ったところのように見え、歩いているう
ちに変なところへ行ってしまった。③やっと気がついて引きかえして、さんざん小屋
をさがして帰ってきた。静かな天気のときでも④こんなだから、ふぶきの夜などには
外に出られない。昼間でも強い風が吹くと、雪を巻き上げて5、6 メートル先も見
えなくなる。まるで、船がガスにまかれたようになって歩けないし、風が吹きつけ
ると、息もできなくなる。わずか2、300 メ ートルのところでも遭難することがある
わけだ。⑤わたしはふぶきの夜は小屋の中にとじこもって、いろり火をたいて風の音

第3課ナイン51

を聞く。風の音はまるで海の大波のように、小屋の屋根の上を乗り越して向こうの
野原にぶつかる。後ろの山の遠くから風の吹くのが聞こえてきて、⑥それの近づくよ

うすは実に恐ろしいものである。それでも、わたしの小屋は後ろに小さな山がある
ので、風がじかにあたらないから助かっている。山がなかったら、冬の強い西風の
ふぶきに吹きとばされてしまうだろう。

OD 下線部①「ほのぼのと」と同じ意味で使われているものを、次の中から選ん
で、〇をつけなさい。
ア ふるさとには、幼い日のほのぼのとした思い出がある。
イ あの絵には、ほのぼのと親しみが感じられる。
ウ 東の空がほのぼのと明けはじめ、山の朝がやってきた。

OD 下線部②「ひろびろと奥深く思われて、まるでおとぎ話の世界のようにな
る」というのは、どんな様子なのか。次の中から選んで、〇をつけなさい。
ア 奥の方がぼんやりして、ゆめのような雰囲気である。
イ 奥の方まで遠くひろくはっきり見えて、明るい。
ウ 夜でも雪は明るいから、昼間と同じように景色がよく見える。

(〇 下線部③「やっと気がついて」とあるが、どういうことに気がついたかを書
きなさい。

OD 下線部④「こんなだから」というのはどんなことを言っているのか。そのわ

けを述べている部分を文章の中から探し出して、12文字で書きなさい。

(1D 下線部⑤「わたしはふぶきの夜は小屋の中にとじこもって、いろり火をたい
て風の音を聞く」という文の中で、「わたしは(主語)」に対する述語を三つ

書きなさい。

1.( ) 2. ( ) 3.( )

(〇 下線部⑥「それ」とは、何をさしているか。その内容を書きなさい。

(〇 この文章を二つの段落に分けるとすれば、どこで改行したらよいか。改行の
初めの5文字を書きなさい。

52 日语综合教程第七册

読み物

日本のソフトビジネス

• 土丼宏文

最近でこそ、株価の急反発で明るい兆しも見えてきたが、バブル崩壊以
降の経済の長期停滞の中で、日本人は自信を喪失した。スイスの国際経営開
発研究所(IMD)の世界競争力ランキングでは日本は主要先進国中、イタリ
アを除いて最下位(2003年)に沈み、ムーディーズの国債格付けでは日本は
ボツワナを下回った。自動車や家電に代表されるニッポン製造業の常勝神話
も今や完全に崩壊している。

しかし、そうした「失われた時代」の中でひそかに育まれ、しかも世界
の評価を高めているものがあった。それは、日本の文化そのものだった。

「ジャパニーズ・クール」という言葉をご存じだろうか。「クール」は「かつ
こいい」を意味する米国の若者の言葉。昨年、米ジャーナリストのダグラ
ス・マッグレイ氏が外交誌『フォーリン・ポリシー』で、アニメから音楽、
建築、ファッション、和食に至るまで、日本の文化的かっこよさを「ジャパ
ニーズ・クール」と表現し、GNP (国民総生産)ならぬ「GNC(Gross
National Cool)つまり文化的かっこよさ、文化的影響力で測れば、日本
はすでに世界の超大国であると指摘した。

たとえばアニメ。映画「千と千尋の神隠し」が米アカデミー賞を受賞。米
国の子供向けTV番組では、「遊戯王」と「ポケモン」が視聴率1位と3位
を占める。

日本のアニメを研究している米国人大学助教授のアン・アリソン氏は、
「(米国にポケモンが進出した)1998年に、ポケモンが日本生まれであると
知った子供たちは、『ポケモンはクールだから日本もクールな国に違いない』
と言っていた」と語る。アニメが外国の子供たちの対日観にも大きな影響を
与えている。

マッグレイ氏の分析は、国際政治学者で米国防次官補も務めたジョセフ・
ナイ氏が90年に説いた、「ソフトパワー」の理論の延長線上にもある。軍事
カなど強制的な力である「ハードパワー」の時代から、文化やイデオロギー
で影響力を及ぼす「ソフトパワー」の時代への移行。文化という媒体が相手
の価値観へ与える影響を重視する考え方はもともと米国に根強いが、90年
代以降、米国は1T (情報技術)とともに、文化=知的財産の保護•育成を

第3課ナイン53

国家戦略として一段と強化してきた。対して日本人は、自らどこまで文化を
国力として認識しているだろうか。

「GNC」は計測不可能とはいえ、丸紅経済研究所がそれに関連する一つ
の試算を行っている。それによると、日本の輸出総額は1992年から2002年
までの10年間に43兆円から52兆円へ21%増加。これに対し、レコード・
テープ、書籍、新聞、絵画、映画用フィルム、美術品、特許等使用料、文
化・興行収入など文化関連の輸出額•受取額は、同期間に0.5兆円からI.5
兆円へと3倍に伸びた。こうした「文化産業」は、まさしく急成長ビジネス
なのだ。

映画、音楽、アニメ、ゲーム、出版など文化産業の中核をなすコンテン
ツ産業は、現在推定で13兆円市場といわれる。自動車産業にほぼ匹敵する
巨大規模だ。

政府の知的財産戦略立案にも積極的に関与してきたジャパンデジタルコ
ンテンツの土井宏支社長はこう語る。「コンテンツ産業で世界一の米国は、
輸出が約4割を占める。これに対し、日本では輸出はまだ微々たるもの。し
かも非常に安い値段で売られている。ワールドワイドにビジネスを組み立て
てこなかったことが1位と2位の差につながっている」。

ビジネス的に未成熟な分、遂に起業のチャンスもある。たとえば、日本
の新聞社を1998年に退職し、1999年に日本の小説を英訳、出版するバーティ
カル社をニューヨークに立ち上げた酒井弘樹氏。今年春に鈴本光司氏の『リ
ング』、江國香織氏の『きらきらひかる』など四冊を出版、『リング』の売り
上げは現地出版界で一時80位台に入る健闘を見せた。

「日本の売れつ子作家でも、翻訳出版の話をすると、皆さん大体〇Kして
くれる。これまで国内ではそうした話がなく、他の出版社との競合がない無
風状態だからだ」(酒井氏)。今秋には手塚治虫の『ブッダ』を含め8冊を出
版する。「次から次に出せる。何せ、われわれの後ろには手つかずの膨大な
著者群、作品群が控えているのだから」(同)。

日本のコンテンツ産業に欠落しているものは何か 。上井氏は、マーケティ
ング、権利保護、資金供給の三つを挙げる。コンテンツ産業は著作権ビジネ
スそのもの。契約においては法的な交渉カは欠かせない 。また、「水モノ」
で「担保もない」業界企業にどうカネ繰りをつけるか。

土井氏は自ら、法人を投資家とするファンドを立ち上げ、有望コンテン
ツへの投資を手掛けている。知的財産も信託の対象とする信託業法改正など
証券化のインフラが整えば、個人投資家向けにもファンドを販売する構想も
持つ。個人がアニメや映画に投資できる日が来るわけだ 。

「日本文化を売り出すにはマーケットをどう創るかがポイントになる 」と
和田純•神田外語大学教授も指摘する。「面白さだけではダメ。中間に入る

54日语综合教程第七册

プロデューサー的な役割を担う人がいないと市場規模は拡大しない」(和田教
授)〇

プロデューサーは企画、製作、資金繰りから営業、法務に至るまで、あ
らゆる分野に関与する。ハリウッド的なビジネス感覚と人材、そして国策と
してのインフラを補強していけば、日本の文化を世界にアピールするチャン
スは大きく開ける。世界が認める才能は相応に報いられ、新たな日本文化を
創造するエネルギーにつながっていくはずだ 。

(一部削除あり):
2003年8月30日 週刊『東洋経済』による'

注:作者为“ジャパンデジタルコンテンツ”社長。

1注釈

〇ランキング(ranking) 排名,名次;等级。

等級付け。順位。

❷ ムーディーズ(Moody's) 穆迪投资者服务公司

銀行や証券などの格付けをするアメリカの投資顧問会社。証券格付けのシステムは、ジョン・ムー

ディーによって1929年に設立された。 ’
❸ ボツワナ(Botswana) 博茨瓦纳

アフリカ南部にある共和国。正式国名はボツワナ共和国。1996年イギリスから独立。首都、ハボ
ローネ。

❹ ダグラス・マッグレイ(Douglas McGray) 道格拉斯•马格利
アメリカのジャーナリスト。雑誌『フォーリン・ポリシー』において、GNC大国への道が日本に
あると提唱。

❺『フ —リン・ポリシーJ] (Foreign Policy) 《外交政策》

雑誌名

❻ GN C (Gross National Cool) 国家酷值

「国民総文化カ」。経済的なものではなく、文化の面での支配力、影響力を指す。
〇 千と千尋の神隠し(せんとちひろのかみかくし)

宮崎駿の作品、第75回(2003年)のアカデミー賞長編アニメ賞を受賞。
❽アカデミー賞 奥斯卡奖

アメリカ映画芸術科学アカデミー会員が前年上映された映画から投票によって選ぶ映画賞。オス
カー賞ともいう。
❾ポケモン 电子宠物

ポケット・モンスターのことを指す。任天堂のゲーム機「ゲーム・ボーイ」の対応として、1996
年に誕生。さまざまなモンスターを集め育て、一緒に冒険をしたり、対戦させて遊ぶもの。

® アン・アリソン(Anne Allison) 安妮・艾莉森

アメリカデューク大学教授。日本の現代文化を研究。

(Dジョセフ・ナイ(Joseph S. Nye, Jr.) 约瑟夫・奈

第3課ナイン55

1937年、米ニュージャージ州うまれ。現在、ハーバード大学ケネディ政治大学院院長。
® ソフト・パワー(Soft power) 软实カ,软权カ

21世紀の国際政治に求められるのは、軍事・経済力のような「ハード・パワー」ではなく、文化
や政策の魅力で人々を引き付ける「ソフト・パワー」である。簡単に言えば、他者から自発的な
同意や協力を引き出す力である。
® ハード・パワー(hard power) •硬实カ,硬权利
「軍事力」と「経済力」のことを指す。つまり、他者を強制する力である。
® コンテンツ(contents) 信息;信息的内容
コンピューターで処理された情報の中身。情報そのもの。
® ワールドワイド(Worldwide) 世界性的,世界规模的
世界に及ぶ。世界中に広がった。世界的。
❿ バーティカル社(Vertical Inc.) 顶点出版社
アメリカのニューヨークにある出版社。日本人が創設し、日本の文芸作品を英語に訳して、欧米
で出版する出版社。
働酒井弘樹(さかいひろき)
日本の優れたエンターテインメント作品を世界に紹介しようという思いを胸に米国へ渡った。ア
メリカでさまざまな壁にぶっかりながらも、遂に2001年、米国市場で日本人作家作品の英語版出
版をスタートさせた。

2003年春に『Ring』(「リング」鈴本光司著)、『Twinkle Twinkle』(「きらきらひかる」江國香織
著)、『Ashes』(「棒の哀しみ」北方謙三著)、『The Guin Saga』(「グイン・サーガー-第1巻」栗本薫
著)の4点を相次いで出版。
值鈴木光司(すずきこうじ)
1957年静岡県生まれ。1990年、『楽園』で第2回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、デ
ビュー。1991年刊行の『リング』がベストセラーに。その続編『らせん』で1996年に吉川英治文
学新人賞を受賞。2人の娘を子育てした体験から、政府の諮問機関「少子化への対応を推進する国
民会議」や東京都青少年協議会の委員も務める。主な著書に『光射す海』『仄暗い水の底から』『シー
ズザディ』『家族の絆』など。
(E)江國香織(えくにかおり)
1964年東京生まれ。目白学園短期大学国文科を卒業後、出版社勤務を経て、米・デラウェア大学
に留学。主な著書に『きらきらひかる』(紫式部文学賞)『こうばしい日々』(産経児童出版文化賞、坪
田譲治文学賞)など多数。近著に第15回山本周五郎賞受賞の短編集『泳ぐのに、安全でも適切で
もありません』、エッセイ集『とるにたらないものもの』などがある。また、『号泣する準備はで
きていた』(新潮社)が第!30回直本賞に選ばれた。
®『リング』『Ring』(作品名)《戒指》
®『きらきらひかる』 (作品名)《闪闪发光》
函『ブッダ』『Buddha』(作品名)《佛陀》(释迦牟尼)
® ファンド(fund) 基金,资金,国债
基金。資金。財源。国債。公債。
廖> インフラ(infratructure) 基础设施
「インフラストラクチャー」の略語。道路、鉄道、港湾、ダムなど産業基盤の社会資本のこと。最
近では、学校、病院、社会福祉施設など生活関連の社会資本も含めていう。
® ハリウッド(Hollywood) 好莱坞
地名。アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルス北西部の一地区。アメリカ映画産業の中心地。

56 日语综合教程第七册

4

第、r・課

わたしの夏 1945年•広島

I・文 •堀場渚子

1945年8月6日朝8時15分、広島上
空で原子爆弾が炸裂した。

そのとき、病気で女学校を休んでいた

筆者は、母や叔母の一家とともに、爆心

地から約9キロ離れた疎開先の、広島県
安佐郡緑井町の今井病院(祖父の病院)の

医師用住宅で、朝食の卓を囲んでいた。

閃光と爆風の衝撃から立ち直るまもな 原爆ドーム
く、筆者は母とともに病院の受付の仕事

に駆り出される。病院の門前には重傷者を満載したトラックが次々と到着し、

瞬く間に病院の周囲は無残に傷ついた人々で埋め尽くされていった。,

このときの祖父は60歳を過ぎていて、当時の実態では、現在の同年齢より
ずっと老齢だった。それでいて6日朝から、「昼食夕食も抜き、徹宵一睡もせ
ずの大活動でも処置し尽くせなかった 。翌7日も大同小異。」(『思い出の記』)
疲労のあまり昏倒しては、注射を打って起き上がり、手術を続けていた。

助手の医師も、レントゲン技師も、とうに召集され、6月には最後の召集
があって、院長を継ぐ伯父までが、白髪の目立つ裡姿で入営した後だった。看
護婦6人、付添婦3人と、祖父は手記中に“戦力”を数えているが、とにか
く男手がなかった。メスを持つ手は祖父1人きり、治療の順番より、死の順
番が先に来てしまうのを、どう防ぎようもなかった。

結果的には、放置するしかない負傷者を、どうしてこのうえ、受け入れら
れよう。トラックに重傷者を満載してきては、しゃにむに“病院”へ送り込
もうとする救護班と、私たちとは、荷台の上と下で、声を限りに怒鳴り合う

第4課 わたしの夏—— 1945年•広島 57

までになった。
この絶望的状況にあって、だれひとり苦情を言わなかった。あまりに負傷

者たちのおとなしかったことが、あの人々への悼みを、限りなく深くする。ま
れに、「わたしの番はまだでしょうか。」と、遠慮がちにきく人があって 、受
付簿を繰ってみれば、気の毒なことに、順番はまだ何十人も先なのだった。

手術の現場は、一度ものぞいていない。外科室のすりガラスの向こう側が、
祖父と、看護婦さんたちの持ち場 、こちら側が、大家族のうち、乳飲み子を
抱えていなかった女たちの、下働きの場だった。といっても、押しかける重
傷者への対応だけで、きりきり舞いし、具体的には何をしていたか 、はっき
りと思い出せない。

医療の心得のない私など、じっさい何の役にも立たなかった。「水……、水
……OJと訴える人々の間を、ヤカンと湯飲みを持って走り回っているだけ
で、朝が夜になり、夜が朝になった。その水さえ、「傷に悪いから……OJと
自重して、だれもが口を湿すほどしか飲まなかった。そして病院が事実上の
収容所を兼ねたこの3日間に、その重傷者たちから、私もたっぷり二次放射
能を浴びることになったのだが。

私がたまたま薬局にいたとき 、麦藁帽子の少女が窓にきて 、すがるように
言った。

「父さんが、治療を受けて帰りましたが、高熱を出して苦しみよります。先
生に往診してもらわれんでしょうか 。」

それは夢のような希望だった。まだ最初の治療を受けられない負傷者が、
ばたばたと死んでゆくなかで、彼女自身百も承知のその事実を盾に 、断るよ
りなかった。その段階で高熱を発した例は、おおかた希望がもてないのだつ
た。少女は窓の鉄格子にしがみついた。

「では、せめて薬をください。せめて、熱さましでも……OJ
目の前の棚に薬瓶は並んでいたが 、私にはどれが熱さましか分からない。
だめと知りながら、看護婦さんをつかまえようと試みた。小走りに通るだれ
もが、当然すぎることに、一言二言を残して走り去ってしまう。少女の必死
な視線が待ちうける薬局に、私はむなしく戻り、一縷の希望を断ち切る役を
果たすしかなかった。鉄格子を握った指が折れそうにしなり、整った顔がゆ
がんで、少女は額を格子に押しあてて泣いた。
半世紀たったいまも、あの少女は度々私を訪れてきて、鉄格子を握っては
泣き沈む。せめて私が、毒にならない薬を知っていたら、どんなによかった
か。メリケン粉でも、砂糖でも、当時の貴重品の一掬いが裁量できたら、ど
んなによかったろう。知らぬふりで薬包みにして渡せば 、死にゆく父・夫に、
せめて熱さましは飲ませたと、家族の心情はのちのちまで、どれほどか救わ

58 日语综合教程第七册

れたことだろうに。
もっと心に責める思い出もある 。衣服は焼けたのか、吹き飛んだのか、全

裸の人も少なからずいた。頭といわず、顔といわず、アスファルトをかぶっ
たように、砂利様のものが黒くこびりっき 、血で固まった人たちが多くいた 。
私と同年輩のその少女も、頭から額にかけてアスファルト状になり、全裸の
皮膚が墨汁を浴びたように煤けて、乾いた血が全身をくまどっていた。

待合室の次の間の壁際に倒れて 、動かなかった彼女が、何日目だったろう、
小走りに過ぎようとした私のモンペの裾を、いきなりつかんだ。やせて傷っ
いた体躯からは、想像もつかない強いカだった。焦点の定まらない顔を向け
て言った。

「起こして、からだが痛い……oJ
あのとき、突如、私をわしづかみにした恐怖を、説明しようも、弁解しよ
うもない。私には勇気が足らず、愛が足らず、からむ指を無意識に振りほど
いていたのだった。
「新型爆弾」……の噂が流れてきたのは、7日の夕方ころだった。あのとき
の、ゾッと身の毛のよだつ感覚が、忘れがたい。「原子爆弾」という呼び名を、
いつ聞いたかは、記憶にない。ピカッときて、ドンで一切が壊滅したのだか
ら、広島の人間にはあくまで「ピカドン」で、「原子爆弾」はよそよそしい言
葉だった。
最近になって、泰子叔母が言った。
「最初のトラックに、なぜか、無傷の男の子が1人まじっていたのよね。10
歳くらいの。その子が、着いてからまもなく、狂いまわるようにして死んで
しまったの。その時、お祖父ちやまが、これは新型爆弾じやの、って言われ
たのよ。さすがだなアと思ってね。」
母や叔母たちと話し合ってみると、同じ場所、同じ状況の中にいながら、体
験や記憶がそれぞれに違っている。まるで各自が、ジグソー ・パズルの別々
の1片を抱えこんでいるように。それほど、どの局面も切羽詰まり、混乱を
きわめていた。
あの時、引き受けた負傷者は、いったい何人だったかと、後になって私た
ちは話し合った。100人以下説から200人説と、意見はばらばらだったが、『広
島原爆戦災誌』第4巻第2編(広島市役所、1971年)には、今井病院の収容者
数が300人、死体処理数80人、とある。
「ピカ」から3日目、ようやく緑井国民学校に救護所が開かれ、夕方までに
負傷者は移された。夕暮れの迫った前庭に立ってみると、さっきまで人々が
ひしめいていた部屋部屋は、空洞のようにガランとして、異臭だけが残って
いた。待合室の敷台に、大きなお腹を浴衣で包んだ女性が、ぐったりと柱に
もたれ、青黒い顔を仰向かせて、空を見ていた。親しい看護婦さんが通りか

第4課 わたしの夏——1945年•広島59

かって、ささやいた。
「あの人ア、お腹に穴があいて、水がみな出てしもうたんですと、先生が、

はア親子とも助からん、いうて... 〇 J
その夜、久しぶりの思いで、家に帰って食事をした。その時初めて、自分

の手が異臭を放っているのに気がついた。ただの死体の臭いとも違う。核分
裂によって、生きながら内部崩壊させられた生物の、独特の腐臭だった。原
子爆弾が、地球上に新しく生み出した、耐えがたい悪の臭いだった。

どう工夫してみても、箸を口に近づければ、手が鼻に近づき、反射的にグッ
と咽喉が詰まった。自分では分からなかったが、手だけではなく全身が、さ
ぞかしすさまじい悪臭を放っていたことだろう 。

私たち家族は、救護所へ行かなかったけれど、2、3人の看護婦さんを従え
て、聴診器を手に、学校への道を急いでいた祖父の白衣娶は覚えている。そ
の手記にいう。

病院の外来入院患者の診察を了えては小学校に通うて診療を継続すること
1カ月余に及ぶ。処置した被災者の延人員は3000人にも達しただろう。

一般症状は火傷、切創、打撲、骨折、脱臼、脱毛、赤痢様下痢症等々で死
亡診断写しによると、その間の死者は155人の多きに達した。3カ月間の診療
能力を保有した衛生材料はこの間に全部消費し尽くして余すところなきに
至った。

『原爆 表現と検閲』(1995年刊)による

筆者紹介

堀場清子(ほリばきよこ)
1930年一詩人。評論家。広島県の生まれ。1949年早稲田大学文学部に入学。その頃より詩作

を始める。卒業後、共同通信社に勤務する。1956年第一詩集『狐の眸』を刊行。1962年に原爆体
験をテーマにした詩集『空』を刊行。また、女性史の研究に深い関心を持ち、その批評精神とフェ・
ミニズムの立場から、女性史研究の分野でも知られる。主な著書に『イナグヤナナバチ—— 沖縄女
性史を探る——』『禁じられた原爆体験』、詩集に『じじい百態』『首里』などがある。

I注釈

❶『思い出の記』 《回忆录》

これは筆者の祖父の手記である。

60日语综合教程第七册

❷入営(にゆうえい) 参军,入伍

ここでは、召集された兵役義務者が、軍務につくために軍隊に入ること。

❸ 大家族(だいかぞく) 大家庭

当時、実家である祖父母のもとに、筆者とその母親、弟の3人、そして叔母とその3人の男の子
が疎開して暮らしていた。
❹ 二次放射能(にじほうしゃのう) 二次辐射

ここでは、原子爆弾による放射線に汚染された物質から間接的に放射能を浴びること。
❺「先生に往診してもらわれんでしょうか」

文中の「もらわれん」は方言で、「もらえない」の意味である。「ん」は、打消しの助動詞「ぬ」

の転じたもの。
❻「これは新型爆弾じゃの、って言われたよ」

文中の「じや」は俗語の助動詞で、「である」「だ」の意味。
〇ピカドン一道闪光,一声巨响

「ピカ」は閃光、「ドン」は爆発音の意味。市民たちは自分の体験から「原子爆弾」をこう呼んだ。

たちまち流布され、ついに世界語になったという。

❽ ジグソー ・パズル(jigsaw puzzle) 七巧板

厚紙または板に絵や写真を印刷し、これを切り離して、その断片をもとの絵や写真に復元する遊

び。
❾国民学校(こくみんがっこう)

1941年の国民学校令によって改組され、1947年に廃止された初等教育学校の名称。初等科6年、
高等科2年からなる。1947年に初等科は小学校となった。
画「…… 水がみな出てしもうたんですと... 」

文中の「しもうたんです」は方言で、「しまったのです」の意味である。

(D「親子とも助からん、いうて……」

文中の「助からん」は方言で、「助からない」の意味、「いうて」(言うて)は方言で「言って」の

意味、「ゆうて」と発音する。 <

函「診察を了えては小学校に通うて診療を継続する」

文中の「了えて」は「終えて」の古い表記。「通うて」は方言で、「通って」の意味である。
® 外来入院患者(がいらいにゅういんかんじゃ) 门诊病人和住院病人

外来患者と入院患者の意味。 痢疾型腹泻
❿ 赤痢様下痢症(せきりょうげりしょう)

放射能被爆による下痢•血便によって赤痢の疑いがもたれ、広島では被爆後2か月ほど外郭だけ
が残った福屋百貨店の2階•3階に臨時伝染病院を急設した。糞便からの赤痢培養はいずれも陰
性であった。

I新しい言葉

炸裂(さくれつ) [名・自サ] 砲弾・爆弾などが破裂すること。/爆炸。
爆心地(ばくしんち) [名] 爆撃、爆発の中心地。/爆炸中心地。
疎開(そかい) [名] ①戦況に応じて隊形の距離 、間隔を開くこと。Z
(队形)散开。②空襲、火災などの被害を少なくす
るため、集中している人口や物、建物などを分散
すること。/疏散,离开城市。

第4課 わたしの夏——1945年•広島 61

閃光(せんこう) [名] 瞬間的に発する光。きらめく光。本文では原子爆
弾が空中で爆発する時に発した光。/闪光。
爆風(ばくふう) [名] 爆弾などが爆発するときに生ずる強烈な風圧。/
(爆炸时的)气浪,冲击波。
立ち直る(たちなおる) [自五] ①倒れかけたものがもとのようにしっかりと立
つ。/(差点儿倒下)重新挺立。②勢いの失ったも
受付(うけつけ) [名] のがもとのよい状態に戻る。/恢复,复原。③(経
済用語)下がった相場が回復する。/回升,好转。
駆り出す(かりだす) [他五] ①申込み、訴訟、請願などを受けること。/受理,
接受。②来訪者や参会者の用件を聞いて取り計ら
無残(むざん) [名・形動] う場所。また、その人/接待处;传达室;(医院)
挂号处;接待员。
それでいて [接続] ①獲物などを駆り立てて追い出す。/驱赶,赶出,
徹宵(てっしょう) [名・自サ] 轰出。②(人にあることをさせるために)きつく
昏倒(こんとう) [名・自サ] 勧めて、むりに引つ張り出す。/驱使,动员。
①見ていられないほど気の毒なありさまであるこ
疾うに(とうに) [副] と。痛ましいこと。/凄惨,惨。②残酷なこと。む
召集(しょうしゅう) [名] ごいこと。/残酷,残忍。③(仏教用語)罪を犯し
ながら心に恥じないこと。/(佛教用语)无惭。
入営(にゅうえい) [名・自サ] それなのに。それでいながら。/虽然,尽管那样。
夜通し起きていること。夜明かし。/通宵,彻夜。
付添(つきそい) [名] 眩暈がして意識がなくなり倒れること。失神。卒
倒。/昏倒,晕倒。
手記(しゅき) [名] 早くに。っとに。早くから。/老早,早就。
兵役義務のある者を、軍隊編成のために召し集め
しゃにむに(遮二無二) [副]
ること。/征兵;征召。
荷台(にだい) [名] 新兵として兵営に入り、軍務に服する。/入伍,参
军。
(患者などの)そばにいて世話をすること。または
その人。/照料,服侍;(医院里的)护エ。
自分で書くこと。自分の手によって書き記すこ
と。またその物。特に、自分の体験、行為、また
その感想などを自分で書き記したもの。/亲手记
录,手记。
めちゃくちやに。がむしゃらに。/盲目地,ー个
劲儿地。
①トラック・自転車などの荷物を載せる部分。Z
(卡车的)车斗;(自行车的)货架。②天秤棒の両端
に下げた、荷物を載せる容器。/(天平秤的)秤盘。

62日语综合教程第七册

すりガラス [名] つやけしガラス/磨砂玻璃。
持ち場(もちば) [名] 受け持ちの場所。担当の部門。/工作岗位;管辖
范围。
下働き(したばたらき) [名] ①他人の下について働くこと。また、その人。Z
打下手,当助手。②炊事その他の雑用をするこ
押しかける(おしかける)[自ー] と。/炊事员;勤杂エ;跑腿。
①(威圧するために)大勢が出向いて近づき迫る。
きりきり舞い(きりきり [名・自サ] 押し寄せる。/拥到,蜂拥而至,闯进。②招かれ
まい) ないのに自分からそこへ出向く。/不请自来。
①片足で体を強く回すこと。/单脚旋转。②せわ
ヤカン(薬缶) [名] しく仕事などに迫られること。/忙得不可开交,忙
得不可收拾。
自重(じちょう) [名•自サ] 銅やアルマイトなどで鉄瓶の形に作った容器。湯
沸し。茶瓶。/铁壶‘水壶。
湿す(しめす) [他五] ①自分の品位を保って、軽々しい行動を慎むこ
と。/(行为、态度)慎重;自爱,自重。②自分で
往診(おうしん) [名・自サ] 自分の体に注意して健康を保つこと。自愛。/(身
ばたばた [副] 体)保重,珍重。
湿りけを与える。濡らす。潤す。/弄湿,润湿,浸
百も承知(ひやくも [慣] 湿。
しょうち) [名] 医師が患者の家に行って診察すること。/出诊。
①足や羽などを動かして、あわただしく、または、
鉄格子(てつごうし) 続けざまに物音を立てる様子。/(各种声响)吧嗒
吧嗒。②続けさまに落ちたり倒れたりするさま。/
熱さまし(ねっさまし) [名] 相继倒下。③あわただしい様子〇慌てふためく様
小走り(こばしり) [名] 子。/慌张,手忙脚乱。④物事が次々とはかどる
一縷(いちる) [名] 様子。/(进展)顺利。
十分よく知っている。/全明白,全知道。
断ち切る(たちきる) [他五]
①鉄製の格子。/铁格栅,铁栅栏。②俗に、刑務
所のことを指す。/监狱。
解熱剤。/退烧药。
小股で急いで歩くこと。/碎步急行,小跑步。
①一筋の糸。/ー缕。②今にも絶えようとするほ
どわずかな様子。かすかな様子。/ ー线(希望)。
①紙、布などを切り離す。切断する。/割断;切
开,切断。②続いていた関係をなくす。すっかり
捨てる。/(关系)断绝。③相手の一連の行動を遮
る。途中で壊す。/拦截,截断。

第4課 わたしの夏—— 1945年•広島 63

しなる(撓る) [自五] 弾力があって、しなやかにたわむ。しなう。/柔
韧,柔软;(有弹カ而)弯曲。
泣き沈む(なきしずむ) [自五] ひどく泣いて、悲しみに沈む。泣き崩れる。/哭
得死去活来,痛哭。
掬い(すくい) [名] 掬い取ること。掬い上げること。/ (双手)捧取,捧?
(从水中)捞取,捞起。
裁量(さいりょう) [名・他サ] (ある問題を)自分の考えで判断し処理するこ
と。/酌情处理;酌量定夺。
全裸(ぜんら) [名] まるはだか。すっぱだか。/赤身裸体,ー丝不挂。
こびりっく [自五] しっかりついて離れない。固く くつつく。/粘着,
附着。
墨汁(ぼくじゅう) [名] ①墨をすり出した汁。/墨汁。②イカ、タコが分
泌する黒い汁。/(乌贼、章鱼分泌出的)墨汁。
煤ける(すすける) [自ー] ①煤がついて薄黒くなる。/烟熏,熏黑。②(古く
なって)薄汚くなる。/(因陈旧)发黑。变色。
くまどる(隈取る) [他五] ①色彩で濃淡を付ける。境目をぼかす。/用颜色
渲染;勾画轮廓。②顔を紅、墨などで彩る。/勾

わしづかみ(鷲づかみ) [名] ワシが獲物をつかむように、荒々しくものを掴む
こと。/大把抓。
振りほどく(ふり解く) [他五] もつれたり絡まったりしたものを振り動かして解
き放す。/甩开,抖开,挣脱开。
よだつ(弥立つ) [自五] 寒さまたは恐怖、畏怖のために身の毛が立つ。/
毛骨悚然。
ピカッ [副] 目を射るように1回光るさま。/(光)闪,闪烁。
よそよそしい [形] 見知らぬ他人同士のように親しみがなく、冷淡で
ある。うとうとしい。/冷漠,冷淡,不亲热。
切羽詰る(せっぱつまる)[自五] 物事が差し迫る。追い詰められる。どたん場にな
る。/走投无路,无可奈何;紧急关头。
きわめる(極める) [他一] 物事が極限に達する。/达到极限,极为…。
死体(したい) [名] 死んだ人や動物の体。屍骸。/尸体。
前庭(ぜんてい) [名] 家の前の庭。まえにわ。/前院,前庭。
ガラン [副] ①空洞のある金属製の物が打たれたり突かれたり
したときの音。/(响声)叮当叮当。②人や物で埋
敷き台(しきだい) [名] まるはずの空間に何もなく、広くて空虚なさま。/
(空间、场所)空荡荡。
和風の玄関で、上がり口に一段低く作った板敷
き。主人が客を送り迎えするところ。/和式房屋
门口铺着地板的地方。

64日语综合教程第七册

ぐったり [副・自サ] 体力や気力がなくなり、倒れそうな様子。また、
植物が生気を失っている様子。/十分疲乏,精疲
仰向く(あお向く) [自五] カ尽;(植物)没有生气,枝叶下垂。
上を向く。/向上仰,仰面朝天。
核分裂(かくぶんれつ) [名] ウラン、トリウム、プルトニウムなどの重い原子
核が、中性子などの照射によってほぼ同じ程度の
腐臭(ふしゅう) [名] 大きさの2個の原子核に分裂現象。/核分裂,核
グッと [副] 裂变。
腐ったものの発する悪臭。/腐臭。
外来(がいらい) [名] ①強い力を加えて一気に物事をする様子。/使劲
切創(せっそう) [名] 儿,一口气。②基準とした物事に比較して差が非
常に大きい様子。一段と。/更加,格外。③強い
打撲(だぼく) [名・他サ] 衝撃を受けて言葉や息が詰まる様子。/深受感动;
说不出话。④胃から食物をもどして吐そうにな
骨折(こっせつ) [名] る。/作呕,想吐。
脱臼(だつきゅう) [名•自サ] 外来患者の略語。/门诊;门诊病人。
赤痢(せきり) [名] 刃物やガラスの破片などで切った傷。切り傷。/
刀伤,(皮肉)割破。
体を強く打ち付けたり、殴ったりすること。(本文
では「打撲傷」のことをいう)/殴打。(课文里指的
是“跌打伤”)
怪我により、骨が折れること。/骨折。
骨の関節が外れること。骨違い。/脱臼。
急性の大腸の疾患(しっかん)。法定伝染病のー
つ。/痢疾’赤痢。

I学習の手引き

❶ 原爆投下後の混乱した病院の様子を、文章の展開に従って、確認すること。
❷ 文章の展開に従って、筆者の体験したできごとをまとめてみること。
❸ 筆者の感慨を記述した部分を見つけ出し、当時の筆者の気持ちをまとめてみること。

rと表現

セユ声を限りに(連語) 拼命地喊叫

「声を限りに」は慣用的な言い方であり、「出せるだけ声を出して」という意
第4課 わたしの夏ーー1945年•広島 65

味である。
ほかに、「〜を限りに」は、文型で、「今日」「今回」などの時を表すことばと

組み合わせて「そのときを最後にして」という意味を表す。(仅限于…;到…为
止。)

❶ みんなは声を限りに叫んだが、何の返事も返ってこなかったc (大家竭カ呼喊
着,但是一点儿回音也没有。)

❷ 鈴虫があのように声を限りに鳴き尽くしましても、長き夜が明けませんのと
同じほど、涙もとめどなくながれて限りもありません(任凭金钟儿那样声嘶
カ竭地鸣叫,依然是漫漫长夜不见天明。同样,我也泪水纵横,长流不止。)

❸「辰子ー、辰子-」と声を限りにお母さんは叫び、持っていた松明を湖めがけ
て投げつけたのです。(“辰子,辰子”母亲大声呼喊着,把手里的火把扔进了
湖里。)

❹ 日本ハム•新庄剛志外野手(32)が、2006年を限りに現役を引退する可能性
があることが29日、分かった。(据29日报道,日本火腿斗士队的新庄刚志外
场手(32岁),可能于2006年底退役。)

❺ 新潟交通鉄道線が、1998年度を限りに廃線になる、というニュースが入っ
てきた。(有消息说,新泻交通铁路线将于1998年年底停止运行。)

上爻 百も承知(慣用句) 很清楚 !

十分に承知していること。

❶ 身の程知らずを百も承知で言えば、読後感は「物足りない」。(我清楚自己有
点儿不知天高地厚,但是,读完后我觉得“美中不足”。)

❷ 最初から、米英軍がその兵力からして圧勝するだろうということは、百も承
知のはずだったのに。(其实一开始就应该预料到,以美英联军的兵力,绝对取
胜是无疑的。然而…。)

❸ 十人十色なのは百も承知の上で、調査データからはどんな風にタイプ分けが
できるのか、をやってみました。(人各有不同,这一点我很清楚。不过我还是
试着将调查数据进行了分类。)

❹「自然」という言葉でイメージするものは、人によって千差万別であること
は百も承知の上で、野麦峠オートキャンプ場を紹介したいと思いますc (说到
“自然”,人们脑海里浮现的景象千差万别,这一点我很清楚。不过今天,我想
给大家介绍一下野麦岭的汽车野营地 。)

M 顔がゆがむ(連語) 脸上流露出的痛苦的表情 !

心の病気に陥ったり、からだの具合が悪かったりするときに現れてくる苦し

66日语综合教程第七册

い表情である。

❶ 顔面神経麻痺という病気で、悪化すると顔がゆがむそうですC早期発見をし
たので、治るみたい。(据说这种病叫面部神经麻痹症,如果恶化,可能会导致
脸部瘫痪,幸好发现得早,看样子可以治愈。)

❷ 顔をゆがませながら、急な坂を車椅子を押して登る。(他皱着眉头,使劲推着
轮椅上陡坡。)

❸ 例えば、明治時代に漬けた梅干を今まで置いておくと、顔がゆがむほど酸っ
ぱいだろう。(要是把明治时期腌制的梅干放置到今夭,吃起来一定会,酸得皱起
眉头吧)

❹ 滝から、そしてみこしから降り注ぐ火の粉に、男たちの顔がゆがむ。(从瀑布
和神舆(神轿)上飞溅下来的火星,让男人们个个都流露出痛苦的表情。)

〜だろうに ••・可是…;可惜… j

「だろうに」を用言の終止形につけて、実際には起こらなかったことを残念に
思う気持ちを表す。「だろうに」の「に」は終助詞で、言い聞かせたり、あわれ
み惜しむ意を添える。

❶ もし私があなたならば、私は彼に英語を教えてあげるだをにねえ。(如果我
是你的话,我会教他英语的,可惜…。)

❷ 家でグズグズしていなかったら、今頃は旅館に到着して、おいしい晩ご飯を
食べていただろうに。(要不是你在家磨磨蹭蹭的话,现在我们已经到了旅馆,
吃上美味的晚餐了。)

❸ 君の言い方がきついから、彼女はとうとう泣き出したんだ。もっと優しい言
い方があっただろうに。(因为你说话刻薄,结果搞得她哭起来了。本来你说话
方式可以再温和点,可是…。)

〜といわず、〜といわず 无论…还是…(无不) |

体言について、区別をつけないで、すべて例外なくという意味を表す。

❶レストランといわず、ホテノレといわず、その旅人は検索結果に導かれてあな
たの所へ訪れるはずです。(无论是餐厅,还是宾馆,游客都会在搜索结果的引
导下,前往你处。)

❷’ブカレストの街を歩いていると、公園といわず、繁華街といわず、普通の住
宅街の道路といわず、いたるところに野良犬がうろうろと徘徊している。(漫
步在布加勒斯特的街上,无论是公园,还是繁华的街道,或是普通的住宅区的

第4課 わたしの夏——1945年•広島 67

路上,所到之处都可以看到四处徘徊的野狗。)
❸ よく見ると、壁といわず、床といわず天井といわず、アジサイの花が所狭し

と飾られているのだ。(仔细ー看,无论是墙壁,还是地板,或是天花板,处处
都点缀着紫阳花。)
❹ ぽたぽたと、銀色の髪を伝って赤い集が垂れていく。髪といわず、顔とい
わず、服といわず、ドールの全身で血液の付着していない場所を探す事の
方が、むしろ困難に思われた。(鲜红的血滴滴答答地顺着银发流下 。不管是
头发、脸,还是衣服上,都沾满了血。多尔全身上下彳艮难找到ー块没有血迹
的地方。)

Wふ さぞかし〜だろう(かもしれない) 肯定…吧,一定…吧

「さぞ」は副詞で、多く下に推量のことばが来る。「かし」は、もとは強めの
文語終助詞である。ここの「さぞかし」は副詞として用いられ、「だろう」と呼
応して、今、ここではわからないことについて、強い感情を入れて推測する意
味を表す。

❶ 周りの車はさぞかし迷惑だろうし、壊れた車の運転手はさぞかし恥ずかし

V、だろうなあと思った。(我想周围车辆的司机一定会觉得很麻烦,而且抛锚车

的司机自己也肯定觉得很不好意思吧。)

❷ ロック界で最も輝いている60歳のこのアーティストは、ジェット機の事を
さぞかし愛している事だろう。(这位摇滚乐界最为耀眼的60岁的老艺术家肯

定挚爱着喷气式飞机吧。)
❸ 牧場直営ということなら、さぞかしお肉は新鮮なのだろう、そしてさぞかし

お安いお値段で購入できることだろう、との策略からその店へ行くことに
なったのである。(我想如果是牧场直销,肯定可以买到新鲜的肉,而且价^又
便宜。我是出于这样ー种用意オ到那店去的。)
❹ 寒い屋外で長時間遊ぶのですから、さぞかし寒いと思うかもしれませんが、
寒いところでじっとしている訳ではありません。(也许你会觉得在寒冷的室外
玩那么长时间,肯定会很冷。不过并不是在寒冷的地方傻呆着不动 。)

練習

ー、次の言葉を覚えなさい。 自重すがる 泣き沈む くまどる 煤ける
しやにむにきりきり舞い 一縷よだっ ひしめく ぐったり
振りほどく よそよそしい

68日语综合教程第七册

二、 次の日本語を中国語に訳しなさい。
/.病院の門前には重傷者を満載したトラックが次々と到着し、瞬く間に病院の周
囲は無残に傷ついた人々で埋め尽くされていた。
2 メスを持つ手は祖父1人きり、治療の順番より、死の順番が先に来てしまうの
を、どう防ぎようもなかった。

3.それは夢のような希望だった。まだ最初の治療を受けられない負傷者が、ばた

ばたと死んでゆくなかで、彼女自身百も承知のその事実を盾に、断るよりなかっ
た。
4少女の必死な視線が待ちうける薬局に 、私はむなしく戻り、一縷の希望を断ち
切る役を果たすしかなかった。

5. あのとき、突如、私をわしづかみにした恐怖を、説明しようも、弁解しようも

ない。私には勇気が足らず、愛が足らず、からむ指を無意識に振りほどいてい
たのだった。

6. 夕暮れの迫った前庭に立ってみると、さっきまで人々がひしめいていた部屋部

屋は、空洞のようにガランとして、異臭だけが残っていた。

三、 本文の内容に基づいて、次の質問に答えなさい。

1. 「しゃにむに『病院』へ送り込もうとする救護班」とあるが、この文に筆者の

どういう気持ちが込められているか。

2. 「一縷の希望」をほかの言葉で言い換えなさい。
3. 「半世紀たったいまも、あの少女は度々私を訪れてきて、鉄格子を握っては泣

き沈む。」とあるが、そのときの筆者の気持ちを説明しなさい。

4. 「あのとき、突如、私をわしづかみにした恐怖を、説明しようも、弁解しよう

もない。」とあるが、そのときの筆者の気持ちを説明しなさい。

5. 「あのときの、ゾッと身の毛のよだつ感覚」とはどういうことか、説明しなさ

い。

6. 「ジグソー・パズルの別々の1片を抱えこんでいるように。」とあるが、そのと

きの筆者の気持ちを説明しなさい。
/「原子爆弾が、地球上に新しく生み出した、耐えがたい悪の臭いだった。」とあ

るが、この文に込められている筆者の気持ちを説明しなさい。

8. 筆者が体験したできごとを箇条書きにしなさい。
9. 筆者の当時の行動を文中から抜き出し 、箇条書きにしなさい。
10.筆者の感慨を表す部分を文中から抜き出し 、箇条書きにしなさい。

四、 つぎの文章を読んで、後の質問に答えなさい。
冬のうちは一面にうす氷が①△りつめてひっそりとしているが、春先の(ア)、

突然あふれるような水音が(I )にひびいてきて⑴夢をやぶられることがあっ
た。山の雪がとけて⑦晝崩落ち、一夜に水量が②エすのであったが、それは春の足音

第4課 わたしの夏ーー1945年•広島 69

にしてはあまりに③アラアラしく激しくて、私たちはよろこびよりはむしろ©恐怖に

近い感(n )をいだかせられた。よその土地ではしのびやかに軽く くすぐるよ

うに一日ずつ近づいてくる春が、札幌ではこんなふうにしてちょうど洪水のように
ただ(イ)でやってくるのである。あらゆる樹木が(ウ)に芽をつけ、葉
を出し、花を咲かせる。(エ)に⑵草が萌えたんぽぽの哆綿毛がとぶ°学校の
㊂垣根の落葉松は青々と色づき、青くなったかと思うともう枝をそろえねばならぬ
ほど伸びてしまう。何もかもが一時にぐんぐんといういきおいで伸びてゆく目ざま
しさ。

だが、私たちの性格にもいつか⑶そういうひたむきなものをやしない、長い冬
の耐えがたい重さに耐えてきた私たちは、知らず知らず落葉松のようななだらかな
抵抗法を/会得してしまう°厳しい寒さの中にまるで枯れきったように見えながら、

(4)新しい芽はいつも④ユダンなくその⑤オク深くに用意されてある。

(ED 下線部①〜⑤のカタカナを漢字に、下線部⑦〜めの漢字を平仮名に直しな

①さい。 ② ③ ④ ⑤
) () () () ()

©
) () () () ()

OB (ア)〜(エ)には「(A)一夜」または「(B)一時」と同じ語が入るが、前
後の意味を考えながら、AまたはBの記号で下記の( )に記入しなさい。

ア イ ウェ

()()()()

dB 次のことばの中から適当なものを選んで(I )の中に記号で記入しなさ

い。 (2)まくらに (§)ふとんに
⑦やねに
@かべに @たたみに

答え:

HD 下線部(1)はどういう意味なのか、説明しなさい。

答え:

函 (n )の中に入る最も適当な語をよく考えて、漢字1字で答えなさい。

答え:

OD 下線部⑵「萌え」という部分と同じ意味のことばを文中から見つけ出し、そ

70日语综合教程第七册

の言葉のもとの形で答えなさい。
答え:

IEB 下線部⑶「そういう」は何を指しているか、説明しなさい。

答え:

dB 下線部⑷「新しい芽」と同じ意味を表していることばを同じ段落の中から見
つけ出し、7文字でぬき出して書きなさい。

dD この文章中で、®札幌における春の訪れの様子 、〇)よその土地における春の
訪れの様子を、それぞれたとえを用いて表現したところがあるが、その部分

をそれぞれio文字以内で抜き出しなさい。

答え:®

d© この文章は、主としてどんな内容が描かれているか、。次のア〜エの中から最
も適当なものを一つ選んで、記号で答えなさい。

ア 静かに春を味わえないことへの心残り

イすさまじい春の勢いへの驚き .

ウ 今年も春がめぐってきたことへの喜び

工 にわかに襲ってきた季節に対する恐怖

答え:( )

読み物

初日影のなかで

・壮邦生

私は正月がくると、早々にどこかに逃げ出すことにしている。少年時代
のフローベールが書いたように「正月なんてつまらない」と思っているわ
けではないが、とにかく正月や、正月的な気分から逃れ、自分ひとりで、自
分流に新年を祝う—— それがここ何十年かの習慣である。

いわゆる正月気分が私にぴったり感じられなくなったのは、実際に、こ
うやって逃げ出すより、ずっと前からだったように思う。

第4課 わたしの夏——1945年•広島 71

といって正月がきらいなわけではない。むしろ師走の風に吹かれて母と
ともに正月のための買い物に出かけたり、霜の暁闇に父と初詣にいったり、
いとこたちとかるた遊びをしたりした思い出は、忘れがたい楽しさで心に
残っている。

正月風俗は、子供時代の記憶の中でもとくに美しいものの一つである 。
しかしどういうわけか、物ごころがついてから、そういうものの中にとけ
込めない。

パリにいたころ、まだ日本人も少なかったので、大使館に呼ばれて正月
料理のご馳走になった。集まった人たちは結構楽しそうだったし、私自身
も、ある懐かしさは感じた。しかし二度と出かけることはなかった。

どうやら、正月気分を、絵でも鑑賞するように静かに楽しむのではなく、
落ち着きのないお祭り気分的なものに変えることが、私の気に入らなかつ
たのかもしれない。

しかし、ここ何年か、確かに世間は静かになった気がする。正月だから
といって、派手に集まることもなく、海外旅行に目の色を変えることもな
くなった。どうかすると、昔の、静かな正月気分を味わえるようなことが
ある。

同じ理由で、有名な神社へ押すな押すなの初詣では、あの霜の暁闇の森
厳な気分は味わえない。やはり初詣には太古の清浄感がどこかに漂ってい
てほしい。そういう静寂があるところなら、どこにでも神はいるはずであ
る。

一時、正月になると、高度経済成長の申し子みたいなのが、街頭を着飾っ
て歩いていたが、さすがにそういう姿も少なくなった。戦後30年、ようや
くあるべきものがあるべき場所に戻ったのであろうか 。

正月というのは、やはり、静かに明けてくるあの朝のすがすがしい気分
がいい。とくに何が変わったというのではないが、もう旧年のあわただし
さはなく、静かな街に「何やら床し」といった気分が漂っている。昔だつ
たら東京でも三河万歳の人たちがやってくるころだ 。簡素に飾った正月飾
りの下で、太古的な清浄感を感じながら、屠蘇を飲むのも悪くない。

これは、木枯らしの吹く夜、友だちと鍋物をつついて一杯やる気分とも
違うし、深夜、仕事のあとで、ウィスキーを飲む感じとも違う。やはり正
月のすがすがしさが、盃の上のほのかな屠蘇の香りに、凝結したように感
じられる。

ここ何年か、私は旅に出ても、暮らしの中に深く入りこんでいる人々に
心をとらえられるようになった 。シャルトルの市場で、チーズの出来ぐあ
いを指先で慎重に確かめている主婦を見たとき 、「こういうのが生活だな」
とひどく感心した。

72日语综合教程第七册

暮らしの細部まで心を配るとは、暮らしの細部まで楽しんでいることで
ある。暮らしの中に深く入るとは、日々刻々、暮らしが必要とするものを、
受け身ではなく、心をこめてやってゆくことだ。そこには、暮らしを大事
にする心が動いている。シャルトルの主婦の善良そうな顔には 、いわば暮
らしの中にく詩〉を感じている人の幸福感が輝いていた。

正月風俗を生きる、またそれを楽しむとは、おそらくこうした暮らしの
中に深く入ることなしには不可能だろうーーそんなことを時どき思うこと
がある。というのも、正月が本当に正月らしくなったのは、世間が何とな
く落ち着いてきてからだった。吉田健二ではないが「暮らしは落ち着いた
ものであり、落ち着いた暮らしは豊かなもの 」なのである。

また正月になると、雑誌は懐旧の情をさそう古い羽子板、こま、かるた
の類の特集を組んでいる。美しいグラビアに刷られた昔の正月風俗の顔は、
確かに郷愁をよび起こすが、しかしそれをそっくり現代に持ってきたり、そ
れに執着しすぎたりするのには反対だ。

それに、そうしたものを、ある時期捨てたのは、戦後の生活の苦しさよ
り、やはり戦前の古い生活形態や戦争中のいまわしい記憶が、そこにまっ
わりついていたからである。正月の晴れ着や、かるた取りや、福笑いで楽
しかった子供時代の懐かしさにかまけて 、古い亡霊まで呼び出すのでは、何
ともやり切れない。誰だって、戦後30年をむだに暮らしたわけではない。
亡霊はもういなくなったと思って古い部屋の鍵をあけたら 、またそれのと
りこになる、では、戦後が何のためにあったか、わからなくなる。

そういうことを踏まえたうえで、私は日本の正月気分のありがたさを改
めてかみしめている。門松にしても、追い羽根の音にしても、座敷にさし
こんでくる初日影にしても、すべて日本の文明感覚がっくりあげた芸術品
なのだ。そこにある新鮮なすがすがしさ。書き初めの墨のにおい。百人ー
首を読む娘たちの声——いずれも、落ち着いた暮らしの中から生まれた生
活のく詩〉なのである。

そこには、正月だといってとりつくろったところもない 。お祭り騒ぎも
ない。静かに暮らしている人が、静かに眼をあげて、新春の空に見入って
いる気配がある。年賀状にもそうした心があって、はじめて、正月のすが
すがしさに人の世の懐かしさが漂う。

私は相変わらず人気のない場所へ逃げ出すだろうが、いまではその心持
ちは追っている。それは正月から逃げるのではなく、自分流に深く正月気
分を味わうため、と分かっているからだ。初日影を静かに受けるためだけ
でも、正月はあってくれたほうがいい—— 今年あたりはむしろそんな気持
ちでいる自分を感じる。

「時刻のなかの肖像」(『新現代文上』右文書院)による

第4課 わたしの夏—— 1945年•広島 73

筆者紹介

辻 邦生(つじくにお)(1925-1999)
1925年9月生まれ。東京出身。東大卒。小説家。フランス文学者。主な作品に『回廊にて』『安

土往還記』『背教者ユリアヌス』『西行花伝』『海辺の墓地から』『季節の宴から』などがある。

I注釈

〇 フローベール(Flaubert) 福楼拜

フランスの小説家(1821-1880) 〇

❷かるた 日本纸牌

正月の遊び。小さい長方形の厚紙に、種々の形象または詞句、短歌などを書いたもの数十枚を数

人にわけ、形象、詞句、短歌に合わせて取り、その取った数によって勝負を定める。花札、歌ガ

ルタ、いろはガルタ、トランプなど種類が多い。特に歌ガルタ、いろはガルタを指す。

❸三河万歳(みかわまんざい) (爱知县三河地区的)曲艺表演

愛知県西尾市および安城(あんじょう)市を本拠とする万歳。江戸時代に始まり、烏帽子に大紋(だ
いもん)を着た太夫(たゆう)と鼓打ち(つづみうち)の才蔵(さいぞう)とが家々を回って祝言(しゅ

うげん)を述べ、滑稽な掛け合いを演ずるもの。

❹ シャルトル(Chartres) 夏特尔

フランス北部の都市。 (游戏)蒙着眼睛在空白的脸谱上贴眼睛、鼻子等五官
❺ 福笑い(ふくわらい)

正月遊びの一つ。目隠しをして、岡目など顔の輪郭だけを描いた紙の上に眉、目、鼻、ロをかた

どった紙を置き、出来上がりのおかしさを楽しむもの。

❻ 百人一首(ひやくにんいっしゅ) 百人一首和歌集

百人の歌人の和歌1首ずつを撰集したもの。藤原定家撰といわれる小倉百人一首が最もよく行わ
れ、のち、これを模倣したものも多い。

74 日语综合教程第七册

5第 課

I本文 みやこ人と都会人

•港幷順孑

日本人はどうしてこうも京都が好き

なのかと、本屋さんの雑誌売場を眺め

ていると、思うのです。女性雑誌も男

性雑誌も旅行雑誌もグルメ雑誌も、ふ

と気がつけば京都特集。テレビの2時
間サスペンスドラマでも、京都で

しょっちゅう人が殺されている 。「京

都の」という冠をつければ、桜も紅葉

も祭りも殺人もグッと魅力的な響きを 南禅寺

帯びるのであり、「京都に興味が無い」という人はいても、「京都が嫌い」と

いう人は日本にはいないのではないかと思えてきます。

こんなことを書いている私も当然ながら京都好きなのですが 、京都との付

き合いはそう長くはありません。小学校時代、クラスで一番お勉強ができた

友達から、

「今、家族で京都に来ています。円山公園で夜桜を見ました」

という絵葉書をもらって、「家族で京都旅行とは、文化的な家庭はやること

が違うなあ!」と感心したことを記憶していますが、私自身は高校の修学旅

行で行ったのが、初めて。その時は、「よくわかんなーい」としか思いません

でした。

20代の頃は、ボーイフレンドと一緒に京都旅行もしましたが、その時も格
別な印象は残っていません。清水寺も南禅寺の湯豆腐も、「普段とはちょっと

違うデート」を演出するための背景としか捉えることができなかった。やは

り20代であったボーイフレンドが、京都という背景を得ると何だか頼りなく
見えるのは何故なのかということも、その時の私にはわかっていなかったの

です。「京都って、何だかやたらと楽しい」とハタと思うようになったのは、

第5課みやこ人と都会人 75

30歳を過ぎて、負け犬と言われる立場になってからのこと。若者の土俵で勝
負できる年齢ではなくなった時に京都を見て、「大人になってから足を踏み入

れるべき土俵は、もしやこの辺にあるのではないか……?Jと、思ったのです。
周囲を見回してみると、同じ立場の人達は皆、京都が大好きだったのでし

た。彼女達は皆、ある程度のお金と暇とを持っています。長い独身生活の間

に培わざるを得なかった知的好奇心のようなものがある上に、若いうちに海
外旅行はさんざんしたので「もう長いフライトは疲れるわあ」なんてことも、

言う。……となると、行き先はもう京都しかないではありませんか。

京都人気は、もちろん大人の独身女性だけが支えているものではありませ

ん。京都の観光客は老若男女を問わないわけですが、この空前の京都人気は

日本の不景気と関係しているのではないかと 、私は思う。

日本の景気が良かった90年代初頭までは、人々の興味と憧れはまだ欧米に
向いていました。日本自体がイケイケムードだったため 、「世界でトップを

とってやる」的な空気が濃厚に。従って、
和風の事物=年寄臭いというイメージが

濃厚で、伝統芸能や着物などの人気は全

くパッとしなかったのです。

しかし景気が低迷し、「日本なんてた

いしたことないしー」という気分が世界

に横溢した時、日本人はふと「別にグ

南禅寺の庭 ローバル・スタンダードなんかについて
いかないでも、和風ってところで勝負す

ればいいんじやないの?」と思ったのではないか。

「日本なんてたいしたことないしー」という時の日本とは、東京的なものを

示しています。欧米諸国とタメを張ろうと頑張ってきた、東京。それが「た

いしたことないしー」となってしまった時に日本人は、「東京が駄目なら京都

があるじやないか」的なことを、思った。

それはたとえば、ものすごく高価なオートクチュールを着ても、パーティ,一

で外国人女性と並ぶとちんちくりんに見えてしまっていた日本女性が、
「そうだ、着物を着ればいいのよ。着物さえ着れば、少なくとも私は日本人

であるのだからして、藤ジニーさんにだって負けないわ」

と,思うようになってきた、みたいなことになりましょうか。
かくして日本人は、自国の文化をディスカバーすることとなったのです 。

大人がかかるハシカは重いと言いますが、大人になってから和風の病に罹患

した人達も、非常に熱心に和の道を突つ走ります。かつて大会社の社長夫人

や医師夫人や弁護士夫人に憧れていた人は、家元夫人や老舗の若女将といっ

た和風セレブに憧れるようになる。にわかクリスチャンになってまで港区の

76日语综合教程第七册

名門教会で結婚式を挙げた人も、「最近は仏像に惹かれるの」なんて言い出す
ようになるし、包丁だってゾーリンゲンはやめて「有次」よ……。

京都は、そんな人達にとっての聖地となったのでした。JR東海から「そ
うだ京都、行こう。」と言われる前に、和風病者達はせっせと京都詣でをする
ようになったのです。

和風病者にとって京都とは「和のテーマパーク」である、と言うこともで
きましょう。テーマパークに不可欠なものは、アミューズメント、物販、飲
食の三つですが、京都には見事にその三拍子が揃っています。神社仏閣や博
物館といったアミューズメント施設。漬物に和菓子に扇子にアンティークに
と、物販も魅力的。飲食にしても、懐石に甘味にうどんに肉にと、バッチリ
揃っている。さらに言えば、ディズニーランドには夜のパレードがあるよう
に、祇園や宮川町へ行けば、夜のお楽しみが待っている……。

それだけではありません。テーマパークが生き残っていくのに重要なのはリ
ピーター率ですが、京都はディズニーランドと同様、その点でも優秀なのです。

リピーター率を上げるために重要なのは、「お楽しみの重層性」。すなわち、
1回行って理解できてしまうだけの施設やイベントしかない場合 、客は「こ
んなものか」と思って二度と来ることはない。パッと見ただけでは把握し切
れない裏メニューのようなものが用意されていたり、季節毎にお楽しみが入
れ替わることによって、「また行きたい」というリピート心は刺激されるので
す。

ディズニーランドで言うならば、パレードをリニューアルする時は、発表
されているリニューアル日の何日か前から予行演習として新しいパレードの
お披露目をするらしいとか、実は園内に1ヶ所だけ、アルコールを飲むこと
ができる会員制の秘密クラブがあるらしいとか、その道の通だけが知る情報
が数多あるものです。ディズニーフリーク達は、その情報を得れば得るほど、
「もっと知りたい!」「もっと行きたい!」という中毒症状をたぎらせること
になる。

京都にしても、同じです。最初のうちはガイドブックに出ている店にしか
行かない観光客も、京都通いが度重なるにつれて、「ガイドブックに載ってい
ない店」とか「地元の人しか行かない寺」に行きたくなり、「1年に1日しか
作らないお菓子」や「7年に1回しかご開帳しない仏像」を求めるようになっ
てくる。

また、最初のうちには桜や紅葉といったわかり易い季節性を追っていた人
も、「梅雨の京都はいいらしい」「いや新緑も」「雪が」「年越しが」と、どん
どん深みにはまっていく。そして京都フリークは、ディズニーフリークが、

「普通の人は知らないだろうけど、ここがベストポジションなんだぜ」
と、花火を見るのに最も適した場所を自慢するように、

第5課みやこ人と都会人?7

「京都の人も知らないことが多いのだけど、五山の送り火がいっぺんに見ら
れるマンションの屋上があるのよ。あ、ちなみに京都の人は『大文字焼き』な
んて言わないから間違えない方がいいわよ」

と自慢をせずにはいられなくなるのです 。
雑誌やテレビによって、京都の街は既に紹介し尽くされているようにも思
えます。実際、京都のあるお店の人は、
「雑誌の取材が通った後は、ペンペン草も生えへん」とおっしゃっていまし
たし。
しかし、そうではないのです。京都には、「雑誌によく載るところ」と「絶
対に雑誌に載らないところ」とがある。また、たとえ雑誌の取材を受けたと
しても、京都の人は何でもかんでも喋ってしまうわけではない 。「まあ経営は
していかなあかんから取材も受けるけど、なあ…… 」と、本当に大切な事物
はひっそりと秘蔵されていたりする 。
東京で生まれ育った私が京都に強く惹かれる理由は、その辺りにあります。
色々な土地から人が集まってくる都市である東京は 、平等な街です。お金が
あればどんな物も買うことができるし、どんなサービスでも受けることがで
きる。共同体意識も希薄なので、余所から来た人が思わずジーンとするよう
な親切もしないかわりに、余所者を排除することもない。古くから住んでい
る人であろうと昨日東京に引つ越してきた人であろうと、似たような暮らし
ができるのが、東京という街です。
それは「見たまんまの街」ということでもあります。分かりやすい例で言
えば、たとえば、あるレストランに裏メニューが存在したとしても、雑誌の
「裏メニュー特集」なんて記事になぜかそれが載っていて 、裏にする意味なん
て別にないじやんねえ、ということになっていたりする。東京という街の貪
欲さが、裏を裏のままで放っておいてくれないと言うこともできましょう。
対して京都には、裏が裏として存在しています。裏という言い方に語弊が
あるとしたら(裏日本とか今は言ってはいけないみたいですし )、「奥」と言っ
てもいいのかもしれない。通りに面した入り口から入ると奥へ奥へと細長く
続く町屋の建物のように 、歴史も人も味も芸も 、重層的に構成されているよ
うに見える。東京人の私としては、見慣れぬ「奥」のほの暗さが珍しくって、
ついそちらの方に行きたくてたまらなくなるのです。
京都にしろ、東京にしろ、またニューヨークにしろ、ロンドンにしろ、都
市に住む人は、

「世の中には、いろんな人がいますよね」
ということを経験として知っているものです。都市には絶えず外の世界か
ら人がやってきますから、一々余所者を珍しがっている暇はない。隣にいる
人が、たとえ手掴みでカレーを食べていようと、バッグを頭に載せて運んで

78日语综合教程第七册

いようと、
「変なの! J
とジロジロ見たりせず、
「まあ、そういう人もいるでしょう 」
という見方をすることになる。
しかしその時、京の人と東京の人とでは、微妙にとらえ方が違うような

気もするのです。東京の人は、隣に手でカレーを食べる人がいたら「へえ」な
んて思って自分もその人と一緒に手でカレーを食べてみて、さらには家に
帰っても「なるほどね」と手でカレーを食べ続けたりする。

対して京都の人も、「へえ」なんて思って手でカレーを食べる一瞬はあれ
ど、家に帰ったら、「とはいえなあ」と、お匙でカレーを食べる。

「私とは違う人」を奇異な存在として見ないのは同じでも、東京は「違う人」
を飲み込んで均一に消化していくのに対して、京都にはたくさんの「違う人」
達が、細かくそして厳密に分けられつつ共存している 。東京のフラットさと、
京都の重層感の違いは、その辺りにあるのではないでしょうか 。

では、その違いはどこから生まれてくるのか、と考えた時に思い当るのは、
やはり歴史の違いです。ナクヨウグイス平安京、というわけでかの地に都が
できたのは、西暦794年のこと。その前は長い間奈良に都があり、桓武天皇
がちょこっと長岡京へ遷都した後、京都(とは当時は言っていないが)へ再度
の遷都を行なった。

それから、千年。京都はずっと、京で都でありました。なにせ「京都」。「み
やこです」としか言っていないその地名が、京都がどのような土地であるか
を如実に物語っています。

「東京」という地名も、「みやこです」と言っています。が、それは「東の、
みやこです」ということ。ニューヨークが「ニューなヨーク」として命名さ
れたのと似たような発想のもとに、東京は命名されている。

もちろん、江戸時代からこの地は都市ではあったのでした。が、江戸には
将軍はいたけれど、帝はいなかった。体育会系の都市である江戸を、文化系
都市である京の人達は「まあねえ、田舎にだってマチは必要でしょうしねえ」
的な感じで見ていたのでしょう。

東京の雑食性の基礎は、この時期に醸成されたものと思われます。江戸に
は各藩の武士達が常駐しなければならなかったわけで 、日本全国から人が集
まっていた。京から見れば田舎である江戸に 、日本全国の田舎から人が集結
し、それぞれが「田舎者だと馬鹿にされてはならじ!」と頑張ることによつ
て江戸は発展したのでしょうし、「とはいえ、まあ私達、所詮は田舎者なわけ
ですしねえ」と割り切ることによって、独特の寛容さ、というか鈍^®さを養
うことになったのではないか。

第5課みやこ人と都会人79

その後、色々あって明治維新。将軍はいなくなりましたが、1868年、いよ
いよ帝が東にやってきて、江戸は東京となりました。東京はますます発展し、
また京都は京都で日本文化の中心地となった。

京都のご老人は、「天皇は、ちょっと東京に行ってはるだけ」という感覚を
今も持っている、という話を聞いたことがあります。「本当だったら京都が首
都」という意識が、そこにはあるのだと思う。

確かにそれもごもっともですが、私は「首都が東京になっていてよかった 」
とも思う者。もし首都が京都のままだったら、戦時中は空襲に狙われたで
しょうし、戦後はバンバン開発されまくっていたでしょう 。京都中が今の京
都駅のような感じになっていたかもしれないのです。首都という汚れ役を東
京が担ったからこそ、京都はギリギリのところで「奥」を「奥」のままに保
っことができたのではないか。....とはいえ、もしも京都が首都であり続け
たら、日本はもっと違う国になっていたであろうなあという気もするのです
が。

日本中の県庁所在地が「小東京」と化している今、京都だけはあくまで京
都なのであり、それどころか日本中に「小京都」と名乗る土地を従えていま
す。東京の人が京都に魅力を感じるのは 、そこがあくまで都市でありつつも
小東京ではないから、なのです。

「都と京」(『小説新潮』2004年8号)による

筆者紹介

酒井順子(さかいじゅんこ)
1966年9月東京生まれ。エッセイスト。評論家。著作に『負け犬の遠吠え』のほかに『入れたり

出したり』角川文庫(2003年)、『少子』講談社文庫(2003年)など多数ある。その内、『負け犬の遠
吠え』は第4回婦人公論文芸賞、第20回講談社エッセイ賞をダブル受賞(2004年)。

!注釈

〇 円山公園(まるやまこうえん)
京都市東山の西麓にあり、東山を借景とする回遊式庭園になっている。八坂神社•知恩院の境内
に接する。円山公園は京都市内で最も歴史の古い公園であるばかりでなく、春の花見の名所、秋
の紅葉狩りの名所として有名である。

❷清水寺(きよみずでら)
京都市東山区にある北法相宗の寺。西国33カ所第16番の札所。山号は音羽山。本尊は11面観音
立像。1200余年前の奈良時代の末、778(宝亀9)年に開創された。音羽の山中より湧出する清泉
で、金色水とも延命水とも呼ばれ、日本の十大名水の筆頭にあげられるので、「清水寺」と名づ
けられた。

80 日语综合教程第七册

❸南禅寺(なんぜんじ)

京都市左京区にある臨済宗南禅寺派の本山。山号は瑞竜山。1291(正応4)年亀山天皇の離宮を無
関普門に賜い、禅林禅寺としたのに始まり、足利義満の時、五山の上位に列し、南禅寺と改めら
れた。庭園は砂と石と松で構成された枯山水庭園の代表的なものであり、また、湯豆腐で有名で

ある。 大年龄未婚女性,老姑娘
❹ 負け犬(まけいぬ)

ここでは、30歳以上で、未婚、子供のない女性のことを指す。
❺藤ジニー藤吉妮

米国•カリフォルニア州サンフランシスコ市生まれ。大学卒業後、英語指導助手として日本の山

形県へ行き、1991年老舗旅館「藤屋」の跡取り息子だったご主人と結婚。藤屋温泉旅館の七代目
の若女将。公共広告機構の国際化キャンペーンCMに登場し、全国に山形県銀山温泉を伝え、多方
面から注目を集めている。
❻港区(みなとく)

東京都23区の一つ。
〇ゾーリンゲン 索林根市

ドイツ西部の工業都市で、刃物の製造で世界的に有名である。人口約16.5万人。

❽ 有次(ありつぐ) 有次牌刀具

「有次」は創業1560年。和庖丁、料理道具、鍋などを伝統的な手法で作る製造と販売が一体となっ
ている、日本で最も有名な刃物の店である。料理道具は、包丁百数十種類、その他、鍋やぬき型

などの道具を加えると400種類近くにも達する。
❾ JR東海 日本东海铁路客运公司

1980年代日本国有鉄道が民営化され、七つの鉄道株式会社に分けられた。具体的には下記の通り
である。

① J R九州旅客鉄道株式会社日本九州铁路客运公司
② J R四国旅客鉄道株式会社 日本四国铁路客运公司
③ J R西日本旅客鉄道株式会社 日本西部铁路客运公司
④ J R東海旅客鉄道株式会社日本东海铁路客运公司
⑤ J R東日本旅客鉄道株式会社 日本东部铁路客运公司
⑥ J R北海道旅客鉄道株式会社 日本北海道铁路客运公司
⑦ JR貨物鉄道株式会社 日本铁路货运公司
®懐石料理(かいせきりょうり)

「懐石料理」は茶の湯の席で出される軽い食事のことで、茶懐石とも言う。「温めた石を懐に抱い
て、一時空腹を忘れる」という意味の禅宗の僧から出た言葉を茶の湯に取り入れるようになった
ものである。
料理は一汁三菜が基本とされ、最初に少量のご飯と汁、向付が出され、そのあと一品ずつ料理が

出される。料理は全員の分が1つの器に盛られているから、順番に料理を取って、次の人に回し
ながら食べる。
特色:かなり簡素化されているが、料理に心がこもっている。それに料理に四季の移り変わりが巧
みに映され、器との調和が図られ、盛り付けという感覚に繊細な美しさが集約的に表現されている。
(D祇園(ぎおん)
祇園といえば歓楽街として有名であるが、地名としての祇園は、京都市街地の中心を東西に走る
メインストリート、四条通の東端にある八坂神社の周辺を指す。四条通の北側には近代的なビル
やクラブ、スナックと飲食店が立ち並んでいる。祇園の中に二つの花街があり、「祇園甲部」と
「祇園東」と呼ぶ。花街の格は、そこへ通う客の質によって決められる。それぞれの花街は、そ
れぞれを支えてきた客層によって、それぞれの風格が形成され、政界、経済界、宗教界、芸能界
ともに各界の一流が集まるところである。

第5課みやこ人と都会人 81

®宮川町(みやがわちょう)

宮川町通(宮川筋)は鴨川の東、川端通の1本東の小路で、四条通から五条通に達している。鴨川
の別名を当時宮川と称したことが由来とされている。1751(宝暦元)年には遊里としての認可を受
けている。以後この小路は祇園とならぶ遊興の地として、大いに賑わいを見せている。宮川町で

は、歌舞伎役者などの若衆をかかえて客の相手をさせる家も多かった。四条通の色宿•子供宿と

も呼ばれていた。祇園界隈の雑踏とはかわって、この宮川町通は観光客が少なく、その分情緒は

一層濃く感じられる。 五山点火节
® 五山送り火(ござんおくりび)

毎年の8月16日午後8時から、京都盆地の周囲の山に「大」「妙法」の字や鳥居、船を形どった
火が次々に点火される。精霊送りの意味を持つ盆行事の一形態で、京都三大祭(葵祭・祇園祭•時

代祭)に大文字五山送り火を加え、京都四大行事と称する。その中で東山如意ヶ嶽の「大文字」が

もっともよく知られているので、送り火の代名詞になっている。

【火床数】75基
【点火資材】薪600束•松葉100束・麦藁100束
【大きさ】一画80 m、二画160 m、三画120 mo
曲五山(ござん)

五山の制度は印度の五精舎にならい、中国南宋末期に禅宗の保護と統制のため格式高い五つの寺

を定めたことに由来する。鎌倉幕府が開かれる前年の1191(建久2)年に南宋から帰国した僧侶栄
西らによって伝えられた禅宗はその後隆盛を極め、鎌倉時代の末期、幕府は次々と大寺院を建立。
鎌倉五山とは、鎌倉時代に中国の五山制度にならって鎌倉の禅寺に設けられた五大官寺のこと。

北条氏は、南宋にならい五山制度を導入、鎌倉の主な禅刹を五山と呼ぶようになり、鎌倉幕府滅

亡後の室町初期には鎌倉・京都それぞれに五山が定められ、それに次ぐ十刹と緒山が選ばれこの

制度が定着したといわれる。その後、たびたびの改定を経て、1386(至徳3)年足利義満のとき、
五山の上に南禅寺がおかれ、京五山として下記の五寺が定められた。

五山の上 南禅寺 禅僧寺院最高の寺格を誇る
世界文化遺産、天龍寺派大本山
五山の一 天龍寺 塔頭に金閣寺、銀閣寺をもつ
京都最初の禅寺
五山の二 相国寺 奈良の東大寺・興福寺より1字ずつ取り寺名とした
東福寺塔頭(たつちゅう)の一つ
五山の三 建仁寺

五山の四 東福寺

五山の五 万寿寺

®平安京(へいあんきよう)

京都の旧称。794年、桓武天皇が長岡京から京都に遷都した。その時から1869年の東京奠都まで、
京都は日本の都として栄えていた。当時は、桂川と鴨川に挟まれた東西約4. 5キロ、南北約5. 2
キロの範囲を碁盤目状に区画し、北端に大内裏を置いた。中央を南北に通る朱雀大路の東側を左

京、西側を右京と呼ぶ。また、平安時代初期には左京を「洛陽城」、右京を「長安城」とも呼ん
だ。湿地の多い右京は早くから廃れ、左京(洛陽城)が栄えたため、京都の市街地を「洛中」、周

辺地域を「洛外」と呼んだり、京都へ行くことを「上洛」と呼んだりするようになった。

® 桓武(かんむ)天皇(737-806)
奈良後期——平安初期の天皇(在位781-806)。光仁(こうにん)天皇の第二皇子。最澄や空海を唐

に派遣し、新仏教を興させた。
働 長岡京(ながおかきょう)

桓武天皇の初めての都。784年桓武天皇は平城京から長岡京に移り、京都盆地南部の現在の京都
府向日(むこう)市・長岡京市を中心とする区域に都を建立したが、10年で廃され、都は平安京に
遷った。
®ヨーク(York) 约克

ニューヨークの語源であるヨークは、英国North Yorkshire州の中心都市Yorkであるとも、英国王
弟のヨーク公ジェームズ2世(1633-1701)にちなんだことばであるとも言われる。

82日语综合教程第七册

|方言解釈

• 「雑誌の取材が通った後は、ペンペン草も生えへん」とおっしゃっていましたし。
「へん」は、関西方言で、打消しを表す助動詞「ない」の意味。「生えへん」は「生えない」の意味。
また、「ある」の反対語「ない」は、関西方言で「あらへん」という。その他の動詞は、未然形に
「へん」をつけるという形をとる。

•「まあ経営はしていかなあかんから取材も受けるけど、なあ…… 」
「いかなあかん」は京都弁で、「いかなければならない」の意味。また、「あかん」は、「埒(らち)明
かぬ」(物事の決着がつかない。だめだ。)の略。

•「天皇は、ちょっと東京に行ってはるだけ」
「はる」は関西方言で、尊敬の意を表す助動詞。「はら・はり(はつ)•はる・はる•はれ•〇」と活
用する。「なさる」の転。
例えば、行きなはるf行きやはるf行きやはるf行かはる、となって「はる」が生じた。

、新しい言葉

グルメ (gourmet) [名] 食通。美食家。/美食家。
小説、映画などで、物語中の危機が読者、観客に
サスペンス(suspense) [名] 感じさせる不安、懸念、緊張感。/悬念;使人紧
张。
冠(かん) [名] ①頭にかぶるものの総称。/冠。②競技会や催し
の呼称にスポンサー企業などの名をかぶせるこ
演出(えんしゅつ) [名・他サ] と。/冠名。
①演劇、映画、放送などで、脚本に基づいて俳優
ハタと [副] の演技や舞台装置、衣装、照明、音楽、音響効果
などを指導し、全体をまとめて一つの作品にする
フライト(flight) [名] こと。/演出;导演。②(転じて)会合や式典の効
老若男女(ろうにやく [名] 果をあげるために、その内容や進行の順序などを
工夫すること。/(转义)组织安排,策划。
なんによ) ①思いがけずに出会ったり、急に思いついたりす
る様子を表す。/(动作)忽然,一下子。②それまで
続いていた考えや言葉がそこで急に行き詰まる様
子を表す。/ ー时卡住;ー时想不起来。③鋭いま
なざしでにらみつける様子を表す。/狠4艮瞪一眼。
飛行。飛行機の便。/飞行;飞机航班。
年齢、性別に関わらない。あらゆる人。/男女老
少。

第5課みやこ人と都会人83

イケイケムード(行け行 [連語] 「行け行け」の意。目的に向かって進め、進めとい
う気分、雰囲気。/勇往直前的氛围,冲天的干劲。
け mood) 見栄えがしない。はえない。状態があまりょくな
い。/不引人注目,不起色。
ぱっとしない [慣] (ムードや気力が)溢れるほど盛んなこと。/洋溢,
爆满;充沛。
横溢(おういつ) [名・自サ] 世界基準。国際標準。特に企業活動や金融システ
ムの基準を指す。/国际规格,国际标准。
グローバル•スタンダ [名] 相手と同程度の地位であることを言う俗語。/同
等地位;一般高。
一 K (global standard) 相手と同じ程度であることを示すために張り合う
こと。/抗衡。
ため [名] (パリの)高級衣装店。最新流行の仕立てをした
月艮。/高级服装店;最新流行款式的服装。
ためを張る(ためをはる)[連語] ①(差別語)背の低い人をあざけって言う語。/小

才1ートクチューノレ [名] 个子,矮子。②着物などの丈の足りないこと。Z
(haute couture) [名]
过于短的衣服。
ちんちくりん
麻疹ウィルスによる急性伝染病。Z麻疹。
ハシカ(麻疹) [名]
発見する。見つける。悟る。/发现,察觉;领悟。
ディスカバー (discover) [他サ] 病気にかかること。/患病,感染。

罹患する(りかんする) [自サ] (東京などの方言)速い勢いで走る。/猛跑,W

突つ走る(つっぱしる) [自五] 跑。
芸道で、その流祖の正統を伝える地位にある家 、
家元(いえもと) [名] またその人。/掌门人;世家;传人。
先祖代々から続いて繁盛している店。/老店铺,老
老舗(しにせ) [名] 字号。
(「セレブリティー」の略語)有名人。名声。高名。/
セレブ(celeb) [名] 名人;名气。
催し物や展示物をすべてある主題の下に統一して
テーマノヾーク [名] 構成した遊園地。/主题公园。
娯楽。楽しみ。/娱乐,消遣;乐趣。
(Thematpark) [名]
アミューズメント 寺の建物。寺院。仏堂。/寺院,佛堂。

(amusemet) [名] ①3拍で1単位の拍子。/I小节3拍的拍子。②囉
仏閣(ぶっかく) [名]
三拍子(さんびょうし) 子(はやし)などで、三種類の打楽器でとる拍子。/

アンティーク(antique) [名] 用3种打击乐器打拍子。③必要とされる三つの基
本条件。/3个必要的基本条件。

古代の遺物。古美術品。骨董品。/古玩,古代美
术品;古董。

84日语综合教程第七册

甘味(かんみ) [名] ①甘い味。甘い食べ物。/甜味,甜品。②美味し
い味。美味しい食べ物。/美味,美食。③(比喩的
バッチリ [副] に)物事の面白さ。すばらしさ。/(比喻)趣味性;
精彩。
ディズニーランド [名] (俗)落ち目なく。見事に。十分に。/充分,大量;
[名] 精心地,出色地。
(Disneyland) アメリカの映画制作者・監督のディズニーが建設
リピーター(repeater) した遊園地。/迪斯尼乐园。
同じ店や催し、同じ旅行先などに何度も行く人。
リピート(repeat) [名・他サ] (原義は)「繰り返す人」。/常客,熟客。
①繰り返すこと。/重演,重播。②(音)反復記号。/
リニューアノレ(renewal) [名・他サ] (乐)反复符号。
元のものに手を入れて新しくすること。一新する
お披露目(おひろめ) [名] こと。/翻新,更新。
結婚また芸者が初めて客の前に出ること。当事者
フリーク(fireak) [名] が公に挨拶すること。/初次登台亮相;宣布,公布
たぎる(滾る) [自五] 于众。
特定の物事に夢中になっている人。マニア。/发
開帳(かいちょう) [名] 烧友,••・迷。
①(湯が)煮え立つ。/(水)沸腾。②(泡を立てて)
深みにはまる(ふかみ [連語] 激しく流れる。/(河水)翻腾,滚滚。③(感情が)
にはまる) [名] 激しく湧き上がる。/(感情)高涨;激动。
寺院で特定の日に厨子(ずし)のとばりを開いて、
ポジション(Position) その中の秘仏を一般の人々に拝ませること。/开
龛。
ちなみに(因みに) [接] 度を越えて入り込むこと。/深陷,不能自拔。
ペンペン草(ぺんぺん [名]
地位。位置。部署。/地位,位置,岗位;(转义)
ぐさ) [副] 场所。
何でもかでも(なんで ついでに。それに関連して。/顺便,附带。•
ナズナ(の別称)。雑草。/养菜(的别称);杂草。
もかでも)
①どんなものでも。すべて。/不管什么,什么都…
ジーンと [副] ②どんなことがあっても。どうしても。/无论太口
何,务必,一定。
貪欲(どんよく) [名・形動] 感動などのため、体中がしびれるように感じるさ
ま。/深受感动,心里热乎乎。
非常に欲が深いこと。あくことを知らずほしがる
こと。/贪婪,贪得无厌。

第5課みやこ人と都会人 85

放る(ほうる) [他五] ①物を遠くへ投げる。飛ばす。/抛,扔。②あき
らめて止める。/放弃。③手をつけず、成り行き
語弊(ごへい) [名] に任せる。/不加理睬,弃置不顾。
町屋(まちや) [名] 誤解を招きやすい言い方。またその弊害。/用词
手掴み(てづかみ) [名・他サ] 不当,语病。
ジロジロ(と) [副] 町の中にある商家や住宅。/城镇的商家,铺面房;
匙(さじ) [名] 住宅。
奇異(きい) [形動] 手で直接つかむこと。/用手抓。
フラット(flat) [形動] 好奇心や軽蔑の気持ちから無遠慮に相手の顔など
を見る様子。/盯着看,凝视,目不转睛。
かの(彼の) [連体]
遷都(せんと) [名・他サ] スプーン。/匙,小勺。
ちょこっと [副] 普通と違っていて、怪しく不思議である。/奇异,
なにせ [副] 离奇,古怪。
如実(によじつ) [名] ①平らなこと。平板なこと。/平坦;单调乏味。②
帝(みかど) [名] 競技でタイムに秒未満の端数がつかないこと。
醸成(じょうせい) [名・他サ] ちょうどであること。/(竞技的时间)没有零数,
(..•秒)整。
割り切る(わりきる) [他五]
あの。現代語の「あの」より文語的・雅語的であ
バンバン [副] る。/那个。
都を他の地に移すこと。都移り。/迁都。
汚れ役(よごれやく) [名] 少しばかり。ちょっとばかり。/ 一点儿,稍微。
(「何にせよ」の転用)なにしろ。何としても。な
んせ。/无论怎么说,总之。
①真実で誤りがないこと。/如实,真实。②「…
に」(副詞)ありのままに。/如实地,真实地。
(「御門(みかど)」の意味で、皇居の「門」を指し
た)その時の天皇。/天皇。
①発酵作用を応用して酒、醤油などを作ること。
醸造。/酿造。②機運、雰囲気などを次第に作り
出すこと。/营造,酿成,形成。
①割り算で、単数を出さないで完全に割る。/(算
术中的)除尽。②例外などを無視して、きっぱり
と結論を出す。/简单地下结论;(态度)干脆;(认
识上的)想通。
勢いよく大量に、遠慮なく行う様子。普通は「ば
んばん」と書く。/(做事)拼命地,不停地;(说话、
提意见)毫不客气地。
映画、演劇で汚らしい扮装で社会的の地位の低い
人物を演じる役。また、道義的に世間から好まし

86日语综合教程第七册

化する(かする) [自サ] く思われない人物を演じる役。例えば、売春婦、
暴力団、浮浪者などの役。/扮演下等人物以及反
従える(したがえる) [他ー] 面人物的角色。
①形や性質が別のものになる。変化する。/化为,
变为。②影響を受けてほかのものと同じようにな
る。同化する。/同化,感化。
①引き連れる。連れて行く。/带领,率领。②服
従させる。征服する。/迫使,征服。

I学習の手引き

❶ 全文を通読して、日本人の京都が好きな理由を整理すること。
❷90年代における京都が人々に与えるイメージについて考えること。
❸ 景気低迷の時期に一部の日本人の考え方がどう変わったかについて読み取ること。
❹ 日本人がいかに自国の文化をディスカバーするかについてよく読み取ること。その

具体的な例をまとめてみること。
❺「和風病者」の意味と彼らのとった行動を考えること。
❻ 京都とディズニーランドの共通点を見つけ出すこと。
❼「裏メニュー」について、筆者の述べていることを注意しながら読むこと。
❽ 筆者が京都に惹かれた理由を読み取ること。
❾東京と京都の相違点について 、筆者の並べている例を注意しながら読むこと 。
❿ 歴史の面から見た東京と京都の相違点を整理してみること。

(D筆者が文中で述べている江戸が発展した原因を読み取ること。

® 京都が文化の中心地となった原因を読み取ること。

言葉と表現

づ演出する组织安排,设计营造 j

原義は、脚本にもとづいて俳優の演技や舞台効果などを指導し、全体をまと
め上げて一つの作品にすること。転じて、式典などの効果を挙げるように工夫
するという意味。

❶ 寒さが身にしみるこの頃ですが、ホッと心がなごむ空間をキャンドルで演出
してみませんか?(在这寒意袭人的时节,何不用蜡烛来营造ー个轻松温馨的
空间呢?)

第5課みやこ人と都会人87

❷ 結婚式を演出する花のアイテムの数々をご紹介いたします。(现在我要给大家
介绍一下用来营造婚礼上气氛的各种鲜花。)

❸ 環境を演出する手法とは、最終的には空間デザインとして表現されるデコ
レーションやオーナメントといった装飾物あるいは光・音・においといった
ものになります。(所谓环境布置的手法说到底,就是作为空间设计而表现出来
的装潢、装饰线条等装饰品,或者是光线 、声音、香味等等。)

❹ 幻想的な光が、間接照明として夜のお部屋を美しく演出する、新感覚のイン
テリアクロックです。(这是ー盏新颖的室内装饰钟,作为间接照明,梦幻般的
光源把夜晚的房间装点得十分美丽。)

❺ 事務所や家庭のくつろぎの空間を演出するものに、家具や調度品、電化製品
があります。(家具、日常用品和家用电器都可以用来布置事务所或者家庭舒畅
的空间。)

5匕 ぱっとしない(慣用句)不引人注目,不起色

見栄えがしない。はえない。また、状態があまりよくない意味を表す。

❶ 彼は風采のあまりぱっとしない男だ。(他是个相貌不出众的男人。)
❷ それも、あまりぱっとせぬ二流三流どころの漫才師である。(他也不过是个不

起眼的二流三流的相声演员。)
❸ その劇場は新しい建物なのだが、見かけはどうもぱっとしない。(那个剧院虽

说是新建的,但外观并不怎么起眼。)
❹ このごろは不景気で、どこへ行ってもぱっとしない話ばかりだ。(这阵子由于

经济不景气,无论走到哪里听到的尽是些让人沮丧的话 。)

会 ためを張る(連語) 与••・抗衡'与…媲美

「ため」は、相手と同程度の地位であることを言う俗語。転じて、相手と同じ
程度であることを示すために張り合うこと。

❶ いくら英才教育を受けているとはいえ、コイツらとためを張るだけの大人が
ろくにいないというのは、あり得ないだろう。(虽说他们接受过精英教育,但
是,要说没有几个大人能比得过这些家伙,这不可能吧 。)

❷ 信じられない臭いがする。悪臭で考えるとヘドロとためを張るかもしれな
い。(它散发着让人难以置信的恶臭。那种臭气也许跟淤泥不相上下。)

〇 簡単なスケッチや構成原理から出発して建築デザインとためを張る構造が生
まれてくるプロセスは実に刺激的だ。(从简单的草图、结构原理来看,可以与
建筑设计媲美的结构即将诞生,其过程实在是令人振奋 。)

❹ 結構皆さんはこのイベントへ行かれているようで、デトロイトショーとため

88日语综合教程第七册


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